パンダ イン・マイ・ライフ

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深海の使者 吉村 昭 58

2019-09-01 | 吉村 昭
「深海の使者」は吉村昭が昭和48年(1973)に発刊したいわゆる戦争文学の一つ。

題名からわかるように太平洋戦争に突入した昭和17年、日独両国の関係強化のためその行き来の手段とし採用された潜水艦の物語。

陸地はもちろん、制空権も限られた中、日本とドイツの道は海の下しか無かった。

太平洋からインド洋、そしてアフリカの南を通り、大西洋へ。敵の襲来と海流の恐怖。病気や深海での厳しい生活の様子も。
往復に4ヶ月の行程、滞在時間も換算すると204日もかかった。ましてや国際的にも戦局は悪化の一途をたどる中の出来事である。
19年には英米軍のフランスノルマンディー上陸、米軍のサイパン上陸と日独を取り巻く状況はますます悪化してくる。

ドイツに向かった5つの潜水艦のうち、1隻が往復。ドイツからの潜水艦も2隻の内1隻が到達できた。

吉村の綿密な資料分析がそこに生きる人々の生き様を映し出す。終戦時の欧州在住の日本人の動向、終戦後の潜水艦の末路がむなしさを誘う。

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