市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

いまひとつしっくり来ない伊勢崎市の夜間保育所創設事業に関する公開質問への回答

2012-02-19 14:03:00 | オンブズマン活動
■平成23年10月31日に、市民オンブズマン群馬事務局あてに伊勢崎市民のかたからメールが届きました。内容は、伊勢崎市にはオンブズマン制度がないため、市民オンブズマン群馬を通じて伊勢崎市に対して、同市の夜間保育所創設事業について質問してほしい、というものです。

 さっそく市民オンブマン群馬の会員で伊勢崎市に在住する会員の協力を得て、次の内容の公開質問状を作成して提出しました。
**********
【伊勢崎市への公開質問状】
2011年11月4日
伊勢崎市長 五十嵐清隆様
市民オンブズマン群馬
                    代表 小川  賢
                    伊勢崎市会員 ■■
公 開 質 問 状
 貴職におかれましては、伊勢崎市域の均衡ある発展を目指し、市民の暮らしを最優先にした思いやりのある市政運営に邁進されていることに対して、伊勢崎市民として敬意を表します。
 さて、伊勢崎市が計画している夜間保育所の創設事業について、インターネットに伊勢崎市の行動計画が掲載されています。shp.pdf これによると、平成23年度に夜間保育所創設事業の実施が予定されています。このことに関して、大変重要な次の3つの事項「事業計画に至るプロセス」、「事業実施法人の選定」、「事業事態の妥当性」について質問させていただきます。
1.事業計画に至るプロセスについて
 公表されている資料から、夜間保育所創設事業が計画されるまでのプロセスを辿ってみると、当該事業の実施根拠となる伊勢崎市次世代育成支援行動計画は、平成17年度を初年度とし平成21年度までの5年間を前期、平成22年度から平成26年度までの5年間を後期とする、2期10年間を計画期間としています。
 これは、すなわち、基本的に計画期間は10年間であることを意味します。仮に5年目に見直しを行ったとしても、方針の大幅な変更には相当の理由及び根拠が必要です。
 各行動計画の中では、『施策の方向性』及び『目標事業量』が計画されており、ここに夜間保育所についても記述があります。
 前期計画をみてみると、施策の方向性について、「需要が発生した場合は延長保育事業実施施設での延長時間を拡大することにより対応することを検討していきます(前期計画P.131)とあります。
 ところが後期計画ではこの方向性が一変し、26年度目標として1か所の創設ということになっています(後期計画P.99)。
 前期計画を見直し、後期計画策定の基礎資料と得ることを目的として、伊勢崎市はニーズ調査を行っていますが(後期計画P.21)、これによると『今後利用したい保育サービス』の中に『夜間保育』という項目は見当たりません(後期計画P.24)。
 前期計画で定められた方向性を180℃転換する根拠が見当たらない、もしくは全く市民に説明されていない、にもかかわらず、なぜ夜間保育所を創設するという結論に至ったのでしょうか。きちんと説明願います。
2.事業実施法人の選定について
 公益性の高い事業を実施する対象の選定方法としては、透明性の確保が大前提です。よって、原則として広報などでの公募を行い選定委員会によって選定されるというプロセスがとられるはずです。
 しかし23年度事業にもかかわらず今までのところ広報に掲載されていないところを見ると、今回はそのような基本的プロセスが一切とられず事業実施に至ってしまうのでしょうか。原則的な選定方法に拠らなかった理由について、きちんと説明願います。
3.事業自体の妥当性について
 夜間保育所について、国は開所時間をおおむね午前11時から午後10時までの保育所であると定めています。
3-1.まず、この時間帯に日常的に利用したいというニーズがあるのでしょうか。
3-2.万一、夜間保育のニーズがあったとしても、この時間帯の保育を日常的に行うことを積極的に推進していくことが、伊勢崎市のメッセージとして果たして適切なのでしょうか。
3-3.さらに、小学校進学後のサービスの連続性についてはどう考えているのでしょうか。
3-4.併せて夜間学童保育も計画されているということなのでしょうか。
3-5.そもそも、伊勢崎市内の保育所は延長保育を行っています。前期計画で述べられているとおり、これらの保育所での延長保育をさらに数時間延ばせるようにし、緊急的な一時利用などにも対応できるようにするほうが、利用者のアクセス面や利便性、費用対効果の面からもはるかに優れているのではないでしょうか。
 以上の通り、本件では利用者を第一に考えた事業計画が成されているとは到底思えません。伊勢崎市の夜間保育所創設事業には合理的に説明のつかない点が多々みられます。
 想定した利用希望数を満たせない場合の対応や責任の所在についても一切不明です。
 是非、これらの疑問点を市民に明らかにしていただき、事業計画の見直しを図り、市民や行政サービスの利用者の方向を向いた行政が行われてほしいと願うものです。
 なお、本質問状は貴職に提出する際に記者会見で明らかにし、また貴職のご回答を得た上で、あるいは得られなかったときに、再度記者会見で回答の有無及び内容を明らかにしてまいりたいと考えます。同時にその経過を含めて当市民オンブズマン群馬のホームページ上でも明らかにし広く伊勢崎市民に広報してまいる所存です。つきましては、平成23年11月18日(金)限り、下記に郵送又はFAXにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。
             記
市民オンブズマン群馬  事務局長 鈴木 庸
〒371-8010  群馬県前橋市文京町1-15-10
電話 027-224-8567 FAX 027-224-6624
**********

■12月6日に次の回答が伊勢崎市から到来しました。

**********
【公開質問状への回答書】
市民オンブズマン群馬
 代表  小川 賢 様
 伊勢崎市会員 ■■ ■■ 様
 日ごろより、市政にご協力いただきありがとうございます。
 公開質問状の件について、以下のとおり回答いたします。
1 事業計画に至るプロセスについて
 次世代育成支援行動計画は、平成15年に制定された次世代育成支援対策推進法に基づき、全ての家庭、地域、事業所、行政が一体となって子育てに取組む方向性を示し、その効果的な実現に向けて特定の施策を推進していくものであります。この計画は平成17年度から平成21年度までの次世代育成に対する基本的な取組みを方向づけた前期行動計画(以下、「前期計画」という。)、また、その前期計画を中期的に見直した平成22年度から平成26年度までの後期行動計画(以下、「後期計画」という。)をそれぞれ5年ごとに策定し、10年間の集中的・計画的な少子化対策、子育て支援の取組みに道筋を示すものであります。
 前期計画では、保育需要の増加に伴った入所受入枠の拡充、長時間延長保育等の多様な保育サービスに対する需要が確認されたことで、延長保育をはじめとして、一時預かり、休日保育実施保育所の量的拡大を図ることで既存サービスを充実させることを基本的な考え方としておりました。
 この中で延長保育の目標値は、平成21年度までに39施設で実施、最大2時間の開所時間の延長としておりますが、平成20年度の実績検証では42施設において延長保育を実施していますが、2時間の延長は2施設であります。
 しかしながら、社会情勢などの変化に対応するため、後期計画の策定にあたり、平成20年度に改めて子育てサービスに係るニーズ調査を行った結果、後期計画の24ページに記載されている「今後利用したい保育サービス」の設問に夜間保育所はありませんが、延長保育を希望する家庭が12.5%ありました。この内訳は「1日当りの利用希望時間帯」において午後8時までが20.8%、午後9時までが7.8‰、午後9時以降が3.0%で、午後7時以降の保育希望者が全体で41.6‰という結果となっております。
 また、国においても少子化社会対策基本法及び次世代育成支援対策推進法に基づく、各種施策を総合的に推進するため平成16年12月に策定した「子ども・子育て応援プラン」、平成22牛王月に策定した「子ども・子育てビジョン」で、保護者の勤務形態が多様化しているなかで、潜在的な保育ニーズの充足も視野に入れた休日・夜間保育サービスの拡充を推進し、それらの目標を達成するための財政支援を充実させることとしております。
 これらの結果、情勢を踏まえたなかで、後期計画の31ページ基本目標2のなかにあります「多様な働吉方や育児ニーズに対応した子育て支援体制」の整備を図るため前期計画の見直しを行い、特定施策の目標事業量として平成26年度までに夜間保育所を1箇所設置する計画策定に至ったものです。
 なお、計画の策定にあたっては、有識者等の意見を反映させるために必要な措置として、学識経験者、地域活動団体及び各種関係機関の代表者からなる「伊勢崎市次世代育成支援対策地域協議会」により計4回、本市の部課長からなる「伊勢綺市次世代育成支援行勁計画庁内推進会議」により計3回、また、庁内推進会議に「ワーキンググループ」を設置し計11回の会議を行い、計画の方向性・有効性について審議を重ねて検討したものであります。
 さらに、計画の公平性を確保し、透明性の向上を図ることを目的に、広く市民に意見を求めるパブリックコメントを平成22年2月5日から3月8日にかけての実施を経たうえで策定したものであります。
 この後期計画については、市ホームページヘの登載、本所・支所の情報コーナーヘ配置し、市民の方々に広く周知いたしました。
 また、市議会議員をはじめ、公私立保育所(園)、公私立幼稚園、健康管理センター等の子育て関係施設に配布し、関係機関等の周知にも努めております。
2 事業実施法人の選定について
 夜間保育所の設置認可基準につきましては、平成12年3月に厚生省通知により設置経営主体の要件として「生活面への対応や個別的な援助がより一層求められることから、児童の保育に関レ長年の経験を有し、良好な成果をおさめているものであること」とされており、群馬県においても同様の認可基準を定めております。
 このことから夜間保育所の設置に対しては既に保育所を経営している社会福祉法人であることのほか、保育理念においてもより前向きな姿勢と児童の処遇向上に関して相応の技術、経験を有した経営主体が望まれるものであります。
 本市は毎年7月に市内の私立保育園を運営している社会福祉法人に対して、創設、増築、増改築、改築、大規模修繕等の整備区分、また、その実施内容、実施希望年度、概算事業費等を調査項目として、施設整備に係る実施意向調査を行なっております。
 夜間保育所については、前述の後期計画の策定以降の平成22年7月に意向調査を実施した際に、市内の社会福祉法人から創設要望が挙げられましたが、事業の特殊性から他の社会福祉法人からはその実施意向は示されておりません。
 通常保育所の設置認可については、設置対象となる市町村及び通園区域における地域の現状、就学前児童数、保育サービスに対する需要、将来推計資料等及び市町村長の意見書を提出し都道府県が計画の妥当性について分析、審査のうえ、知事が認可するものとされています。
 現在は夜間保育所設置に対して唯一実施意向を示した社会福祉法人を予定事業者として、今後は上述の設置認可申請手順を踏まえ、県担当課と協議を重ねていく予定であります。
3 事業自体の妥当性について
 【3-1~4】
 夜間保育所の基本開所時間における保育ニーズにつきましては、ご質問1の「事業計画に至るプロセスについて」で記述したとおり、後期計画策定にあたっての子育てサービスに係るニーズ調査の結果、夜間保育所の基本開所時間の範囲内における多数の保育サービスの希望が確認されております。
 夜間保育所につきましては、あらゆる環境下にある子どもに対して公平な保育環境を提供することで、子どもを安心して出産し、育児ができるまちづくりを本市の実情に応じて推進、構築していくために必要とされる事業であると認識しております。
 なお、夜間学童保育は後期計画のなかでも目標施策に無いため、現在までのところ実施の予定はありません。
【3-5】
 前期計画では夜間保育所の需要については、延長保育の量的拡大により対応する計画でしたが、平成20年度実績では、2時間の延長は2施設でありました。
 認可保育所が実施する時間外保育については、基本開所時間の11時間(午前7時から午後6時まで)を超えて保育を実施するものでありますが、現在のところ1時間延長の午後6時から7時までが市内認可保育所の通常の延長時間であります。
 午後7時以降の延長保育の拡充が進まない要因として、現在の認可保育所については11時間開所を原則としていることから、既存の保育サービス時間をさらに拡大させるためには、1日8時間の労働原則から保育士を加配置する必要があります。
 夜間の保育需要に対応するためには、個々の保育所においてこの長時間における輪番勤務を行う必要がありますが、これらを実現させることは現在の補助制度、各国の職員雇用に係る実情からも極めて困難な状況にあると言えますので、夜間保育所の創設を計画したものです。
               平成23年12月6日
               伊勢崎市長 五十嵐 清隆
              (福祉部 保育課)
伊勢崎市
〒372-8501
群馬県伊勢崎市今泉町二丁目410番地
TEL 0270-24-5111(代表)
FAX 0270-23-9800
ホームページhttp://www.city.isesaki.lg.jp/
担当部課:福祉部保育課(内線5240)
**********

