市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

13年前の51億円横領事件、知られざる発覚前夜(その2)

2008-08-17 18:06:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
<平成7年4月>

■平成7年5月18日に発覚した安中市土地開発公社51億円巨額横領事件(通称タゴ51億円事件)。15年間に着服した公金が約51億円。安中市の当時の予算が約160億円だったから、タゴはなんとその3分の1を懐に入れたことになります。「市役所の七不思議」と言われた世紀の横領男を公務員として重用した関係者がキモを冷やしたこの事件は、発覚から13年が経過しました。この間、当会は事件の真相解明をテーマに掲げて活動してきました。そしてこれからも引き続いて事件の真相究明と責任の明確化を目指していきます。そのためには、13年前にいったい何か起きたのか、その事実を知ることからすべては始まる、と当会は考えています。今回は平成7年4月に焦点を当てます。

▼4月1日(土)
 市役所は閉庁日。タゴの異動の発令日。タゴが教育委員会社会教育課社会教育係長に転任。入れ替わりに、SHが公社職員(安中市都市計画課併任)として任命された。

▼4月3日(月)
 タゴに異動の辞令が交付された。群銀の安中支店長Mが、餞別を届けにタゴ自宅を訪れた。ちなみにタゴはこのときのお礼を兼ねて4月中旬に群銀安中支店に挨拶に行った。

▼4月4日(火)
 この日付で群銀本店公務部長名の書面「公社向け融資・基金シェア調査について」が各支店長宛に送られた。安中支店のS次長は公務部から「市役所の担当役席に調査させるように」と言われた。
 この調査は安中市土地開発公社が群銀や他の金融機関から借り入れた総額のうち、群銀からの融資金額がどのくらいの割合を占めるのかを調べるものだ。
 この調査に基づいて、各市町村から指定を受けた群銀の各支店から、各自治体の税金関係の収納、歳費の取り扱い等のために各市町村役所内の派出所に派遣している群銀行員の人数の増減や手数料の見直しをするという。
当時(平成7年2月)、群馬県内の公社等に対する群銀の貸出金合計額は約523億円だった。このうち安中市土地開発公社には45億3900万円で、金体のなんと約8.7%に及んでいた。人口比で県人口の約2.4%に過ぎない安中市にしては、その貸出額は突出していた。

▼4月5日(水)
 この日群銀のTMが通常業務を終えて午後3時以降に安中支店に戻った後、S次長がTMに本店公務部の書面を手渡し、調査を命じた。
 書面の内容は、平成7年3月末時点での公社に対する融資額、および市町村に対する財政調整基金等の積立額が、他の金融機関に対して群銀がどの程度シェアを占めているのか、という内容だった。本店公務部への報告期限は4月13日となっていた。

▼4月6日(木)
 群銀派出所のTMはこの日の午後、公社の事務局次長兼都市計画課係長のTHのところに行き、「参考資料にしますので」と「平成7年3月末現在の公社の安中支店に対する借入額と併せて、農協とか信金の借入残高も教えていただければお願いします」と言った。
するとTH係長は「個別の金融機関の借入額は教えられません。(群銀)安中支店の残高はコンピュータで調べれば分かるんじゃないですか」と答えた。
 そこで群銀のTMは「それでは他の金融機関も含めて総体の残高を教えて下さい」と言ったところ、THは「休み明けには回答します」と答えた。
 [注]安中市が群馬県警に提出した時系列表によると、何故か4月12日(水)または19日(水)に群銀安中市派出所のTMが公社を訪れ、公社のTKに対し「公社の融資残高を教えてほしい」と言ったが、上司のTH係長がいないので、TKは「翌日来て下さい」と答えた。翌日TH係長が「群銀は借入残高を承知しているのになぜ聴くのか」と言ったところ、群銀TMは「いろいろの調べに使いたい。できれば他行分も教えて下さい」と答えた。
 THは「他行分の明細は教えられないが、公社全体の総額と群銀のものは教えても良い」と言って、公社の借入金総額約19億円と、群銀の約10億1700万円の借人分を書面で、その日のうちに公社TKが群銀派出所に届けた。そのときは銀行から何も連絡はなかった――となっている。
 一方、公社のTH係長は、4月15日(土)か16日(日)に群銀TMが公社に来たときは不在で、翌日来たTMに会って話したという。

▼4月9日(日)
 県会議員選挙投票日。新人の岡田義弘候補(現・安中市長)が、現職の中島博範候補(前・安中市長)を破って当選した。

▼4月10日(月)
 午前中、公社係長THが群銀派出所を訪れた。THは公社から群銀宛ての平成7年3月31日現在の借入残高を記載した書面を持ってきた。
 その書面には平成7年3月31日現在の公社借入残高は、約1914百万円、うち、群銀からの借入金総額は約1017百万円とあった。
 群銀のTMは、公社への安中支店の融資額が平成7年3月31日現在で、47億6569万6000円となっていることを支店内の端末で照会して事前に知っており、公社からの回答書の「約1017百万円」とは約37億円の差があることに気付いた。
 しかしTMは市役所で回答した金額は平成6年分という解釈でいたので、その金額を気にも留めずに支店に持ち帰り、融資係のK支店長代理に参考資料ということで直接手渡した。Kも回答書を見て、これは平成6年分のことだろうと、特に調査等することもなく終わったという。

▼4月中旬
 タゴがひとりで群銀に異動の挨拶に訪れた。この時タゴは群銀のS次長に「新しい人では分からないことかあるので、市長から引き続き公社の仕事を手伝ってくれるように頼まれている」などと言った。
また同じ頃、群銀安中支店の者がタゴの安中市教育委員会係長への昇任視いとして、ワインをあげたことに対するお礼を言いにタゴ自身が支店に現れたこともあった。

