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昨年の1月、勘三郎主演の「野田版 鼠小僧」を第一弾として上映したシネマ歌舞伎の第三弾は坂東玉三郎の舞踊「鷺娘」。舞踊のみの映画だが「日高川入相花王」との2本で約1時間。歌舞伎座の舞台でそれぞれ一回ずつ観ているので初めての作品ではないという気安さがある。4/23にお茶屋娘さんと行くと決め、せっかく東劇で観るので勿体ないので歌舞伎座の夜の部も観ることにしたのだった。
シネマ歌舞伎第一弾「野田版鼠小僧」の感想はこちら
1)「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」
花道から登場した清姫(玉三郎)は恋しい安珍を追って日高川の渡し場までたどりついた。人形振りで演じるために出遣いの裃姿の人形遣い役(菊之助)がついている。渡し舟の船頭(薪車)に向こう岸に渡してくれるように頼むが夜明けまで待てという。なおも急いで渡してくれと頼むと船頭は先に渡した山伏から「自分を追ってくる娘がいたら決して渡してくれるな」と金まで渡されて頼まれたその娘であることを確信し、その話をして拒む。
そこまでして自分を拒む安珍にしばらく泣き崩れていた清姫だが、そこで泣き寝入りしないのが清姫なのである。「この恨み、はらさでおらりょうか」「とり殺してくれよう」と思いつめて振袖から上半分赤い襦袢になり髪をさばくと顔の下半分が般若に変わっている(般若面の下半分)。船頭はそれを見て震え上がって逃げていく。
泳ぎ渡ろうと川にざんぶと飛び込み、浪幕?の上を見えつ隠れつしてもがき進む。ぶっかえって上半身は銀の鱗模様になり、下半身の蛇の胴が水面にうねっている。
半鐘のような音も加わって激しい流れを蛇体となって泳ぎ渡る姿がドラマチックに表現される。ついにはるかに道成寺の伽藍が見えている岸にたどりつき、柳の下で立って見得を切って幕となる。
玉三郎の人形振りを舞台で初めて見て、スゴイなあと感心しつつ、無理な身体の動かし方で負担が大きいので頻繁にはできないとご本人が言っていたと何かで読んだことに本当にそうだなあと納得していた。
人形遣い役の他に2人くらい黒衣がついているので、菊之助はほとんど邪魔にならないように付いているだけという感じだが、それでも大先輩の身体にずっと触れているわけだから相当な緊張を強いられるだろう。そしてこんなにぴったりと付かせてもらっているわけだからしっかりと継承する決意も持っていなければならないのだろうなと思ってしまった。
また、このところ共演に抜擢が続いている薪車。そういえば「籠釣瓶」冒頭の花魁道中で八ツ橋が肩に手を置いている若衆役だった。この船頭役でも抜擢に応え、台詞も堂々としていたし人形振りもなかなかだった。
舞台の感想は書かずにきたが、やはり三階席で双眼鏡をのぞきながら観るのとは違うのでシネマ歌舞伎さまさまである。特に船頭は本人の足を黒衣のような衣装で見えにくくなるようにして立ち、人形の足をつけて本物の黒衣が操作しているのだとよくわかった。
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2)「鷺娘(さぎむすめ)」
昨年の「鷺娘」の感想はこちら(記事の後半です)
雪の降る水辺。奈落から舞台中央に蛇の目傘をさし綿帽子を被った白い花嫁衣裳の娘がセリ上がってきて柳の木の傍らにたたずむ。白鷺の精である。
引き抜きで町娘の姿に変わり、様々な恋心を踊り始める。恋に浮き立ちはずむ心、つれなくされて悲しい心、未練な心、成就しない恋の苦しさ...。早替わりや引抜を繰り返して踊り続ける。恋の妄執の迷いの中でぶっかえって鷺の羽根模様の姿になり、肩に仕込んだ血綿もむき出しにして手負いになった様子に。だんだん弱っていく鷺娘。最後は降りしきる雪の中で息絶えていく。
通常は翼を広げた見得で終わることが多い演出を玉三郎はバレエの「瀕死の白鳥」のような演出にしたのだと何かで読んだが、こういう独自な演出をして玉三郎の「鷺娘」を創造してしまうところが彼の素晴らしさだと思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hakushu.gif)
3)二本を通しての感想。
いずれも人間ではない存在。そういう者を演じさせたら現在並ぶものがいないであろう玉三郎が演じるのがふさわしい作品。二本を通しての記憶を反芻していたら流れが見えてきた。
まず黒い衣装で清姫が登場。恋の妄執のあげくに恨む相手をとり殺すべく蛇体に変身するまで思いつめ、その変身して得た力で激しい流れを泳ぎ渡り、柳の下で決意の見得をみせたところで幕。道成寺の鐘に隠れた安珍を鐘もろとも自分と一緒に燃え上がらせて焼き殺すのだ。観るものはそこまで想像することができる。雰囲気は盛り上がっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/up.gif)