■どうも、一箇所の特定の市内社会福祉法人との意向表明を重視して、その後の夜間保育所設置が決まって行った観があります。本当に、パブリックコメントをきちんと実施したのか、市内の関係事業者から公平に意見を募ったのか、伊勢崎市からの回答内容だけでは把握できない部分が多々残ります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの情報】
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フリマ中止を巡る未来塾側と市・岡田市長とのバトル・・・逆転判決に不服で上告した岡田市長(その10)

2012-02-19 00:17:00 | 安中フリマ中止騒動
■フリーマーケット開催を巡る市民団体と同代表者への岡田義弘市長の個人的想いと同市長の独善的市政運営に端を発した事件は、平成22年7月に東京高裁に控訴されてから、審議されてきました。そして1年後の平成23年7月13日に判決が出されました。

 岡田市長や市職員の責任をすべて棒引きにした判決内容には問題もありましたが、唯一、市民団体への暴言をあたかも事実のように証明しようとした安中市(実質的には岡田市長)の責任だけが認められ、国家賠償法による損害賠償として5万円が示されました。
■国際的に見て経済一流、政治三流、司法五流といわれる我が国の実情ですが、この中にあって、一審のトンデモ判決からここまで逆転判決を勝ち取るためには容易ではありません。それを成し遂げた関係者には賛辞を送りたいと思います。

 膨大な費用と手間をかけ、法律の専門家のサポートがなければ到底達成できるものではありません。当会もこれまでに行政訴訟に何十回となく携わってきましたが、一度も勝訴できたことはありません。それだけに、うまく戦略を立てて群馬県外の弁護士を起用したことが勝因の一つだと思います。

■ところが、安中市と岡田市長は、反省するどころか、裁判費用は市民らの税金だからいくらでも使えとばかり、東京高裁の判決を不服として、上告手続をとったのでした。

 さっそく、平成23年7月28日付で、次のFAXで顧問弁護士から連絡が来たのでした。

**********
【送付書】
                    平成23年7月28日
受信者  安中市役所 秘書行政課長 吉田 様
発信者  〒370-0801群馬県高崎市上並榎町140番地2
        弁護士 渡 辺 明 男
        TEL 027-363-1341  FAX 027-361-4372
連絡事項 上告状兼上告受理申立書を本日提出したので控を御送りします。委任状と議決書の写しも同封します。
コピーして田島弁護士に御渡し下さい。
**********
【上告状兼上告受理申立書】
                         平成23年7月28日
最高裁判所御中
                 上告人兼上告受理申立人代理人
                 弁護士 渡 辺 明 男
                 弁護士 田 島 義 康
  (379-0192)
  群馬県安中市安中1丁目23番13号
       上告人兼上告受理申立人    安  中  市
       代表者市長          岡 田 義 弘
  (〒370-0801)
  群馬県高崎市上並榎町140番地2
          渡辺明男法律事務所(送達場所)
              電 話 027-363-1341
              FAX 027-361-4372
       上告人兼上告受理申立人代理人
       弁   護   士      渡 辺 明 男
  (〒370-0862)
  群馬県高崎市片岡町1-15-4
              電 話 027-326-3972
              FAX 027-326-6393
       上告人兼上告受理申立人代理人
       弁  護  士        田 島 義 康
  (〒379-0112)
  群馬県安中市岩井638
       被上告人兼上告受理相手方   地域づくり団体未来塾
       代表者代表          松 本 立 家
 上記当事者間の東京高等裁判所平成22年(ネ)第4137号損害賠償等請求控訴事件について、平成23年7月13日判決の言渡があり、平成23年7月15日判決正本の送達を受けましたが、一部不服であるから上告兼上告受理の申立をする。
             原判決の表示
             主    文
1 控訴人地域づくり団体未来塾の控訴に基づき、原判決中控訴人地域づくり団体未来塾に関する部分を次のとおり変更する。
(1) 被控訴人安中市は、控訴人地域づくり団体未来塾に対し、5万円及びこれに対する平成19年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 控訴人地域づくり団体未来塾のその余の請求をいずれも棄却する。
2 控訴人松本立家の控訴を棄却する。
3 訴訟費用は、控訴人地域づくり団体未来塾と被控訴人安中市との関係では、第1、2審を通じて80分し、その1を被控訴人安中市の負担とし、その余を控訴人地域づくり団体未来塾の負担とし、控訴人地域づくり団体未来塾と被控訴人岡田義弘との関係では、控訴費用を控訴人地域づくり団体未来塾の負担とし、控訴人松本立案と被控訴人らの関係では、控訴費用を控訴人指本立家の負担とする。
4 この判決の第1項(1)は、仮に執行することができる。
             上告の趣旨
1 原判決中、上告人敗訴部分を取消す。
2 被上告人の請求を棄却する。
3 上告費用は被上告人の負担とする。
           上告受理中立の趣旨
1 本件上告を受理する。
2 原判決を破棄し、さらに相当の裁判を求める。
          上告兼上告受理中立の理由
 追って上告理由書及び上告受理中立理由書を提出する。
             添 付 書 類
1 訴訟委任状                 1通
1 市議会の議決書               1通
**********

■そして、それに先立って、前日の平成23年7月27日に、安中市の顧問弁護士に上告の訴訟委任をしました。

**********
          訴訟委任状
                    平成23年7月27日
   〒379-0192  住 所 群馬県安中市安中1丁目23番13号
           委任者 安 中 市
           上記代表者 市長岡田義弘
私は、次の弁護士を訴訟代理人と定め、下記の事項を委任します。
        弁護士  渡 辺 明 男
   〒370-0801 住 所  群馬県高崎市上並榎町140番地2
            渡辺明男法律事務所
        TEL  027-363-1341
        FAX  027-361-4372
        弁護士  田 島 義 康
   〒370-0862 住 所  群馬県高崎市片岡町1丁目15番4号
            田島義康法律事務所
        TEL  027-326-3972
        FAX  027-326-6393
              記
第1 事 件
 1 上告人   安 中 市
 2 被上告人  地域づくり団体未来塾
 3 原審の   東京高等裁判所平成22年(ネ)第4137号
   事件名等  損害賠償等請求控訴事件
第2 委任事項
 上記事件につき、`上告兼上告受理の申立て、復代理人の選任その他必要な件
*********

■さらに、今度は被告、被控訴人ではなく「上告人」であるため、議会の議決が必要だとして、緊急に市議会を招集して、同じく安中市土地開発公社の顧問弁護士を頼んだことのある田島義康弁護士も一緒に起用して、万全の体制を自負して、再度、無駄な公金を使うことに決したのでした。

**********
上告の提起及び上告受理の申立てについて
 東京高等裁判所平成22年(ネ)第4137号損害賠償等請求控訴事件に係る平成23年7月13日の同裁判所の判決について、最高裁判所に上告の提起及び上告受理の申立てをしたいので、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第1項第12号の規定により、議会の議決を求める。
               記
1 上告の相手方(被上告人)
  群馬県安中市岩井638番地
  地域づくり団体未来塾
  上記代表者 代表 松 本 立 家
2 上告の趣旨
  原判決中、上告人兼上告受理申立人安中市敗訴部分を破棄し、さらに相当の裁判を求める。
3 上告受理の申立ての趣旨
  原判決には、民事訴訟法(平成8年法律第109号)第318条第1項の事由があるので上告を受理されたく申立てるもの。
4 事件の概要
(1)相手方未来塾及び同代表者(以下「相手方ら」という。)が開催してきたフリーマーケットに関して、平成19年9月10日に意見交換会が行われた。その意見交換会の内容について、市長執筆の市長談話として広報紙に掲載したところ、虚偽の記事により相手方らの名誉が毀損された等と主張して、本市及び市長個人に対し、損害賠償等を求める訴えが前橋地方裁判所高崎支部に提起された。
(2)本市及び市長個人がこれに応訴したところ、前橋地方裁判所高崎支部は、平成22年5月27日、相手方らの請求は理由がないとして、請求を棄却する判決(以下「第一審判決」という。)を言い渡した。
(3)相手方らは、平成22年6月2日、第一審判決に不服があるとして、東京高等裁判所に対し、第一審判決の取消し等を求める控訴を提起した。
(4)本市及び市長個人は、市長談話によって相手方らの社会的評価は低下していないため、第一審判決は正当であることを理由に応訴した。
(5)東京高等裁判所は、平成23年7月15日、市長談話の一部により相手未来塾の社会的評価が低下したと認め、国家賠償法に基づき本市に対し金5万円の侵害賠償金の支払を命じる等の判決(以下「原判決」という。)を言い渡した。
(6)本市は、原判決の判断に一部不服があるので、上告の趣旨記載のとおりの判決を求めて、最高裁判所に対し上告の提起及び上告受理の申立てをするものである。
  平成23年7月27日提出
                        安中市長 岡 田 義 弘
原案可決
 平成23年7月27日議決
 この謄本は議決所の原本と相違ありません
 平成23年7月27日
 安中市議会議長 奥原賢一 (議長印)
**********

■そして、あれから半年が経過した今月2月7日付で、早くも最高裁から上告棄却通知が来たという報道がマスコミで流されました。当会も現在、上告申立理由書や判決文など、詳しい情報の入手に務めている最中です。

【ひらく会情報部・この項おわり】

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フリマ中止を巡る未来塾側と市・岡田市長とのバ・・・ついに逆転判決がでた東京高裁での攻防(その9)

2012-02-18 00:23:00 | 安中フリマ中止騒動
 フリーマーケット開催を巡り平成19年9月に市民団体と安中市側の間で、市長室で開かれた意見交換会でのやりとりが、虚偽の内容で安中市の広報に掲載され、市民団体と同代表者のイメージを著しく汚され名誉を傷つけられたとして市民団体と代表者が平成20年9月に安中市と岡田氏を相手取り提訴した事件は、平成23年7月13日に東京高裁で控訴審の判決が言い渡されました。7月15日に安中市の顧問弁護士のところに判決文が届き、実質的に東京高裁は市民団体と代表者の主張を認めざるを得ませんでした。判決内容は次のとおりでした。