▼4月11日(火)
 群銀派出所のTMが、回答のお礼にと都市計画課(=安中市土地開発公社)を訪れたが、K局長もTH係長も不在だった。

▼4月12日(水)
 公社TH係長が群銀TMに電話をかけた。TMは、先日の礼と併せて、公社の群銀からの借入残高が平成6年分かどうか尋ねたところ、公社THは、「安中支店の分も、他の金融機関を含めての残高もいずれも平成7年3月31日現在の総借入残高です」と回答した。
 群銀TMは、市役所内部の事務手続き上のことで、群銀には分からない事務手続き上の相違から、やはり平成6年分であろうと解釈した。TMは本店公務部に対して回答書をこの日付で内部メールで送付した。
 この日公社のTKとSHが、公社役員に報酬を届けた(現金らしい)。この日公社では、公社変更登記申請書を作成した。

▼4月13日(木)
TKとSHが公社変更登記申請書を法務局安中出張所に持参し、登記した。

▼4月14日(金)
 午前9時45分から11時まで、さざんかタウン下磯部抽選会を市役所第3会議室で開催した。この日法務局へ公社理事のH市民部長分の登記申請書を取りに行った。

▼4月18日(火)
 公社で下磯部区画選定、分譲契約での相談コーナー開設のための文章作成と伺いを作成した。

▼4月19日(水)
 公社のSHが、4月26日予定の下磯部の選定会の相談コーナー開催の件で、群銀、東和、信組、かんら、労金、JAに挨拶することになったが、初めてなので公社のTH係長、TK主任と三人で行った。三人は午前10時頃まで公社で書類の整理等やり、そのあと公社の乗用車で出発した。
 まず労金安中支店でTKだけが行き、SHとTH係長はクルマで持っていた。労金とは公社はほとんど取引亦なかったため、TKだけが挨拶に行った。
 次に東和銀行安中支店の応接室に三人で入り、応対に出た同店次長と名刺交換。TH係長がSHを「タゴの後任」として紹介した。持参した「さざんかタウン下磯部の分譲にともなう依頼文と、市長の債務保証の関係の書類」を渡したりして、約30分くらいいた。
 三人はそのあと群報安中支店に行った。応接室に入り、応対に出たK支店長代理、S次長と名刺交換。TH係長がSHを「タゴの後任」として紹介した。約1時間くらいで群銀を出て、丁度昼なので三人で公社に戻った。
(注:群銀のS次長は、公社の三人がタゴの転勤で挨拶に来たが、「すぐに帰ったように記憶している」「このときは挨拶程度で、とくにタゴのことについて話は出なかったと思う」と述べている。)
 昼食後、午後1時頃から再び出発。TH係長は午後3時から用事があるため、TKやSHとは別のクルマで銀行に挨拶に向かった。午後の順番は最初にJA、次が県信組で、それぞれTH係長がSHを「タゴの後任」として紹介した。
 県信のあと、THは午後3時から用事があると言って別れ、SHとTKの二人でかんら信金安中支店に挨拶に行き、一連の挨拶まわりが終了した。SHはこの他には挨拶に回ったことはないと言っている。
 この日公社では、さざんかタウン下磯部契約予定の5月19日の相談コーナーでNTTと東電にも挨拶した。
 なお4月1日付で教育委員会社会教育課に異動後、この日タゴは初めて時間休2時間をとり、午後3時早退した。

▼4月20日(木)
 公社のTKとSHが県へ出張した。

▼4月23日(日)
 安中市長選挙投票日。現職小川勝寿候補が、新人吉田洋候補を僅差でかわし再選された。

▼4月24日(月)
 午後、公社のTH係長とSHが県へ出張した。

▼4月26日(水)
 さざんかタウン下磯部区画選定会を開いた。受付は午前9時45分~10時30分だった。

▼4月全般
 タゴは4月中に、2回にわたって4つの伊万里焼の皿を購入して、計1000万円を支払ったが、支払先は不明とされている。

【ひらく会情報部・続く】

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13年前の51億円横領事件、知られざる発覚前夜(その1)

2008-08-17 18:02:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
<平成7年3月の出来事>

■平成7年5月18日に安中市土地開発公社内部で密かに発覚した史上空前の巨額横領詐欺事件。安中市民がそのことを知ったのは同年6月3日朝の新聞記事でした。あれから13年が経過しようとしています。この間、当会はあらゆる手段で真相解明に向けて情報収集と分析作業を続けてきました。そして今後とも引き続き真相解明の努力を続けて行きます。そのためには、13年前にいったいなにが起きたのか。その事実を知ることから、すべては始まる、と考えています。時計の針を13年前に戻してタイムスリップ。まずは平成7年3月から。

▼2月下旬か3月初め
 群馬銀行安中支店の清水次長が、それまで噂程度の情報として承知していた「信越線の安中駅と磯部駅の中間に新しい駅を県と市の合同で建設する」ことに関して、タゴから県と合意できたことを聞いた。
 上毛新聞2月5日にこの計画が載った。この直後、Sはタゴに「新駅南地区開発のことが新聞にでましたがどうですか」と聞いた。タゴはSに「この計画の代替用地を一部取得することになった。資金を借りることになる。金額は正式に決定していなので判らない。市長選の争点になるだろうし、反対運動もあるので、この用地取得は市長の特命でやっている」と返事をした。

▼3月9日(木)か、それ以前
 3月末の融資の具体的な下話がタゴから群銀(群馬銀行)にあった。群銀はいつものように午前中来たタゴを、いつも通り応接室に通してSが応対した。このときSはタゴに年度内に残っている事業計画のことをきいた。なぜなら群銀では3月中に貸出金残高予想報告書を5日、中旬、25日の3回に分けて本部に報告する事になっており、残る平成6年度内に貸し出しがあるかどうか確認しなければならなかった。