次に同じ柳の木の下に白い衣装で登場する鷺娘。だらりと長い帯は真っ黒で清姫のイメージとつながるものがある。しかしながら鷺娘は恋の妄執から恋の相手を恨んで焼き殺すのではなく、その恨みの思いにさいなまれて自らが地獄の業火に焼き尽くされて死んでいくのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/down.gif)
連続性もありながら、恋の妄執について対極的な女の姿を描き分けてまとめ上げている。これはただ舞台を撮影したものを2本併映しただけの映画ではなく、流れをつくってひとつの作品にきちんと仕上げられたものだなとその価値についての確信がだんだんとはっきりともてるようになってきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ee_2.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ee_2.gif)
実は2人で観る予定にわが娘も同行。時間が長いと飽きるだろうけれど1時間なので審美眼を養うためにはいいだろう。NHK「生活ほっとモーニング」に玉三郎が出演した時のビデオを見せて予習。結局は歌舞伎の舞踊には慣れていないためにかなり睡魔の虜になったようだ(実は私も少しは記憶が飛び飛びになってます(^^ゞ)が、美しさは絶賛していた。いいのよ、それで。1000円だし惜しくない。
こんなふうに気軽にお子さん連れで多くの方に歌舞伎の一端にふれていただく機会になるといいなと思ったシネマ歌舞伎の第二弾だった。
第四弾は何がくるかな?コクーン歌舞伎のいずれかを映画にしてもらうのを希望しま~す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_please.gif)
写真は今回の・坂東玉三郎「鷺娘」のチラシ画像。
追記
当初シネマ歌舞伎第二弾と書いていたが、第二弾は勘三郎襲名披露公演の「野田版 研辰の討たれ」だった。自分が舞台で観たからいいやとシネマ歌舞伎版を観なかっただけで忘れていた。ここにお詫びし訂正するm(_ _)m
シネマ歌舞伎第一弾「野田版鼠小僧」の感想はこちら
1)「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」
花道から登場した清姫(玉三郎)は恋しい安珍を追って日高川の渡し場までたどりついた。人形振りで演じるために出遣いの裃姿の人形遣い役(菊之助)がついている。渡し舟の船頭(薪車)に向こう岸に渡してくれるように頼むが夜明けまで待てという。なおも急いで渡してくれと頼むと船頭は先に渡した山伏から「自分を追ってくる娘がいたら決して渡してくれるな」と金まで渡されて頼まれたその娘であることを確信し、その話をして拒む。
そこまでして自分を拒む安珍にしばらく泣き崩れていた清姫だが、そこで泣き寝入りしないのが清姫なのである。「この恨み、はらさでおらりょうか」「とり殺してくれよう」と思いつめて振袖から上半分赤い襦袢になり髪をさばくと顔の下半分が般若に変わっている(般若面の下半分)。船頭はそれを見て震え上がって逃げていく。
泳ぎ渡ろうと川にざんぶと飛び込み、浪幕?の上を見えつ隠れつしてもがき進む。ぶっかえって上半身は銀の鱗模様になり、下半身の蛇の胴が水面にうねっている。
半鐘のような音も加わって激しい流れを蛇体となって泳ぎ渡る姿がドラマチックに表現される。ついにはるかに道成寺の伽藍が見えている岸にたどりつき、柳の下で立って見得を切って幕となる。
玉三郎の人形振りを舞台で初めて見て、スゴイなあと感心しつつ、無理な身体の動かし方で負担が大きいので頻繁にはできないとご本人が言っていたと何かで読んだことに本当にそうだなあと納得していた。
人形遣い役の他に2人くらい黒衣がついているので、菊之助はほとんど邪魔にならないように付いているだけという感じだが、それでも大先輩の身体にずっと触れているわけだから相当な緊張を強いられるだろう。そしてこんなにぴったりと付かせてもらっているわけだからしっかりと継承する決意も持っていなければならないのだろうなと思ってしまった。
また、このところ共演に抜擢が続いている薪車。そういえば「籠釣瓶」冒頭の花魁道中で八ツ橋が肩に手を置いている若衆役だった。この船頭役でも抜擢に応え、台詞も堂々としていたし人形振りもなかなかだった。
舞台の感想は書かずにきたが、やはり三階席で双眼鏡をのぞきながら観るのとは違うのでシネマ歌舞伎さまさまである。特に船頭は本人の足を黒衣のような衣装で見えにくくなるようにして立ち、人形の足をつけて本物の黒衣が操作しているのだとよくわかった。
