Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

東京都交響楽団第82回作曲家の肖像「リムスキー=コルサコフ」批評(No.1846)

2011-04-30 22:40:07 | 批評
 都響の「作曲家の肖像」シリーズは興味深く、私高本が興味ある回は欠かさずに聴きに行くようにしている。「作曲家の肖像」シリーズは、超有名作曲家の超人気作品だけで構成されることの方が多いのだが、時たま「えっ!!!」と言うプログラミングがある。今回がまさにその回。「シェヘラザード無しの全リムスキー=コルサコフプログラム」は果たして聴き応えあるのだろうか? 無いのだろうか?(爆

 「オーケストレーションの魔術師」の栄誉を担うリムスキー=コルサコフであるが、私高本の「これまでの印象」は同じ名誉を担っているラヴェルに比べると、評価が低かった。 なぜなら、今日の演奏会を聴くまでは、「素材は、ロシアだったり、アラビアだったり、スペインだったりするが、曲の印象があまり変わらない上にコーダでオケが吼えるパターンばかり」だったからである。

下野竜也ほどの名手がなぜ「全リムスキー=コルサコフプログラム」を振るのか?


と思い、初台に向かった。


「リズミカルな名曲」を徹底した 下野竜也 + 都響 のリムスキー=コルサコフ名演


  まず結論を申し上げる。下野は「響き」を最重視する。どんな最強音の時でも「飽和させない響き」を絶対に守る。弦楽器だけでなく、金管楽器も打楽器も「美しい音」を越さない限度をわきまえた点で踏みとどまらせる。「リムスキー=コルサコフのコーダ」でどうしたのか? それは

リズムの刻みを徐々に「印象的になる」ように設計して実現させた!


のだ! 「コロンブスの卵」だった。 「リズムを印象深くさせれば、音量を上げなくても、上がったように聞こえる!」と言うのは、他の作曲家では時折感じたこともあるのだが、こと リムスキー=コルサコフ に関しては経験が無かった。「下野 + 都響」で聴くとまさに「オーケストレーションの魔術師」だった!

 プログラミングは一見ぶっきらぼうで、「作曲順」に並べているだけに見えたが、「楽器構成にブレが小さい」ことがはっきり「音」で確かめられた好プログラム。「物語」を色彩感で描いて行く天才の生涯を時代順に追えることが聴衆に伝えられた。全4曲(+アンコール1曲)の全てが『原色系の鮮やかなオーケストレーション』で描き尽くしてくれたが、

中でも映えたのが、ピアニスト=小川典子 を迎えての、ピアノ協奏曲嬰ハ短調 の名演!


「ダブルオクターブの連続」はショパン練習曲作品25/10 を5倍に引き延ばしたか! と思えるほどの超絶技巧の曲であったが、小川のパワーは全開で、下野 + 都響 のバックと会話しながらも超絶技巧の冴えをたっぷり味わわせてくれた。
 協奏曲もアンコールも含め、都響は1瞬も「吼える」ことが無かった。「響かせる」が リムスキー=コルサコフ の本領だったのだ。都響のアンサンブルの良さも特筆モノ。こんなにうまいオケだったろうか?! と思わせるほど息のあった名演だった。

 下野 + 都響 のリムスキー=コルサコフは最高! 「シェヘラザード」も是非是非近い内に聴いて見たいものである。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« グルダは真実のみを語るのか... | トップ | グルダは真実のみを語るのか... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

批評」カテゴリの最新記事