▼3月9日(木)
 タゴが午前10時54分に正規口座から2万1400円、特別会計口座から1521万6300円を現金で引き出した。

▼3月20日(月)
 タゴが午前中に群銀安中支店を訪れた。群銀SとTが応対した。タゴは店のフロアから応接室に入り、席に着くと世間話をした。Sはタゴが前からゴルフ好きなのを知っており、過去2回ゴルフに招待したことがあった。
 そこでSが「今度26日の日曜日にゴルフに行きませんか」と誘うと、タゴは「その日はもう市長とゴルフに行く約束になっているから」と断った。群銀Sがタゴを誘ったのは融資契約をしてくれる上客だからだった。そのうちタゴが、「前に話した信越線新駅南地区の開発事業に資金を借りたい。予定金額は2億5千万円位。他の金融機関もかなり金利が下がっているので、群銀も検討して下さい」と言った。Sは「判りました。本店と協議して一両日中に回答しますから」と伝えた。
 このとき、タゴは利息計算を取りに安中支店を訪れた。これはTが作成した公社利息明細という手書きの書面の写しで、今まで群銀から公社への融資に関して、貸出日、現在残高、レート(金利)、利息額を一覧表にしたもの。この表の作成は平成6年9月の決算期にタゴから『前任者にも作ってもらったので』と依頼されていた。Tが作成後、幾日もたたないうちにタゴが来て応接室で渡した。Tが、赤丸マーク分の返済期日が3月で、一覧表のすべての金利を払ってもらうこと等をタゴに伝えた。タゴは表を受け取り、支払方法等について「後で回答します」と言って帰った。
 なお、この時タゴは特別会計口座から1380万円を引き出して持ち帰った。
 タゴは安中支店に10分くらいいた。タゴが帰った後、Sは支店長の松井に報告後、電話で本店公務部に、『公社ヘの融資金額が2億5000万円くらいで長期貸付』と伝え、なるべく金利を安くするよう依頼した。これは群銀と県内の各土地開発公社との協定金利(長期プライムレート適用、この当時約4.7%)を破ることになるので、本店としては許可したくない事であり、本店は、「金利が下がっており、協定金利で交渉してもらいたい」と回答してきた。Sは「他行の金利も下がっていることから、何とか4%で承認してもらいたい」と公務部に頼み、ようやく了解を得た。
 公務郎の了解がでた後、Sはすぐに電話でタゴに「4%でお願いします」と伝えると、タゴもこれを了解した。Sはこれで群銀での融資が確実になったものと判断し、借り入れ申し込みを待った。

▼3月22日(水)
 タゴが公社で群銀Tからもらった利息計算書の写しをゴミ箱に捨てた。

▼3月23日(木)
 公社でタゴが竹田清孝と一緒に借り入れまたは契約延長に伴う起案文を作り、決裁を受けることになった。タゴとTKは隣り合って座っており、タゴの方から「変更は俺がやらあ。今回の借り入れはTKさん頼むよ」というふうな言い方で、TKに起案分を作る内容を振り分ける指示をした。
 この時、借り入れとして事業資金調達のため新幹線新安中駅北側南側駐車場用地購入資金等の利息返済のため961万2000円、中宿水口線、観梅公園用地購入資金等の利息返済のため436万2000円、古城団地内の宅地買収資金6588万円、さざんかタウン下磯部住宅団地の植栽工事費等3281万8000円があり、今までの借り入れ分の返済期日が来ているもののうちで、支払いができずに契約の延長が必要なものとして、群銀に12件、かんら信金(現・しののめ信金)に2件があった。
群銀分は、観梅公園園路用地取得費2件9092万2000円、同委託料3件2468万円、観梅公園・都市計画道(中宿・水口線)用地費・造成費・委託料の支払利息7件3345万5000円、合計1億4905万7000円。ただし実際にタゴが契約延長したのは4件。タゴがTKと一緒に作った起案分は単なるセレモニーだった。
 かんら信金分は、平成3年9月5日借り入れの5936万1000円と、同年10月31日借り入れの102万4000円、合計6038万5000円を平成12年3月31日まで先送りするもの。

▼3月24日(金)
 午前9時5分、公社の異動内示があり、区画整理係主査のMHが幹線対策課へ、タゴが教育委員会社会教育課へ、共に係長昇格となった旨、市幹部から公社の加部局長に連絡があった。K局長はその後本人に内示を伝えた。この時、既にタゴは100%近い確率で、異動になるだろうと思っていた。タゴの内示は、すぐに市役所内の群銀安中支店の派出所のTMから、S次長に連絡された。
 公社理事長がタゴとTKの作成した起案伺いを決裁した。これを受けて、タゴが961万2000円の正規の借入申込書を作成した。しかし、K局長は、この日理事長印を押印した記憶がなかった。タゴは2億5961万2000円の不正の借入申込書も作成した。
 午後1時30分に都市計画委員会の会議が予定されていたが、中止となった。

▼3月25日(土)又は26日(日)
 群銀安中支店長のMが、タゴが係長に昇進して安中市教育委員会に異動する事になったのを知り、タゴの自宅にワインの詰め合わせか何かを持って、お祝いに行った。

