2040年以降、ガソリン、ディーゼルなど化石燃料を使う車の販売を禁止する、という爆弾発表が各国からなされた、ということは内燃機関のたのしみにはリミットがつきました。
このタノシミもいつまでもやってられない、ということですが、そんななか空前のボクスターバーゲンが起きているのではないか、というお話
画像は懐しい第1世代。シリーズ名986。プロトタイプを穴のあくほど眺めた目には、発表当初こそ抑揚を欠いた平板なボディに映ってしまったものですが、現車を目にいたしますと、かなりな力作。
Model Yearごとになにがしかの改良が施されながら、成長を遂げたのもポルシェらしい。2004年の最終年式=完成型に向かって紆余曲折もありながら、本当によく育ったと思います。私は最初期型と最終に近いMY2003に乗りましたが、別物に思えるほどの路面のいなしの見事さに舌を巻いたキヲクがございます。
リリース当初は、上の画像のように996カブリオレとの酷似ぶりに996オーナーからのクレームが殺到(w。次のモデルイヤーで996のグリルは大幅に変更されたのですた(爆)。600万円以上にも及んだはずの価格差の説明ができにくいほど酷似した外観ですけれど、まあね、乗ればわかる、ってなもんです。
って、それでも似てるわな。オーナーの私にしてからが、911カブリオレとすれ違っても、ミラー越しにテールを見ないと判別不能、それくらい986、987時代は996、997カブに似通っておりました。
ちなみに、そもそもがオープンモデルとして設計されたボクスターのボディと、「屋根あとから切り飛ばし」モデルの911カブとでは、まったく比較にならないレベルのボディ剛性をボクスターは持っております。近年の911ではだいぶ剛性があがった、と言われておりますけれど、それでもそんなはずはない。
オープンモデルが欲しい場合には、ボクスターの存在がある限り、911カブというのは常に劣勢なのは否めないか。
初期の2.5リットルのエンジンは、さすがにトルクが不足気味で、急な登り坂の全開加速を行うようなシーンでのみ、でちょいと苦しいか、となったのですが、2000年に2.7エンジンに登りつめてからは、必要十分である、という評価になってそのまま。
パワーは上げながらも、似たようなトルクのまま981の最後まで2.7が入門編にして王道でございました。
987の後期型で一瞬2.9にかさ上げされて、ユーザー一同どよめいたものですが(爆)、すぐに2.7に戻されました。ある意味レアモデルか。
986は画像のようなアングルですと、どちらかといえば直線的なボディが強調される造形でそこがまた持ち味でしたけれど、987からはこれが
かなり丸みを帯びて見えるのが不思議なほど。基本造形は不変ながら、余計なラインを整理してジャーマン風に仕立て上げたディテーリングの妙でございます。ドア周りが数十ミリ凹まされた結果、コークボトルシェイプが強調されているあたりが、タマランチ会長(久々)。
個人的には、最も911コンプレックスが強いモデルで(つまり似ている)、今でも高速道路の追い越し車線などではフロントのみ見られて911ターボと勘違いされ、抜いた瞬間にボクスターだと知れて、追いかけられる(汗)というのが頻発いたします(爆)。
また、この987リリースと前後して、ポルシェの社長が身長187cmの大柄な人物となった関係で、大柄なオレが「快適に」乗れるようにせんかい、というトップダウンのもと、シートの取り付け位置が2cm下がった、というのは実に987では一番光った部分であると理解しております。
ひくけりゃ良い、というものでもないと思いますけれど、水平対向エンジンをはじめ、低重心をムネとするポルシェとしては重要ポイントといえるでしょう。
964以降の911では、カレラ4のリリースがあった関係でフロントへのドライブシャフトぶん、フロアの高さが上がってしまい、シートの取り付けにも当然影響が出て、着座位置が数cmほどは上がってしまったのは惜しいところなのですが、それとは反対に2cm下げた、というのはピュアな感じがして清々しいか。
かように、ポルシェのモデルイヤーごとの改良は地味ながら確実なもので、このように変遷を辿るのは楽しい作業でございます。
このあと2012年に987は981へとフルチェンジされてゆくのですが、そのあたりはまたオーナーとなった暁にリポートすることにいたしやしょう(爆)。