八木寿子 独占ロングインタビュー
Piano Music japan が世間に広く、その価値を知って頂いた演奏家は何人かいるが、(佐伯周子を除くと)読者の皆様に最も興味を持って頂いたのが、『八木寿子』である。「東京音楽コンクール優勝の栄冠」に輝いた瞬間、「関東人で最も頻度高く聴いていた = 私高本」だった様子。予告していた「インタビュー」を独占取材に成功した。読者の皆様に是非是非読んで頂きたい。
Q1 : 「東京音楽コンクール本選」に臨んだ時の心境をお聞かせ下さい。
八木寿子 : 本選に残ったのは、ソプラノ、メゾ、テノール、バリトンとみな声種がばらばらでした。これらの声種の中で、
やはりメゾはコンクールに向いているような曲が極端に少なく、派手さにも欠ける(と勝手に思い込んでいた)
ので、正直上位は全く期待していませんでした。そんな状況ですが、後悔はしないように自分のできる限りのことをしようと心がけ、本選に向けて準備をしていました。
Q2 : コンクール優勝した瞬間は、どのような心境だったのでしょうか?
八木寿子 : 本番の演奏は、自分のなかでは50点くらいでした。後悔しないような演奏がしたかったのに、思いどおりに演奏ができなかったのがもう悔しくて悔しくて…。地元の福岡から家族も来ていましたし、師匠の常森寿子先生も京都から応援にかけつけてくださっていたので、申し訳ない思いでいっぱいで楽屋で一人落ち込んでいました。ですので、一位で名前を呼ばれたときにはただただびっくりの一言です。しばらく実感がわかなかったのですが、当日の夜中からいろんな方からお祝いのお電話やメールをいただき、「あ、私は本当に一位をいただいたんだ」と実感しました。
Q3 : 2012.01.28第9回東京音楽コンクール優勝者コンサート の選曲は「本選」と異なっていましたが、どのような選択だったのでしょうか?
八木寿子 : 優勝者コンサートで新しく選んだ《皇帝ティートの慈悲》のアリアも学生の時から大好きな曲です。この曲は最後にアジリタがあり、ほかの二曲とはまた違う曲のキャラクターを出せたらと思い選曲しました。また、オーケストラとのリハーサルが前日しかなかったのも理由の一つです。本選の時は、前日のオケ合わせの数日前に指揮者の渡邊一正さん自らのピアノで指揮者合わせがありました。ティートのアリアは、以前に日演連推薦新人演奏会でオーケストラと歌ったことがあったので、短時間のリハーサルで自分が納得できる演奏になるものをと思い、この曲を選びました。
Q4 : 2012.04.19モーニングコンサートの「全曲目」を教えて下さい。
八木寿子 :
サン=サーンス : 歌劇《サムソンとデリラ》より「春はめざめて」「あなたの声に心は開く」(アリア2曲)
シューベルト : 「春の信仰」「ます」「音楽によせて」(3曲)
シューマン : リーダークライス 作品39 全曲
の予定です。
Q5 : モーニングコンサート伴奏ピアニストの「越知晴子さん」とはこれまでどのような共演を重ねていらっしゃったのでしょうか?
八木寿子 : 彼女とは京都市立芸術大学大学院時代の同級生です。学内試験から始まり、学生時代に出演したさまざまな演奏会で共演しました。私が岡原慎也先生と出会うきっかけを作ってくれたのも彼女です。大学院を修了して越知さんがドイツに留学している間は共演することができませんでしたが、帰国後はいろんなコンクールやオーディションを中心に共演しています。もちろん、
越知晴子さんに 東京音楽コンクールの第1次予選用CDの録音も第2次予選もお願いしました。
同級生ではありますが、合わせの時に彼女のくれるアドバイスはかなり的確で、心から信頼しています。でもいったん音楽を離れれば、一緒にしゃべっていると笑いがとまらない、そんな仲です(笑)。
Q6 : フンパーティング作曲オペラ「ヘンゼルとグレーテル」公演(2012.10.21 東京文化会館 小)に臨む意気込みがありましたら教えて下さい。
八木寿子 : ヘンゼルとグレーテルは、大学院時代に勉強したことがあります(この時はヘンゼル役でした)。とても思い出深い演目です。今回はゲルトルート役というまた違った新しい役と出会うことができ、私自身とても楽しみにしています。また、現在関西を中心に活動している私にとって、関東で活躍している歌手のみなさんとの新しい出会いもとっても楽しみです。コンクール入賞後、早速いろいろな演奏の機会を与えてくださる東京文化会館の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
Q7 : これまで「九州交響楽団と2年間に3回のソロ出演」などソリストとして確固たる地位を築きつつあります。これまでの「東京文化会館外」の活躍を教えて下さい。
八木寿子 :
先に書いた日演連推薦新人演奏会(Q3への回答欄参照)が九州交響楽団の皆様と出会うきっかけ
になりました。それ以降、第九や定期演奏会などで何度も共演させていただいています。とても嬉しいことです。
現在は関西で
神戸市混声合唱団に所属
し、神戸市を中心にコンサート、小中学校にて芸術鑑賞会や歌唱指導、病院での慰問公演などを行っています。また
神戸市混声合唱団の演奏会でも、姉妹団体である神戸市室内合奏団のオーケストラで、バッハ《マニフィカト》、ハイドン《ネルソン・ミサ》、モーツァルト《レクイエム》、デュリュフレ《レクイエム》などでソリストをさせていただきました。
レパートリーを増やす機会をいただき、とても感謝しています。
Q8 : これからの「東京文化会館外」の公演予定を教えて下さい。
大まかなものをあげますと以下の通りです。
5月27日(日)音楽の広場PAMコンサート(ウェルとばた中ホール)
音楽の広場PAMとは、私の地元である福岡の北九州で音楽を広めるために作られたボランティア団体だそうです。コンサートの第2部で、MCを交えながら歌曲やオペラアリアを45分ほど演奏する予定です。ピアノは越知晴子さんです。
9月22日(土)中部フィルハーモニー交響楽団 第5回犬山定期演奏会(犬山市民文化会館)
モーツァルト《レクイエム》のアルトソロです。
12月2日(日)堺フロイデ合唱団演奏会(栂文化会館)
モーツァルト《ミサ・ブレヴィス》KV220アルトソロなどを演奏予定です。
12月 関西、福岡にてベートーヴェン《第九》アルトソロで出演予定です。
2013年2月 北九州シティオペラ公演 ヴェルディ《アイーダ》(アルモニーサンク北九州ソレイユホール)
アムネリス役で出演予定です。
Q9 : Piano Music Japan 読者の皆様にメッセージがあればよろしくお願い致します。
八木寿子 : Piano Music Japan 読者の皆様、はじめまして!
まだまだ演奏家として駆け出しの私ですが、いろいろな方とのご縁を大切に演奏活動していきたいと思っております。これからもあたたかく厳しくお見守りいただければ幸いです。