▼3月27日(月)
 タゴが午後、群銀を訪れ「融資の件だが、正式に公社の決裁がおりたので、2億5961万2000円の手続きを進めて下さい」と借入申込書を差し出した。借入申込書の利率は4.0%とあった(公社控は3.9%)。これは安中支店のS次長やM支店長が本店と交渉してタゴに通知していた数字と一致している。借入申込書の各七の項目「本件借入金額は安中市の当公社あて平成6年度借り入れ分の債務保証額の範囲内であるには、平成6年9月末の融資の際、公社負債総額を支店Kがタゴにきいたところ「秘密だから」と教えてもらえなかったため、Kはそれなら「負債の総額までもが債務保証の範囲内であることを申込書に明記してもらい、この理事長決裁を受けてもらうことで再確認してもらおう」と考え、その後タゴに申し入れて実行してもらっていた。
 タゴはこの時、「前に話した新安中駅南地区の開発の件です」と言って群銀に借入申込書を渡した。この内容は1枚の申込書に2億5961万2000円と436万2000円の二つの資金融資額が記されていた。タゴが「2億5961万2000円は用地取得費で436万2000円は事務費です」とS次長に説明した。Sは、この事務費は過去の借入金の利息返済の費用を含むさまざま経費と理解していた。
 S次長は異動内示後に支店に来たタゴに「昨年は自治大学に行って勉強して早速の昇任ですね。今回は本当におめでとうございます」とタゴが市職員から選択されて平成6年10月から12月まで自治大学に行き勉強してきたことを知っていたので、そのことを踏まえて挨拶した。
 タゴはSの言葉に対し返礼を言ってから「教育委員会に異動になったが、市長から『公社の仕事をすべて知り尽くしているので、タゴ君が抜けると大変だから、当分の間兼務をなさい』と言われたので、まだしばらくはよろしく」と言った。
 タゴが差し出した借入申込書は、S次長が受け取ってKに渡され、Kが理事長印や内容を確認して手続きを進めた。タゴは申込書を提出するとすぐ群銀をでた。タゴは10分くらいしか支店にいなかった。また、Kはタゴに金銭消費貸借契約書の未記入のもの2枚を群銀の茶色の封筒に入れて渡した。
 支店のKはタゴから受け取った借入申込書をもとに本店審査部に、この融資をしてよいか否かの決裁をとるため、貸出申込書を作成した。その際、貸出申込書に記載すべき回答として、K自身すでにタゴから聞いて承知していたが、念のためS次長に『公有地取得事業』の具体的な名称を聞いてみたところ『信越線新安中駅周辺区域取得』とSが答えた。KはS次長がタゴから直接聞いた事業名称を教えてくれたと判断し、申請書にそのまま記載した。
 なお、この日、タゴは10時18分にも正規口座から5600円、1万3500円の2件払い戻していた。

▼3月28日(火)
 午前、タゴは安中支店で合計4回分の融資契約の延長依頼手続きをした。これはそれまでの群銀からの33回の借入のうち、この3月末に期限の来るものの延長契約の話をするため、タゴが安中支店を訪れたもの。タゴは群銀に「4口分は期限を変更し、他の4口分は返済する」と言ったので、群銀はタゴに変更契約書の未記入のもの4枚を渡した(29日に渡したという供述もある)。
 また、この日タゴはXからどうしても金を貸してほしいと頼まれ、公社特別会計口座から1340万円を引き下ろし、群銀駐車場で待ちかまえていたXにそのうち1000万円を渡した。
 タゴはこの日午後、時間休3時間をとり早退した。

▼3月29日(水)
 タゴが午後0時30分頃、自分の机でレターケース内の金証(金銭消費貸借契約証書)用紙に金額2億5961万2000円を記入し、理事長印を押して偽造しクリアケースに入れる。
 この日は午前10時30分から11時50分まで、市役所第一委員会室で南地区代表委員会を開いた。この委員会は、安中南地区まちづくり推進委員会第4回代表委員会のことで、公社の区画整理係が担当している。K局長は昼休みに、南地区代表委員会で支給された弁当を自席で食べた。
 安中支店融資担当のKが貸出条件変更申請書という表題の今までしていた融資の期限の延長契約をしてよいか否かを本店審査部に上げる稟議書を作成した。このため貸出申請書(稟議書)の申請日を3月29日とした。本店への申請が29日になったのは、3月31日に返済期限の到来するこれまでの融資分のうち、どれを延長して、どれを返済してもらえるかについて、タゴから申し出が29日まで遅れたため。結局S次長は、8本返済期日が到来しているもののうち、4本を返済してもらうことにした。
 つまり、この日タゴは群銀に返済期日の変更を申し出た。安中支店のS次長は、変更契約証書をタゴに渡した場面は覚えていないと後日供述した。

▼3月30日(木)
 タゴが変更契約書6枚に偽造した金証を混ぜ、秘書課係長Yから市長公印を貰った。本来の金証は封筒に入れて、公社事務局のゴミ箱に捨てた。

▼3月31日(金)
タゴが午前10時8分に群銀安中支店で正規口座から16万7400円と1万2600円を払戻した。
何かの正規な経費の払戻しらしいが、S次長はこの時タゴに面会していない。
安中支店のKは、午後3時に支店表出入口のシャッターが閉まった後、イライラしながらタゴの来店を待っていた。午後3時30分頃タゴが訪れ裏口から支店に入った。
SとKがタゴを応接室に通し、タゴが次々とバッグから取り出す書類をKが受け取った(S次長はタゴが訪れた時、何かの用で席を外し、戻ったところタゴが来ていることを伝えられて応接室にあとから行ったという供述もある)。
額面2億5961万2000円の金証、額面436万2000円の金証、4枚の変更契約証書、正規通帳1冊、特別会計口座通帳1冊、払戻請求書3枚。Kはこれらを受け取ると融資後方事務担当のAに全て渡し、これらの印鑑照合等の作業をさせた。
Kはその間、預金入金票を何枚か用意して応接室に戻り、タゴに渡して「今回はどのように振り分けますか」と、公社で2つ持っている各口座への振り分け金額を尋ねた。
タゴは特別会計口座の通帳を示し「2億5000万円をこれに」もう一方の正規通帳を示し「961万2000円、436万2000円をこれに入れて下さい」と言った。
これら手続をKが進めて、終了後は支払い済みの融資契約の証書4枚、新規の融資の計算書2枚、変更契約の計算書4枚、支払い利息分の計算書33枚位、支払い済みの融資契約の計算書4枚をタゴに渡した。この時、16時1分に436万2000円、15時59分に2億5961万2000円の貸付金の処理がされた。
 融資金は、16時10分、正規口座に961万2000円と436万2000円、16時9分に特別会計口座に2億5000万円が入金された。さらに公社に対する融資金の元金と利息返済分として16時14分に正規口座から3674万8000円、16時15分に特別会計口座から8888万7241円、16時15分に正規口座から1935万7578円の合計1億4499万2819円が払い戻され、群銀が受領した。この合計額の中には、今回の融資の1口分の利息2万8450円と478円が含まれている。この金額を除けばKが作成してタゴに渡した手書きの一覧表と一致する。
 次に返済日になっても支払いできないものの期日を延ばす変更契約の分として、8574万9000円、4億97万3000円、1967万円、1971万3000円の合計5億2610万5000円があった。元金と利息分の返済には、今回の融資金額では間に合わない分が正規口座から払い戻されていた。この日安中市の収入役から公社の正規通帳に3783万2778円に合わない分が正規口座から払い戻されていた。この日安中市の収入役から公社の正規通帳に3783万2778円が振り込まれており、タゴはこれにより預金残高が増えているのを承知でこのような払戻をした。
 こうして特別会計口座から8888万7241円が返済のために払い戻されていたが、同時にこの口座に2億5000万円が振り込まれ、タゴのものになったのであった。

