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パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

高浜虚子 俳句はかく解しかく味わう

2022-01-09 | book
俳句はかく解しかく味わう」は、俳人の高浜虚子が、100年も前、大正7年1918年4月に、虚子1874年〈明治7年〉 - 1959年〈昭和34年〉数え年45歳の時の作だ。
冒頭、虚子は、徳川初期から、明治、大正の今日に至るまで、多少の盛衰や変化はあっても俳句は要するに芭蕉の文学だと言い切る。そして、時代の頓着なしに数十句の解釈を試みて、俳句の解釈力を養うという事にしようと思うと述べる。登場するのは46人、194句だ。
紹介の句が多いのは、上位から、芭蕉が30、蕪村と子規が26、一茶が20、蕪村の時代の天明の太祇が14、芭蕉の時代の元禄の凡兆が11である。1句のみの紹介が30人いる。

春の水、夏野、五月雨、秋風、冬木立などの季語ごとの比較、最後に蕪村の天明時代の招波、太祇、几薫の句の解説を行う。

巻末の解説は大岡信だ。大岡はこの本が出版された大正7年1918に注目する。虚子は明治大正昭和と徘界の中心にいた。明治35年1902年は虚子の先輩、正岡子規が35歳で亡くなる年。翌年、子規と虚子と同郷の俳人、河東碧梧桐は、子規の芭蕉軽視の考えを俳句形式の破壊まで進めた「新傾向俳句」を打ち出す。当時、俳句より小説に勢力を傾けていた虚子は、碧梧桐の動きに危機感を感じ、大正2年1913、俳壇に復帰する。主宰の「ホトトギス」の「雑詠」欄を武器に「ホトトギス」の黄金期を築くことになる。この「雑詠」欄の選句をもとに、個々の俳人の作家論を、虚子は大正4年から6年まで「ホトトギス」に「進むべき俳句の道」を掲載し、単行本として大正7年7月に世に送る。同年4月に古典俳句の鑑賞と啓もう書ともいうべき本書「俳句はかく解しかく味わう」を出すのだ。
大岡は、その後、昭和10年頃に起こる、虚子の唱導した「花鳥諷詠」を否定する、生活主義ともいえるの「新興俳句運動」や、戦後の「前衛俳句運動」にも言及する。これら俳句革新運動には、いずれも虚子が立ち、虚子の方向性で収れんされていくのだと。

生誕100年 長谷川町子

2022-01-02 | book
1920年大正9年1月生まれ。生誕100年となる長谷川町子。この一生を追う企画が、別冊太陽の日本の心289が「昭和を描いた国民的漫画家 長谷川町子」だ。長谷川町子美術館記念館の公式ブックとある。2021年6月初版第1刷。

15歳1935年昭和10年に天才少女漫画家と紹介され、1992年平成4年亡くなるまでの作品群からそのマンガへの情熱をたどる。3姉妹からの命名の姉妹社、昭和49年1974年2月を最後に、28年続いた日刊新聞の「サザエさん」、週刊誌掲載の「エプロンおばさん」と「いじわるばあさん」などの名作を始め、その仕事を紹介する。

鉄道員

2021-12-26 | book
1951年(昭和26年)生まれの作家、浅田次郎は、「鉄道員(ぽっぽや)」で1997年平成9年第117回直木賞を受賞した。

1995年平成7年発表の表題の「鉄道員」はじめ、1995年から1997年までに発表された8つの短編からなる1997年4月刊行の「鉄道員」。もう一度読みたくなる珠玉の短編集だ。

鉄道員(ぽっぽや)
正月明けの北海道の幌舞線。廃線が決まっている線の終着駅が幌舞だ。炭鉱町として栄えた町。閉山。駅長の乙松は、勤続45年。今年3月に定年を迎えようとしていた。零下20度の駅。二月目で亡くなった娘、そして妻も10年前に亡くなり、一人で駅に住んでいる。そんなある日、一人の女の子が駅で遊んでいた。

ラブ・レター
40近い吾郎は、便利屋として新宿歌舞伎町で暮らしている。吾郎がやくざに頼まれ戸籍を貸した、出稼ぎ中国人の妻、白欄が病気で亡くなったと刑事が言いに来る。顔も見たいことがない遺体を、千葉へ引き取りに行くようにというのだ。彼女は24、5歳だという

