HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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電撃的東京

2012-02-12 08:02:59 | 日本のロック・ポップス

ローリーの「グラマラス・ローリー」を聴き終えると無性に聴きたくなったのが、近田春夫&ハルヲフォンが
78年に発表した「電撃的東京」であった。

近田春夫の名前を知ったのはいつ頃だったか忘れたが、多分小学生の頃に買った「明星」か何かの
付録の歌本で、その名前を見た時である。新曲やヒット曲の歌詞や、場合によってはコードが載っていた
付録本に近田は新曲レビューというかコメントを載せていて、その甘さと辛さの両方併せ持った言い回しが
子供心に面白かったのだ。

「電撃的東京」はグループ・サウンズや歌謡曲をロックのアレンジで演奏したカバー集で、アルバムの最後に
オリジナルの『恋のT.P.O.』を配している。ここで聴くことができるアレンジもまた、何となくグラム・ロックの
香りが残る派手で煌びやかなもので、ローリーを聴いた後にこれを連想したのは、私にとっては当たり前というか
ごく自然な流れであった。

アルバムのライナーで渋谷陽一氏はボウイ様の「PIN UPS」やフェリーさんの「THESE FOOLISH THINGS」や
「ANOTHER TIME, ANOTHER PLACE」を引き合いに出しているが、彼らもかつてはグラム・ロックの
一翼を担っていたわけで、日本にもそれらと肩を並べることが出来るレコードがあるというのは嬉しい限り。

このアルバムを初めて聴いた頃はオリジナルを知らない曲の方が多かった。それでもテレビで何度も見たことが
あるフォーリーブスの『ブルドッグ』のカバーにはぶっ飛んだし、ピーターが『人間狩り』なんて曲を歌っていたことも、
この盤で知った。近田は郷ひろみのことを高く評価していたような記憶があったので、ここでのカバーには
合点がいったものだし、ジュリーのカバーがシングルのB面曲というのも渋い。

『デサノヨツイスト』はオリジナルの個人的な好き嫌いは置いといて(笑)、ここでのアレンジは解りやすい
なかにも何重にも仕掛けのあるもので、当時のハルヲフォンのバンドとしてのセンスの良さを感じずにはいられない。
平山みきのルックスは割と好きで、また声が不思議な魅力を持っていた。なんであんな綺麗な人が
あの人と結婚しているのだろうと昔は思ったものだが(現在は離婚)、ここで取り上げた『真夜中のエンジェル・
ベイビー』のカバーも素敵だ。

山本リンダの『きりきり舞い』は、実はシングル盤の方が格好よい。全くアレンジが違っていて、リズムやコーラスが
強調されたディスコ・バージョンで、シングルにも関わらずアルバム収録バージョンより1分も尺が長い。(笑)
曲の後半のブレイクも実に格好よいし、ジャケットも近田がジョン・トラボルタに為りきっていて面白い。

個人的にはこの路線は大好きというか、ハルヲフォンが好きなのだが、この盤を最後にハルヲフォンは
消滅する。パンクやニュー・ウェーブ、ラップにヒップホップというシーンの動きに敏感に反応する近田の
動きは素早いものがあり、当時のファンは戸惑ったのではないだろうか。私は後者で振り落とされました。(笑)

出来れば、またこういうアルバムを作っていただきたいものだ。

コメント
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