【ひらく会情報部・続く】

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県トラック協会の会議に多胡運輸が「事故の後処理に追われ」欠席

2008-08-14 01:56:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■8月3日(日)早朝に発生した首都高タンクローリー炎上事故から早くも10日が経過しました。大事故を起こした多胡運輸の動静について、8月13日付けの毎日新聞と東京新聞の地方版はそれぞれ次のように報じています。

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首都高池袋線のタンクローリー炎上:トラック協が会議 /群馬

 東京都板橋区の首都高速道路で3日に起きたトレーラーの横転・炎上事故を受け、県トラック協会のタンクトラック部会(宮下明憲部会長)は12日、前橋市内で緊急会議を開いた。部会員44社中40社48人が出席し、関東運輸局群馬運輸支局の担当者から指導を受けた。また事故を起こした高崎市内の業者から謝罪のメッセージが寄せられた。
 協会の三浦文雄会長は「県内の業者が起こした事故で責任を感じないわけにいかない」としたうえで「燃料高騰などで、ややもすると安全より経営に意識が行くが、こういうときこそ事故を起こしてはいけない」と指摘した。群馬運輸支局の担当者は、事故を受けて国土交通省が出した通達を踏まえ「うちの会社は大丈夫、という過信は禁物」などと指導した。
 事故を起こした運転手が勤務する運送業者は欠席し、「会員の皆さんに多大なご迷惑をかけた。出席して謝罪すべきだが(事故の)後処理に追われている」とのメッセージが読み上げられた。
 同協会は今後、部会員44社を対象に聞き取り調査を行い、危険物の種類や教育状況などを確認する。【毎日新聞群馬版】

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群馬県トラック協会、安全決議を採択:首都高炎上事故を受け

 東京都板橋区の首都高速5号線下りで8月3日に起きたタンクローリーの横転炎上事故を受け、群馬県トラック協会(前橋市)のタンクトラック部会は8月12日、事故の再発防止や安全対策の徹底に関する決議を採択した。
 決議では、カーブやトンネルなどでの原則や慎重なハンドル操作を呼びかけたほか、タイヤの脱輪が原因の事故が発生していることも踏まえ、出発時の車輌点検を徹底するよう求めた。さらに、運送事業者が運転手の過労防止に務めることも盛り込まれた。
 同協会は「石油などの危険物を搭載したタンクローリーの事故は、周囲に甚大な被害を与える可能性が高い。迅速な輸送と安全運転の両立は必須条件になる」としている。【東京新聞群馬版】
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■トラック協会というのは、政府から支給される燃料補助金をプールして多額の政治献金をしていることで知られていますが、全国各地に支部があり、社団法人群馬県トラック協会(群馬県前橋市野中町595、電話027-261-0244)もそのひとつです。同会は1955年12月26日に法人資格を取得、現在では、県内のトラック運送事業社1,000余社が会員だそうです。事業目的は「貨物自動車運送事業の適正な運営及び公正な競争を確保し、事業の健全な発達を促進して、公共の福祉に寄与すると共に、業界の向上発展を図ること」とされ、活動内容は「1:会員相互の連絡協調及び関係機関との連絡。 2:貨物自動車運送事業に関する指導並びに統計の作成、資料の蒐集その他の調査及び研究。 3:貨物自動車運送事業に関する意見の公表及び国会、行政庁等への申出。」とされています。会長の三浦文雄氏は三富運送株式会社(群馬県多野郡吉井町池1043-2、電話027-320-3815)の代表者でもあります。

■上記情報内容によれば、8月12日(火)に前橋市内で開かれた同協会のタンクトラック部会の緊急会議には、ほとんどの部会員が出席しましたが、多胡運輸は欠席し、「会員の皆さんに多大なご迷惑をかけた。出席して謝罪すべきだが(事故の)後処理に追われている」という謝罪メッセージだけが読み上げられました。

■多胡運輸のいう「事故の後処理」とは一体どのようなものかは分かりませんが、謝罪の記者会見が優先するのではないでしょうか。すでに事故発生から10日経過しました。まずはじめに、事故の発生原因や、運行管理など事故の背景などを調査し、きちんと記者会見を行う必要があると思いますが、多胡運輸にとって、それよりももっともっと大切な『事故の後処理』とはいったいなんでしょう? 首都高始まって以来、最悪の炎上事故の推移について引続き注視していきたいと思います。

【ひらく会情報部】

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多胡運輸タンクローリー炎上現場から安中市51億円事件を考える