**********
【控訴審の判決文】
平成23年7月13日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 林正人
平成22年(ネ)第4137号損害賠償等請求控訴事件(原審・前橋地方裁判所高
崎支部平成20年(ワ)第492号)
口頭弁論終結日 平成23年2月21日
            判    決
   群馬県安中市岩井609-1
      控    訴    人     松   本   立   家
   群馬県安中市岩井638
      控   訴   人       地域づくり団体未来塾
      代 表 者 代 表       松   本   立   家
      上記控訴人ら訴訟代理人弁護士  山   下   敏   雅
                      中   城   重   光
                      寺   町   東   子
                      後   藤   真 紀 子
                      吉   田   隆   宏
                      高   城   智   子
                      山   口   裕   未
                      釜   井   英   法
                      青   木   知   己
                      登   坂   真   人
                      船   崎   ま   み
                      寺   田   明   弘
   群馬県安中市安中1丁目23番13号
      被  控  訴  人      安     中     市
      代 表 者 市 長       岡   田   義   弘
      上記訴訟代理人弁護士      渡   辺   明   男
   群馬県安中市野殿969番地
      被  控  訴  人      岡   田   義   弘
            主    文
1 控訴人地域づくり団体未来塾の控訴に基づき,原判決中控訴人地域づくり団体未来塾に関する部分を次のとおり変更する。
(1) 被控訴人安中市は,控訴人地域づくり団体未来塾に対し,5万円及びこれに対する平成19年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 控訴人地域づくり団体未来塾のその余の請求をいずれも棄却する。
2 控訴人松本立家の控訴を棄却する。
3 訴訟費用は,控訴人地域づくり団体未来塾と被控訴人安中市との関係では,第1,2審を通じて80分し,その1を被控訴人安中市の負担とし,その余を控訴人地域づくり団体未来塾の負担とし,控訴人地域づくり団体未来塾と被控訴人岡田義弘との関係では,控訴費用を控訴人地域づくり団体未来塾の負担とし,控訴人松本立家と被控訴人らの関係では,控訴費用を控訴人松本立家の負担とする。
4 この判決の第1項(1)は,仮に執行することができる。
            事実及び理由
第1 控訴の趣旨
 1 原判決を取り消す。
 2 被控訴人らは,控訴人松本立家に対し,連帯して,400万円及びこれに対する平成19年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 3 被控訴人らは,控訴人地域づくり団体未来塾に対し,連帯して,400万円及びこれに対する平成19午12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 4 被控訴人らは,連帯して,被控訴人安中市が制作する「おしらせ版あんなか」に原判決別紙1記載の記事を原判決別紙2記載の条件で1回掲載せよ。
第2 事実の概要
 1 本件は,控訴人地域づくり団体未来塾(以下「控訴人未来塾」という。)及びその代表者である控訴人松本立家(以下「控訴人松本」という。)が,被控訴人安中市(以下「被控訴人市」という。)発行の広報誌に掲載された被控訴人市の市長である被控訴人岡田義弘(以下「被控訴人岡田」という。)執筆に係るフリーマーケット開催についての意見交換会に関する記事によって控訴人らの名誉が毀損された等と主張して,被控訴人岡田に対し,不法行為に基づく損害賠償として,被控訴人市に対し,被控訴人岡田の行為についての国家賠償法1条1項若しくは民法715条1項(使用者責任)に基づく損害賠償又は上記広報誌の編集,発行及び配布等を担当した職員等の行為についての国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として,連帯して,各控訴人につき400万円及びこれに対する上記広報誌配布後である平成19年12月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,被控訴人らに対し,民法723条に基づく名誉回復処分として,被控訴人市発行の広報誌への謝罪文の掲載を求める事実である。
 原判決は,控訴人らの請求をいずれも棄却し,控訴人らは,これを不服として控訴した。
2 事案の概要の詳細は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要」の2,3に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 原判決3頁15行目末尾に「控訴人未来塾は,平成13年群馬銀行環境財団賞(主催・群馬銀行環境財団)を,平成19年6月25日群馬ふるさとづくり賞(主催・群馬県地域づくり協議会(事務局=県地域創造牒),読売新聞前橋支局,NHK前橋放送局)を,同年11月22日あしたのまち・くらしづくり活動賞・振興奨励賞(主催・財団法人あしたの日本を創る協会)等を各受賞した(甲26,31の4・5,乙10)。」を加える。
(2) 同4頁4行目末尾に改行して次のとおり加える。
 「エ 本件意見交換会の数日後,被控訴人市は,控訴人未来塾に対し,本件公園の使用を許可する方針であることを連絡した。しかし,控訴人未来塾は,本件意見交換会の結果を踏まえて,本件フリーマーケットの開催は困難と判断し,上記連絡のあった時点では,既に関係者に対し中止を通知していた。結局,本件フリーマーケットの開催は中止され,新聞各社は,同年10月20日から同年11月4日にかけて,この件について報道した(甲2の1ないし6,丙16の2,丙21)。」
(3) 同4頁9行目の「記載」を「執筆」と改める。
(4) 同6頁17行目末尾の次に「そして,被控訴人市側が丁寧な口調で誠実な態度を採っていたにもかかわらず,控訴人ら側が理不尽で威嚇的な発言を行ったとの印象を一般読者に与えており,人口6万4000人余りの地方都市で円滑な人間関係が大都市と比較しても重視される地域性の下で,話し合いの冒頭から怒鳴るということは,協調性がなく,不誠実な態度を採る独善的な団体であるという印象を与えることにほかならず,控訴人らの社会的評価を著しく低下させるものである。」を加える。
第3 当裁判所の判断
1 本件談話が控訴人未来塾の社会的評価を低下させたか
(1) 判断方法
 本件談話が控訴人未来塾の社会的評価を低下させたか否かを判断する方法は,原判決14頁20行目冒頭から同頁26行目末尾までに記載のとおりであるから,これを引用する。
(2) 本件談話の概要
 本件談話は,被控訴人市の市長である被控訴人岡田が本件意見交換会の経過を市民に伝えるため,執筆したものであり,本件意見交換会の開催日,出席者等を記載した上,話題となった3点についての応答の概要を記載し,それに関連する資料を掲げ,最後に被控訴人岡田の市政に対する心構えと市長である被控訴人岡田の氏名が記載されており,被控訴人市が安中市広報紙発行規則に基づき発行する広報誌である本件掲載誌に掲載され,同市の全戸に配布された。
(3) 本件談話①,③ないし⑦について
 当裁判所も,本件談話①,③ないし⑦が控訴人未来塾の社会的評価を低下させると認めることはできないものと判断する。その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」の1(1),(3)ないし(7)に記載のとおりであるから,これを引用する。
ア 原判決16頁6行目冒頭から同頁9行目末尾までを「本件談話③は,安中市民から被控訴人市に対し,控訴人未来塾がフリーマーケットの会場において募金活動を行っているとの指摘があった事実,これに基づいて,被訴人市側が控訴人未来塾側に対し,募金活動の有無を質問した事実,これに対し,控訴人未来塾側が,震災時に募金活動をしたことがあると答えた事実及び控訴人未来塾が被控訴人市に対して上記募金活動について報告していなかった事実を摘示したものである。」と改める。
イ 同16頁17行目冒頭から23行目末尾までを削除する。
(4) 本件談話②について
ア 本件談話②は,本件意見交換会の開始から出店料の徴収についてまでの応答に関する記載から成っており,冒頭部分において,被控訴人市側が「すみませんが確認させていただきたいのですが」と発言したのに対し,控訴人未来塾側が,冒頭から「目を見て話をしろ」と怒鳴り,披控訴人市側が「静かに話をしましょう。」と応じた事実を摘示し,出店料の徴収に関する部分において,安中市民から被控訴人市に対し,控訴人未来塾がフリーマーケットで出店料を徴収していることを被控訴人市は知っているのかとの指摘があった事実,これに基づいて,被控訴人市側が控訴人未来塾側に対し,出店料として2000円を徴収しているか質問した事実,これに対し,控訴人未来塾側が,2000円の出店料を徴収していると答えた事実を摘示している。
イ このうち出店料の徴収についての応答に関する事実の摘示部分は,控訴人未来塾の社会的評価を低下させるものとは認められない。
ウ しかし,被控訴人市側が,「すみませんが確認させていただきたいのですが」と発言したのに対し,控訴人未来塾側が冒頭から「目を見て話をしろ」と怒鳴り,被控訴人市側が「静かに話をしましょう」と応じたとの事実の摘示は,本件掲載誌の一般読者に対し,市長室という公共の場における市長を交えた話合いの場において,被控訴人市側が控訴人未来塾へ敬意を払い丁重に質問をして協議を開始しようとしたにもかかわらず,控訴人未来塾が,これに耳を貸すこどなく,その冒頭から,協議相手に対する敬意を欠く不穏当かつ不作法な言葉使いで威嚇的な発言を大声でするなど,社会常識上許容することが出来ない独善的な行動を行う団体であり,冷静な協議の相手方たり得ないという印象を与え,控訴人未来塾の前判示の活動を効果的に行う上で重要な,同市の住民の控訴人未来塾やその活動に対する共感を損なうものというべきである。そして,本件談話②が,公共団体である被控訴人市がその広報紙発行規則に基づき発行した公式の広報誌に掲載され,市長自らが執筆した旨の記載まであることに照らせば,一般読者が控訴人未来塾の上記発言に至る経緯などその記載内容の細部についてまで信頼するものと認められることを総合考慮すると,同事実を摘示した本件掲載誌を同市の全戸に配布する行為は,控訴人未来塾の社会的評価を低下させるものと認めるのが相当である。
2 本件談話が控訴人松本の名誉等を毀損したか
(1) 本件談話①,③ないし⑦については,前判示のとおり,控訴人未来塾の社会的評価を低下させるものと認めることはできないのであるから,控訴人未来塾の代表者としての控訴人松本の社会的評価を低下させるものであると認めることもできない。
(2) 本件談話②については,前判示のとおり,控訴人未来塾の社会的評価を低下させる事実の摘示があると認められるが,前記1(4)ウ判示の発言をしたのが,控訴人松本である旨の記載はない上,本件談話には,控訴人未来塾の代表音の氏名も控訴人未来塾から本件意見交換会に出席した者の氏名も記載されておらず,控訴人未来塾の代表者が控訴人未来塾側の他の出席者をして上記の発言をさせたことを推測させる記載もないのであるから,控訴人未来塾の代表者が控訴人松本であることが安中市民に広く知られていたとしても,本件談話②が控訴人未来塾の代表者である控訴人松本個人の社会的評価を低下させるものとは認めるに足りず,その名誉を毀損し,あるいはその人格権を侵害するものと認めることはできない。
3 本件談話②について,損害賠償責任を阻却する事由があるか
(1) 事実の公共性及び目的の公益性について
 本件談話が公共の利害に関するものであることについては,当事者間に争いがなく,本件談話の記載内容,証人長澤和雄(以下「長澤」という。)の証言(原審)及び被控訴人岡田の供述(原審)によれば,被控訴人岡田及び被控訴人市は,被控訴人市の側から本件意見交換会の概要を安中市民に説明するために本件談話を被控訴人市の広報誌に掲載したものであり,その執筆,掲載及び配布行為は,専ら公益的な目的によるものであると認められる。
(2) 摘示事実の真実性,摘示事実が真実であると信じる相当な理由について
ア 被控訴人らは,本件意見交換会の冒頭,被控訴人市側を代表して市長の被控訴人岡田が「すみませんが確認させてください」と言った途端,控訴人未来塾側が「目を見て話をしろ」という趣旨のことを大声で怒鳴り,これに対し,被控訴人岡田が「重箱の隅みたいなことを言わず,もっとおおらかに話しましょう」と言った旨主張し,被控訴人岡田作成の要点筆記(丙17。以下「本件要点筆記」という。)には,これに沿う記載があり,被控訴人岡田の供述(本人尋問(原審)),陳述書(乙17)中にはこれに沿うかのような部分があり,被控訴人市側の本件意見交換会出席者である長澤の証言(原審),同人,堀越久男(以下「堀越」という。)及び佐藤伸太郎(以下「佐藤」という。)の各陳述書(乙4,5,6)中にも,控訴人未来塾側の出席者が大声で上記の発言をした旨の記載がある。
イ しかし,控訴人らは,控訴人未来塾側の出席者が冒頭から「目を見て話をしろ」と怒鳴った事実を否認し,目を見て話をするようにとの発言に至った経緯について,本件意見交換会では最初に募金活動に開する議論があったが,被控訴人岡田が控訴人松本と会話をしているのに控訴人松本の方を全く見ずに話を進めていたため,開始から約15分か経過した時点で,控訴人松本が被控訴人岡田に対し,自分の方を向いて欲しい旨発言したところ,被控訴人岡田がこれに反発する発言をしたことから,松本遥(以下「遥」という。)がこれを諌める発言をした旨主張し,遥が本件意見交換会における応答を録音したものとして提出された録音記録(甲39,40。以下「本件録音記録」という。)には,控訴人らの上記主張に合致する経過が記録されており,本件録音記録中少なくともに本件意見交換会の開始から約15分経過後の控訴人松本と遥の上記各発言に至る応答部分の詳細な内容及び順序については,不自然な点は認められず,甲第60号証も総合考慮すれば,上記の部分について後目の修正や編集が加えられたとは認められない。
 これに対し,被控訴人らは,本件録音記録は編集加工されたものである旨主張し,丙第22号証(日本音響研究所作成)中には,本件録音記録には,30秒毎に時計の長針が移動する際の衝撃音が,509秒付近,899秒付近,1781秒付近の3か所で確認できないことから,上記3ヵ所の前後部分30秒又は30秒の倍数部分を削除した可能性がある旨の記載がある。しかし,甲第60号証(鈴本法科学鑑定研究所作成)は,本件録音記録について分析区間10秒単位で連続分析した結果,特に録音の不適続箇所や異常な箇所は認められず,編集加工された可能性が極めて低いとし,丙第22号証によれば上記長針移動の際の衝撃音が確認されるはずの箇所で上記衝撃音が明確には認められなかったとしている。その上,仮に丙第22号証のいう長針移動の際の衝撃音が確認できない箇所が存在したとしても,このことから直ちに,本件録音記録の冒頭部分が編集されて,本件談話②中前記1(4)ウ判示の控訴人未来塾側の発言が削除されたとは認めるに足りず,前判示のように,本件録音記録における本件意見交換会の開始から約15分経過後の控訴人松本と遥の上記発言に至る部分の応答の詳細な内容及び順序について不自然な点が認められないことを総合考盧すれば,丙第22号証の記載をもって,本件録音記録中の上記部分に開する前記認定判断を左右するには足りず,他にこれを左右するに足りる証拠はない。
 また,被控訴人らは,本件録音記録が無断で録音され,録音後編集が加えられたものであるので,証拠とすることが許されない旨主張する。しかし,本件録音記録中上記の部分について録音編集が加えられたとは認められないことは,前判示のとおりであって,被控訴人らの主張は前提を欠くものであり採用することができない。その上,被控訴人らが明示で録音を承諾したことを認めるに足りる証拠はないものの,本件録音記録は,被控訴人市の市長ら公職にある者が,市長室という公の場で,その職務として開催した本件意見交換会における応答内容を録音したものであり,被控訴人らと控訴人ら間で上記応答内容について記録を残さない旨の合意がされたとは認められず,被控訴人らは,その応答内容の要旨を被控訴人市の広報誌に掲載して関市の全戸に配布し,被控訴人岡田は,上記の応答内容について本件要点筆記を作成して本件訴訟に証拠として提出していることに照らせば,本件録音記録中上記部分を証拠とすることが許されないと解すべき事情は認められず,被控訴人らの主張は採用することができない。
 そして,控訴人松本の供述(本人尋問(原審))及び陳述書(甲50)は,控訴人らの上記主張に沿うものであり,控訴人未来塾側の本件意見交換会出席者である加藤政巳(以下「加藤」という。)及び遥の各陳述書(甲51,52)もこれに沿うものであるところ,控訴人松本の上記供述及び陳述書の記載,加藤及び遥の上記各陳述書の記載は,本件意見交換会の開始から控訴人松本と遥の上記各発言に至る応答の詳細な内容及び順序について不自然な点は認められず,それ自体,合理性を備えたものと認められる。
 これに対し,本件要点筆記の記載の正確性には,疑問のあることが否定できない。すなわち,被控訴人岡田は,本件要点筆記を本件意見交換会の当日である平成19年9月10日及びその翌日に作成した旨供述するところ(本人尋問(原審)),本件要点筆記が23頁からなる詳しい内容のものであり,被控訴人岡田は,本件意見交換会において被控訴人市の代表として控訴人未来塾側と自ら応答をしていることからすると,本件意見交換会の開催中に本件要点筆記の主要部分を筆記し終えたものとは認められず,その相当部分が被控訴人岡田の記憶に基づき作成されたものと認められる。しかし,本件要点筆記が本件意見交換会から時を置かずに作成されたとしても,被控訴人岡田が,時に緊迫する状況下で適切な応答をすることに注意を集中する一方,応答全体について,その詳細な内容及び順序を正確に記憶することには少なからぬ困難が伴うものと認められる上,本件意見交換会の同席者で被控訴人市建設部長であった長澤が,被控訴人岡田が作成した本件掲載誌用の本件談話の原稿を見せられた際,「これは非常に市長の思いこみといいますか,非常に強い文章だったものですから,ちょっとこれ文章強いんじやないですかとは市長には言いました」と証言(原審)し,本件意見交換会における応答について,被控訴人岡田とは異なる印象をもったことが認められる。以上判示の点に,被控訴人市は本件意見交換会について議事録の作成も会話内容の録音もしていないと主張していること,本件録音記録の内容を総合考慮すると,本件要点筆記を作成する基とした被控訴人岡田の記憶の正確性,ひいては,その記載内容の正確性には疑問があるといわざるを得ない。
 また,被控訴人市側の出席者である長渾の証言(原審)及び陳述書(乙4),堀越の陳述書(乙5),佐藤の陳述書(乙6)中には,本件意見交換会において,控訴人未来塾側から「話をするときは目を見て」という趣旨の大声の発言があったとの部分があるものの,その時期についてはあいまいさがあり,本件意見交換会の冒頭,被控訴人市側を代表して,市長の被控訴人岡田が「すみませんが確認させてください」と言った途端,控訴人未来塾側が「目を見て話をしろ」という趣旨のことを大声で怒鳴ったことまでは述べていない。
ウ 上記イ判示の各点に照らすと,本件要点筆記の記載,被控訴人岡田,長澤の各供述及び陳述書,堀越及び佐藤の陳述書などア判示の証拠のみをもって,本件談話②中前記1(4)ウで判示した,本件意見交換会において,控訴人市側が「すみませんが確認させていただきたいのですが」と発言したのに対し,控訴人未来塾側が,冒頭から「目を見て話をしろ」と怒鳴り,被控訴人市側が「静かに話をしましょう。」と応じた事実を認めるには足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
 したがって,本件掲載訪中の本件談話②の上記部分の記載が真実であると認めることはできない。そして,これが本件意見交換会に出席した被控訴人岡田,長澤,堀越及び佐藤の直接体験した事柄であることに照らすと,被控訴人らにおいてこれが真実であると信ずるにつき相当の理由があることを認めるに足りる証拠もない。
4 被控訴人市の責任について
 被控訴人岡田が被控訴人市の市長として,被控訴人市が行った本件意見交換会の概要蜀安中市民に説明するために,本件談話②中前記1(4)ウ判示の部分を執筆して被控訴人市の広報紙発行規則に基づき発行する広報誌である本件掲載誌に掲載させ,安中市の全戸に配布させた行為は,公共団体である被控訴人市の公権力の行使に当たる公務員が職務を行うについてした違法な行為であると認められる。
 したがって,被控訴人市は,控訴人未来塾に対し,国家賠償法1条1項に基づき,控訴人未来塾が本件談話②によって社会的評価が低下したことにより被った損害について賠償する責任を負う。
 そして,前判示のとおり,本件談話②中前記1(4)ウ判示の部分を被控訴人市の広報誌に掲載し,市長が執筆した旨の記載をして同市の全戸に配布する行為は,控訴人未来塾の社会的評価を低下させるものではあるが,他方,本件掲載誌中の本件談話の他の部分の記載からは,控訴人未来塾側が被控訴人市側からの質問に対して平静に回答し,両者間で冷静な協議がなされたことが読み取れることからすると,控訴人未来塾の本件談話②の上記部分による社会的評価の低下の程度はそれほど大きいものであるとは認められず,前判示の違法行為の態様,控訴人未来塾の活動内容など本件に顕れた諸般の事情を総合すると,被控訴人市が控訴人未来塾に金銭賠償すべき額は5万円と認めるのが相当である。
 そして,前判示の違法行為の態様,控訴人未来塾の活動内容,本件談話②の上記部分による社会的評価の低下が上記の程度にとどまることその他本件に顕れた諸般の事情を総合すると,金銭賠償に加えて,被控訴人市に対し名誉回復するに適当な処分(国家賠償法4条,民法723条)まで命じることが相当であるとは認められない。
 なお,控訴人らは,本件掲載誌の編集,発行及び配布等を担当した職員の行為,本件談話の内容を修正させることなく本件談話を本件掲載誌に掲載させた総務部長等の行為並びに広報編集会議を開催しなかった総務部長等の不作為についても,違法行為であると主張しているところ,前判示の事実関係によれば,
 本件談話②中前記1(4)ウ判示の部分は市長である被控訴人岡田が自ら執筆し,これを掲載した本件掲載誌の配布が被控訴人岡田の意に沿うものであることが認められる上,上記各職員が適切な行為を行えば,本件談話②中上記の部分を掲載した本件掲載誌の配布が回避できたことを認めるに足りる証拠はないのであるから,控訴人らの主張する各職員の上記行為と控訴人未来塾の上記損害の発生との間には相当因果関係があるとは認めるに足りない。そして,仮に職員の上記違法行為による被控訴人市に対する損害賠償請求を認容する余地があるとしても,損害額に関する前記説示に照らせば,控訴人未来塾が上記認容額を超える損害を受けたものとは認められない。
5 被控訴人岡田の責任について
 被控訴人岡田が被控訴人市の市長として被控訴人市が行った本件意見交換会の概要を安中市民に説明するために本件談話②中前記1(4)ウ判示の部分を執筆して被控訴人市の広報誌に掲載し,配布させた行為が,公共団体である被控訴人市の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うについてした行為であると認められることは前判示のとおりである。そして,公共団体の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うにつき故意又は過失によって違法に他人に損害を与えた場合には,公共団体がその被害者に対して賠償の責に任ずるのであって,公務員個人はその責を負うものではないと解すべきである(最高裁昭和28年所第625号同30年4月19日第三小法廷判決・民集9巻5号534頁,同昭和49年(オ)第419号同53年10月20日第二小法廷判決・民集32巻7号1367頁参照)から,被控訴人岡田は,控訴人未来塾に対し,控訴人未来塾が本件談話②の上記部分によって社会的評価が低下したことにより被った損害について賠償し,名誉回復処分をする責任を負わないというべきである。
6 結論
 以上によれば,控訴人未来塾の被控訴人市に対する請求は,5万円及びこれに対する不法行為後である平成19年12月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し,控訴人未来塾の被控訴人岡田に対する請求は理由がないから棄却し,控訴人松本の被控訴人らに対する請求は理由がないからいずれも棄却すべきところ,これと一部異なる原判決は不当であり,控訴人未来塾の控訴は一部理由があるから,原判決中控訴人未来塾に関する部分を上記のとおり変更し,控訴人松本の控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
   東京高等裁判所第5民事部
         裁判長裁判官   大   竹   た か し
            裁判官   山   崎   ま さ よ
            裁判官   栗   原   壮   太
これは正本である。
平成23年7月13日
東京高等裁判所第5民事部
     裁判所書記官 林 正人
**********