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2)「鷺娘(さぎむすめ)」
昨年の「鷺娘」の感想はこちら(記事の後半です)
雪の降る水辺。奈落から舞台中央に蛇の目傘をさし綿帽子を被った白い花嫁衣裳の娘がセリ上がってきて柳の木の傍らにたたずむ。白鷺の精である。
引き抜きで町娘の姿に変わり、様々な恋心を踊り始める。恋に浮き立ちはずむ心、つれなくされて悲しい心、未練な心、成就しない恋の苦しさ...。早替わりや引抜を繰り返して踊り続ける。恋の妄執の迷いの中でぶっかえって鷺の羽根模様の姿になり、肩に仕込んだ血綿もむき出しにして手負いになった様子に。だんだん弱っていく鷺娘。最後は降りしきる雪の中で息絶えていく。
通常は翼を広げた見得で終わることが多い演出を玉三郎はバレエの「瀕死の白鳥」のような演出にしたのだと何かで読んだが、こういう独自な演出をして玉三郎の「鷺娘」を創造してしまうところが彼の素晴らしさだと思う。
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3)二本を通しての感想。
いずれも人間ではない存在。そういう者を演じさせたら現在並ぶものがいないであろう玉三郎が演じるのがふさわしい作品。二本を通しての記憶を反芻していたら流れが見えてきた。
まず黒い衣装で清姫が登場。恋の妄執のあげくに恨む相手をとり殺すべく蛇体に変身するまで思いつめ、その変身して得た力で激しい流れを泳ぎ渡り、柳の下で決意の見得をみせたところで幕。道成寺の鐘に隠れた安珍を鐘もろとも自分と一緒に燃え上がらせて焼き殺すのだ。観るものはそこまで想像することができる。雰囲気は盛り上がっている。
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次に同じ柳の木の下に白い衣装で登場する鷺娘。だらりと長い帯は真っ黒で清姫のイメージとつながるものがある。しかしながら鷺娘は恋の妄執から恋の相手を恨んで焼き殺すのではなく、その恨みの思いにさいなまれて自らが地獄の業火に焼き尽くされて死んでいくのである。
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連続性もありながら、恋の妄執について対極的な女の姿を描き分けてまとめ上げている。これはただ舞台を撮影したものを2本併映しただけの映画ではなく、流れをつくってひとつの作品にきちんと仕上げられたものだなとその価値についての確信がだんだんとはっきりともてるようになってきた。
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実は2人で観る予定にわが娘も同行。時間が長いと飽きるだろうけれど1時間なので審美眼を養うためにはいいだろう。NHK「生活ほっとモーニング」に玉三郎が出演した時のビデオを見せて予習。結局は歌舞伎の舞踊には慣れていないためにかなり睡魔の虜になったようだ(実は私も少しは記憶が飛び飛びになってます(^^ゞ)が、美しさは絶賛していた。いいのよ、それで。1000円だし惜しくない。
こんなふうに気軽にお子さん連れで多くの方に歌舞伎の一端にふれていただく機会になるといいなと思ったシネマ歌舞伎の第二弾だった。
第四弾は何がくるかな?コクーン歌舞伎のいずれかを映画にしてもらうのを希望しま~す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_please.gif)
写真は今回の・坂東玉三郎「鷺娘」のチラシ画像。
追記
当初シネマ歌舞伎第二弾と書いていたが、第二弾は勘三郎襲名披露公演の「野田版 研辰の討たれ」だった。自分が舞台で観たからいいやとシネマ歌舞伎版を観なかっただけで忘れていた。ここにお詫びし訂正するm(_ _)m
多分、7月のどれかの演目がシネマ歌舞伎になるだろう、と予想しております。「天守」は、玉様監督で撮ってるから「海神別荘」のほうかな。
三越も2回見ようか、と思いましたが、7月のために1回にしました。
これまでは相手役を鍛えてきた玉さん、今度は女方を鍛えるのが大きな目的になりましたね。
これから年に1度くらいは、松竹も玉様監修企画をやってくれるでしょうか。玉様は、最終的に演出をやりたい方だからね。
鷺娘、踊りの発表会で拝見したことあるのですけどね。ま、ふつうのひとがやると、退屈な舞踊なんですわ。玉様レベルで、ようやく寝ないで見れるか、という感じ(笑)。
あと、菊之助の裃後見姿が眼福でした。
京都南座で上村吉弥丈の鷺娘を拝見しました。
シネマならではの楽しみ方があると聞いています。日高川も楽しみです。
TBスミマセンでした。