2008-08-09 12:37:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■安中市土地開発公社51億円事件では、いまだに警察発表でも14億円あまり、当会の試算では20億円前後のカネが使途不明で闇に葬られたままです。地方自治体を舞台にした横領では史上最高額の事件の単独実行犯とされた当時安中市都市計画課兼務で同公社職員タゴ邦夫の実弟が、当時小さな運輸会社を経営していました。その会社、多胡運輸が引き起こした、我が国首都圏の経済や首都圏民の生活に甚大な損害を与えているタンクローリー炎上事件では、マスコミが会社名を報じようとせず、報じても「高崎に本社のある運輸会社」程度の扱いであることに違和感を抱いている人は当会だけではないと思います。

この事故は8月3日(日)早朝に発生しましたが、翌月曜日午後2時に国交省の実務トップの春田事務次官にマスコミ幹事社がインタビューをしています。内閣改造で谷垣新大臣の着任についての感想に続いて、週末に発生した東京ビッグサイトのエスカレーター事故と首都高でのタンクローリーの横転事故について見解を聞かれた次官は、タンクローリーの事故について次のように答えました。
「これも昨日3日の午前5時52分頃、首都高速道路の5号線の下りの所でタンクローリーが横転しまして側壁に衝突をして炎上したということです。衝突をして炎上した車両は多胡運輸という群馬県の高崎の方にある運送会社の車両でした。運転者は車外に避難したということではありますが、腰椎を骨折する重傷を負っているということです。事故により火災が発生をしまして首都高の5号線の下りの当該熊野町のところですけれども、ちょうど1階、2階といわゆる一つの所に上下に重なった形で構造物がある所でして、下り線ですので2階建ての下層部の方で実は横転をし、火災が発生しました。この下層部の方は遮音壁が損傷を受け、舗装路面の損傷も生じています。これは火災の関係と、直接ぶつかった関係と両方あると思います。その上が5号線の上りです。ここは下から炎が巻き上がった状況で、中央環状線との合流部の前後の橋梁桁の部分的な熱変形が生じているということで、それに伴い、路面が沈下し、最大60センチメートルから70センチメートル程度の路面沈下が見られるということです。それから、2階建ての上層部の橋脚の上層梁の部分が、火災によって被りコンクリートの剥落が生じ損傷が見られるとともに、遮音壁についても損傷が見られます。それから、騒音を吸収するために橋梁の下の面に設置をしている裏面吸音板が損傷を受けています。以上が道路の関係の被害ですが、合わせて近隣のマンションの外壁に損傷が生じたという状況です。現時点では復旧の見通しはまだ立っていません。本日の午前10時から、消防・警察の現場検証が入り、その後、首都高速道路会社が被災の構造物の詳細な調査を実施し、復旧計画を立案し、復旧作業に入ると聞いています。まだ、事故原因等の詳細は、そういった状況でもありまして明らかになっていません。今後の捜査の推移の中で、事故原因についても明らかになることだと考えています」
この時点ですでに国交省はマスコミに、事故を起こした会社名が「多胡運輸」であることを公表しています。ところが、マスコミは多胡運輸という名前をなかなか報じようとしていません。

■ところで、次官の発表によると、タンクローリーが横転して側壁に衝突して炎上した結果、「上下に重なった形の構造物の下層部の方は遮音壁が損傷を受け、舗装路面の損傷も生じており、火災と衝突の両方が原因。その上層部の6号線上りの部分は、下から炎が巻き上がった状況で、中央環状線との合流部の前後の橋梁桁の部分的な熱変形が生じている。それに伴い、路面が沈下し、最大60センチメートルから70センチメートル程度の路面沈下が見られる。それから、2階建ての上層部の橋脚の上層梁の部分が、火災によって被りコンクリートの剥落が生じ損傷が見られるとともに、遮音壁についても損傷が見られる。それから、騒音を吸収するために橋梁の下の面に設置をしている裏面吸音板が損傷を受けている。あわせて近隣のマンションの外壁に損傷が生じた」ということです。そこで当会では、8月7日(木)午後6時半頃、現場を訪れて事故の様子を確認しました。

池袋駅から東武東上線にのり3つ目の大山駅で下車し、地下通路をくぐり抜けて東の方向に10分ほど歩くと、山手通りとの立体交差があります。山手通りの上には二層になった首都高がそびえていますが、この辺には異常が見当たりません。熊野町はそこから南方向のため、左の坂道を上って山手通りにあがり、歩道を南方向に10分ほど歩くと黒焦げになった橋脚が見えました。ニュースで見たように、直ぐ脇のマンションがありました。歩道脇にオレンジ色のコーンが並べてあり、ガードマンが立っていました。マンションを見上げると、道路に面した6階から10階の外壁の色が変わっていました。熱で劣化した外壁の一部が歩道に落ちて歩行者や自転車に当らないように、注意していることが分かりました。


■暗くなってきたので明瞭な写真ではありませんが、1層目の首都高5号線下り車線側には橋脚3本の間にわたってネットがかけられており、内部が観察できません。しかし、火災の凄さを物語るかのように、中央の橋脚の上部には、炎が巻き上がった箇所が黒焦げになっており、コンクリートが剥がれ落ちて鉄筋のようなものが浮いて見えます。また、1層目(下り車線)の道路を支える桁の外側もコンクリートが剥がれ、オレンジ色の塗装がむき出しになっている箇所があります。丁度タンクローリーが横転して火災を起こした路面の下部に取り付けられている吸音版も横2列ほど全部剥がれ落ちていました。上部の2層目(上り車線)の照明灯は消えており、ここも損傷を受けているようです。


マンションは「プリオール熊野町」という10階建てのマンションですが、ちょうど付近で事故現場を見上げていた老夫婦に声をかけると「このマンションの裏に住んでいるが、最初はマンションの火事だとおもった」ということです。「物凄い煙と炎と、駆けつけた何十台もの消防車で、騒然とした状況だった」そうで、「いったいどうやって復旧するのだろうか。事故を起こした会社の責任はどうなるのか」と前代未聞の大事故にため息をついていました。

