市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【報道】大同有毒スラグを斬る!…県廃棄物リサイクル課は、とにかく“何が何でも誤魔化し続ける”つもり?

2018-02-25 09:06:00 | スラグ不法投棄問題
■平成27年4月30日の提訴から既に2年10カ月が経過した大同有毒スラグの農道への不法投棄問題にかかる舗装工事費用の返還を責任者である吾妻農業事務所長(当時)に求めることを群馬県知事に義務付ける住民訴訟は、12月1日(金)に前橋地裁で開かれた第13回口頭弁論で結審し、明後日の2月23日(金)午後1時10分に前橋地裁21号法廷で判決が言い渡される予定でした。
 ところが、本件判決言渡期日が3週間遅れの3月16日(金)午後1時10分に変更されることになりました。判決目前のこの突然の期日変更の経緯や背景は不明ですが、住民の知らないところで、何らかの動きがあることは想像に難くありません。あわただしさを見せるスラグ事件ですが、スラグ報道がありましたのでご報告いたします。
**********平成30年2月23日朝日新聞 群馬版


有害鉄鋼スラグ「直ちに撤去を」 県に共産が申入書 /群馬県
 共産党県議団は22日、道路工事などで有害物質を含む鉄鋼スラグが使われ、撤去せずにアスファルトで被覆するのは違法だとして、適法な指導監督をするよう大沢正明知事宛てで申入書を提出した。
 党県議団によると、国や県、渋川市などの公共工事で、大同特殊鋼渋川工場から排出されたスラグが路盤材や敷砂利として使われ、それらの有害物質の濃度が環境基準を超えているのにもかかわらず、大半が放置されているという。
 3者は2015年の連絡会議でスラグの取り扱いについて、撤去のほかスラグを残してアスファルトなどで被覆する方針も示しているが、申入書では「廃棄物処理法などに違反している」として、ただちに指導監督して撤去、原状回復するよう求めている。
 県廃棄物・リサイクル課は「これまでも使用箇所は状況検査の上、判断して生活環境の保全に支障があれば撤去の措置命令をとるが、これまで支障がある場所は確認していないため、被覆は違法ではない」としている。
*********

■このニュースを読んで、県廃棄物・リサイクル課は、何かを誤魔化している!嘘をついているのではないか?場面場面で対応を変えるダブルスタンダードを実行しているのではないか?と思えてなりません。今回も報道のポイントを整理してみましょう。

 ちなみに、このニュースに登場する政党と当市民オンブズマン群馬とは何の関係もありません。

■まずこのニュースは、「共産党県議団は、適法な指導監督をするよう大沢正明知事宛てに申入書を提出したこと」についての報道です。

ポイント①
 申し入れの内容は、道路工事などで有害物質を含む鉄鋼スラグが使われ、撤去せずにアスファルトで被覆するのは「廃棄物処理法などに違反している。」として撤去、原状回復するよう求めている。

ポイント②
 この申し入れに対し、県廃棄物・リサイクル課は「生活環境の保全に支障があれば撤去の措置命令をとるが、これまで支障がある場所は確認していないため、被覆は違法ではない」としている。

■それでは、それぞれのポイントについて検証してみましょう。

ポイント①申し入れの内容は、道路工事などで有害物質を含む鉄鋼スラグが使われ、撤去せずにアスファルトで被覆するのは「廃棄物処理法などに違反している。」として撤去、原状回復するよう求めている・・・ことについて

 違反しているのは正しくは、有害物質を含む大同鉄鋼スラグは、産業廃棄物であるので撤去しないのは廃棄物処理法に違反すること、そしてスラグを撤去せずにアスファルトなどで被覆することは、スラグは撤去しなければならない物であるから、撤去する際にはアスファルト被覆を壊さなければならないので、無駄な支出であり地方自治法に違反する。という事を意味すると思われます。

ポイント②この申し入れに対し、県廃棄物・リサイクル課は「生活環境の保全に支障があれば撤去の措置命令をとるが、これまで支障がある場所は確認していないため、被覆は違法ではない」としている・・・ことについて

 有害物質を含む大同スラグを撤去せずに、アスファルト舗装で被覆することは違法ではない、とする県廃棄物・リサイクル課の見解が紹介されています。この短い報道の中に疑問点を二つもうすぐに発見することができます。

疑問①そもそも違法でないなら、被覆しなくても良いのではないか?

 県廃棄物・リサイクル課は“生活環境の保全に支障がある場所は確認されていないので、撤去の措置命令を発出する必要がなく、スラグを撤去せずに、アスファルト舗装で被覆することは違法ではない”とする旨であることが報道されています。

 生活環境の保全に支障が無いなら、
そもそも被覆する必要がどこにあるのでしょうか?

 生活環境の保全に支障がないなら、放っておけばいいではないか!何も大同特殊鋼様のお手を煩わす必要がないではないか!県廃棄物・リサイクル課様の説明は訳が変わりません、いろんな人に忖度するあまり訳が分からなくなり、発狂してしまったのでしょうか?

疑問②「生活環境の保全に支障」の生活環境とは何なのか?

 環境省の説明を見てみましょう。

「生活環境」の範囲についてwww.env.go.jp/info/iken/h150610a/a-5-13.pdf
**********
1 環境基本法における「生活環境」の範囲について

環境基本法第2条第3項においては、「公害」とは「環境の保全上の支障のうち、 事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚 濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及 びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずること」をいうものとされている。

環境基本法の解説によれば、「生活環境」という用語は、様々な法律において用いられているが、法律上の明確な定義が置かれている例はなく、常識的な意味で理解されるものを指すものであって、環境基本法では、そうした意味のほかに、さらに「人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境」をも含めた意味で「生活環境」という用語を用いることとしている、とされている。

**********

 「常識的な意味で理解されるものを指す」と解説されていますが、環境基本法の中で「公害」の説明に「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭」に触れているので、常識的に「水」「土」「音」「振動」「空気」が生活環境を構成することを指すと考えられるでしょう。

 有害物質を含む大同スラグは、あちこちで土壌を汚染しています。榛東村のソフトバンクソーラーや渋川市のスカイランドパーク、道路工事などで、大同スラグにより土壌が汚染されてることが報告されています、このことは「生活環境の保全に支障」はないのでしょうか?

疑問③県廃棄物リサイクル課は、大同スラグやスラグに汚染された土壌の撤去を指導しているではないか?

 次のニュースをご覧ください。↓↓
**********2017年8月3日朝日新聞群馬版
土壌からフッ素、基準の10倍検出 八ツ場ダム現場事務所跡 /群馬県
 国土交通省八ツ場ダム工事事務所は、ダムの移転代替地工事の時に建てられた現場事務所(長野原町川原湯)の跡地の土壌から、環境基準の約10倍のフッ素が見つかったと発表した。事務所を建てる際、大同特殊鋼渋川工場から出た有害物質を含む鉄鋼スラグ混合砕石が使われていたため、県が同社に土壌の分析をするよう指示していた。
 ダム工事事務所によると、現場事務所があったのは2011〜14年度で敷地面積は約1千平方メートル。事務所が建てられる際、土壌の上に安定用としてスラグが使われていた。移転工事が終了し、事務所解体に伴ってスラグも処分され、今年春に同社が分析した。
 その結果、7カ所のうち5カ所の表層で基準値を超えるフッ素が検出された。今後、表層などの土壌を撤去していくとしている。
 国交省は、代替地に移転した住民への生活用水への影響はないとしている

**********


八ッ場ダム工事関連で群馬県の指示により土壌分析調査を行い、汚染土壌を撤去することになった場所

 詳しくは以下のブログ記事をご覧ください↓↓
〇2017年8月6日:【報道】大同有毒スラグを斬る!…スラグが土壌汚染を誘発、他の場所はどうなる?
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2375.html#readmore
〇2017年9月24日:大同有毒スラグを斬る!…国交省がスラグ汚染土壌撤去を大同特殊鋼に要請!なんで大同任せなの?(その1・2)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2419.html#readmore
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2433.html

■県廃棄物リサイクル課は、有害物質を含む鉄鋼スラグを撤去する措置命令は発出していませんが、土壌の分析調査を指示し、汚染土壌を撤去させる指示を出しています。

 これは立派な行政処分に当たるのではないでしょうか?

