パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

下り坂をそろそろ下りる

2016-11-13 | book
平田オリザは1962年生まれの劇団主宰の劇作家、大学教授。その平田が演劇を通じて、地域づくり、ひとづくりを語る。それも題名からもわかるように日本の将来を見据えながら。「下り坂をそろそろと下りる」2016年4月発刊。

瀬戸内の小豆島高校、但馬の豊岡城崎国際センター、讃岐の善通寺市の四国学院大学での取り組みを紹介。人口減社会の中でも、地域が自立し、交流人口を増やし、地域がいきいきと輝いてく姿だ。

宮沢賢治の雨にも負けず、風にも負けずから、これからの日本社会は、下り坂を心を引き締めながら下りていかなければならない。そのときに必要なのは、グイグイと引っ張っていくリーダーシップだけではなく、オロオロと不安の時をともに過ごしていくれるリーダーシップが必要ではないか。

そして、今や日本は工業立国ではない、もはや日本は、成長社会ではない、もはや日本は、アジア唯一の先進国ではないとし、子育てがしやすい街とは、社会的弱者にやさしい街なのだと。競争と排除の論理から抜け出し、寛容と包摂の社会へ。これ以外に下り坂をゆっくりと下っていく方法はない。
司馬遼太郎の坂の上の雲を引用し、明治時代の日本とは違い、坂の上の白い雲にあこがれるのではなく、そろそろと下り坂から見る夕焼雲も味わいがあるという。夕焼の寂しさもいいのではないかと。大学というフィールドから文化論がこの下り坂に重要なのだと。
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