■この判決文を見ると、次の7つの虚偽記事のうち、結局裁判所が無視できなかったのは②だけでだったことがわかります。
 本件談話①安中市からの回答日と開催準備期間
 本件談話②意見交換会開示直後、松本が怒鳴ったとの点
 本件談話③参加費徴収・募金・市民からの苦情指摘の点
 本件談話④スポーツセンター駐車場利用の点
 本件談話⑤有限会社サワ井商店の点
 本件談話⑥参加費及び寄付金の点
 本件談話⑦罵詈雑言の件

 それ以外は、「当裁判所も,本件談話①,③ないし⑦が控訴人未来塾の社会的評価を低下させると認めることはできないものと判断する」として、一審の前橋地裁高崎支部のトンデモ裁判官で有名な松丸伸一郎判事が下した判決を支持しています。

■しかも、判決文をよく読むと、「被控訴人市は,控訴人未来塾に対し,国家賠償法1条1項に基づき,控訴人未来塾が本件談話②によって社会的評価が低下したことにより被った損害について賠償する責任を負う」とあるにもかかわらず、その認定額は僅か5万円としてうえに、名誉毀損に関わる②にかかる記事については「市長である被控訴人岡田が自ら執筆し,これを掲載した本件掲載誌の配布が被控訴人岡田の意に沿うものであることが認められる上,上記各職員が適切な行為を行えば,本件談話②中上記の部分を掲載した本件掲載誌の配布が回避できたことを認めるに足りる証拠はないのであるから,控訴人らの主張する各職員の上記行為と控訴人未来塾の上記損害の発生との間には相当因果関係があるとは認めるに足りない。そして,仮に職員の上記違法行為による被控訴人市に対する損害賠償請求を認容する余地があるとしても,損害額に関する前記説示に照らせば,控訴人未来塾が上記認容額を超える損害を受けたものとは認められない」として、今回の名誉毀損に加担した市の職員らは岡田義弘市長のいいつけに従っただけなので、責任がないと言っています。

 これでは、安中市のようなイエスマン行政の暴走は一向に収まる方向には向かないでしょう。

■極めつけは、判決文の「5 被控訴人岡田の責任について」とある箇所です。

 そこには「被控訴人岡田が被控訴人市の市長として被控訴人市が行った本件意見交換会の概要を安中市民に説明するために本件談話②中前記1(4)ウ判示の部分を執筆して被控訴人市の広報誌に掲載し,配布させた行為が,公共団体である被控訴人市の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うについてした行為であると認められる」
「そして,公共団体の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うにつき故意又は過失によって違法に他人に損害を与えた場合には,公共団体がその被害者に対して賠償の責に任ずるのであって,公務員個人はその責を負うものではないと解すべきである」(最高裁昭和28年所第625号同30年4月19日第三小法廷判決・民集9巻5号534頁,同昭和49年(オ)第419号同53年10月20日第二小法廷判決・民集32巻7号1367頁参照)
「だから,被控訴人岡田は,控訴人未来塾に対し,控訴人未来塾が本件談話②の上記部分によって社会的評価が低下したことにより被った損害について賠償し,名誉回復処分をする責任を負わないというべきである」
と断じていることです。

 これでは、市長の独裁性をますます助長し、公務員に課せられた「不法行為に遭遇したら告発義務がある」と定めた国家公務員法や地方公務員法が骨抜きになってしまいます。わざわざこのようなコメントを判決文につけた東京高裁の意図は分かりませんが、自らタネをまいた岡田義弘市長がその責任を問われないという裁判所の常識はどうかしているとしか思えません。

