ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

安部総理とオバマ大統領

2016-05-27 23:50:41 | 徒然の記

 オバマ大統領と安部総理の、広島における献花の様子をテレビで見た。

 お辞儀をしなかったけれど、大統領はじっと目を閉じ黙祷していた。総理は献花後に、深く頭を下げていた。いずれの指導者も、万感の思いで広島の犠牲者に向かって哀悼の意を表していた。

 国内での反対者だけでなく、中国や韓国が難癖をつけている中で、オバマ氏は広島へやって来た。口先だけの理想主義者と批判してきた自分を、反省した。退任数ヶ月前の大統領だとしても、広島でスピーチをする勇気のある姿に感銘を覚えた。

 安部総理についても、苦言は多々あるけれど、国の指導者として敬意を表した。決断したのはオバマ氏だが、広島訪問を働きかけたのは安部氏だ。歴史的な両国の歩み寄りの場になったと、喜びすら感じつつテレビの画面を眺めた。

 思いがけず感激させられたのは、迎えた被爆者の方たちの対応だった。「謝罪より何より、来てもらったということの意味が大きいのです。」「原爆ドームを見て、核廃絶を訴えて、被爆者とも言葉を交わされた。」「広島から、世界へ向かって、核廃絶を大統領が訴えて下さった。」

 謝罪しなければ来なくて良いという意見もあった。その気持ちも十分わかるが、それでも私は、オバマ氏に感謝する被爆者の言葉に胸が熱くなった。憎悪のぶつけ合いから、未来は開けない。この人たちは、やはり日本人だった。 

   敷島の やまとごころを 人問わば

     朝日に匂う やまさくら花

 私はこの歌を、今宵被爆者の方々へ捧げたい。ヤジを飛ばしたり、過激な横断幕を掲げたり、誰もそれをしなかった。警備の厳重さがあったとしても、跳ね返りの愚か者なら、広島以外の地でデモ行進をするだろうに、それさえなかった。冷静さと寛容の日本を、私は誇りに思った。

 「政治は最高の道徳である。」こうした歴史的な場面に直面すると、言葉の重みを知らされる。今日のテレビ報道で映し出された人々は、一人一人がその主役だった。いい一日だったと、久しぶりの満足感だ。

 しかし残念なことに、現在の日本で、違ったことを実行している人物が一人いる。都知事の舛添氏だ。

彼が国民の前で見せているのは、見苦しい舞台。「政治は最低の道徳である。」・・・・、こんな芝居は誰も見たくないのに、一人で頑張っている。独りよがりでも、ドン・キホーテには愛すべき人柄があるが、彼にはそれがカケラもない。


 一瞬だが、安部総理とオバマ大統領が、舛添劇場の下品さを忘れさせてくれた。今晩のところは、この言葉をかみしめつつ眠るとしよう。「政治は最高の道徳である。」と。

 

コメント (4)
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