Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

J.シュトラウス「こうもり」ピアノ編曲(No.1399)

2006-10-24 07:31:32 | ピアノ編曲
 昨日「高須博ピアノリサイタル」の演奏会紹介をしたら、高須得意の分野である「ピアノ編曲モノ」のCDを聴きたくなり、高須自身の演奏を含め、数枚立て続けに聴いてしまった。いいぞ!

 J.シュトラウス2世のオペレッタ「こうもり」は、ベートーヴェン「第9」と並ぶクラシック音楽の大傑作である。両曲ともに年末になると、演奏頻度が抜群に上がる! J.シュトラウス2世は、ピアノ曲を作曲しなかったので、純粋なピアノ曲としては、取り上げることが難しい?
 ・・・と思ったが、意外に多くのピアニストが録音しているモノだ。今日は、「こうもり」ピアノ編曲モノを紹介したい。

J.シュトラウス「こうもり」ピアノ編曲


 できる限り「違うタイプ」を紹介したい。大きく分けて

  1. ピアニスト自身が編曲&演奏を1人で行うピアニスト

  2. 他の作曲家が編曲した楽譜を弾くピアニスト


の別がある。これは非常に大きな差である。大作曲家で「編曲モノ」と言えば

  1. リスト

  2. ラフマニノフ


は異論ないことだろう。共通点は

ピアニストの腕が超絶技巧 + ロマンティズムの極地!


である。同時代の作曲家の シューマン(リストより1才上)やスクリャービン(ラフマニノフより1才上)などは、この手の音楽に不向き。まずは、自分の技巧をひけらかす『ショーマン・シップ』が必要なのである。

第1位 シフラ (HUNGAROTON HCD31569)





1,786円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆


1955年録音。
 昨日が50周年記念日だった「ハンガリー動乱」。その影響で ハンガリー → フランス に亡命したのが、シフラ。亡命前から「大ピアニスト」であり、ハンガリーの国営レーベル = フンガロトン に多量の録音を残している。その1枚。
  • リスト 超絶技巧練習曲(1851年版)抜粋 4曲
  • シフラ自身の編曲に拠る「編曲モノ = パラフレーズ」集 4曲
  • ガーシュイン「ラプソディインブルー」(通常程度のカットあり)

と言う構成。編曲自体も「手に入ったロマンティズム」である。

リスト → ラフマニノフ → シフラ


と言う「編曲モノ王道路線」だと私高本は感じる。「ケレン味あふれる」感触。極めて「ロマンティック」なのだ。(高須博 もこの路線である。)1枚だけ聴くのであれば、迷わずこのシフラ盤をお薦めする。
 音質もモノラルだが、とても良い!

第2位 グルダ (ソニー・クラシカル SICC-335)





1,680円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆(← J.シュトラウス「こうもり」編曲モノとして)
  • 音質   :☆☆


1990年録音。
 グルダ自身の編曲&演奏。原曲の和声などは基本的にいじらずに編曲して「正統な編曲」を目指している。
 グルダ自作自演が最も聴きごたえがあり

やはり 作曲家本人の演奏は説得力ある!


ことをつくづく感じる1枚。グルダ作曲「メヌエット」が最高の聴きモノの1枚。

ウィーン生まれ & ウィーン育ち のグルダ


らしいと言える。「原曲に忠実なピアノ編曲」を好む人にはコチラがお薦め。録音は相当音をいじっているので、新しい録音の割には映えない。

第3位 田村響 (ACCUSTIKA/芸術教育企画 PPCA-602)





2,800円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆(← J.シュトラウス「こうもり」編曲モノとして)
  • 音質   :☆☆☆☆


2003年録音。

ゴドフスキー編曲版 J.シュトラウス「こうもり」の代表盤


である。ゴドフスキーは作曲家として、また編曲家として有名だが、私高本の聴いた限りでは、リスト や ラフマニノフ に比べるには相当無理がある水準。また、「編曲家」としてだけ見た時も、シフラ や グルダ に比べても優れているとは言い難い。(← 明言してしまえば、シフラやグルダよりも「下」である。ハイ!)
  • 作曲技法的には「2ヶ所の場面を同時に鳴らす」などの工夫は、シフラやグルダよりあるのだが
  • 「聴衆を楽しませる」視点からは、「音の詰め込み過ぎ」に感じるので
  • 「たっぷりと、ゆったりと楽しむ」瞬間がほとんど感じられない、に起因する

 これは、「こうもり」に限らず、ゴドフスキーの作曲&編曲全てに関して感じる点である。
 田村響の演奏は素晴らしい。いくら演奏が良くても、曲が今1つモノ足りないと、なかなか映えないモノである。
 現在20才。録音当時は17才のハズである。上記、シフラもグルダも10台から才能を高く評価されていたピアニスト。田村も同等以上になってほしいと大いに期待している。

 ・・・で、編曲モノを聴いて「原曲が聴きたい!」と思った方向けには、オペラなのでDVDが良いだろう。

原曲 J.シュトラウス:喜歌劇《こうもり》/グシュルバウアー、ウィーン国立歌劇場 (TDK Collection TDBA-0089)





4,032円(税込)



1980年12月31日 ウィーン国立歌劇場(ライヴ)録音

 おそらく「史上最高の顔合わせ」と思う人が最も多いだろう1枚。豪華キャストについては、リンク先で確認して下さい。

ウィーン国立歌劇場が総力を挙げて「大晦日」を楽しませてくれた!


と言って良い。
コメント
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