ヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」ではない。ローラン・プティの「こうもり」だけがそこにある!
ヨハン・シュトラウス2世オペレッタ「こうもり」の音楽を編曲したモノを中心に、適当に他の素材も混ぜ合わせて「ポプリ(接続曲)」にした作品が、ローラン・プティ振付のバレエ「こうもり」である。リスト、タールベルク、ゴドフスキー、ヴィエニアフスキー、ワックスマン、などなどが19世紀にさんざん行なって来た手法であり、出来には大きなムラがある。
ローラン・プティ振付バレエ「こうもり」は、リストには遥か及ばないが、ゴドフスキーやヴィエニアフスキーやワックスマンよりは良質
に感じる。「原曲を損なう割合が低い」ことが原因。もう1つは
「ストーリーをローラン・プティ好み」に全く差し替えたこと!
だと感じる。ロザリンデもアイゼンシュタインも一切出てこないぞ(爆
リスト「グノーのファウストのワルツ」による幻想曲を聴く感じで、舞台を鑑賞できる人しか耐えられない演目であることを初めにお伝えしておく。ちなみに私高本はリスト「グノーのファウストのワルツ」による幻想曲は好きで焼酎呑みながら聴く頻度が高い(藁
序曲が最初に来る(しかも途中で打ち切られる)こと以外は全て「ローラン・プティの思いのまま」に展開するバレエ「こうもり」。主役は
主役女性ダンサー = ベラ → この日はAキャストの ベゴーニャ・カオ
主役男性ダンサー = ヨハン → この日はAキャストの ロバート・テューズリー
高さの感じられる振付が(おそらく)高い完成度で演じられたと感じる。脇役陣も「役を十全に踊った」感あり。
・・・で、
パッとしなかったのが、指揮者 = デヴィッド・ガルフォース。「J.シュトラウスの軽やかさ」が全く表現できずに終始した
である。ロシアのチャイコフスキーを振った時は、良かったので唖然。
ガルフォースの「リズム処理」の特徴
ワルツでは、2拍目と3拍目が強過ぎる上、テヌート気味
ポルカでは、2拍目が1拍目と変わらず「行進曲」風になる
リズムはテンポには左右されないから、これはガルフォースの責任重大である。
明日と明後日にCキャストとDキャスト公演があるので、興味を持った方がいたら、¥3150にD席でお試しに聴いて見ることをお薦めする。いきなりS券はギャンブルに近い。D券は7日公演開始前の掲示板表示では「○」だったので、ほぼ大丈夫だろう。バレエはオペラと違い「高い席から売れていく」ので、オペラファンはご安心を(爆
前日、お隣の「東京オペラシティコンサートホール」で「沼尻竜典 + 読響:ストラヴィンスキー3大バレエの名演!」を聴いてハイになって聴きに行ったバレエだったが、正直「沼尻竜典指揮で ストラヴィンスキー3大バレエ」を新国立劇場に上演してほしくなった次第である。振付の選択については、芸術監督 = ビントレー を信じるぞ!