 まさか、安中市民が今回の事件で、岡田市長が公費をつぎ込んでいることに対して、住民監査請求をする動きに出るのではないかと事前に心配していた為、公安委員でもある市の顧問弁護士が東京高裁に耳打ちをしたとは思えませんが、なにしろ51億円事件を起こした安中市の体質ですから、あながち空想とも思えません。

■いくらワンマン市長でも、ここまで保護された判決文を見れば、「5万円で済み、謝罪記事も出さずに済み、職員も、そして自分自身にも特に責任をかぶせられる心配はなく、裁判費用は全部安中市民の税金から支払うのだから問題ない」と思うでしょう。

 ところが、我らが岡田義弘・安中市長はそのようなフツーの市長ではなかったのです。とにかく一部でも負けると悔しがる性分です。さっそく顧問弁護士と相談し、市議会の与党会派に根回しをして、なんと上告に向けた準備を始めたのでした。

【ひらく会情報部・この項つづく】

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フリマ中止を巡る未来塾側と安中市・岡田市長とのバトル・・・逆転劇となった東京高裁での攻防(その8)

2012-02-17 00:08:00 | 安中フリマ中止騒動
■未来塾側が満を持して平成23年2月7日に提出した第3準備書面には、わが国を代表する国際的にも著名な㈱鈴木法科学鑑定研究所の代表取締役である鈴木隆雄氏が作成した同1月27日付の意見書が添付されていました。

 これに仰天した岡田市長は、さぞ慌てたことでしょう。しかし、冷静に考えてみれば自ら撒いたタネがこのような事情をわが身にもたらせたことになります。

■平成23年2月21日(月)に東京高裁で開催された第3回口頭弁論に関しては、残念ながら安中市職員の復命書の開示はなぜかありませんでしたが、同日付で、被控訴人として岡田義弘市長が提出した準備書面とそれに添付されている平成23年2月18日付の丙第25号証を見ると、2月7日付の未来塾側の準備書面から実質的に10日間で反論のための書類の作成を行ったことがわかります。

 もちろん、準備書面の活字のフォントを見る限り、いつもの岡田市長の小ぶりなワープロ文字ではなく、大き目の明朝体の活字となっており、犠牲となったのは安中市の職員たちであることは一目瞭然です。

**********
【岡田義弘市長が第3回口頭弁論当日に高裁に提出した準備書面】
平成22年(ネ)第4137号  損害賠償等請求控訴事件
控訴人  松本立家外1名
被控訴人 岡田義弘外1名
              準 備 書 面
                       平成23年2月21日
東京高等裁判所 第5民事部 御中
                    被控訴人  岡 田 義 弘
第1 控訴人らの提出した意見書(甲60)について
1 平成23年1月27日付け(株)鈴本法科学鑑定研究所・鈴木隆雄氏作成の意見書(以下「鈴木意見書」という。)は、以下のとおり信用性がないばかりか被控訴人らの主張に対する十分な反論の証拠となり得ていない。
 そもそも音声データの分析を依頼するのに、音声の第一次記録媒体であるICレコーダ本体は提出せずに、その写しであるCD-Rだけを用いているが、この点に関連して被控訴人安中市が、原審及び前回の準備書面(2)のなかで、ICレコーダを提出しようとしない控訴人らに対して、編集加工が大きく疑われるものであるとして繰り返し批判している。
 訴訟における原本主義に鑑みれば、控訴人らが所有する録音に係る第一次記録媒体によって鑑定を行うのが常道であり、被控訴人安中市の主張に反論するためにも鑑定にあたってはICレコーダをあわせて提出し、その第一次記録媒体とそれを複製したCD-Rの内容が、全く同一であってどちらも編集加工されていないことを同時に立証すべきであった。
 御庁平成20年(ネ)650号各損害賠償、手帳返還等請求控訴事件(乙25)においても第一次記録媒体を提出できないことに対し、証拠の保管ないし提出方法において著しく不自然な点があると第一次記録媒体の重要性を指摘している。
 従って、控訴人らが自分で依頼した鑑定にあたっても、第一次記録媒体であるICレコーダを全く使用しなかったことには理解ができない。
2 控訴人ら提出した鈴木意見書に信用性がないことを立証するため、限られた時間ではあったが、原審において提出した鑑定書(丙22)を作成した日本音響研究所に急濾依頼し、反論の意見書(丙25)の提出を求めた。
 そのなかで、ICレコーダで録音したデジタルデータの場合、編集を行ってもその形跡がわからない場合があり、この主張は前出の平成20年(ネ)650号各損害賠償、手帳返還等請求控訴事件でも採用されていること、衝撃音が見つけられないとしているが、周波数分析図面上でも聴覚上でもはっきりと確認できるものであって、しかも10秒ごとの周波数分析では時計の長針による衝撃音はおよそ0.08秒程度のものであるため、妥当な検証方法ではないことなど、鈴木意見書に信用性がないことを具体的に証明している。
 本来であれば、日本音響研究所としては、鈴木意見書について、時間をかけてより詳細に検証・分析を行ったうえで、意見書を提出したかったようであるが、このように結審直前に提出されたのでは限られた反論しか行えず、紳士的な方法ではなく憤りを感じると結んでいる。
 被控訴人としても、同じ意見であり、時間は十分にあったのだから、訴訟進行上もっと早い段階で鑑定を依頼し提出されるべきであり、故意に遅らせたとするならば許されるものではないと考える。
 また、先の平成20年(ネ)650号各損害賠償、手帳返還等請求控訴事件を参考とするならば、提出された鑑定書が「音声データのすべてについて,周波数分析を行い,音や信号の周波数成分の状態をスペクトログラムに表示し,録音内容の聴取検査をも併用し,本件音声データを検査した結果,合成,修正及び加工された箇所は見当たらず,編集改ざんされた録音ではない」としているにもかかわらず、実際は削除等の加工が施されていた。
 鈴木意見書でも、録音の一部を削除したりする操作をICレコーダに添付されているソフトやパソコンを使って編集処理を行っても、スペクトログラムの解析でその接続箇所の痕跡を抽出することが可能であるとしている(2頁20行目以降)が、先の裁判の例では、スペクトログラムによっても編集改ざんの痕跡を検出することができない可能性は十分残されていることになる。
 つまり、今回控訴人らが提出した鈴木意見書における鑑定も同様な方法で分析しているならば、その信用性が全くないことは明らかである。
 鈴木意見書の結論としても、編集加工された可能性は極めて低いとはしているが、全くないとは断じておらず、ICレコーダで録音したデジタルデータの場合、編集を行ってもその形跡がわからない場合もあることを暗に示している。
3 以上に加えて、編集加工されていないとする鈴木意見書の中で、逆に現場にいた人間でなければわからない、編集加工が大いに疑われる記述がある。
 それは、鈴木意見書の9頁の図19及び図20の検討所見であって、そこに「笑い声のある部分に急に大きな音のため、音が歪んだ箇所がある」という指摘がなされていることである。
 正に、その箇所は意見交換会で控訴人未来塾側の出席者が怒鳴った場面であり、もし、編集加工されていないとするならば、この音の正体はいったい何なのか?
 付言するが、意見交換会のこの場面で急に大きな音が発生した事実は一切ない。
 雑音の類の音であれば、他の図の検討所見と同様に『「ガサガサ」というような雑音、カシッというような音、カツコツというような音』と明確に書かれているはずであり、なぜ、鈴木隆雄氏は「急に大きな音」としか表現できなかったのか、しかもなぜ原因不明の音が問題となっている場面だけに発生しているのか?
 また、図19及び図20の原信号の波形は他の図のものと比較して明らかに異なっているのが見て取れる。
 原審で提出した鑑定書(丙22)においても、本件で争いとなっているこの部分(約899秒反訳書8頁26秒付近)近くで時計の長針による衝撃音が確認されておらず、不自然であるため、この前後部分で削除が行われた可能性があると指摘している(鑑定書7頁1行目~5行目)。
 これらの理由として想定されるのは、この箇所に鑑定によってもわからない何らかの処理がなされているか、鑑定を依頼された鈴木隆雄氏が依頼主である控訴人らの不利とならないように、このような表現しかできなかったとしか考えられない。
 そうでなければ、その場にいた職員、ましてや隣室で仕事をしていた秘書行政課の職員全員が驚いたほどの大きな声が録音されていないわけがない。
 公務員は、真面目な職員ほど保守的で保身主義の傾向があるが、裁判において、意見交換会に出席した部長が3人とも偽りの陳述をすることなど、よほどのことがない限りはあり得ない
 しかも、退職して既に市と関わりを持だない職員が、市又は市長個人のために偽証罪のおそれがある危険を犯すとは到底思えない
第2 名誉毀損について
 本件談話の作成にあたっては、控訴人らの人権には十分配慮し、誰がどのような言動をしたのかわからないように、個人の名前は一切明らかにしなかった。
 一方、団体である未来塾については、県議会議員や市議会議員を有し、マスコミにも多く登場し、市民の未来塾に対する社会的関心は非常に高い。
 このような団体は、選挙で選出される市長等公人と同様に、常に社会的評価や批判にさらされる立場にあるため、名誉保護の範囲が一般の市民や団体よりも、より限定されたものになるべきである。
 また、本件談話は、控訴人らの社会的評価を低下させる内容ではないが、仮に低下させたとしても公共の利害に係る事実であり、先に発行された未来塾ニュースに反論する意味も含めて、市民に意見交換会の内容を知らしめるべく、専ら公益を図る目的で書いたものであって、その内容も真実であるから、免責される性質のものである。
 なお、これまで繰り返し主張してきたとおり、公務員の職務行為に基づく損害賠償請求については、国家賠償法第1条の適用がある限り、公務員個人の責任を追及することができないのは、最高裁判例でも明らかであって、本件控訴はこの点においてはじめから不適法である。
 その他披控訴人岡田義弘の主張及び立証は、披控訴人安中市の主張及び立証を援用する。
                             以 上
【岡田義弘市長の準備書面に添付された証拠説明書】
平成22年(ネ)第4137号 損害賠償等請求控訴事件
原 告  松 本 立 家 タト1名
被 告  岡 田 義 弘 外1名
          証  拠  説  明  書
                            平成23年2月21日
東京高等裁判所民事第5部 御中
                   被控訴人 岡 田 義 弘
号証/標目/作成年月日/作成者/立証趣旨
丙25/意見書Z・原本/平成23年2月18日/日本音響研究所/意見書(甲60)に信用性がないこと
【丙第25号証】
                    日音研発第2260号
                    2011年2月18日
群馬県安中市野殿969番地
 岡田義弘様
                    東京都渋谷区鷹ヶ谷1-38-7
                    日本音響研究所
                     所長 鈴木松美
                  主任研究員 鈴木 創
             意見書
 2011年2月10日に群馬県安中市野殿969番地 岡田義弘より依頼のあった、株式会社鈴本法科学鑑定研究所・鈴木隆雄作成の、甲第60号証、平成23年1月27日付意見書(以下鈴木隆雄意見書という)に対する意見を報告する。

 ICレコーダで録音したようなディジタルデータの場合、編集を行ってもその形跡はわからない場合もある。
 特に鈴木隆雄意見書で例として挙げられている編集の形跡(参考図1及び2)は、耳で聞いてもはっきりわかる程度のバックノイズが異なる箇所をつないでいるものであり、証拠の内容を改ざんする目的がある場合には、バックノイズがはっきりと変化する箇所をつなぐことは、編集に関して知識があまりない人間が行っても考え難いことである。
 東京高等裁判所の判例(※に事件番号)でも鈴木隆雄氏のこの類の見解は一蹴されており、当研究所が主張するディジタルデータの場合には編集されたとしてもその形跡は明らかにすることは出来ない場合もあるという主張を採用されている。
※東京高等裁判所の事件
平成20年(ネ)第650号各損害賠償,手帳返還等請求控訴審件
 (原審・東京地方裁判所平成17年(ワ)第15151号〔第1事件],第15738号〔第2事件〕,第23436号〔第3事件〕)

 編集された範囲を明らかにしていないとの指摘だが、当方はそもそも編集された箇所が非常に判別しがたいと主張しているので当然である。
 また、KAY社のCSLを用いて全体的なバックノイズの傾向よりバックノイズによる編集された形跡は見つけられないといった結果、及び時計の長針による衝撃音の時間的・周波数的特徴の明示を行ったが、長針による衝撃音は、周波数分析を参考にしながら、SONY製のSoundForge8.0dというソフトウェアを用いて、聴覚上での確認を併せて行っており、CSLの時間分解能よりも詳細な数値を得ている。