悪魔
山の手の高級住宅街に住んでいた僕のもとに、東大生の家庭教師、蔭山がやってくる。僕は彼を悪魔と呼んだ。小学5年生の思い出。一家の没落。

角筈にて
46歳の貫井は、本者営業部長だったが、プロジェクト失敗の責を負わされ、海外へ異動させられることになった。その送別会が終わり、一人帰る道すがら、貫井は40年前の夏に分かれた父親と遭遇する。貫井は叔父の家に預けられる。叔父の娘の久美子が妻となった。

伽羅
ファッションメーカーの営業部員だった小谷は、26歳。いい成績を上げていた。彼は、同業者からの紹介で、ブティックを紹介される。その店は、30半ばの女性店主だった。店の名は「伽羅」といった。20年前の日々を回想する。

うらぼんえ
ちえ子は両親がおらず、祖父母に育てられ、今は独りぼっちだ。外科医と結婚したが、子どもはいない。その夫が看護師と浮気し、子どもができた。夫の実家で法事が執り行われる。

ろくでなしのサンタ
柏木三太は、30歳。母親と二人暮らし。ポン引きで警察にお世話になり、クリスマスイブに釈放される。三太は、同じ雑居房にいた北川という人の好い窃盗犯が気にかかる。北川には、母と妻、小学生の娘が二人いた。

オリヲン座からの招待状
大企業に勤める41歳の佑次と35歳のその妻、良枝。高校生の子がいる2人は、京都の西陣で育った幼馴染だった。しかし、今は佑次の浮気と、それが原因の良枝の不倫で、別居中だった。そんな2人に、小さい頃通った映画館オリヲン座から閉館の知らせが舞い込む。

ひらめく 作れる、俳句ドリル

2021-12-19 | book
1957年生まれ、テレビで有名な夏井いつきさんと、夏井さんが博士と呼ぶ1961年生まれの岸本尚毅さんの共著「ひらめく 作れる、俳句ドリル」。俳句上達の練習帳だ。2021年令和3年6月刊行。2018年平成30年9月刊行の「「型」で学ぶはじめての俳句ドリル」に次ぐ2冊目。

「型」で攻めた1冊目に続いて、その中身、言葉の質と量で、夏井さんの言う俳句初心者の皆さん「チーム裾野」に、二人が助言する。

俳句は五・七・五という17の言葉のかたまり。岸本は、眼前の景色に触発されて浮かんできた言葉。その中から情景と自分の思いにぴったりくる言葉を拾い出し、17音にまとめるという思考のプロセスを、自分の頭の中に構築するのが、句づくりの面白さだという。
そこで今回は、一句の肝になるキーワードを見つけ、そこから連想を広げていく形で発想をふくらませるプロセスを重視する一方で、このキーワードを読みこみながら五七五の型を作っていくプロセスを練習していく。
その際、夏井さんは俳句2グラム説を唱える。
芭蕉さんの 古池や(1グラム)蛙飛こむ(0.5グラム)水のをと((0.5グラム)
虚子さんの 遠山(0.7グラム)に日の当たりたる(0.2グラム)枯野(1グラム)かな(0.1グラム)
季語や固有名詞は、それだけで1グラムになることもあるという。

「やってみよう」の30のドリルで、2人の課題に挑む。まず、季語と季語以外の2つのキーワードで一句。岸本博士の芭蕉と虚子の作句法5つのポイント。二つの5音と、7音で構成される俳句の措辞を考える。
また、虚子さんの推敲の経過を追い、キーワードの焦点を当てるための省略・グラムを減らす・シンプルにすることを学ぶ。自分の句を他人の句のように思いっきり突き放して読めと。
昭和9年の虚子門の吟行風景、さらに浅草の写真で一句。最後のお二人のお悩み相談が目からうろこです。

「型」で学ぶ 初めての俳句ドリル

2021-12-12 | book
1961年生まれの俳人、岸本尚毅と、少し姉さんの1957年生まれの夏井いつきの共著、「「型」で学ぶ 初めての俳句ドリル」を読んだ。2018年平成30年9月刊行。

その博学さから夏井さんが「博士」と呼ぶ岸本。夏井さんは、100年後も俳句が、気高い富士山であるためには、初心者の豊かで広い裾野の存在が欠かせないという。この本は、そのチーム裾野のための入門書だ。

まず、型から入る。そして、「題詠」の発想から中身を考える。そのための10のレッスンと30のドリルだ。

第1章 入門書の入門
 「一物仕立て」と「取り合わせ」。12音のつぶやきと5音で一句、4つのステップで俳句は作れる。

第2章 なぜ型は大切か
俳句の2つの行き方、俳句観。メッセージの塊のような俳句とただそれだけのことですよと割り切る俳句。
上五の「や」あり、「や」なし。下五から上五.上五から下五。
読後感を決定づける下五。下五の体言止め。下五の「かな」止め、三音の季語。動詞の選択、「けり」止め
中七の「や」。名詞と形容詞

第3章 中身を盛り込むための発想法
題詠。季語が頭の中にぐるぐるし始めて迷路へ入っていく。出された季語で一憂せず、もう一つ題を自分で出してみる。2点の間を埋めれば句が作りやすい。
2点を固定し、いきなり言葉に行かずに、映像化し、映像を写生する。
季語→モノ・人・自然→言葉→言葉→言葉・・・、季語とつかず離れずの2語を決める、型の出番。
「猫」「亡」の一字を使って句を作る。
クイズで取り合わせ 関係のない事柄と事柄が一句の中で出会うとそこに詩情が生まれる。どの季語がふさわしいかマッチングテスト。時候の季語は万能。てにをはの助詞の妙。
最後に岸本博士の3つの肝。多読多億と多作多捨。上手く作れなくても良いから、すぐれた読者になれ。低俗な言い回しに頼るな。

俳句の鳥・虫図鑑

2021-12-05 | book
虫と鳥は2009年平成21年4月刊行の「俳句の鳥・虫図鑑」だ。季語の虫と鳥を204種取り上げる。見出し季語、季節の区分関連の季語、大きさ、生息地・観察時期、特徴・生態、鳴き声、名前の由来・文化、例句、観察や作句の際の留意点なのどのポイントがカラー写真とともに掲載されている。大きさや種類別の分類、俳人、季語、和名別の索引もある。

花と緑の歳時記 3/3

2021-11-28 | book
「花と緑の歳時記 365日」は、令和3年2021年春号で休刊となった季刊の「俳句あるふぁ」に、2018年春号から2019年冬号まで掲載された同名をもとに作られた。2021年4月刊行だ。書名のとおり、一日一句、写真とともに句を楽しめる。それぞれ、日付、旧暦、二十四節気、月の満ち欠けを示す月齢、俳句、季語とその季節、作者名と解説がある。

俳句ブームと言いながら、平成4年1992年11月に創刊され、30年近く続いた俳誌が無くなる現実がある。淋しい限りだ。

高浜虚子 俳句の作りよう

2021-11-23 | book
虚子「俳句の作りよう」
明治、大正、昭和を生き、多くの俳人を育てたた俳人、高浜虚子が自らの俳誌「ホトトギス」に、1918年大正2年5月から「六か月間俳句講義」として連載した「俳句とはどんなものか」に続き、1918年大正2年11月から掲載され、大正3年11月に単行本化された「俳句の作りよう」を読んだ。大正3年に単行本化。1952年昭和27年に新装で刊行された。
角川文庫版2009年平成21年初版、令和2年2020年23版だ。100年以上の歴史の中で、残された虚子さんの俳句への思いがここにある。

冒頭に「近頃は平易に言って住むことを高遠目かしく説くことが流行である。わたしはそれに組しない。婦女老幼にもわかるようにと仏の大道を仮名交じりの俗談平和に説くのである」とある。
題名の通り、まず、「俳句を作ってみたいという考えがありながら、さてどういう風にして手を付け始めていいのかわからぬ人のために・・・」として始まるのが、一の「まず十七文字をならべること」だ。「なんでもいいから」「どうでもいいからとにかく」と。そして、「や」「かな」「けり」のうち一つを使い、例として挙げる25の季語を詠んでみなさいと、具体に句を挙げ、その解説をつけるところから始まる。虚子は「私は十七字、季題という拘束を喜んで俳句の天地におる」とし、「この拘束があればこそ、俳句の天地が存在する」と。「狭いはずの十七字の天地が案外狭くなくなる」としている。
そして、一歩進める方法として、「二」で「題を箱で伏せてその箱の上に上って天地乾坤を眺めまわすということ」とした。季題がある。それの過去の経験や出来事、感興を思い出しているうちに俳句ができる。そして、一度忘れて、いい配合物を求めるがいい。天地乾坤を眺めまわすのだと。二個のものを置いてその間に意味を見出す手法だ。次々と解説付きで句を紹介していく。この配合法は陳腐、平凡を避けやすいという得がある。しかし、その弊は、身に染み込むような趣の深い句はどうしてもできにくいという点だと。その代表として芭蕉の弟子の森川許六(きょりく)を挙げる。

次に「三」で「じっと眺め入ること」に進む。この代表例を芭蕉の弟子、向井去来とする。題に執着せず何でも配合物を見出してきて、それをその題にくっつける配合に重きを置かず、ある題の趣に深く深く考え入って、執着に執着を重ね、その題の意味の中核を捉えてこねばやまぬという句作法を取った。その句作法を「じっと眺め入ること」と「じっと案じいること」。つまり目で見る方と心で考える方の二つだと。「じっと眺め入ること」の例を自作で紹介する。

次の「四」は「じっと案じ入ること」だ。去来と虚子の句を紹介する。

そして、埋字という句作の応用法、研究法を提案する。「五 埋字(一)」「六 埋字(二)」。
これは子規のアイデアを踏襲したもので、上五と下五を聞いて、中七を考えたり、上十二字を聞いて下五を考えたりする方法である。これにより古句の意味、作句の苦心をさぐり、自分の句作に応用するというものだ。

最後の「七」は、「古い句を読むこと 新しい句を作ること」だ。これは古い句を読む方がよいか、作る方がよいかとの問いに答えるもので、新しいと申すことは古いことを十分に研究したうえで申すべきだ。新しい句を作ろうと思えば、古人の先輩の句を読まなければならないと。それは五七五調、「や」「かな」などの切字、季題はもとより、古人の句を習熟し、玩味する必要があると。

最後に大正3年に書いた「付録・俳諧談」を収録している。
俳句の条件を「17音字」と「季」であるとする。文字数が少ないがゆえに複雑なことは言えない。単純でなければならないが、できうるだけの多くの連想を人に与えなければならないために季があるという。また、字数が限られていることから「切字」があり、区切りをもたらす。
「天然趣味」「人生超越」を提案。「背景のある句」を必要とし、月並みの句との対比も行う。

季語の植物図鑑 2/3

2021-11-21 | book
手元にある4つの歳時記共通なのに、動物と植物がある。

俗に花鳥風月というが、特に花鳥がまったく弱いわたしは、この動物植物が味わえない。もちろん、日本で地域によりわからないものもあるだろう。それは仕方ないにしても何かないかなあと思っていたら図書館で、見つけた本がある。

2019年平成31年1月発刊の「俳句で使う季語の植物図鑑」(遠藤若狭男監修)と同じく山川出版社で、2019年令和元年12月に「俳句で使う季語の植物図鑑」の姉妹編として出されたのが「美しい「歳時記」の植物図鑑」(石田郷子監修)だ。同じ分類だ。

季語の植物図鑑 1/3

2021-11-14 | book
手元にある4つの歳時記共通なのに、動物と植物がある。

俗に花鳥風月というが、特に花鳥がまったく弱いわたしは、この動物植物が味わえない。もちろん、日本で地域によりわからないものもあるだろう。それは仕方ないにしても何かないかなあと思っていたら図書館で、見つけた本がある。

2019年平成31年1月発刊の「俳句で使う季語の植物図鑑」(遠藤若狭男監修)だ。教科書で有名な山川出版社だ。5つの季別に、見出し季語、関連季語(傍題)、花の咲く時期、解説と例句。それにカラー写真付きだ。