どうも、私の使っておりますブログはTBが入りにくいようで あらかじめリンクがないとあTBを受け付けないみたいなのです。
で、一様こちらからTBさせていただきましたので たぶん、これで逆にTBしていただいて大丈夫かと思うのですけれど・・・もし、また上手くいかなかったらごめんなさい。m(__)m
シネマ歌舞伎は時間も演目も‘ちょうどよい‘感じであったと思います。
スクリーンですから見た目に大きいのはもちろん竹本がとてもよく聞き取れるので すごく観やすかったと思います。
また、パンフレットが普段の歌舞伎とは少し違った感じで 今まであまり説明のないような でも、知りたい事が書いてあって やはり良かったと思いました。
本日は(4日)團菊祭に行ってまいりました。
昼の部は朝一番でチケット完売、幕見にたくさん並んでいました。
5月と6月はこのほか世田谷に行く予定です。
7月は「小学生のための歌舞伎体験教室」を申し込んだので こちらの抽選によっては、私の観劇がつらくなります。(笑)
TB入りました、ありがとうございます。
これからもよろしくお願い致します。m(__)m
私のブログ記事の中の画像の工夫に座布団三枚!・・・なんて、とても嬉しいです。
ぴかちゅう様のブログ、いつも楽しく拝見しております。今回の「シネマ歌舞伎」(日高川・鷺娘)も良かったので、次回は・・・私もコクーン歌舞伎のいずれかを映画にしてもらうか、7月の泉鏡花あたりから作ってもらうと嬉しいなぁ~なんて思っています。
★お茶屋娘さま
ご一緒できまして楽しかったです。シネマ歌舞伎第三弾は何がくるかなの予想も楽しいですね。確かにコクーン歌舞伎だけでなく、7月歌舞伎座の泉鏡花の演目のどれかというのもいいでしょうね。海老・玉コンビの集客力はすごいでしょうし、完成度の面からいうと「四谷怪談」も北番はまだ無理でしょうしね。
玉三郎と春猿の富姫・亀姫はお顔が似ているおふたりだからさぞ美しいだろうなあと...。楽しみです。
★とみ様
大阪でしかやっていない「十六夜清心」もありではないかと今、思いつきました。これから後では仁左衛門さんがアップに耐えられなくなってしまいます~(T-T)
★「わたしのはなし」のしゅう様
今回のパンフレット、写真が綺麗ももちろんなのですが「鷺娘」の衣装説明があるのですね...私も衣装説明が嬉しかったです。柳模様の変化などには気づきもしなかったのでいろいろな面での工夫にまたまた感じ入りました。
また、「はてなブログ」はあらかじめ(受け入れてもいい相手のブログを)リンクしていないとTBができない...ということなのでしょうか。リンクとはご自分の方から一度TBしていただくということでもリンクができるのでしょうかね。他にも「はてなブログ」でTBがうまくいかない方がいるので同じようにお願いしてみました。情報ありがとうございましたm(_ _)m
★「夢日記」のdream様
画像のパンフレット部分をポイントすると裏表紙に変わるという工夫に感動しました。
私の感想は観たあと1週間以上経過しておりますので新鮮味はあまりないと思います。今回も反芻の結果、「日高川」→「鷺娘」までの連続でいろいろと考えてしまったこともツラツラと書いてしまっております(^^ゞ
7月の泉鏡花、こちらでも一票ですね!
シネマ歌舞伎は、まさに玉三郎ワールド全開の映像美で一杯で、時間さえあればもう一度観たいくらいでした。
お茶屋娘さまの仰る通り、次回は七月の鏡花月間から映像化して欲しいと切に思います。
第3弾、7月の泉鏡花からというお声が多いですね。私もコクーン歌舞伎からこちらに回ります(^^ゞ
でもこの鏡花作品の舞台、DVDで一挙発売にしたらということも考えついてしまいました。松竹さん、そこまではやらないかな。
★「風知草」のとみ様
TBありがとうございましたm(_ _)m東劇では「RENT」の予告編がつきました。しっかり5/1にやはり東劇で観た私(^^ゞ
「日高川入相花王」の人形振りは見事でしたね。お顔も文楽人形の頭を思わせる無表情と般若面の半分や全部をつけるという場面もあり、とにかく徹底的に顔の筋肉を動かさない!瞬きもされていないような感じでしたよね。でも、人形振りは上手な遣い手による動きではなくもう少し下手な遣い手による動きを真似した方が人形らしく見えるのだそうです。誇張表現ということでしょう。
清姫と鷺娘の恋の妄執の共通点と相違点を考えると面白かったです。
長唄がききとれるともっと面白くなるのだろうけれど、動きに集中するとまだまだ聞き取れず、結果睡魔に襲われることも度々になってしまうのでした(^^ゞ
菊之助丈の人形遣いは、激しい動きのところになると人形が暴走しちゃったようにちょっぴり感じましたが、上手く人形を動かしているように思いました。
こんどの天守物語と海神別荘はどちらも映像に残して欲しいなあと思います。