 鈴木隆雄意見書では衝撃音が見つけられないとしているが、周波数分析図面上でも聴覚上でもはっきりと確認出来るものであり、鈴木隆雄氏は何を根拠にそのような主張をされているか不明である。
 また、鈴木隆雄意見書では10秒ごとに周波数分析を行って、時計の長針による衝撃音が見当たらないと主張しているが、時計の長針による衝撃音はおよそ0.08秒程度のものであり、10秒間隔で確認しても見つけることは非常に難しく、時間軸の設定を衝撃音が確認しがたい数値にするなど妥当な検証方法であるとは到底言えない。

 マスキング効果によって衝撃音が確認しがたい部分があるのは、会議の録音であるので致し方ないものであり、当方は衝撃音が確認出来ない部分があったことがそのまま編集の形跡であるとは主張していない。
 あくまでも、衝撃音の時間間隔のズレが生じていることについて論じているものであり、編集された形跡として看過できない情報であると考える。

 結審直前にこのような意見書を提出することにより、当方による鈴木隆雄意見書の検証・反論の時間を与えない手法は非常に紳士的な方法論ではないものであり憤りを感じる。
                                 以下余白
**********

■こうして、一審の前橋地裁高崎支部で敗訴した未来塾が、起死回生をかけて、東京高裁に控訴してからおよそ7ヶ月に及んだ二審が結審したのでした。

 最後にドタバタを露呈した安中市側のとくに岡田義弘市長としては、忸怩たる想いで控訴審の幕切れをみていたことでしょう。しかし、実際にはその余韻に浸るまもなく、それからわずか3週間後には東日本大震災が勃発したのでした。

 第3回口頭弁論での審議の内容が不明な為、そのためかどうか理由は定かではありませんが、判決までに随分時間がかかりました。結局、判決が出たのは平成23年7月13日だったのでした。

【ひらく会情報部・この項つづく】

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フリマ中止を巡る未来塾側と安中市・岡田市長とのバトル・・・逆転劇となった東京高裁での攻防(その7)

2012-02-16 12:03:00 | 安中フリマ中止騒動
■未来塾側が安中市側を訴えた損害賠償控訴請求事件は、第1回口頭弁論が平成22年10月18日(月)午後1時50分~、第2回口頭弁論が平成22年12月20日(月)午前11時30分から東京高等裁判所第5民事部511号法廷で開かれ、平成23年2月21日(月)予定の第3回口頭弁論で結審することになりました。そのため、年明けから両者では、最後の仕上げを目指して活発な動きが展開されました。

 最初に、ドーンとこれでもかとばかりに準備書面を提出してきたのは、控訴人の未来塾側です。最後の最後に、岡田市長が見つけてきたイカガワシイ鑑定書に対する決定打として、株式会社鈴木法科学検定研究所が作成した「意見書」を甲第60号証として証拠提出するための「第3準備書面」を平成23年2月7日付で東京高等裁判所に提出したのでした。
**********
【控訴人が提出した第3準備書面】
平成22年(ネ)第4137号 損書賠償等請求控訴事件
控訴人(一審原告)  松本立家 外1名
被控訴人(一審被告) 岡田義弘 外1名
          第 3 準 書 面
                       平成23年2月7日
東京高等裁判所 第5民事部 御中
        控訴人(一審原告)ら訴訟代理人
                  弁護士  山 下 敏 雅
                  同    中 城 重 光
                  同    釜 井 英 法
                  同    登 坂 真 人
                  同    寺 町 東 子
                  同    後 藤 真紀子
                  同    青 木 知 己
                  同    吉 田 隆 宏
                  同    船 崎 ま み
                  同    寺 田 明 弘
                  同    高 城 智 子
                  同    山 口 裕 末

第1 -審被告岡田の提出した「鑑定書」(丙22)に信用性のないこと
1 時計の針の音のズレを前提としても論理に重大な誤りがあること
 一審被告岡田の提出した,日本音響研究所所長鈴木松美「鑑定書」(丙22)は,意見交換会の録音記録(甲39)について,市長室内の時計の針の音のズレを根拠として,編集加工されたものと結論づけている。
 しかしながら,その針の音が「鑑定書」に記載されているとおり存在することを前提としてもその論理に重大な誤りがあることについては,すでに本件控訴審の一審原告第1準備書面7頁以降に詳述したとおりである。
2 「鑑定書」の時計の針の音の分析結果自体に根本的な誤りのあること
(1) さらに,別の専門家によれば,「鑑定書」が前提とする市長室内の時計の針の音の分析結果自体にも,根本的な誤りが存する。
(2) すなわち,元警察庁科学警察研究所副所長の鈴木隆雄によれば,鈴木松美が「鑑定書」で使用した分析機器のサンプリング周波数は22050Hz程度,分解能は1024ポイントであり,時間分解能は約0.05秒程度にすぎない。しかるに,「鑑定書」別表8では,時間分解能が小数点以下5析まで示されているものがある。これは,「メモリが1mmしか測れない物指しで0.1mmを測っているようなもので,まったく意味がない」ものである(甲60:3頁)。
 また,「鑑定書では長針の衝撃音の分析結果として別添7のスペクトログラムが添付されているが,①この衝撃音の分析結果が,原録音のどの部分から抽出されたか明示されておらず,本当に衝撃音であるか否かも不明であり,また,②衝撃音の立ち上がりから減衰までに約0.08秒程度の時間があり,「鑑定書」が衝撃音の時間の測定をどの部分で行っているのかの明示もない(甲60:3頁)。
 さらに,「鑑定書」の別添3~6の周波数分析結果の図からは,長針の衝撃音を読み取ることは不可能である(甲60:3頁)。
(3) 「鑑定書」8頁の番号15から2 1 1までの各部分に表示された時間を含む2分間の区間について,鈴木隆雄が周波数分析を行い,そのスペクトログラムを検討したものが,甲60号証の4真の表1及び添付の図3から図10である。
 これについて鈴木隆雄は,「表1で示したように日音研鑑定言に記載されている部分について検討したが,30秒毎の長針の衝撃音は,明確には認められなかった」と結論づけている(甲60:5真)。
(4) さらに,「鑑定言」で30秒の長針衝撃音の欠落がないとされている番号10から14の部分の2分間について,鈴木隆雄が10秒ずつ区切って周波数分析を行い,そのスペクトログラムを分析しだものが,甲60号証の5頁の表2及び添付の図11である。
 これについて鈴木隆雄は,「表2では,2分間の録音を10秒区間毎に連続で分析しているので,もし30秒毎の長針の衝撃音が明確な音であれば,少なくとも3個は認識できるはずでさるが,明確には認められなかった」と結論づけている(甲60:7真)。
(5) もし30秒毎の長針の衝撃音が明確な音ではなく小さな音であるとするならば,少なくとも現場で同じような録音実験を行い,そこに収録されている長針の衝撃音と比較して説明すべきである(甲60:7真)。しかし,「鑑定書」にはそのような実験を行い,比較した説明は一切ない。
 正確に鑑定を行うのであれば,時系列的に30秒毎の長針の衝撃音の存在を示す分析スペクトログラムを示し,さらに衝撃音の詳細な分析を2個以上示して初めて科学的な鑑定といえるが,「鑑定書」ではそのような分析はない。
(6) 鈴木隆雄は,概要,以上のように分析したうえで,「日音研の鑑定書を根拠にした論議は,日音研の時刻鑑定の物理的な合理性が無いことから,基本的に成り立だない」と結論づけている(甲60:7頁)。
3 小括
 以上のとおり,被告岡田の提出した「鑑定書」(丙22)は,市長室の針の音が「鑑定書」記載の通りであることを前提としてもその論理に重大な誤りがあるだけでなく,そもそもその針の音の鑑定結果自体に合理性がなく,いずれにしても信用性はない。
第2 録音記録(甲39)が編集加工されていないこと
1 デジタル録音の改ざんの検出可能性
 ICレコーダーのようなデジタル式の録音機では,アナログ式の録音機のようなスイッチ信号の検出はできないものの,スペクトログラムの解析でその接続箇所の痕跡を抽出することが可能である。
 周囲の暗騒音がほとんど入らないようなスタジオで少人数の音声が録音されたような場合であれば編集箇所を検出することは困難であっても,本件のような一般の録音では,対象となる会話音声の他に,必ず背景音が入る。この背景音まで偽装することは極めて困難である(甲60:2頁,7頁以降)。
2 不連続箇所・異常録音箇所のないこと
 鈴木隆雄が録音記録(甲39)の録音すべてについて,10秒毎に録音の不連続箇所・異常箇所の有無を分析した結果,周波数分析をした結果を具体的に表3及び図12~26で示したうえ,「録音の最初部分にガサガサとこすれるような大きな音があり,また,録音の途中にもガサガサという音,カシッという言うような音やコツコツと何かにぶつかるような幾つかの雑音のある箇所はあるが,特に録音の不連続箇所や異常な箇所は認められなかった。
 また,笑い声のある部分とその付近に急に大きな音のあったため音が歪んだ箇所があるが,特に録音の不連続箇所や異常な箇所は,認められなかった」と結論づけている(甲60:11)。
 特に,鈴木隆雄は,本訴訟で争いとなっている,一審被告岡田の「確認をですね/さしていただきたいと考えております」との発言の前後部分(図12~14),及び,一審原告松本の「市長さん.お話しているのは私ですから,できれば私の方に向いていただけるとお答えもしやすいんですが」との発言の前後部分(図18~20)の部分も,具体的に分析結果を示したうえで,上記の通り結論づけている(表3)。
3 鈴木隆雄による結論
 鈴木隆雄は,以上の分析結果から,
「 資料(1)の録音〔注:甲39号証の録音記録〕は編集加工された可能性は,極めて低い」
と結請づけている。
第3 鈴木隆雄の経歴・実績,及び,その鑑定結果の信用性が高いこと
 鈴木隆雄は,元警察庁科学警察研究所副所長であり,多数の刑事事件・民事事件で鑑定実績があり(甲60内「鈴木隆雄 経歴書」),その鑑定結果の信用性は極めて商い。
 本件控訴審の一審原告第1準備書面13頁以降で述べたとおり,損害賠償請求訴訟である東京地方裁判所平成12年5月30日判決(判例時報1719号40頁),及び√強姦殺人事件の再審請求事案である札幌高等裁判所平成13年2月16日決定(判例タイムズ1057号268頁)において,裁判所はいずれも,鈴木松美(木訴訟における丙22号証「鑑定書」の作成者)の鑑定意見を排斥し,この鈴木隆雄の鑑定意見を採用している。
                            以上

【控訴人が提出した証拠説明書】
平成22年(ネ)第4137号 損害賠償等請求控訴事件
控訴人(一審原告)  松 本 立 家 外1名
被控訴人(一審被告)  岡 田 義 弘 外1名
           証拠説明書
                      平成23年 2月 7日
東京高等裁判所第5民事部 御中
          控訴人(一審原告)ら訴訟代理人
                 弁護士  山 下  敏 雅  外
号証/標目/作成年月日/作成者/立証趣旨
甲60/意見書・原本/平成23年1月27日/鈴木隆雄/鈴木松美作成の「鑑定書」(丙22)が前提とする市長室内の時計の針の音の分析結果自体に根本的な誤りが存すること,録音記録(甲39)に不連続・異常箇所がなく,「編集・加工された可能性は極めて低い」こと,意見書作成者の経歴・実績等