 そしてさらに次の言葉を行政に投げかけたいと思います。

 「措置命令」という言葉をあえて使わないだけで、“汚染土壌を撤去”させているではないですか!!

 ダブルスタンダードで大同特殊鋼に忖度しながら、誤魔化し続けるつもりなのでしょうか?

 最終目標はやはり、20年の時効が訪れるのを“今や遅し”と待つことなのでしょうか??


【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】


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憲法ってなあに?

2018-02-24 23:49:00 | 国内外からのトピックス

■本日午後1時半から、9条を含む憲法改正を目論む動きに警鐘を鳴らす勉強会が安中公民館で開かれました。当会にも案内をいただいたので参加しました。主催者手作りの紙芝居による憲法の意義についての説明の後、「憲法ってなぁに?」と題するビデオの放映がありました。50分余りのビデオを視聴したあと、参加者約20名で憲法談義が行われました。当会は午後3時から別の予定があったため、中座させていただきましたが、主催者から挨拶を依頼されたので、アフリカのジブチ取材の際に、現地の政府関係者らから言われたエピソードなどを交えて、憲法改正により自衛隊を国防軍という名の正規軍に変質させた場合、平和を標榜してきた我が国の特質が、かつて植民地の支配者として君臨し、今もジブチをはじめ世界に展開している欧米の軍隊との違いが消滅することで失われてしまい、アフリカなど途上国を失望させてしまう結果を招くことの愚かさを指摘しました。
〇2011年1月30日:1年3カ月ぶりのジブチは様変わり(その1)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/588.html#readmore

〇2011年2月6日:1年3カ月ぶりのジブチは様変わり(その3)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/590.html#readmore

【ひらく会情報部】

※参考情報「憲法ってなあに?」↓
https://www.youtube.com/watch?v=5X69Fq_DxWM

*****配布されたレジメ*****
「憲法ってなあに?憲法改正ってどういうこと?」

              伊藤塾塾長伊藤真弁護士
法律家、公務員の養成30年。憲法の伝道師として全国で講演、弁護士として1人1票実現運動で憲法の価値を実現したいとしている。

1、憲法とはそもそも

法律は正しい→国民の多くの意見を吸い上げて作った「国民主権」⇒明治憲法は天皇が作った「天皇主権」
  ↓
多数意見は常に正しいか⇒NO情報操作、雰囲気、目先の利益に惑わされる(ナチス、イラク戦、戦前の日本)

憲法の必要性→多数意見が常に正しいわけではない
      →多数意見にも歯止めが必要多数意見でも奪えない価値「人権・平和」を守るため
      ↓  人間は過ちを犯す
●それを守るのが憲法
 国民の多数意見を吸い上げて作った法律でもやってはいけないこと、奪ってはいけないことを書いたもの
●立憲主義
 権力行使に憲法で歯止めをかける考え方を立憲主義という。(国王の横暴に歯止めをかけるために生まれた。)
 民主主義社会では、私達が作った政治権力にも歯止めをかけなければいけない。
 民主主義も過ちを犯すから憲法で歯止めが必要。
 民主主義VS立憲主義
  ↓
 民意を反映した民衆の名をかたる政治権力であっても憲法で縛りをかけなければいけない。

■憲法と法律
 憲法は国民が国に対して守れと言っているもの
   国家   国家
       制限 ↑↑   ↓↓
          憲法   法律
          ↑↑   ↓↓ 制限
          国民   国民

 憲法に歴史や文化や伝統は入れない→なぜか→それらは人によって考え方が違う
 憲法に入れて一つの形の価値観、歴史観、文化、伝統を押し付けてはいけない。

 唯一、すべての国民に共通の価値観=人間である=人間として認められる権利=人権

 憲法は私達が守る義務はない  国家権力に守らせるもの
○憲法の定義
 憲法とは、国家権力を制限して 国民の権利、自由(人権)を守る法
■法律と憲法の違い
○法律は、国民の自由を制限して、社会の秩序を維持するためのもの→国民に対する歯止め
○憲法は、国家権力を制限して、国民の人権を保障する者     →国家に対する歯止め
 憲法の中に人権規定ばかりなのは当たり前
 憲法に義務を入れてしまえば法律となってしまう


2、自民党改憲草案について

●自民党憲法草案=立憲主義の否定
○現憲法の納税、教育、勤労の義務に加えて、新たに次の10の義務を国民に課す
 国防義務、日の丸君が代尊重義務、領土・資源確保の義務、公益及び秩序服従義務、個人情報不正取得等禁止義務、家族助け合い義務、環境保全義務、緊急事態事項服従事務、憲法尊重擁護義務
→憲法が国民を支配する道具に変質
○新しい人権に極めて冷淡

●現憲法→政治家などに守らせる義務があるだけ
 第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
   ↑
   ↓
●自民党草案>→天皇、摂政を削除し、憲法より上とし、守る義務は無しとした。
 第102条(憲法尊重擁護義務)
  1項 すべて国民は、この憲法を尊重しなければならない。
  2項 国会議員、国務大臣、裁判官その他公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。

●国民を縛る憲法へ=立憲主義の否定=自民党改憲案の本質

●自民党改憲草案前文
 目本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
 我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。→日本国の自慢
 日本国民は、叢と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全休が互いに助け合って国家を形成する→やっと国民が登場するが、国防の義務、国民が基本的人権を守る、人権がわかっていない、国民は国家を形成するパーツ。
 我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経斉活動を通じて国を成長させる→国家を成長させるのが国民の目的。
 日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。→国民が国家を継承するための憲法。

3、憲法とは

◎「国家権力=多数派・強者」から、「国民=少数派・弱者」の権利と自由を守る、強者から弱者への理不肌を許さないためのもの。
■憲法と私達の生活
〇生活の中でも、強いものから弱いものを守るための憲法が重要な役目を果たす.
〇権力、暴力、財力、会社、社会的地位、専門職等の強い力から自分を守るための道具。
〇なにか理不尽なことを感じたら、憲法があることをしっかり思い出そう。

憲法を理解する上で重要なこと→想像力・他者への共感(沖縄、高齢化、障害、労働者など)

4、日本国憲法の価値 基本的人権の尊重

●日本国憲法の根本価値
〇憲法13条前段(個人の尊重)「すべて国民は固人として草叢される」
 ひとり一人の自由の保障、人間としての尊厳、個として尊重される→ひとり一人を大切にする。個人の尊重(個人の尊厳)
〇人は皆同じ(人として尊重)
  ↓
 個人のための国家であり、国家のための個人ではない
  →だれでも人間として生きる価値がある点では同じ
○人は皆違う(個として尊重)
  ↓
 人と違うことはすばらしい
  →多様性を受け入れて共生できる社会をめざす。
⇒「国家の始めた戦争のために死ぬのはすばらしい」などと強要したり、人種、宗教、性別、思想の差の差別をしたりしない。⇒違いを認める、生まれてきてよかったと思える社会⇒人権尊重

■日本国憲法の三原則→根っこに人権尊重
 基本的人権の尊重
 国民主権
 恒久的平和主義(戦争放棄)

●自民党改憲草案
 第13条(人として尊重)
 全て国民は人として尊重される。
 →個人から「抽象的な人」の尊重
  人=集団=兵隊=もの=数=犠牲になっても仕方ないもの
 第12粂(国民の責務)
 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責壬及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
⇒公益・公の秩序(国益・国が決めた秩序原発推進)>人権→明治憲法に逆戻り
 第21条(表現の自由)
 1 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
 2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。→前項1を骨抜き!
 第3条(国旗及び国歌)
 1 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
 2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。→特定の文化、歴史、伝統の押しつけ!

