ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/12/07 社会人のための文楽鑑賞教室②「沼津」

2007-12-16 16:27:37 | 観劇

社会人のための文楽鑑賞教室①「寿柱立万歳」、解説はこちら
さて後半は「沼津」。
【伊賀越道中双六】
近松半二ほか合作。日本三大仇討ちの一つ「伊賀越の仇討ち」を踏まえた作品(あとの2つは曾我兄弟の仇討ちと赤穂浪士の討ち入り」。
その中の「沼津の段」は歌舞伎でもよく上演されているが、私は今回が初見。AプロBプロのどちらにしようかをこの大夫ふたりで決めたくらいなので楽しみに観た。
前 :豊竹呂勢大夫、鶴澤清二郎 、(ツレ)鶴澤清丈
後 :竹本千歳大夫、豊澤富助、(胡弓)豊澤龍爾
<人形役割>
呉服屋十兵衛:吉田玉女 荷持安兵衛:吉田蓑次
親平作:吉田玉也 娘お米:吉田清之助
池添孫八:吉田幸助
あらすじは以下の通り。
呉服屋十兵衛は荷物持ちの安兵衛と共に東海道沼津の宿に近い街道筋にさしかかる。忘れ物を思い出して安兵衛ににとりに戻らせると年老いた道中人足の平作が荷物を運ばせて欲しいと声がかかるが、持ってもらうと足取りは覚束なく、つまづいた拍子に親指の爪を剥がしてしまう始末。荷物は十兵衛自身が持ちながら平作の気のいい話を楽しみながら行くと、平作の娘お米が迎えに出ていた。平作の家で急速しているうちに勧められるままに平作の家に泊まることにする。
十兵衛はそこで平作が養子に出した息子の話を聞くうちに、自分の持つ書付と符合に気づく。平作は実の親であった。困窮する父と妹を助けたいと一芝居うつうちに、自らにゆかりのある沢井股五郎がお米の夫・和田志津馬が敵として追っていることもわかる。
金と書付等を残して未明に家を出た十兵衛。さらに残されていた印籠。お米が主人の傷のために欲しがったの塗り薬が入ったものだったが、その印籠こそが敵・股五郎の物とお米が気づく。なんとか股五郎の行方を十兵衛に尋ねようと追う平作。お米と志津馬の家来・池添も後を追う。夜明け前の千本松原で平作は十兵衛に追いついてたずねるが、義理を立てて答えない十兵衛。平作はあきらめたと見せかけて油断させ、十兵衛の脇差で自らの腹を突く。死んでいく自分にだけ聞かせてほしいとすがりつく。父親の命がけの訴えに打たれた十兵衛は叢に隠れた妹たちに聞こえるように敵の行方を教える。最後に息子と名乗ってくれた十兵衛に「南無阿弥陀仏と唱えられませ」と促され、その腕の中で平作は息を引き取る。

けっこう冷静に観ていたはずの私だが、こういう父子モノには弱いのだ。後半の千歳大夫は毎度のように汗びっしょりになりながらの熱演。さらに胡弓の音が涙腺を刺激するのでいけない。目頭が熱くなってしまった。
きっと歌舞伎でも平作の芝居がいいと絶対泣くだろうなぁという作品とわかった。誰で見ることになるだろうか。
「伊賀越道中双六」の詞章を掲載したサイトをみつけたのでご紹介
写真は公式サイトで今公演のチラシ画像の「沼津」の十兵衛。


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