ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

13/05/15 前進座五月国立劇場公演「御浜御殿綱豊卿」「一本刀土俵入」

2013-06-14 23:59:55 | 観劇

前進座劇場は閉場となり、このお正月にファイナル公演の「三人吉三巴白浪」を観た。そこで五月国立劇場公演「御浜御殿綱豊卿」「一本刀土俵入」のチラシ(冒頭の画像)を見て、これは観るしかないことを決定。2009年3月の仁左衛門主演の舞台でしばらく封印モードとなっていたが、嵐圭史の綱豊卿の扮装が能「望月」の獅子の衣裳ではなく「舟弁慶」の知盛のようで、前進座独自の舞台であることがはっきりわかって見逃してはいけないと即決した。
女子高仲間のAさんが歌舞伎座新開場杮葺落公演から歌舞伎観劇を本格的に再開し、ご一緒してくださっている。前進座の歌舞伎観劇もお誘いしたところ国立劇場五月公演にもご一緒してくれた。
そこで簡単ではあるが、記事アップしておこうと思う。

ところが私たちの観劇日の5/15の前日に中村梅之助さんが楽屋入りの時に転ばれたとのことで休演となってしまった。残念ではあるがご高齢でもあり、はやく舞台で元気なお姿をみせていただけるようになることを祈っている。

劇団前進座の公式ウェブサイト
【御浜御殿綱豊卿「一本刀土俵入」】脚本:真山青果
今回の主な配役は以下の通り。
徳川綱豊卿=嵐圭史 富森助右衛門=嵐芳三郎
中臈お喜世=河原崎國太郎 御祐筆江島=山崎辰三郎
上臈浦尾=藤川矢之輔 新井勘解由(白石)=武井茂

冒頭の御浜遊びのところからしていつもの見慣れた舞台とは違っていた。奥女中たちが歌舞伎役者に扮装しての余興の場面がいくつも披露される。原作通りの舞台を大事にする前進座らしい。新歌舞伎ということもあり、女形と一緒に女優陣が脇役で大活躍だ。特に女が男装しての余興という雰囲気がよく出ていて面白かった。ただしかなりの長丁場となってしまうので、これを頻繁に観るというのはなかなか退屈になってしまう気がした。たまに本格上演を観るからいいのだと思う。

場割りもかなり違っていて新鮮。詳細は「渡辺保の歌舞伎劇評」「今月の劇評」に言及がある。
松の茶屋で矢之輔の加役の上臈浦尾が予想以上に面白くて収穫。辰三郎の江島がベテランらしくてよい。國太郎のお喜世、芳三郎の助右衛門はまぁこんなものでしょう。お伊勢参り姿の女の子役の子役ちゃんが少々ものたりなかったのは残念(2007年6月の歌舞伎座での公演の子役が見事すぎた)。

嵐圭史の徳川綱豊卿が仁左衛門とは違ってまたカッコイイ。お喜世を可愛がる様子も助右衛門とのやりとりを楽しむ様子も、助右衛門に本心を揶揄された時に見せる激昂の様子といい、自在な芝居を堪能。嵐圭史の円熟期を観ることができる幸せも痛感。

大詰の場所の設定も普段と違って庭となるため舞台転換に少々時間がかかる。原作通り劇中の能が「舟弁慶」で知盛というのは、持ち物の薙刀で助右衛門の槍との立ち回りをじっくり見せるためだったのだろう。
前進座の伝統演目ということらしく、これからもしっかりと継承していってほしいと思った。

【一本刀土俵入】脚本:長谷川伸
「一本刀土俵入」は2011年4月に亀治郎が客演した劇団若獅子の舞台が頭に焼き付いている。しかしながら國太郎のお蔦もよかろうと楽しみにしていた。
今回の主な配役は以下の通り。
駒形茂兵衛=藤川矢之輔
お蔦=河原崎國太郎 掘り下げの根吉=芳三郎
船戸の弥八=益城宏 辰三郎=高橋祐一郎
老船頭=武井茂 舟大工=津田恵一

取手の宿の安孫子屋の前で、地回りの弥八が若夫婦に因縁をつけて仲裁の人々を相手に暴れだす冒頭の場面の脇役たちの芝居がよい。そして、布施の舟の修理場の場面での船頭と舟大工のベテラン2人の芝居も味わい深かった。こういうあたりが前進座らしくて好きだ。
國太郎のお蔦、矢之輔の茂兵衛、芳三郎の根吉は一通りという感じだったが、この3人が揃うとファイナル公演の「三人吉三」を彷彿とした。再演を重ねるうちにもっと味わい深い舞台となっていくだろうことを確信している。(追記:お蔦が茂兵衛を思い出すのは演出によって違いがあるが、今回は大詰の立ち回りで相撲の低い構えをみせた時だった。)

Aさんはご自身も日本舞踊を習っていて「藤娘」を踊ったことがあり、おツレアイが普通の仕事と脇役俳優の二足のわらじを履いていらっしゃるのを応援してきたということもあって、主役脇役を問わず舞台俳優が頑張る姿への共感力が強い。前進座の舞台もそういった視点で楽しんでいただけたようで、お誘いした甲斐があったと思えて嬉しかった。
11月の「赤ひげ」東京公演も観るつもりだ。
劇団前進座の公式ブログも楽しい。


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2 コメント

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Unknown (Happydragon21)
2013-06-16 09:59:59
お誘いいただき感謝。歌舞伎よりも身近な感覚で楽しめました。(実際、席も舞台間近だったしw)役者さん一人一人が生き生きとして一生懸命なのが良かった。
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★Happydragon21様 (ぴかちゅう)
2013-06-17 01:33:35
楽しんでいただけたようでよかったです。国立劇場の1階の花道の外側席はけっこうよいでしょう?!
前進座は脇役さんも見せ場があるような演出が多いし、そこでの熱演がいいのです。前進座創立の時の思いが引き継がれていると思えます。
大歌舞伎とともにご一緒に観ていきましょう。それぞれの魅力がありますよ。
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