【甲第60号証】
      平成23年1月27日
  意 見 書
(株)鈴本法科学鑑定研究所
  鈴 木 隆 雄
<意 見 書>
 平成22年11月17日付けで、東京パブリック法律事務所山下敏雅弁護士殿より下記の録音の鑑定についての意見書の作成を依頼されたので、鈴本法科学鑑定研究所の鈴木隆雄が次のように検討し、意見書を作成したので報告致します。
1.意見を求められた事項
(1)「丙第22号証」2009年12月15日付けの日本音響研究所鈴木創並びに鈴本松美作成の鑑定言に記載されている鑑定経過と鑑定結果は適切か否か。
(2)資料のCDに録音されている内容は編集改ざんされているか否か。
2.資料
 資料(1)音声データ(甲第39号証) CD・R 1枚
 資料(2)丙22号証(日本音響研究所作成鑑定書) 副本 1部
 資料(3)甲40号証(反訴)     写し 1部
 資料(4)原告第4準備書面      写し 1部
 資料(5)甲48号の1~3      写し各1部
 資料(6)準備書面(2)       写し 1部
3.各資料について
① 資料(1)音声データ(甲第39号証)のCD-Rについて
 資料(1)は、写真1に示したように、CDのケースとCDの表面に「甲第39号証」と記載されたシールが貼られている。
 その内容をパソコンで開くと、分析図1に示したようにWAV形式の録音で「意見交換会(07.9.10)」.というファイル名で保存されている。
② 資料(2)は、日本音響研究所作成の鑑定言で、表紙に「丙第22号証」と記載されたシールが貼られ、同表紙に「日音研発第2200号」、「2009年12月15日」、「彰」等の記載がある。
 鑑定書は、表紙を除き、本文が9ページ、別添資料が1~10まである。
③ 資料(3)は、反訳書で、表紙に「甲第40号証」という記載があり、1ページ目には反訳書の表紙があり、表紙を除く本文は62ページである。
④ 資料(4)は、前橋地方裁判所 高崎支部に提出された原告代理人弁護士
 山下敏雅他の作成の平成21年7月15日付けの準備書面で「第4準備書面」の記載があり、表紙を含み3ページある。
⑤ 資料(5)は、ICレコーダのコピー写真で、甲48号証の1から3までの3枚の写真である。
⑥ 資料(6)は、東京高等裁判所第5民事部に提出された接控訴人安中市訴訟代理人弁護士渡辺明男の作成の平成22年12月17日付けの準備書面で「第2準備書面」の記載かおり、表紙を含み9ページある。
4.資料(2)日本音響研究所の鑑定言に対する意見
 以下において日本音響研究所を「日音研」と呼び、日本音響研究所の資料(2)丙22号証(日本音響研究所作成鑑定書)を「日音研鑑定書」と呼ぶことにする。
(1)ICレコーダやその他の録音機に付いての編集改ざんの有無について
 日音研鑑定書においてアナログ式のテープ録音機以外のデジタル方式の録音機では、録音の改ざんが全く検出不可能のごとく述べているが、それは全く誤りである。
 参考のため、デジタル信号処理でICレコーダの録音を編集改ざんした例を、参考図1と参考図2に添付する。
 参考図1は、ICレコーダの録音データをパソコンでデジタル信号処理により、録音の一部を削除し、接続した例で、背景にある暗騒音が接続された箇所で、周波数的に不連続な状態になっている。
 また、参考図2も、ICレコーダの録音データをパソコンでデジタル信号処理により、録音の一部を削除し接続した例であるが、背景にある一定周波数の音が接続箇所で急に出現して、周波数的に不連続な状態になっている。
 確かに、ICレコーダの録音ではアナログ式の録音機のようにスイッチ信号などは検出できないが、場面が異なる箇所を挿入したり、録音の一部を削除したりする操作をICレコーダに添付されでいるソフトやパソコンを使って編集処理を行っても、スペクトログラムの解析でその接続箇所の痕跡が抽出することが可能である。もちろん総ての資料について可能ではなく、周囲の暗騒音が殆ど入らないようなスタジオで、少人数の音声が録音されたような場合は、その録音の編集箇所を見つけるのは困難な場合があるが、一般の録音では対象となる会話音声の他に必ず周囲から入る音いわゆる背景音があり、その背景音まで偽装することは極めて困難である。
 勿論日音研鑑定言に述べられているように、デジタル録音とアナログ録音を繰り返し処理したような場合は、検出できない場合もあるが、特殊な技術や専門的な知識がなければ、容易に編集改ざんが出来るものではない。
(2)日音研の述べている資料(1)音声データについての鑑定結果について
 日音研鑑定書では、録音の分析では改ざん箇所が分からないから、音声の録音と同時に背景にある時計の長針の移動時に発せられる「カチン」という音を分析して、その時間間隔の不整合性や「カチン」という音が検出できない部分があることによって、当該録音の内容が編集されたものであると推定している。
 この結論に至る手法は、極めて合理性がない。
 一般に、編集改ざんがあると言う場合は、録音のどの箇所からどの箇所までと言うように具体的に説明するのが常道である。しかるに、日音研鑑定書では、時計の長針の移動時に発せられる「カチン」という音の有無だけで、具体的に編集改ざんの発言箇所の範囲を示していない。
 図1-1~1-4に日音研の鑑定書に添付された0分から録音の最後の箇所までの周波数分析結果を示したが、Frequencyと言かれた周波数軸の上の方に「8000」と言かれた数字が見える。このことから、この資料の録音を、情報理論からするとサンプリング周波数を20,000Hz以上を使用していることになるが、日音研の鑑定書で示しているKAY社のソフトであるとすればサンプリング周波数は22050Hz程度と考えられる。また、分解能は1024ポイントであると述べられている。
 ここで録音されている時間の分解能を計算してみると、1秒間の信号を22050Hzでサンプリングし1024ポイイントの分解能とすれば、その時間分解能は、1024/22050=0.046秒となり、約0.05秒程度となる。
 日音研の鑑定書の別添8の表を見ると、時間分解能が小数点以下5桁まで示されているものがあり、物理学的に正しい表現ではない。メモリが1mmしか測れない物指しで0.1mmを測っているようなもので、まったく意味がない。
 その点を無視して、目音研鑑定書のP8で上から7行目に時計の長針の衝撃音が58.626秒と表現されているが、科学的な表現としては極めておかしい。
 また、目音研の長針の衝撃音を分析した別添7のスペクトログラムを見ると、検軸は2秒程度と考えられるが、長針の衝撃音は立ち上がりから減表するまで約0.08秒程度の時間がある。もし、そうであるとすれば、長針の音の測定をどの部分で行っているのか明示すべきである。
 いずれにしても、目音研鑑定書の添付3~6の周波数分析結果の図からは、長針の衝撃音を読みとることは不可能で、さらに添付7に示された2秒間の衝撃音の分析結果は、原録音のどの部分から抽出されたかも明示されておらず、本当に衝撃音なのか否かもわからない。
 衝撃音が図2(日音研鑑定書別添7)のような分析スペクトログラムのパターンであるならば、時系列的に30秒ごとの衝撃音を複数並べてその再現性を示して、初めて証明することができる。然るにそのような説明は無い。
(3)検証分析
 そこで鑑定人は、日音研鑑定書P8で示された時刻を付近について番号15から211までの各部分について表示された時間を含む2分間の区間について周波数分析を行い、そのスペクトログラムを検討した。
 分析結果の一部を、次の表1に示したように本意見書に添付する。
 各図において、上段は原録音の波形、中断はその周波数分析結果のスペクトログラム、下段は時報の波形で10秒ごとで30秒が分かるようになっている。
 また、各話者は、資料(3)の反訳書を参照し、松本氏を(松)、長澤氏を(長)、岡田氏を(岡)、■氏を(■)、■氏を(■)のように図中に表示した。
 なお、不明者は○○としてある。
表1 資料録音の当該箇所の抜粋分析スペクトログラム
図3:
 時間:5分00秒~7分00秒(300~420秒)
 検討:最初の部分「えー今代表・・」(長)、「ガサガサという音」、「2000円徴収‥」(長)、「フリーマーケットの出席者から・・」(松)~「新潟の地震があった時にその募金・・」(松)の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図4:
 時間:7分00秒~9分00秒(420~540秒)
 検討:「地震がありました 募金・・」(松)、「ちょっと では確認ですけど・・」(長)、「控えがあるのでは」・・」(松)~「ですから明確な・・」(松)の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図5:
 時間:47分30秒~49分30秒(2850~2970秒)
 検討:「市長は何もお答え・・」(松)、「じやあ それですね」(長)~「私の方はご質問‥」(松)
の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図6:
 時間;49分30秒~51分30秒(2970~3090秒)
 検討:「寄付を・・」(松)、「今日は6月2日・・」(松)~「教えていただきたい・・」(松)
の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図7:
 時間:69分00秒~71分00秒(4140~4260秒)
 検討:「結論が出ない・・」(松)、「そういう誤解を・・」(岡)~「2000円取ると・・」(松)
の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図8:
 時間:71分00秒~73分00秒(4260~4380秒)
 検討:「それはあれですね」(松)、「イベントを開催する‥」(■)~「あの上後閑の道路の件で・・」(岡)の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図9:
 時間:110秒30秒~112分30秒(6630~6750秒)
 検討:「わけですから」(●)、「いやいや それはわからない・・」(岡)~「言ってる訳だか
ら・・」(岡)の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図10:
 事件:112秒30秒~114分30秒(6750~6870秒)
 検討:「ま、言い置いて・・」(松)、「どうもご苦労様でした」(岡)~「まあ どう言おうと・・」(岡)~「ありがとうございました」(○○)の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。

 表1で示したように日音研鑑定書に記載されている部分について検討したが、30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められなかった。
 そこで、さらに詳細に信号の有無を確かめるために、日音研鑑定書で特に30秒の長針衝撃音の欠落がないとされる別添8に示された箇所10~14、すなわち資料録音の6分~8分の2分間について、10秒づつ区切って周波数分析を行い、そのスペクトログラムを検討した。
 その分析結果を、次の表2に示したように本意見書に添付する。
 なお、資料録音の6分~8分の全体を分析した図11は、上段は原録音の波形、中断はその周波数分析結果のスペクトログラム、下段は時報の波形で10秒ごとで30秒が分かるようになっている。
 また、各話者は、資料(3)の反訳書を参照し、松本氏を(松)、長澤氏を(長)、岡田氏を(岡)、■氏を(■)、■氏を(■)のように図中に表示した。なお、不明者は○○としてある。
 また、最初の図11は、分析した2分間の全体の録音を示している。
 10秒毎の分析結果は、表2に示したとおりである。
表2 資料録音6分~8分の部分を10秒毎に分析スペクトログラム
図11:
 時間:6分00秒~8分00秒(360~480秒)分析した2分間全体の録音
 検討:「ていうことは事実でございます」(松)、「新潟に地震が・・」(松)~「震災を受け
た地域・・」(長)付近の部分である。
図11-1:
 時間;360~370秒
 検討:「ていうことは事実でございます」(松)、「はい」(松)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図11-2:
 時間:370~380秒
 検討:「ガサガサという音」、「そのへんは・・・」(長)、「今・・・」(長)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図11-3:
 時間:380~390秒
 検討:「代表の方・・」(長)、「募金・・」~「先ほど・・」(松)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図11-4:
 時間:390~400秒
 検討:「・・ありました」(松)、「募金箱をもって‥」(松)、「関してはですね」(松)~「たとえばの話・・」(松)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図11-5:
 時間:400~410秒
 検討:「まあ 簡単に言うと」、「あるのとないのと・・」(松)、「実はですね」(松)~「阪神淡路大震災が・・」(松)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図11-6:
 時間:410~420秒
 検討:「募金とか・・」(松)、「新潟の・・」(松)「その募金をって・・」(松)~「そのことを・・」(松)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図11-7:
 時間:420~430秒
 検討:「地震がありました‥」(松)、「ということで回して‥」(松)、「市を通じて寄付‥」(松)、「ガサッという音」~「はい」(松)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図11-8:
 時間:430~440秒
 検討:「えーと新潟では30万・・」(松)、「思います・・」(松)、「そのことを 募金箱を持って歩いて・・」(松)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図11-9:
 時間:440~450秒
 検討:「そのことが なったんではないかと」(松)、「思ってるんでうけども いかがなもんでしょうか」(松)~「いや いかがなもんでしょうかっていうよりも 事実確認だけで・・」(岡)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明催には認められない。
図11-10:
 時間:450~460秒
 検討:「いや ですから」(松)、「そういうこと・‥」(松)、「募金箱を持って回って‥・」 (松)、「そういう場面に‥・レ(松)~「しかしながら 普段の運営・・」(松)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。
図11-11:
 時間:460~470秒
 検討:「そういうことです」(松)、「ちょっと確認ですけども・・」(長)、「たとえば市長から言われた募金箱・・・」(長)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認めら
れない。
図11-12:
 時間:470~480秒
 検討:「・・けっこう地震とかね」(長)、「災害があります・・」(長)、「そうですね」(■)、 「あの-」、「そういうまあ 災害を受けた・・・」(長)付近の部分である。30秒毎の長針の衝撃音は、明確には認められない。