■現場を確認してから、そのまま少し南にいくとまもなく、国道254号線の川越街道との交差点に出ました。ここを左折して東方向に川越街道沿いに歩くと、下り方向は大渋滞を起こしています。5号線の上り口の案内表示はいずれも「閉鎖中」とあり、2層目の照明灯は点灯していましたが、車輌は一台も通っておらず、全部地上を走らざるを得ないため、大渋滞を引き起こしていることが分かります。川越街道をそのまま進むとまもなく、首都高の2層目と1層目が一体となりました。多胡運輸のタンクローリーは都内の出光興産の給油ステーションでガソリン14キロリットル、軽油6キロリットルを満載し、東池袋方面から埼玉方面に向かって、首都高5号線の下り線を走行し、山手通りの手前で、首都高上り線の下に潜り込むように右に下りながらカーブしている箇所で、スピードを出しすぎていたためか、曲がりきれずに側壁に衝突し、丁度カーブが終わったあたりで横転して、漏れ出したガソリンや軽油に引火して、大火災を発生したものです。


事故発生後、連日こうした大渋滞が発生し続けており、首都圏の社会経済に及ぼす損害は計り知れませんが、いまだに多胡運輸や出光興産の記者会見はなく、マスコミも事故を報じようとせず、8日からはじまった北京五輪一色で、多胡運輸が起こした事故に起因する大渋滞については、もはや関心がないようです。

8月8日に、首都高速道路会社が、片側通行が可能かどうか25トン車を使ってテストをしたようですが、鋼鉄は熱影響で極端に強度が低下するため、一見頑丈そうでも、機械的強度がどの程度劣化しているのかは、実際に、熱影響を受けた部分を取り出して、機械試験を行なわない限りわかりません。首都高の閉鎖により1日当たり億単位の損害が出ていると思われるため、復旧対策を早急に講ずる必要がありますが、安全性の確認には充分時間をかけなければなりません。

■事故を起こした多胡運輸の社長の実兄は、安中市職員として安中市土地開発公社を舞台に15年間も安中市の金庫番として長期配置され、51億円あまりの公金を、親族、同僚、上司、出入り業者、政治家、暴力団らにばら撒き続けた張本人です。自らも家族とともに豪遊したにもかかわらず、実兄が14年の懲役刑で千葉刑務所に服役しただけで(それも5年ほどで仮釈放)、その他の関係者は誰も責任をとっておりません。群馬銀行が安中市を相手取っておこした貸金返還請求訴訟で103年間にわたり、毎年2千万円ずつ返済するという常識を超えた和解が成立し、公金で知りぬぐいさせられている安中市民が、土地開発公社の役員や上司を相手取り、損害賠償請求の訴訟を起こしましたが、土地開発公社の損害であっても、安中市役所には損害がないとする安中市の主張を裁判所が認めて、無責任行政を追認したのですから、この事件の闇がどれほど深いのかが、容易に想像できます。

このため当会では、今回の多胡運輸が起こした大事故について強い関心を持っています。大事故発生から現在に至る推移を慎重に監視していますが、案の定というか、不可思議なことに、国や東京都、群馬県など行政の対応は、事故の発生責任を追及するどころか、大渋滞による損失さえも取りあげようとしません。そして一向に記者会見を開こうとしない多胡運輸社長で元職員の実弟は、安中公社51億円事件の真相を全く語ろうとしない政治家や役所OBらの姿勢を彷彿とさせます。仕事を多胡運輸に与えていた発注先の会社や、運んでいた石油元売の出光興産などへのマスコミの取材攻勢も、いまのところ全くなされた形跡がありません。北京五輪が始まり、このままウヤムヤにされそうです。

■当会は、これまで13年間、安中市で起きた世にも不思議な巨額横領事件の真相解明を追及してきており、横領事件の主犯格だった元職員の親族への金の流れを追及し続けた過程で、今回奇しくも発生した多胡運輸による首都高大事故の真相究明と責任の所在、行政・マスコミによる事故対処の軽重の度合いについても、重大な関心を持って取り組んでまいります。

【ひらく会事務局・多胡運輸首都高炎上事故特別調査班】

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多胡運輸燃ゆ! 公社事件で焼け太り、悪銭身に付かず?

2008-08-06 02:42:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■8月3日(日)昼のNHKニュースを見た視聴者は、首都高で紅蓮の炎をあげて燃えるタンクローリーに、一瞬テロ事件かと思ったことでしょう。そして、化学消火剤に腰までつかりながら必死で消火作業にあたる消防士の姿に胸を打たれたと思います。この前代未聞のタンクローリー炎上事故は、3日早朝の午前5時50分ごろ、都内板橋区熊野町の首都高速道路5号線下り車線で発生しました。

ガソリンと軽油を満載したタンクローリーが横転し、側壁に衝突して炎上したものです。激しく炎上するタンクローリーから立ち上る炎は、現場の真上を通る5号線上り車線を激しく加熱し、消防士が必死で化学消火剤を散布しましたが、路面は大きくゆがみました。さらに、激しい火炎により、橋脚にも損傷が出ている模様。さらに首都高に隣接するマンションの外壁も高熱に曝されて焼けました。

■東京消防庁の消防車など約80台が消火に当たりましたが、火災は3時間半にわたり、周辺一帯を焦がし尽くしました。東京消防庁によると、トレーラーの45歳の男性運転手は自力で車外に避難したが、全身打撲で病院に搬送されたそうです。警視庁高速隊の調べでは、現場は5号線下りから右カーブした箇所で、タンクローリーがカーブを曲がりきれずに横転したとみて、運転手から事情を聴いている、と報じられていました。また、事故の影響で、首都高は5号線上下線、中央環状線内回り、外回りで通行止めとなりました。首都高速道路会社によると、復旧には最短で数週間、最長で数カ月かかる見通しということです。

