HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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DIRE STRAITS / SULTANS OF SWING

2005-05-20 21:19:40 | THIS SONG
最初に聴いたときから一撃でやられるバンドと
何回も聴いて、良さが理解できるバンドがあるのは
誰しも同じだろう。
私にとってダイアー・ストレイツはまさに「闇からの一撃」
だった。クラプトンのようなギター、J.J.ケイルのような
歌声。派手ではないがスマートなリズム・セクション。
全てが完璧だった。

これは78年に発表されたダイアー・ストレイツの
デビュー・シングル。邦題は「悲しきサルタン」。
ところがこのシングルが曲者だ。ここに掲載したのはプロモ盤で
一般発売はなかった。一般発売のシングルのB面は
「イーストバウンド・トレイン」のライブテイク(もちろんアルバム
未収録)を収録していたが、こちらは両面とも「悲しきサルタン」。
B面は通常テイクだが、A面はアメリカン・バージョンとある。
この曲は演奏時間が5分48秒のため、アメリカのラジオのON AIRには
不向きであるということで短く編集するよう米ワーナーが
バンドに依頼したところ、「歌詞に端折るところがない」との理由で、
代わりにアメリカ向けにギターや歌を録り直したものが
提出された。それがA面のアメリカン・バージョンである。

短くしてくれといわれて再提出したバージョンのタイムは
6分6秒。(笑)新人らしからぬ所作である。
はっきりいって出来は、通常耳にできる「英国バージョン」の
ほうが数段いい。70年代のアメリカ・ナイズされた音の
ように見えて、出自はいわゆるイギリスのパブ・バンド周辺だという
ことがよくわかる。

マーク・ノップラーのギターについては今更いうまでもないだろう。
この曲のプロモでは、ジャケットに描かれた赤いストラストキャスターを
フィンガー・ピッキングで演奏する姿を見ることが出来る。
1ST・シングルの時点で完璧なスタイルを持っていたことに
改めて驚かされる。

しびれるようなロックである。しかしバンドは「若い連中に興味を
持たれることもなく、がら空きの店でジャズを演奏するバンド」のことを
歌う。それはかつての自分たちであったのかもしれない。
ダイアー・ストレイツはすぐに大成功を収めるが、この曲の歌詞を
書いた時のマーク・ノップラーに思いを馳せると、未だに少々
もの悲しい気分になる・・・。

”ありがとう、今夜はもうおしまいです”
 そしてもう一言つけ加えるんだ
”サルタンズ・オブ・スイングでした”ってね。

コメント (2)
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