 表2では、2分間の録音を10秒区間毎に連続で分析しているので、もし30秒毎の長針の衝撃音が明確な音であれば、少なくとも3個は認識できるはずであるが、明確には認められなかった。
 また、もし30秒毎の長針の衝撃音が明確な音ではなく小さな音であるとするならば少なくとも現場で同じような録音実験を行い、そこに収録される長針の衝撃音と比較して説明すべきである。
 以上をまとめると、日音研鑑定では、30秒毎の長針の衝撃音については、明確な説明が無く、衝撃音と称する1個の音を分析した例だけを示しただけで、その音が衝撃音かどうか証明されていない。
 正確な鑑定を行うのであれば、時系列的に30秒毎の長針の衝撃音の存在を示す分析スペクトログラムを示し、さらに衝撃音の詳細な分析を2個以上示して初めて科学的な鑑定といえるが、その様な説明がなければ科学的な鑑定とはいえない。
 元来、衝撃音といえども音が小さければ周囲の騒音に埋没されてしまい聞こえないことは生理的聴覚の学問分野では、音のマスキング現象として広く知られていることであり、例えば普段、家の中で聞こえている相手の会話音声が、騒音の大きい工場内では聞き取れないことでも分かる。
  したがって、日音研の鑑定書を根拠にした論議は、日音研の時刻鑑定の物理的な合理性が無いことから、基本的に成り立たないことになる。
(2)編集改ざんについて
 準備書面(2)P3~8にある論議で、特にマイク時計の距離で時計の長針の衝撃音が必ず録音されていると述べているが、衝撃音より大きい音があれば上記の物理的に録音時に大きい音にマスクされて聞こえなくなることは当然で、周波数分析を行っても認識できなくなることは当然である。
 また、編集改ざんに関して30秒単位として編集加工が可能であるように述べられているが、録音の一部を削除して録音を繋げたり、録音のある部分に録音を挿入したりすると、アナログ録音でもデジタル録音でも繋げた部分に音の周波数の不連続部分が生じスペクトログラム上に現れる。
 この場合、例えば音を録音を専門におこなうスタジオのように周囲からの雑音の少ない環境で録音された音声で、音声のない部分を切断して編集した場合は、接続箇所の検出が難しい場合はある。しかし、一般に複数の人達がいて当該話者以外の周囲の人達が身動きし、机などを触ったり、小声で話したりするとそれが背景騒音となり録音される。その様な部分まで考慮して編集録音することは至難なことである。
5.録音資料に編集改ざんがあるかの鑑定
5-1 資料(1)録音の改ざん編集の有無の鑑定が可能か否かの検討
 資料(1)の録音について聴取検査を行った結果、雑音はあるが録音内容の聴取が可能であることが確認された。
 次に、資料(1)の録音内容が鑑定可能な録音状態にあるか否かを調べるために、資料(1)の全体の録音についてCSLに内蔵されているフィルタ15.77Hzを使用して分析した。
 分析結果を検討した結果、資料(1)の録音内容が鑑定可能な周波数帯域まで録音されており、その録音状態は鑑定可能な状態であることが分かった。
5-2 資料(1)の録音の不連続箇所や異常録音箇所の有無の検討結果
 資料(1)の録音を、資料(3)反訳書を参照しながら、10秒毎に連続に分析し、録音の不連続箇所や異常箇所の有無を調べた。
 資料(1)の録音の開始から終了までについて、周波数分析した結果の一部を、次の表3に示す。
 表3の資料(1)の録音開始から終了までの分析結果の抜粋の中で、話者を反訳書の名称に基づき、松本氏を(松)、岡田氏を(岡)、長澤氏を(長)、■氏を(■)、■氏を■と表示する。
 また、時間の表示は、1分1秒は1′1″のように「分」は「′」、「秒」は「″」のように表示する。
表3 資料(1)の録音開始から終了までの分析結果の抜粋
分析図:図12
 録音箇所:2′45″~2′55″付近
 内容:「はい」(?)、「たいへん(反訳書にない)お待たせいたしまして」(岡)、「すいません」(岡)、「あのー」(岡)、「確認・・・」(岡)がある。
 検討所見:特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図13
 録音箇所:2′54″~3′04″付近
 内容:「確認をですね」(岡)、「さしていただきたいと考えておりおります」(岡)、「あのー」 (岡)、「まず フ」(岡)、「これまでフリーマッケッ・」(岡)がある。
 検討所見:特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図14
 録音箇所:3′03″~3′13″付近
 内容:「フリーマーケット何回かやって」(岡)、「・・・してきたと思うんですが」(岡)、「この
-」(岡)、「行政に・・」(岡)がある。
 検討所見:特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図15
 録音箇所:8′45 ″~8′55″付近
 内容:「ちゃんとテーマをね」(長)、「はい そうですね はい」(松)、「募金というものは明確な趣旨がないとですね」(松)、「あの-できません」(松)がある。
 検討所見:特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図16
 録音箇所:8′55 ″~9′05″付近
 内容:「ですから明確なる まあ一つのこういう事っていうか」(松)、「災害という その趣旨において」(松)、「ガサガサという音」、「あの公明正大に・・」(松)がある。
 検討所見:「ガサガサ」というような雑音はあるが、特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図17
 録音箇所:9′05″~9′15″付近
 内容:「だということでございます」(松)、「ガサガサという音」がある。
 検討所見:ガサガサ」というような雑音はあるが、特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図18
 録音箇所:15′03″~15′13″付近
 内容:「市から許可をうけて」(岡)、「はい」(松)、「2000円・」(岡)、「はい」(松)、「誰か・・・」(岡)、「市長さん」(松)がある。
 検討所見:特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図19
 録音箇所:15′13″~15′23″付近
 内容:「市長さん あの」(松)、「お話しているのは 私ですから」(松)、「できれば私の方に向いていただけると」(松)、「お答えしやすいんですが」(松)、「いや」(岡)、「そういう重箱の隅みたい・・・」(岡)、(「そういう重箱の隅みたい・・・」(岡)の部分に笑い声が重なっている)がある。
 検討所見:笑い声のある部分に急に大きな音のため音が歪んだ箇所があるが、特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図20
 録音箇所:15′22″~15′32″
 内容:「・・いう重箱の隅みたい‥・」(岡)、(「そういう重箱の隅みたい・・・」(岡)の部分に笑い声が重なっている)、「笑い声」、「もっとおおらかに」(岡)、「でも話をする時は人の目を・・」(■)、「もっとおおらかに」(岡)、「おおらかに」(岡)、「はい で」(松)、「えーとですね 誰に・・」(松)がある。
 検討所見:笑い声のある部分とその付近に急に大きな音のため音が歪んだ箇所があるが、特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図21
 録音箇所:72′20″~72′30″
 内容:「・・あれですか おい岡田って言うような」(松)、「そういう あれですか」(松)、「数はわかりませんが そういう市民の・・」(松)がある。
 検討所見:特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図22
 録音箇所:72′30″~72′40″
 内容:「しってます しってます」(岡?)(反訳書に無い)、「そうですね それで」(松)、「お
い 岡田っていって」(松)、「我々のこの15年間 続いてきたこのことを その一言で」(松)、「やめろとおっしゃるんですか」(松)がある。
 検討所見:特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図23
 録音箇所:72′40″~72′50″
 内容:「やめろとか やめろとかですね」(岡)、「カシッという音」、「あの そういうことを今言ってるんじゃなしに 事実を」(岡)、「今の‥」(■)がある。
 検討所見:カシッというような音はあるが、特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図24
 録音箇所:72′50″~73′00″
 内容:「それじゃ うかがいますけど」(岡)、「はいどうぞ」(松)、「コツコツという音」、「あの 上後閑の道路の件でねえ」(岡)がある。
 検討所見:カツコツというような音はあるが、特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図25
 録音箇所:73′00″~73′10″
 内容:「こうに回っている道路」(岡)、「怒鳴りこんできてますよ」(岡)、「そのくらい市民の皆さんは敏感なんですよ」(岡)がある。
 検討所見:特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。
分析図:図26
 録音箇所:73′10″ ~73′20″
 内容:「・・意味分かりません」(松)、「い 以前 以前からやってる」(岡)、「道路工事でありながら」(岡)がある。
 検討所見:特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められない。

 資料(1)の録音について、録音開始から終了まで約1時間58分23秒間の録音内容を分析区間10秒単位で連続分析し、表3にその結果の一部を示したが、録音全体のスペクトログラムを検討した。
 その結果、録音の最初部分にガサガサとこすれるような大きな音があり、また、録音の途中にもガサガサという音、カシッと言うような音やコツコツと何かにぶつかるような幾つかの雑音のある箇所はあるが、特に録音の不連続箇所や異常な箇所は認められなかった。
 また、笑い声のある部分とその付近に急に大きな音のため音が歪んだ箇所があるが、特に録音の不連続箇所や異常な箇所は、認められなかった。
 したがって、資料(1)の録音は編集加工された可能性は、極めて低い。
 以上の意見書の作成は、平成22年12月20日に着手し、平成23年1月27日に終了した。
 また、この検封書には、次の資料を添付する。
  写真   1枚
  分析図  1枚
  参考図  2枚
  図   41枚
              平成23年1月27日
              鈴本法科学鑑定研究所
                鈴木隆雄
               (日本法科学鑑定人協会会員)
添付物:
 写真1 資料(1)CD 甲第39号証
 分析図1 資料(1)CDに記録されているWAV形式のファイル「意見交換会」(07.9.10)
 参考図1 ICレコーダの録音データをパソコンによるデジタル信号処理で、原音から一部を削除して再統合して編集した場合のスペクトログラム
 参考図2 ICレコーダの録音データをパソコンによるデジタル信号処理で、原音から一部を削除して再統合して編集した場合のスペクトログラム(一定周波数の雑音がある場合)
 図1-1 日本音響研究所鑑定書(丙第22号証)の別添3 0分から30分の周波数分析結果の写し
 図1-2 日本音響研究所鑑定書(丙第22号証)の別添4 30分から60分の周波数分析結果の写し
 図1-3 日本音響研究所鑑定書(丙第22号証)の別添5 60分から90分の周波数分析結果の写し
 図1-4 日本音響研究所鑑定書(丙第22号証)の別添6 90分から最後の周波数分析結果の写し
 図2 日本音響研究所鑑定書(丙第22号証)の別添7 長針による衝撃音の周波数分析結果の写し
 図3 資料(1)録音5分から7分(300秒~420秒)の原録音波形と時報の比較
 図4 資料(1)録音7分から9分(420秒~540秒)の原録音波形と時報の比較
 図5 資料(1)録音47分30秒から49分30秒(2650秒~2970秒)の原録音波形と時報の比較
 図6 資料(1)録音49分30秒から51分30秒(2970秒~3080秒)の原録音波形と時報の比較
 図7 資料(1)録音69分00秒から71分00秒(4140秒~4260秒)の原録音波形と時報の比較
 図8 資料(1)録音71分00秒から73分00秒(4260秒~4380秒)の原録音波形と時報の比較
 図9 資料(1)録音110分30秒から112分30秒(6630秒~6750秒)の原録音波形と時報の比較
 図10 資料(1)録音112分30秒から114分30秒(6750秒~6870秒)の原録音波形と時報の比較
 図11 資料(1)録音6分00秒から8分00秒(360秒~480秒)の原録音波形と時報の比較
 図11-1 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間1(360~370秒)の分析
 図11-2 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間2(370~380秒)の分析
 図11-3 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間3(380~390秒)の分析
 図11-4 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間4(390~400秒)の分析
 図11-5 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間5(400~410秒)の分析
 図11-6 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間6(410~420秒)の分析
 図11-7 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間7(420~430秒)の分析
 図11-8 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間8(430~440秒)の分析
 図11-9 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間9(440~450秒)の分析
 図11-10 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間10(450~460秒)の分析
 図11-11 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間11(460~470秒)の分析
 図11-12 資料(1)録音6分から8分(360秒~480秒)の区間12(470~480秒)の分析
 図12 資料(1)録音2′45″~2′55″付近
 図13 資料(1)録音2′54″~3′04″付近
 図14 資料(1)録音3′03″~3′13″付近
 図15 資料(1)録音8′45″~8′55″付近
 図16 資料(1)録音8′55″~9′05″付近
 図17 資料(1)録音9′05″~10′40″付近
 図18 資料(1)録音15′03″~15′13″付近
 図19 資料(1)録音15′13″~15′23″付近
 図20 資料(1)録音15′22″~15′32″付近
 図21 資料(1)録音72′20″~72′30″付近
 図22 資料(1)録音72′30″~72′40″付近
 図23 資料(1)録音72′40″~72′50″付近
 図24 資料(1)録音72′50″~73′00″付近
 図25 資料(1)録音73′00″~72′10″付近
 図26 資料(1)録音73′10″~73′20″付近
 鈴木隆雄経歴書(2ページ)(平成23年1月21日現在)
**********

■訴訟指揮に基づいて、平成23年2月10日までに最後の切り札をだした未来塾に対して、岡田市長はどのような対応をとったのでしょうか。

【ひらく会情報部・この項つづく】

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