しかし、通常なら運転手の氏名や所属先の運送会社名がすぐ報じられるのに、マスコミはまったく報じようとしませんでした。変だな、と思っていたところ、昨日の晩のニュースを聞いて合点がいきました。

■このタンクローリー炎上事故で、関東運輸局が運送会社の立入監査をしたと報じられたからです。国土交通省関東運輸局は事故の翌々日の8月5日に、タンクローリーを所有する群馬・高崎市の運送会社の立入監査を行いました。このとき、立入監査を受けた運送会社名が、高崎市の「多胡運輸(たごうんゆ)」だとはじめて判明したからです。

関東運輸局の監査官が貨物自動車運送事業法に基づき、多胡運輸の本社(支店もあるの?)営業部などに立ち入り、法令違反がなかったかどうか調べているそうです。監査では、運転手に対して、安全確保についての指導教育が十分に行われていたかどうか、運転手の勤務状況が過労だったかなどを重点的に調べることにしていると、報じられました。

■多胡運輸の社長は、当会が13年来取り組んでいる安中市土地開発公社51億円巨額詐欺横領事件で単独犯とされた安中市職員のタゴの実弟であることは、安中市民は誰でも知っています。

公社51億円事件では、警察の捜査の結果、14億数千万円が使途不明金として残され、安中市と群銀との和解により、毎年クリスマスの日に2千万円ずつ安中市が公金から群銀に103年かけて支払うことになっており、これまで、すでに9回支払っており、今年のクリスマスに10回目を支払うことになっています。和解条項によると10回目の支払後に、群銀と安中市が協議して、今後どうするかを決める約束になっており、かつて元職員のタゴと一緒に公社の監事や理事として公共用地の先行取得をやっていた現市長が、群馬銀行と既に下話をしているものと見られています。

■警察の捜査結果では、絵画などの骨董品に10億円~12億円支払ったとするタゴの供述を鵜呑みにしていますが、当会は実際に骨董品を売った古物商に確認したところ、実際にはせいぜい3~4億円程度だったという情報を得ました。したがって、使途不明金は20億円以上あると推測しております。

タゴの実弟は、当時学習塾を経営していた政治家らと一緒に、不動産会社を設立していたことが分かっています。実兄の元職員タゴが土地開発公社で安中市内の土地情報を一手に握っていたことから、その情報をもとに、土地ころがしを企てた可能性があると、当時安中市民の多くが思っていました。なぜなら、元職員のタゴからは、配偶者や親族に、横領金が相当流れていることが、警察の捜査資料からも明らかだからです。また、当時小型車を数台所有して細々と運輸業も営んでいた実弟が、事件の発覚前から急激に業務拡大し、その後、大型のタンクローリー10数台をはじめ、トラックを多数所有するまでに至ったのですが、その業務拡大の起爆剤になった資金の出所について、安中市民の間では51億円事件との関係を取りざたす声がしきりに聞こえていたことは事実です。

■今回の前代未聞の事件が、よもや多胡運輸所有のタンクローリーだったとは思いもよりませんでしたが、前代未聞の安中市土地開発公社51億円事件の発覚から13年3ヶ月経過し、実行犯で単独犯行とされた元職員タゴが千葉刑務所で刑期を終えるまで(実際には既に仮出所済み)、あと1年を残すこの時期に、使途不明金の有りかを知る立場の実弟が経営する会社で、このような大事故が発生したことに、深い因縁を感じざるを得ません。

当会に寄せられたこれまでの情報によれば、巨額の使途不明金は一部が、親族、政治家、市役所OB、暴力団、出入り業者などの懐に消えているようですが、残りの大部分は高崎市の某税理士が管理しているということです。この情報は既に高崎税務署に伝えてありますが、守秘義務とやらで、結果は教えてくれません。また、元職員のタゴは既に仮出所して、首都圏にマンションを買って、そこで人目を避けて暮らしているようですが、ここ数年、群馬県内で目撃情報があります。タゴの配偶者は、一時高崎市内のアパートに住んでいましたが、その後関西方面に引っ越したという情報があります。タゴとは離婚しないと明言していたので、今は一緒に住んでいるのかもしれません。そして、タゴの実弟は、事件後、安中市から出て、隣の高崎市八幡町に転居し、その後、現在の箕郷町の新幹線高架の直ぐそばに移ったと見られます。

■地方自治体では空前絶後の51億円巨額詐欺横領事件に深く関わった親族が経営する運送会社が起こした今回の前代未聞の巨額物損事件。51億円事件の真相解明に関わってきた当会として、両事件の間には13年という歳月を経てもなお、何か共通したものを感じざるを得ません。

公金で51億円事件の尻拭いをさせられている安中市民の感情としては、今回の事故で、警視庁高速隊が本件を単なる交通事故として処理するのではなく、また、関東運輸局が運送会社の立入監査をするだけでなく、51億円事件の使途不明金が多胡運輸にどのように還流されていたのかについても、しっかりと捜査してほしいと痛切に願うものです。

■しかし、51億円事件が、たったひとりの元職員だけの仕業として、真相がうやむやにされたことから、役所や司直に過大な期待をすることは、禁物だという気持ちもあります。51億円事件の捜査の幕引きには、大きな力が警察や検察に加えられたことを安中市民はよく知っているからです。

それにしても、もともと、安中市土地開発公社51億円事件の被害者は安中市民だけでした。その後、平成18年3月に無理やり合併で一緒にされた松井田町の人たちにも、元職員の豪遊の尻拭いが及びましたが、被害人口はこれまで6万人余りでした。ところが今回の炎上事故は、首都高を利用する首都圏民をはじめ、全国的規模で被害を及ぼす可能性があります。その被害人口は計り知れません。

引続き、多胡運輸とタンクローリー事故の推移について、ウォッチしていきたいと考えております。皆様からのたくさんのご意見をぜひお聞かせ下さい。

【市政をひらく安中市民の会事務局】

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