 第15条・94条(外国人の選挙権の否定)
 第20条(政教分離の例外許容)→靖国への政治家の参拝を正当化
 第22条(営業の自由の積極的目的規制削除)→強いものを制限しない。大規模スーパーの進出の制限撤廃等を狙う
 第24条(家族の助け合い義務)→憲法に道徳倫理を入れ、生活保護申請の拒絶理由を明記、模範家族に税制優遇等多様な家族形態を排除、戦前の家制度、天皇を家長とする国家家族復活を狙う
 第25条の3(在外国民の保護)→海外出兵の口実作り
 第25条の4(犯罪被害者への配慮)→刑事訴訟の本質が変わってしまう
 第28条(公務員の労働基本権制限)→権利が奪われる

5、9条平和主義

◎戦死者の数の変遷
 19世紀 1940万人
 20世紀 1億780万人(日本310万人、アジア2000万人)
 21世紀 アフガン、イラク、シリア、トルコなど世界中で犠牲者

■第二章 戦争の放棄
◎日本国憲法第9条
 1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威赫又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永スにこれを放棄する。
 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

→あらゆる戦争の放棄:○戦力不保持 ○交戦権(敵の兵士を殺傷する権利)の否認
◎これまでの政府府見解→9条は自衛官の命を守っている
 自衛権はあるので、自衛のための必要最低限の実力部隊としての自衛隊は存在する,
 集団的自衛権は行使できない
 海外で武力行使はできない
⇒ところが、安倍政権で解釈変更!

◎日本国憲法前文2項 積極的非暴力平和主義
 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 →飢餓、貧困、人権侵害、差別、環境破壊といった構造的暴力をなくすため、国際社会において積極的な役削を果たすことによって自国の安全と平和を達成し、国際貢献をする。
 →軍事力だけが国際貢献ではない(紛争の火種を消す・復興支援等目本の得意分野がある)


6、自民党改憲草案の9条は?

・平和的生存権削除(前文)
・戦力不保持削除(9条2項)
・交戦権否認削除(9条2項)
・国防軍創設(草案9条2項)
■自衛・国際協力の名の下に武力行使可能=日本の防衛が目的の改憲ではない!

自民党改憲の結果⇒自衛隊による専守防衛の否定⇒軍事国家‥・国防軍にする改憲
◎今すべきこと=憲法の「改憲」をさせない⇒軍事国家にする事はやめさせる

「軍隊が無くて攻められたらどうするんだ!」という意見に際して
  ↓
「専守防衛を旨とする自衛隊があります」
「自衛隊=この国を守るための必要最小限度の実力を持つ部隊があります」
「国防のための実力なら何でも持てる、というのが政府の見解です」
「だから、今の自衛隊で守れなければおかしいはず」
「守れないというなら、こんな役に立たないものに年間5兆円もおカネをかけてるいるのはおかしい」
「専守防衛なら今の自衛隊の実力と存在で十分です」

■現在の安倍政権・自民党の主張「守る実力のある自衛隊では国を守れないから国防軍を持つ」⇒その真意は「国防が目的ではない」!
●国防軍の2つの目的
 1、日本が攻撃されなくても、同盟国の戦争に参加(集団的自衛権)
 2、国際協力の名の下での戦争
⇒自分の国を守るためなら自衛隊で充分なのに、それ以外の事をさせたいから国防軍が必要と言っている!

◎交戦権:国際法上、公選当事国に認められる諸権利→つまり、敵の兵士を殺すこと
  ↓
 自衛隊(人殺しができない組織)⇔安倍政権・自民党のいう国防軍(人殺しができる軍隊)

●単なる名称変更ではないことに注目!

■軍隊のある(安倍政権の言う普通の)国=欧米と同様にテロの標的になる国=いつもテロの恐怖に脅えなければならない普通の国

◎自民党改憲草案第二章 安全保障
 第9条(平和主義)
 1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
 2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

7、改憲による国民生活への影響

①市民生活が全く異質のものとなる。殺人を目的とする組織を市民社会が抱えることになる、
②あらゆることが軍事・国防優先となる。「非国民」「卑怯者」という罵り合いによる国民同士の対立。
③兵士志願者が減少、弱者が犠牲になる。身体、精神が傷ついた若者を抱える。米国と同じ覚悟する必要。
④徴兵制が可能となる。
⑤軍事費増大を賄うため、増税、社会保障費削減。
⑥潜在的核保有を正当化するための原発維持。
⑦軍需産業との癒着。武器輸出解禁による死の商人。

■明治憲法から日本国憲法へ
              ~憲法価値の転換~
          <戦前の日本> → <戦後の日本>
             天皇主権 → 国民主権
          戦争し続けた国 → 戦争しない国
         教育を利用した国 → 教育内容に介入しない国
         宗教を利用した国 → 政教分離
       徹底した中央集権の国 → 地方自治を保障する国
 障害者、女性、子どもを差別した国 → 差別のない国
    貴族・財閥・大地主のいる国 → 格差を是正する国
        自己責任を強いる国 → 福祉を充実させる国
         国家のための個人 → 個人のための国家
     国家・天皇を大切にする国 → 一人一人を大切にする国

◎日本国憲法の特徴
 1、世界の近代憲法の正統派の流れを継承。→個人の尊重のための立憲主義
         ↓
   個人の人権を保障するために権力を拘束
   人類の英知の結晶⇒他国と同じところ
 2、日本の先進性の表れで独自のものである。→積極的非暴力平和主義
   日本の英知の結晶⇒他国と違うところ

●自由民主党憲法改正草案に潜む2つの意味

1、改正草案は自民党のDNA
 ・自民党は自主憲法制宝のために結党。→個人の尊重のための立憲主義から決別⇒人類の英知を否定
2、日米同盟強化と米国の従来からの要請への対応
 ・戦後一貫して進められてきた日米同盟の一本化・深化を加速させる。→積極的非暴力平和主義から決別⇒日本の英知を否定

●自民党改憲草案の特徴
①立憲主義から非立憲主義ヘ
②恒久平和主義から「戦争する国へ」
③天皇の元首化と国民主権の退潮
④国民の権利拡大には後ろ向き
 国民の義務拡大には前のめり
⑤改憲発議要件の緩和(3分の2以上→過半数)
 安倍政権は96条のみの改正を先行させる意向

●改正要件の緩和について
①発議要件が厳格だから改憲できない?→間違い
 日本国憲法より厳格な改正手続きでありながら改憲している国もある(スイス・米国)。日本国民が改憲を望んでいなかっただけ。
②真の意図は9条改正→発議要件緩和を先行させるのは、恒久平和主義という日本国憲法の本質を変質させる下準備。裏口入学のような姑息な手段
③直接民主制の弊害を助長する危険
 →安倍総理は「国会議員の3分の1が反対すれば国民は指1本触れることができない。憲法を国民に取り戻すことから始めたい」と言うが、これはまやかし!
 →国民も国民投票の際に情報操作、ムードに流されて正しい判断ができない危険性がある。これは取り返しのつかない結果をもたらす。そこで予め国会議員の冷静な判断で発議してもらうようにした。人間の弱さを自覚している国民の知恵。政権与党だけの強行採決による発議を可能にしてしまう危険

④立憲主義の主旨を没却
 →発議要件の緩和ということは、憲法により拘束されるべき国会議員が、自ら望む憲法へと改正し易くなることを意味する。縛られる側をあえて自由にするのは危険。
⑤憲法の安定性を阻害
 →憲法は最高法規であり、国家の基本法であるから、時の政権や政治状況によって、ふらふらと揺れ動くものであってはならない。憲法は国家の基本法として機能すべき。

◎改憲論議をする前に注意すべき点
 1 憲法そのもの(立憲主義)をきちんと知る
 2 どこの誰が利益を受けるのかを具体的、現実的に考える。憲法は魔法の杖ではない!
 3 改憲に期待しすぎない。
 4 改憲によって私達の生活がどう変わるか具体的に考える。
    ①今よりも安全な生活になるか
    ②今よりも自由な生活になるか
    ③今よりも福祉が充実した生活になるか
 5 現実を直視し、都合よく楽観的に考えないニと。


◎憲法改悪阻止する上で重要なこと
・想像力(イマジネーション)
 →権力の危険性へのイマジネーション
 →戦争の悲惨さへのイマジネーション
 →自分の生活がどう変わるかのイマジネーション

