Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

NHK交響楽団第2016回定期公演2024.09.14ルイージ指揮ブルックナー交響曲第8番批評(No.2945)

2024-09-14 23:30:06 | 批評

ブルックナー交響曲を知り尽くしたN響首席指揮者=ルイージ


  ブルックナー交響曲第8番は「完成した最後の交響曲」であり、最長時間&最大楽器編成の曲であるが、実は(稿や版に拘わらず)名演が出難い曲である。第4番・第5番・第7番に比べて、名演頻度が低い。何故か?

テナーチューバ&バスチューバとホルンの持ち替えが指示されており、テナーチューバ&バスチューバ&コントラバスチューバと5本で合わせるフレーズがスムースに聴こえないから


である。別の視点で見ると

コントラバスチューバは「3本のトロンボーンと4重奏」フレーズと「4本のワーグナーチューバ(テナーチューバ&バスチューバの総称)と5重奏」フレーズがあるが、通常配置だと「5重奏がまとまって聴こえて来ない」


からである。

ベートーヴェンからトロンボーン3本が交響曲に加わった。(ハイドン&モーツァルトは使用しなかった。宗教曲のみに使用)トランペットの右に配置するのが普通。ホルンはトランペットの左である。

ブラームスが交響曲第2番でコントラバスチューバを使用した。通常配置は3番トロンボーン(=バストロンボーン)の右。

ブルックナー交響曲第7番で第2楽章&第4楽章にワーグナーチューバ4本使用。コントラバスチューバの傍に配置が通常。前でも右でも大差無し。

・・・で、ブルックナー交響曲第8番である。第7番と異なる点は「ホルン5~8番奏者がワーグナーチューバ持ち替え」である。第7番は持ち替えは無い。

「奏者を移動させる」が一案だろうが、見たことは無い。打楽器奏者はしょっちゅう移動しているので、やってやれないことはないのだが。

ルイージ構想は左から4番→1番ホルン、後列に8番→5番ホルン(=ワーグナーチューバ)、その右にコントラバスチューバ、その右に3番→1番トロンボーン、その右に1番→3番トランペット


この配置は初めて見た。納得の配置である。「音のまとまり最高」である。

第4楽章第1主題で「いきなり木管楽器が3管編成に増強」は、「第1稿の魅力」だが、十全


  3番奏者に「1番奏者パートを重ねて吹かせる指揮者が圧倒的に多い」中、ルイージは増加させない。第2楽章で、5番→8番ホルン奏者に1番→4番ホルン奏者パートを移しただけだった。

ブルックナー交響曲を知り尽くした指揮者=ルイージ


である。

 テンポの緩急自由自在、ダイナミクスも自由自在。終演後の「ブラヴォーの嵐」は3階だけでなく、1~2階からも圧倒的。これほど素晴らしいブルックナー第8番が聴けるとは思ってもみなかった。明日も聴けるのが楽しみでならない。
「ルイージ指揮ブルックナー」は日本では初めて、と記憶している。マーラーやヴェルディだとNHKホールが2杯全席完売になるが、ブルックナーは初めてなので、結構空き席がある。E席でも充分響く。是非是非聴いて欲しい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする