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この本を読むには、あまりに最良のタイミング(笑)
両チームとも、UEFA チャンピオンズリーグでドイツ勢に無惨にも敗れ去ったところだからだ!
時代が動きはじめている、という感覚が正しいのかもしれない。
作者は、バルセロナ出身のコンサルタントなので、データの出し方など抜かりない。
章のタイトルをみせるのが手っとり早そうなので、以下。
第1章 ヨーロッパサッカーの経済事情
第2章 サッカーというスポーツの市場規模
第3章 スペインのクラブに何が起こっているのか?
第4章 世界1位、2位を独占するレアルとバルサ
第5章 人件費問題とファイナンシャル・フェアプレー
第6章 レアルとバルサが貫く勝者の経営コンセプト
第7章 レアルとバルサの損益計算書とその操作術
第8章 レアルとバルサはいくらで買えるのか?
基本的な状況を説明している第1~2章は流すとして、3章からが本番。
まず3章で指摘されるのは、スペインの特殊事情。
この2クラブに対しての放送権の利益配分が突出していることを説明。
アメリカ的な経営からしても、イギリス、ドイツと比べても異常。
さらに現在形の話として、2014-2015からは、他国のように全チーム平等配分化の交渉中だという。
これはもめるのは必至。
一方で現在のこのいびつな構造が、スペイン勢が決勝に行けなかった理由という説もある。
他のリーグと違い、資金的に弱い他チームはビッグ2にかなうチームづくりができないため、リーグ全体が貧弱化、という理屈だ。
当ブログはその理屈にそのまんま乗るつもりはないが、一理はある。
ドイツの各チームの差が少ないこともあり、観客動員数が伸びていることなどからすると。
また5章で、これも現在形で経営に大きく影響を与える要因を説明している。
これは、ECA(European Clubs Association)がクラブの健全経営を迫っている FFP(Financial Fair Play:2018年期限)のこと。
著しくバランスシートが崩れているチームには、UEFA主催の試合に出場不可になってしまうのだ。
一番に興味を強く引いたのが次にの、作者が会計士であることで指摘できた、過去知らなかった実態が。
バルセロナのチームづくりが一貫しており、カンテラから輩出される生え抜きのメンバーたちが今の強さを支えている。
ところが、このカンテラ出身というシステムが、スペインの税法上ではバルサに不利に働いているというのだ!
スペイン非住者は、5年たつまでは税金が有利になっていることが原因。
このため、あれだけ豪華なレアルと比較してもバルサの人件費は高くなってしまうのだ。
こんなパラドックスがあるとは...
この後7章では、2001-2002と2011-2012の両チームの収支を比較し、その現状を掘り下げていく。
選手のトレードによる損害の考え方(面白い!)から、体制の変更によって意図的に?生ずる経理監査法の変更まで、興味が尽きない。
結論:どちらかのチームのファンだけでなくサッカーファンなら、読んで損のない1冊と言いきれるだろう!
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