⇒イマジネーションを広げるための市民的連帯への力への確信=改憲の具体的な変化を伝える

○一人1票と改憲
・憲法改正案を議論できる憲法審査会の構成メンバーも国民から正当に選挙された代表者でない以上、憲法改正手続き自体が欠陥をもってしまう。
・もちろん、国会の発議自体が、国民の多数意思を反映していない。
  ↓
 民主的正当性がない。
 国民主権の国の憲法改正として許されない。


◎皆さんへの期待
 あせらず、あわてず、あきらめず、確実に連帯の力を前へ
 1、明日の自分は今日の自分が創る。
 →今を変えれば未来を変えられる。
  人は実現不可能な夢を思い描くことはない。
 2、今を生きる者としての責任を果たす。
 →憲法を知っていしまった者として今できる事を。
  憲法を使いこなす力をつけること。
  主体的に生きることが大切。
 3、Festina Lente(ゆっくりいそげ)

補足  2018年現在
◎自衛隊を憲法に明記すると?
 「明記するだけで何も変わらない」と安倍総理はいいますが1項の戦争放棄、2項の交戦権の否認が、3項に国防を担う組織である自衛隊を明記すれば後法優先の国際法の原則で「1、2項は死文化する」
 国防という公益のための名の下に、すべての人権が制限される危険がある。

改憲による国民生活への影響⇒あらゆることが軍事・国防優先となる。
**********

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アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ不開示控訴審で機構が附帯控訴答弁書と控訴準備書面を提出

2018-02-24 21:17:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専の電子情報工学科を舞台に発生した陰湿極まるアカデミックハラスメント(アカハラ)事件。この忌まわしい事件に関連する情報公開請求を発端として、群馬高専側が情報秘匿体質を存分に発揮したため、現在、東京高裁で係争中であることは既にご報告のとおりです。来週2月28日に控訴審の第1回口頭弁論が高裁の809号法廷で開かれます。そのため、通常は原告・被告ともに遅くとも期日の1週間前までに裁判資料を提出するのがエチケットです。ところが2月21日(水)が過ぎても、一向に機構側から附帯控訴答弁書が届かないため、例によってまたぞろ高専機構側が何か思惑を持って時間稼ぎを画策しているのでは、との見方が強まっていた矢先、2月23日(金)午後6時20分にFAXで送信してきました。しかも機構側はオンブズマン側の附帯控訴に対する答弁書だけでなく、オンブズマン側の控訴答弁書に対する準備書面まで提出してきました。

*****送付書*****PDF ⇒ ti.pdf
2018年 2月23日 18時20分 田中・木村法律事務所       No.2394 P1/8

             準備書面等の送付書
                           平成30年2月23日

下記のとおり書類をご送付いたします。
受領書欄に記名・押印のうえ,この書面を当職及び裁判所宛FAX等でお送り下さい。
送 付 先:東京高等裁判所第9民事部A1係 御中
     FAX 03-3580-3859
     被控訴人(附帯控訴人) 市民オンブズマン群馬 御中
     FAX 027-224-6624
発 信 者:〒104-0061東京都中央区銀座5丁目7番1号 江島屋ビル7階
     控訴人(附帯彼控訴人)訴訟代理人弁護士 木 村 美 隆
     TEL:03-3573-7041  FAX:03-3672-4559
事件番号:平成29年(行コ)第376号
当事者名:控訴人(附帯被控訴人)独立行政法人国立高等専門学校機構
     被控訴人(附帯控訴人)市民オンブズマン群馬
次回期日:平成30年2月28日(水)午後1時30分
文 書 名:答弁書(H30.2.23付)、準備書面(同)
送信枚数:7枚(送信書を除く)
相手方への送達の有無:有

=====受領書=====
              受 領 書
東京高等裁判所第9民事部A1係 御中       (FAX:03-3580-3859)
控訴人(附帯披控訴人)訴訟代理人 弁護士 木村美隆宛(FAX:03-3572-4559)

    上記書類を受領しました。
     平成   年   月   日
      披控訴人(附帯控訴人)

通信欄

*****付帯控訴答弁書*****PDF ⇒ ti.pdf
2018年 2月23日 18時20-21分 田中・木村法律事務所       No.2394 P2-5/8
<P1>
平成30年(行コ)第376号
 附帯控訴人  市民オンブズマン群馬
 附帯被控訴人 独立行政法人国立高等専門学校機構

           答  弁  書

                     平成30年2月23日

東京高等裁判所第9民事部A1係  御中

     附帯被控訴人訴訟代理人弁護士 木 村 美 隆
             同      藍 澤 幸 弘

              記
第1 附帯控訴における控訴の趣旨に対する答弁
1 附帯控訴人の控訴を棄却する。
2 附帯控訴費用は附帯控訴人の負担とする。
との判決を求める。

第2 第2,附帯控訴の理由に対する反論
1.1項について
 附帯控訴人は,本件文書3について原判決が,「申告者,申告の対象者,申告者以外の行為の相手方(中略)その他の内容も具体的であることからすれば,上記各個人に関する情報であって,それらの個人

<P2>
を識別することができるものに当たる」(原判決15頁)と判示する一方で,法6条による部分開示の可能性は一切検討していない,と指摘する。そのうえで,本件文書3の⑥該当箇所のうち,関係者の氏名・属性等を除いた調査の期間・概要・方法については,(部分)開示が妥当である,とする。
 しかし原判決は,本件文書3について,「本件高専が事実関係を調査の上作成した調査の経緯及びその結果に関する書面であり,懲戒処分や人事異動等の人事管理にかかる事務の資料となりうるものである。そして,これらのハラスメント被害の申告書面やその調査に関する書面には,一般的にハラスメントと申告されている行為の行為者及び相手方のいずれにとってもプライバシー性が高く,通常秘匿することを欲する情報が記載されているものと解され,(中略)そうすると,これらが開示された場合には,今後,自身のプライバシーに関わる情報が保護されないことをおそれて,ハラスメント等について関係者が申告をすることや調査に応じることに萎縮し被告が人事管理に係る事務を行うのに必要な情報を充分に収集することや記録化することが困難となるおそれがある」(原判決17から18頁),と判示している。さらに部分開示の可能性についても,同号へのおそれは,今後の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれをいうから,当該文書に係る当該個人がたまたまその開示に同意したからといって,今後における上記のおそれがなくなるというものではない」(原判決20頁)として,部分開示の可否を判断している。
 群馬高専の各学科所属の教員がいずれも10名程度であることは,原判決(4頁)が指摘するとおりであり,過去の期間・概要・方法といった内容でも,開示された情報により調査対象者を特定するといっ

<P3>
たことが充分に考えられる。原判決が本件文書3のうち⑥についても部分開示を否定した原判決の判断は,当然というべきである。

2 2項について
 附帯控訴人は,本件文書2及び3について,両文書に記載のある関係者らの同意ないし希望がある場合には,個人識別情報であっても氏名等を除いた部分について部分開示されるべきである,とする。そして,両文書について附帯控訴人が開示請求を求める理由について,被害者ら自身がハラスメントに関して情報公開請求や法的手段を取ろうとしても,時間的・金銭的・精神的な負担が多大であり,附帯控訴人がこれら当事者に替わり(その趣旨は不明である)して開示請求を行っていること,プライバシーを有する関係者ないしは被害者らの意思を無視する形で該当箇所を全面不開示処分とすることは,当該人物らの自己情報コントロール権の侵害である,等の事情を指摘する。
 しかし,附帯控訴人が本件文書2及び3に記載された個人の法的請求権を同人に代替して行使しうる地位にないことは極めて当然である。附帯控訴人の指摘する上記理由は,およそ附帯控訴人が本件文書2及び3のうち個人識別情報に該当する部分の開示を求める理由とはなりえない。
 なお附帯控訴人は,関係者からの同意を得た根拠であるとして,甲第16号証を提示する。しかし同号証には,本件文書2及び3に記載された個人識別情報の主体であると推測できる氏名の記載はなく,その内容からしても両文書に記載されたごく一部の対象者(個人識別情報の主体)とのやりとりにすぎないと見受けられるのであり,甲第16号証は,およそ本件文書2及び3の個人識別情報部分の開示を求める根拠とはならない。

<P4>
 本件文書2及び3の部分開示に関し関係者の同意を得ている旨の附帯控訴人の主張について,原判決が,法5条4号へに言う人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれと,当該文書に係る当該個人がたまたまその開示に同意したことは無関係である旨判示(原判決20頁)したことは前記のとおりであり,その指摘はもっともと言うべきである。
 本件文書2及び3について,記載された関係者の一部からの同意を得ている旨の附帯控訴人の主張は,両文書の部分開示を肯定する理由とはなりえない,

3 結語
 以上のとおり,附帯控訴人の控訴に理由がないことは明らかであり,
 本件附帯控訴が棄却されるべきであることは,極めて当然である。
                       以上

*****控訴人準備書面*****PDF ⇒ ti.pdf
2018年 2月23日 18時21分 田中・木村法律事務所       No.2394 P6-8/8
<P1>
平成29年(行コ)第376号
 控 訴 人  独立行政法人国立高等専門学校機構
 被控訴人  市民オンブズマン群馬

            準 備 書 面

                         平成30年2月23日

東京高等裁判所第9民事部A1係御中

             控訴人訴訟代理人弁護士 木 村 美 隆
                  同      藍 澤 幸 弘

                  記
1 被控訴人による時機に後れた攻撃防御方法の主張について
 控訴人は,原審において,原判決記載の本件文書1から3について,控訴人が行った不開示決定処分が適法である旨主張しており,この主張は各文書について部分開示を実施しなかったことが適法である旨の主張も内包するものである。
 本件文書1から3の部分開示の可否についても,原審における平成29年6月30日付被告準備書面において,本件文書2および3の実名部分等を黒塗りにした場合でも部分開示することはできない旨主張している。さらに同年8月18日付被告準備書面で,被控訴人(原告)ホームページにおいて甲第8,9,14号証等の書証も含めた訴訟記録が掲示され,第三者から見て本件に関連すると推測される可能性のある各種情報が公開されている旨指摘したうえ

<P2>
で,本件文書1についても部分開示をすることができない旨主張している。
 原判決も,「原告のウェブサイトに掲載されている本件訴訟の訴訟記録等と照合すると,上記の各個人が識別されうる情報である」(原判決6頁)と控訴人(被告)の主張を整理したうえで,「証拠(甲14,乙5の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,これらの部分は,本件文書1から容易に区分して除くことができるものと認められ」(原判決19頁)と認定している。このことからすれば,原判決も,原審における訴訟記録特に甲第11,12,14号証が被控訴人のホームページで公開されている(乙7,平成29年8月18日付被告証拠説明書)ことを前提として,本件文書1から3の部分開示の可否を判断しているものと解される。
 控訴人による控訴の趣旨は,以上を前提としたうえで原判決の「これらの部分は,本件文書1から容易に区分して除くことができるものと認められ」,「上記の不開示情報が記録されている部分(中略)は本件文書2及び3から容易に区分して除くことができ」(原判決19頁)との法的評価を争うものであり,具体的には,被控訴人によるウェブサイトの掲載状況を踏まえれば,原判決が部分開示を要するとする箇所も,「特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより,公にしても,個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるとき」(法6条2項)には該当しない,と主張するものである。この法的主張により,新たな主張を追加したり,これにより別途証拠調べが必要になるといった事情で訴訟の完結を遅延させるものでもない。
 被控訴人の時機に後れた攻撃防御方法の主張には,理由がないと言うべきである。

2 本件文書3について
 また控訴人は、原審における平成29年4月7日付準備書面(1)2項(2)(4頁以下)において,本件文書3に調査に至った経緯や調査担当者調査方

<P3>
法と調査結果に関する記載がある旨指摘し,個人に関する情報が混然一体となって記載されているので,不開示情報が記録されている部分を容易に区分することはできない旨主張している。ここにいう調査担当者は,本件文書3の作成者の氏名を含むものであり,同作成者の氏名は,部分開示を否定する事情だけではなく,個人に関する情報としての不開示情報(法5条1項柱書)となることも指摘しておく。
                          以上
**********

■2月28日の控訴審第1回口頭弁論期日で、東京高裁がどのような訴訟指揮をするのか、機構側の出方と併せて、注目していきたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【速報】東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…騒音基準をクリアできず関電工が再度チッパー試運転

2018-02-23 08:18:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■東電グループの関電工を事業主体とする前橋バイオマス発電施設は、群馬県が定めた環境アセスメントを行わないまま、本年末迄に事実上竣工し、2月1日から本格運転が開始されるはずでしたが、未だにチップ製造に伴うチッパーの騒音問題や、チッププレスで脱水した廃水の処理や放流施設が未整備の為、変則的な運転段階にあるものと見られます。この暴挙を食い止めようと、当会は地元住民団体とともに、発電施設に隣接する木質チップ製造施設に対する補助金交付の「差止」もしくは「処分の取消」を求める訴訟を係争中ですが、昨日、関電工が突然、隣接住民に対して、木質燃料製造のためのチッパーの試運転を本日2月22日(金)と2月25日(月)の両日にわたり実施する旨のチラシを配布しました。
 どうやらチッパーの騒音低減策を行ったので再試験したいという思惑のようですが、どのような低減策を施したのでしょうか?具体的な説明は皆無の上、そもそも再試験の理由も記載されていません。
 「テスト騒音でご迷惑をお掛け致しますが」くらい書けないのでしょうか?と思いますが、関電工の体質では無理というものでしょう。

PDF ⇒ 20180222dhv.pdf

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…ハラスメントの殿堂東京学芸大もビックリ!群馬高専のアカハラ隠し

2018-02-22 23:16:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専のアカハラ問題について、当会がこれまで取り組んできた中で、昨年の夏ごろから、当会のアカハラ問題にかかるブログ記事を東京学芸大学の関係者が閲覧する回数が恒常的に増えています。そのため、ネット検索をしてみたところ、沢山の事例がヒットしました(本項末尾の参考情報1・2・3・4参照)。さながらハラスメントの殿堂といったところで、再発防止が不徹底ではありますが、それでも最終的にはきちんと公表しています。
 一方、群馬高専の場合は、すでにアカハラ問題の実態が明らかになっているにもかかわらず、性懲りもなく未だに隠蔽しようとしているところが大きく異なっています。

附属高校でいじめの対応が不適切だったことで最低ランクに評価された東京学芸大学

 昨年2017年11月下旬、東京学芸大を巡るセクハラ事件について報じられました。この事件は東京学芸大教育学部の40代の准教授がセクハラ行為で停職3カ月の懲戒処分を受けたもので、被害者は同教授の研究室に所属していた複数の学生の皆さんで、最大4人(男子2、女子2)です。セクハラ行為の内容は、2014年7月から2016年8月にかけて、研究室にいた学生を退出させ、室内で女子職員の体に触ったり、海外出張時に女子学生に同じ飛行機やホテルを取るよう勧め、女子学生が別のホテルを取ると、その部屋までついていったり、あるいは海外出張の際、女子学生に自分のホテルの部屋に荷物を置くよう指示し、夜間に荷物を取りに来させたりしていました。また、学生に対し、土日を含めて毎日のようにメールなどを送り「交際相手がいるのか」などプライベートに関することを聞いていました。

 さらにアカデミック・ハラスメント(アカハラ)行為については、深夜や早朝に通信機器を使って研究指導を行い、自分の研究プロジェクトの管理業務を、無報酬で学生にさせるなどしていました。

 しかし、こうしたハラスメント行為に対して、学生から2016年9月に大学側に訴えがあり、発覚したものです。そして、同大学は准教授に対して、平成29年11月21日付けで、停職3カ月の懲戒処分を決めたのでした。

 これに対して准教授は「アカハラやセクハラと受け止められてもやむを得ない行為だった。学生を傷つけ、失望させてしまったことを深く反省している」と釈明しました。

■この事件について同大学は、昨年11月21日に次のような公式発表をしています。

*****大学の公式発表*****
大学教員の懲戒処分について
 このたび、本学の大学教員が、平成26年7月から平成28年8月までの間、指導学生らに対し、学習・研究活動を阻害し当該学生らの尊厳ないしこれに関わる人権を侵害したアカデミック・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメントまたはこれに類する人権侵害に該当する行為を行っていたことが判明しました。
 このことを受け、役員会で事実確認を行い、平成29年11月21日付けで当該大学教員を懲戒処分として停職3月といたしました。
 また、本件に関わる管理監督責任者である当時の学系長及び現学系長に対し、文書による厳重注意の処分を行いました。教育に携わる本学の大学教員がこのような行為をしたことは誠に遺憾であり、被害学生及び関係者の皆様には心よりお詫び申し上げます。
 今後、このような行為が再び繰り返されることのないよう、服務規律の一層の徹底を図り、再発防止と信頼の回復に努めて参る所存です。平成29年11月21日
              国立大学法人東京学芸大学長
                   出 口  利 定 
***********

 この事件に関する新聞報道記事はこの項の末尾の参考情報1に掲載してあります。

■同大学では、昨年9月にも教育学部の50代男性教授が複数の学生に、不適切で悪質な言動をするアカハラ行為をしていたことを発表しました。それによると、同教授は2014年3~10月にかけて、研究室に所属する学生の就職の内々定を取り消す方法を大学側に尋ね、内々定先の企業に連絡を取ろうとしました。また、研究室にいなかったことを批判し、学生らが登録するメーリングリストで「留年してください」などと送ったこともありました。被害を受けた一部の学生は精神疾患で通院を余儀なくされていました。

 こうした不祥事について、複数の学生が、卒業した2015年3月に学内の窓口に訴えて問題が発覚しました。発覚後公表までに1年半かかったことについて、同大は「事実確認、処分内容の検討に時間がかかった」と説明しています。一方、同教授はアカハラ行為をおおむね認め「悪気があってやったわけではない」と話しているということでしたが、同大は諭旨解雇の懲戒処分とし、同教授は2016年9月11日付で辞職しました。

■さらにさかのぼると、東京学芸大では、2015年5月~9月にかけて附属高校の生徒の間でいじめ事件が発生していたことを、2016年11月29日の会見で発表しました。

 このいじめ事件では、男子生徒1人が手首を骨折したり、脳振盪を起こすなどの被害に遭っていました。学校側がいじめ行為を認識したのは、2016年9月になって保護者からの相談を受けてからでした。
 「いじめ防止対策推進法」では、学校が生徒の心身に危険が及ぶ「重大事態」を把握した場合、すぐに教育委員会に報告義務がある(学芸大附属高校は国立高校のため文部科学省が所管)のですが、報告は2016年3月だったため、半年以上かかったことになります。
 この対応の遅れにより、参考情報3に示す通り、文部科学省の有識者会議・国立大学法人評価委員会は2017年6月6日に公表した全国の国立大学の教育や業務運営に関する評価結果について、付属病院で死亡事故が相次いだ群馬大と、付属高校でいじめの対応が不適切だった東京学芸大を、業務運営の分野で、5段階評価の最低ランクに位置付けたのでした。

 結果的に、この後も、参考情報1・2のとおり、同大学の本体でセクハラやアカハラ事件が立て続けに明るみにされ、まさに泣きっ面にハチといったところです。そのため、同大学では「東京学芸大学キャンパスライフ委員会」を立ち上げて、再発防止に努めようとしていることがうかがえます。
※東京学芸大学キャンパスライフ委員会(042-329-7863)↓
http://www.u-gakugei.ac.jp/~clife/index.html

■ひるがえって、群馬高専の場合はどうでしょうか?アカハラ事件や寮生連続不審死事件が発生したにもかかわらず、前校長はきちんと事件の原因究明、責任の明確化、再発防止策を徹底して行わないまま、文科省にトンヅラをしてしまいました。しかも当会が、アカハラ事件の総括に必要な情報公開を一貫して求めてきているにもかかわらず、いまだに情報秘匿体質をほしいままに露呈しています。

 その体質をなんとか変えるためのきっかけとして、きたる2月28日(水)午後1時30分に東京高裁8階809号法廷で控訴審の第1回口頭弁論期日で一審に続き再び審理が開始される運びとなります。

 なお、機構=群馬高専から附帯控訴答弁書が遅くとも2月21日までに東京高裁に提出されるはずですので、それが到来したら、読者の皆様にご報告する予定です。

 それにしても、東京学芸大学と群馬大学を最低評価にランク付けした「国立大学法人評価委員会」と同様に、群馬高専の評価ランク付けをすべき「独立行政法人大学改革支援・学位授与機構」はいったい何をしているのでしょうか。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報1「東京学芸大教育学部40代准教授のセクハラ事件」
**********朝日新聞デジタル2017年11月22日06時59分
女子学生のホテルまでついていき…セクハラで准教授停職
 セクシュアルハラスメントやアカデミックハラスメントがあったとして東京学芸大学(東京都小金井市)は21日、教育学部の40代の男性准教授を停職3カ月の懲戒処分にし、発表した。
 発表によると准教授は2014年7月~16年8月、指導する複数の男女の学生に毎日のようにメールを送り、指導以外に交際相手の有無を尋ねることもあった。海外出張時には女子学生に同じ飛行機やホテルを取るよう勧め、女子学生が別のホテルを取ると、その部屋までついていった。研究室で、服の上から女性職員に触れたことなどもあったという。
 同大の長谷川正・副学長は「被害学生と関係者に心からおわびする」とコメントし、信頼回復と再発防止に取り組むとしている。

**********毎日新聞 2017年11月22日 8時47分
東京学芸大:准教授を懲戒処分 学生にアカハラ・セクハラ
 東京学芸大は21日、教育学部の40代の准教授が研究室に所属していた複数の学生にハラスメント行為を繰り返したとして、22日から停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。同大によると、准教授は2014年7月~16年8月、研究室の最大4人(男子2、女子2)の学生に対し、土日を含めて毎日のようにメールなどを送り「交際相手がいるのか」などプライベートに関することを聞いたり、深夜や早朝に通信機器を使って研究指導を行ったりしたほか、自分の研究プロジェクトの管理業務を、無報酬で学生にさせた。

**********京都新聞 2017年11月22日 10時40分
ハラスメント繰り返した准教授停職 女子学生の宿泊先同行迫る印刷用画面を開く
 東京学芸大は21日、出張中に研究室に所属する女子学生の宿泊先に付いていこうとするなど、2014年7月から昨年8月にかけて学生4人にハラスメント行為を繰り返したとして、40代の男性准教授を停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。
 学芸大によると、准教授は海外出張に同行した女子学生に同じ飛行機やホテルを取るよう要求。嫌がる学生が異なる宿泊先を選んだにもかかわらず、現地到着後、自分の部屋にいったん荷物を置くように指示して夜間に取りに来させ、そのまま学生の宿泊先まで付いていこうとした。
 また、研究室にいた学生らに席を外させ、室内で大学の女性職員と不適切な行為を行ったりした。
**********

※参考情報2「東京学芸大教育学部の50代教授のアカハラ事件」
**********TOKYO MX 2017/09/12 に公開
東京学芸大の教授 一斉メールで「留年して」
https://www.youtube.com/watch?v=BVlfgSoFYBI
 東京・小金井市にある東京学芸大学教育学部の男性教授が、複数の学生に留年をほのめかすなどの嫌がらせを繰り返す、いわゆる「アカデミックハラスメント」をしたとして、大学は男性教授を諭旨解雇処分にしました。
 東京学芸大学によりますと、男女3人の元学生が卒業後、大学に対して、50代の教育学部の男性教授によるアカデミックハラスメントの被害を訴えたということです。教授は、学生に留年をほのめかしたり、企業の内々定を取り消させようとしたりと、嫌がらせを繰り返していたということです。
 「なぜ17時に研究室にいなかったのか。今夜中に必ず返信しなさい」「卒論の進捗(しんちょく)の悪い人は論文を提出できません」「留年してください」など、学生に不安を与えるような数々のメールは、メーリングリストを利用して他の複数の学生たちも読めるよう、教授が一斉送信していました。
 学芸大学に通う現役の学生からは「残念です」「(教授と学生が)うまく合わなかったのかなと思うが…」「大学の教員としてはやっちゃいけないことだと思うし、してほしくないと思います」といった声が聞かれました。
 大学によりますと、被害を訴えた卒業生のうち2人は、就職したものの今も精神疾患で働けない状態だということです。
 一方、諭旨解雇処分となった教授は11日付で辞職し、反省しているものの、言動の一部については「指導の一環だった」としています。
 東京学芸大学は「誠に遺憾であり、再発防止に努めたい」とコメントしています。

**********時事2017年9月12日17:50
東京学芸大、50代教授を諭旨解雇=複数学生にアカハラ
 東京学芸大は12日、50代の男性教授が学生に悪質で不適切な言動を繰り返すアカデミックハラスメントを行ったと発表した。複数の学生が精神疾患を発症し、卒業後の就労にも多大な支障が生じたといい、8月30日付で諭旨解雇の懲戒処分にした。教授は今月11日付で辞職した。
〔写真特集〕私たちが許しません
 同大によると、教授は2014年3~10月、学生に就職の内々定を出した企業に取り消させるため連絡を取ろうとしたほか、内々定先の企業の採用責任者に学生の情報を話し、学生や卒業生らを登録したメーリングリストを使って学生に不安を与えるメールを送った。
 また、学生に研究室の仕事を優先させるため、1時間以内に予定されているインターンシップの打ち合わせをキャンセルするよう命じたと受け取れるメールを送るなどした。教授は事実関係をおおむね認めているという。
 東京学芸大は「心よりおわび申し上げる。再発防止と信頼回復に努める」としている。

*********朝日新聞デジタル2017年9月12日23時07分
東京学芸大教授、アカハラで諭旨解雇 就職活動の妨害も
 東京学芸大は12日、教育学部の50代男性教授が複数の学生に、不適切で悪質な言動をするアカデミック・ハラスメントをしていたと発表した。一部の学生は精神疾患で通院していたという。同大は諭旨解雇の懲戒処分とし、男性教授は11日付で辞職した。
 同大によると、教授は2014年3~10月、研究室に所属する学生の就職の内々定を取り消す方法を大学側に尋ね、内々定先の企業に連絡を取ろうとした。また、研究室にいなかったことを批判し、学生らが登録するメーリングリストで「留年してください」などと送ったこともあった。男性教授はおおむね認め「悪気があってやったわけではない」と話しているという。
 複数の学生が、卒業した15年3月に学内の窓口に訴えて問題が発覚した。同大は「事実確認、処分内容の検討に時間がかかった」と説明している。
**********

※参考情報3「評価最低ランクの東京学芸大と群馬大」
*********ダイヤモンドOn Line 2017.6.10 ハフポスト日本版
文科省の国立大評価で最低ランクは群馬大と東京学芸大、最高は?

付属高校でいじめの対応が不適切だったことで最低ランクに評価された東京学芸大学
 文部科学省の有識者会議・国立大学法人評価委員会は6月6日、全国の国立大学の教育や業務運営に関する評価結果を公表した。
 付属病院で死亡事故が相次いだ群馬大、付属高校でいじめの対応が不適切だった東京学芸大が、業務運営の分野で5段階評価で最低ランクに位置付けられた。
 有識者会議は6年に1度、全国に86ある国立大学などを対象に、各大学が設定した中期目標の達成状況を評価している。NHKニュースによると、中期的な評価は2回目で、今回は2010年度から15年度の期間で調査、分析した。
 評価方法は、教育や研究、業務運営など8分野で、「非常に優れている」「良好である」「おおむね良好である」「達成状況が不十分である」「重大な改善事項がある」の5段階。
 全8項目を通して、群馬、東京学芸の2つの大学のみが、業務運営の分野で最低の「重大な改善事項がある」と評価された。2004年度から09年度を対象にした1回目の評価では、全ての項目を通じて最低評価を受けた大学はなかった。
 群馬大に対しては、付属病院で腹腔鏡手術を受けた患者が相次いで死亡した事故について触れ、「適切な要因分析や病院長への報告がなされることなく手術が継続して行われていたことがあり、特定機能病院の承認が取り消されるという事態に至った」と指摘。評価理由として、「医療安全管理体制に抜本的な改善が必要と判断される」ことを挙げた。
 また東京学芸大の評価では、2015年に付属高校で起きたいじめで、「事態の把握が遅れたことに加え、発覚後も関係生徒に対する事実確認が不十分で、高校の対応が不適切であった」と説明。「いじめという重大事態への対応で法人ガバナンスが欠如していた」と、抜本的な改善の必要性を指摘した。
★外部諮問機関、クラウドファンディングが高評価
 一方で、同じ業務運営の分野で最高ランクに評価されたのは13大学。優秀な人材確保のためにほぼ全教員に年俸制を導入した帯広畜産大学、海外の有識者らでつくる外部諮問機関を設置した神戸大学、地域に必要な人材育成を図る学部を新設した高知大学などが名を連ねた。
 また財務の分野では、東京芸術大が、クラウドファンディングを活用した壁画復元プロジェクトで、唯一の最高評価を得た。「支援金調達と同時に、復元事業の文化的意義を広く周知する効果も得られた」と評価されている。
 各分野で、最高・最低評価を受けた主な大学は以下の通り。
 ※( )内は該当する大学数。業務運営の改善・効率化以外は最高評価のみ
▽教育=該当なし
▽研究(5)
 東京外語:言語文化基礎資料等の情報資源化
 東京工業:他機関との連携による研究の推進
▽その他(社会貢献・国際化など) (1)
 東京芸術:早期教育プロジェクトの実施
▽業務運営の改善及び効率化
 【非常に優れている】(13)
 帯広畜産:高い目標の早期達成に向けた学長のトップマネジメント
 神戸:学外者の意見の教育研究体制への反映
 【重大な改善事項がある】(2)
 群馬:付属病院での相次ぐ死亡事故
 東京学芸:付属高校でいじめ事案
▽財務内容の改善(6)
 山形:研究体制の強化による外部資金獲得
 東京芸術:クラウドファンディングを活用した壁画復元プロジェクト
▽自己点検・評価及び情報提供(7)
 佐賀:佐賀大学版IRを活用した大学運営
 熊本:教職協働組織の設置による大学情報の一元的な収集・分析・活用
▽その他業務運営(5)
 三重:環境マネジメントの推進と水平展開
 室蘭工業:情報セキュリティ及び事業継続マネジメ ントシステムの国際認証の取得
(ハフポスト日本版ニュースエディター 浜田理央)
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※参考情報4「東京学芸大附属高校のいじめ事件」
**********朝日新聞デジタル2016年11月29日 21時43分 JST | 更新 2016年12月02日 02時50分 JST
学芸大附属高校でいじめ セミの幼虫なめさせ、骨折...2人を書類送検
 国立東京学芸大学附属高校(東京都世田谷区)でいじめがあり、男子生徒1人が手首を骨折したり、脳振盪を起こすなどの被害に遭っていた。
 東京学芸大が11月29日、会見を開いて明らかにした。朝日新聞デジタルによると、大学側は学校の対応が遅れたことを問題視して、当時の校長ら12人を戒告処分。警視庁はいじめた側の生徒2人を書類送検した。
 時事ドットコムによると、いじめは2015年5月から9月にかけてあり、複数の生徒がはやし立てて、のどの奥に指を入れて吐くまねをさせたり、セミの幼虫をなめさせたりしたという。
 また、2015年6月には体育祭の練習で倒されて手首を骨折したり、投げ飛ばされて脳振盪を起こしたりした。学校側はいじめについてアンケートを実施し、いじめられた生徒は「いじめがあった」と回答。担任が面談したが確認できなかったという。
 朝日新聞デジタルが報じた一問一答では、学校側は生徒の骨折時に「『自分で転んだ』と言い、そのままにしていた」と答えている。
――骨折した時にいじめと判断しなかったのはなぜか
「保健室に来た本人は『自分で転んだ』と言い、そのままにしていた。骨折が起きたときには教員らが事故原因を記す事故報告書を作成することになっているが、誰も作らず、原因についても調べなかった」(中略)
――その後は
「さらに、骨折した状態の被害生徒は、別の生徒に投げられ、脳振盪(しんとう)を起こした。そのときも、事故原因も確認せず、報告書も作らなかった」
(報告書なし、面談不十分…学芸大付属高いじめで問題次々:朝日新聞デジタルより 2016/11/30 08:11)
 学校側が認識したのは、9月になって保護者からの相談を受けてからだった。
 「いじめ防止対策推進法」では、学校が生徒の心身に危険が及ぶ「重大事態」を把握した場合、すぐに教育委員会に報告義務がある(学芸大附属高校は国立高校のため文部科学省が所管)だが、報告は2016年3月と半年以上かかった。
 出口利定学長は、「被害にあった生徒や保護者に深くおわび申し上げる。教員を養成する大学の附属高校として決してあってはならず、教職員に対して法令順守を徹底するとともに生徒の側に立った運営を行うよう指導する」と陳謝した。
【訂正】2016/12/01 14:45
当初の記事で「2人を在宅起訴」としていましたが、2人は在宅起訴されていませんでした。朝日新聞デジタルが訂正しました。
(吉野太一郎The Huffington Post)

**********産経新聞2016.11.30 18:05
東京学芸大付属高でいじめに関わった生徒2人を書類送検 傷害容疑、被害者に手首骨折や脳震盪

付属高校でのいじめ問題について、記者会見する学芸大の出口利定学長=29日午後、東京都小金井市の東京学芸大学(緒方優子撮影)
 東京学芸大付属高校(東京都世田谷区)で生徒がいじめを受けて手首を骨折するなどしていた問題で、警視庁が今年5月、いじめに関わった生徒2人を傷害容疑で書類送検していたことが30日、分かった。送検時、いずれも容疑を認めていたという。
 警視庁世田谷署によると、書類送検は5月17日付。送検容疑は、昨年6月3日に体育祭の練習中に生徒を倒して手首を骨折させたほか、同22日に生徒を投げ飛ばして脳震盪(のうしんとう)を起こさせたなどとしている。学校側は昨年10月、これらの事案について警視庁に相談していた。
 学校の第三者調査委員会の報告書によると、いじめは昨年5月~9月、複数の生徒によって行われた。昨年9月に被害生徒の保護者が学校側に被害を申告して発覚したが、学校側は今年3月まで文部科学省に報告していなかった。

**********J-CASTニュース2016/11/30 13:19
学芸大附属高で暴行いじめ 対応遅れで学校長ら5人を懲戒処分
 東京学芸大学は2016年11月29日、附属高等学校でいじめが発生し、対応が遅れたことなどを理由に同学校長など関係者5人を懲戒処分にしたと発表した。
 同大学が同日の記者会見で配布した資料によると、15年に当時2年生だった男子生徒が複数生徒から暴言や暴行などを受け、手首骨折や脳しんとうなどのけがを負っていた。学校側は15年9月に生徒から申告を受け調査を行ったが、大学から文部科学省へ報告したのは16年3月だった。
 13年に成立した「いじめ防止対策推進法」では、学校側がいじめを把握し、それが生徒の生命、心身、財産に重大な被害を受けた疑いがある場合「重大事態」として「直ちに」教育委員会などに報告するよう義務づけている。同大学の出口利定学長は、今回のいじめが「重大事態」であったにも関わらず関係者の認識不足で報告が遅れたとして、同高等学校長ら5人を懲戒処分にした。
 出口学長は「学長として自らを戒め」給与の10分の1を3か月返納し、4人の理事についても給与の10分の1を1か月返納する措置を取るとしている。
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※参考情報5「国立大学法人評価委員会」
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 国立大学法人評価委員会は、国立大学法人法に基づき、国立大学法人及び大学共同利用機関法人を評価するために2003年10月1日に文部科学省に設置された審議会。
 国立大学法人評価委員会の評価は、各国立大学法人の中期計画または年度計画の「実施状況の調査をし、及び分析をし、並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して」、当該期間または事業年度における「業務の実績の全体について総合的な評定をして、行わなければならない」とされている。中期目標期間全体の評価は、独立行政法人大学評価・学位授与機構に対して「教育研究の状況についての評価の実施」(独立行政法人大学評価・学位授与機構法16条2)を要請し、当該評価の結果を尊重することとされている(独立行政法人通則法32条2、34条2を準用)。
 評価結果は、総務省の独立行政法人評価制度委員会に対して通知するとともに公表しなければならない。このとき、評価委員会は国立大学法人に対して「業務運営の改善その他の勧告」を行うことができる。総務省委員会は、評価委員会に対して意見を述べることができる(通則法32条3~5を準用)。
 文部科学大臣は、中期目標期間の終了後、各国立大学法人の業務・組織等について検討を行い、所要の措置を講ずることになっている。その際、文部科学大臣は、国立大学法人評価委員会の意見を聴かなければならない。このとき国立大学法人評価委員会は、各国立大学法人の「主要な事務及び事業の改廃」に関して、文部科学大臣に勧告することができる(通則法35条、同2~3を準用)。
 2003年10月1日に、以下のような内容の国立大学法人評価委員会令が施行された。①委員20人以内で組織する(別に臨時委員・専門委員を置くことができる)。②委員の要件は、「大学又は大学共同利用機関に関し学識経験のある者」であり、文部科学大臣が任命する。③委員の任期は2年。再任は可。④委員長は、委員の互選により選任。⑤委員会に二つの分科会(国立大学法人分科会・大学共同利用機関法人分科会)を置く。⑥委員会の開催要件は委員・臨時委員の過半数の出席。議決は出席者の過半数を要する(分科会・部会も同様)。⑦委員会は関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。⑧国立大学法人等は、委員会の評価結果に対して意見の申立ての機会を与えられる。当該意見は評価結果と併せて大臣に通知され、公表される。⑨委員会事務局は文部科学省高等教育局高等教育企画課が担当(大学共同利用機関法人分科会に係るものは文部科学省研究振興局学術機関課が処理)。
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※参考情報6「独立行政法人大学改革支援・学位授与機構」
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《評価事業》
 大学・高等専門学校・法科大学院の認証評価、大学機関別選択評価、国立大学教育研究評価等を行っています。評価方法の開発及び評価の実績を通じ、大学等の質の向上を支援しています。
《認証評価》
 国・公・私立大学(短期大学を含む。)及び高等専門学校は、その教育研究水準の向上に資するため、教育研究、組織運営及び施設設備の総合的な状況に関し、7年以内ごとに、文部科学大臣が認証する評価機関(認証評価機関)の実施する評価を受けることが義務付けられています。
専門職大学院(法科大学院等)を置く大学は、当該専門職大学院の設置の目的に照らし、教育課程、教員組織その他教育研究活動の状況に関し、5年以内ごとに、認証評価機関の実施する評価を受けることが義務付けられています。
   【学校教育法第109条、同法第123条等】
〇高等専門学校機関別認証評価
 ■高等専門学校機関別認証評価委員会
  高等専門学校からの要請に基づき当機構が行う、教育研究等の総合的な状況についての評価(機関別認証評価)について、審議を行います。
  高等専門学校の校長及び教員並びに社会、経済、文化その他の分野に関する学識経験のある者20人以内で組織されています。
  ●委員一覧(平成28年3月現在)(◎委員長、○副委員長)
   (任期:平成26年5月~平成28年4月)
    氏  名      現   職
    揚 村 洋一郎  東海大学付属仰星高等学校中等部・高等学校 校長
    荒 金 善 裕  前 東京都立産業技術高等専門学校長
    池 田 雅 夫  大阪大学特任教授
    井 上 光 輝  豊橋技術科学大学理事・副学長
   ◎落 合 英 俊  九州大学名誉教授
    小 島   勉  九州大学名誉教授
    米 谷   正  九州大学名誉教授富山高等専門学校名誉教授
    谷 垣 昌 敬  京都大学名誉教授
    丹 野 浩 一  前 一関工業高等専門学校長
    徳 田 昌 則  東北大学名誉教授
    長 島 重 夫  元 株式会社日立製作所教育企画部シニアコンサルタント
   ○長谷川   淳  北海道大学名誉教授
    廣 畠 康 裕  大学評価・学位授与機構特任教授
    武 藤 睦 治  長岡技術科学大学名誉教授
    柳 下 福 藏  前 沼津工業高等専門学校長
    吉 川 裕美子  大学評価・学位授与機構学位審査研究主幹
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