■今回は、平成7年8月29日に発行された会報11号を見てみましょう。史上空前の役所の不祥事が安中市民に衝撃的に伝わってから約3か月が経過しようとしている時、表向きには未だに事件の全貌が混とんとしている状況でしたが、既に警察では事件の初動捜査を一応終えて、平成7年(1995年)8月21日には前橋地裁で第1回目の公判が開かれ冒頭陳述が行われました。しかし、その裏では、事件の根幹である横領金の具体的な流れを追及しようとしていた現場の警察官に、上層部から圧力が加わり始めていました。それと並行して、事件の重要参考人とみられていた元職員の上司も、警察の取り調べに対して余裕のある受け答えをするようになっていたのでした。
**********
■市政をただす安中市民の会 会報11号(上)
連絡事務所TEL/FAX:81-0364 平成7年8月29日発行
正規口座からも11億円! どこまで膨らむ事件全容
48億円を上回る借入総額に安中市民ボーゼン自失!
前橋地裁で事件初公判開かれる!
8月21日午前10時から事件の初公判が前橋地裁で開かれた。初公刊の模様を傍聴すべく、当会からは市民11名が朝8時半に出発。現地に到着すると既に60~70人が並んでいた。整理券をもらって順番を待つ。裁判が開かれる1号法廷の一般傍聴席は30席。報道機関は別に傍聴席が準備されているが入りきれず、一般席傍聴をしたいとするマスコミ関係者も出たため、28席の傍聴券をめぐり最終的に70名で抽選が行われた。幸運にも当会からは11名中7名が傍聴券を手にいれることができた。
■当日、当会の他にも、安中市職員や市議会議員らが相当数押しかけた。市議会では、共産党関係者が4名詰めかけたが、傍聴できたのは1名。新政会からも6名の市議が行ったがわずか1名しか傍聴できなかった。市民クラブも何名か行ったが、やはり傍聴できたのは1名程度のよぅだった、
■開廷後、検察側から冒頭陳述が行われた。約40センチの高さに積み上げた証拠書類を前に、検察官が早口で読み上げた起訴状には、被告が昭和60年3月31日から平成2年2月1日まで正規口座で計26回にわたり11億3千万円を不正借り入れしたという衝撃的内容が含まれていた。
■この他にも起訴状で、昭和57年から当初は2~3万円から始まり、巾側から手数料として公社に支払われた30万円のうち15万円をごまかし、公社の理事や監事の管理・監査チェックのズサンなことに目を付け、同60年迄には4~5千万円へと次第に横領額がエスカレートしてゆく過程が浮き彫りにされた。
■罪状訟否て被告が「間違いございません」と起訴事実を全面的に認め初公判は1時間ほどで終わった。この模様はNHKの昼のニュースでも早速取り上げられ、テレビ各社、新聞各紙で大々的に報じられた。次回の公判は9月18日午後3時から行われる予定。
正規口座11億円余の徹底調査要求書を市長に提出!
8月21日の初公判で平成2年以前にも11億3千万円もの金が正規口座から引き出されて使い込まれていた事実が判明したのを受けて、当会では8月22日市長に対して!1億3千万円の新たに判明したカネの使われ方について帳簿上どう処理されていたのか直ちに臨時広報で市民に伝えるよう要求書を提出した。
■同じく22日に百条委の小西委員長に対し、48億円に膨らんだ事件の徹底解明を要求する文書を提出。
市民傍聴を許司するよう百条委に対し再要求書を提出!
8月25日に2回目の百条委が開かれる予定というので、24日広上議長と小西百条調査特別委員長に対して、今度こそ市民傍聴を許可するよう再要求書を提出。
正規口座横領11億円余で知事に再度情報開示請求!
当会では、これまでに群馬県知事に対して、平成元年度から平成6年度までの安中市土地雨発公社に聞する事業報告書などの資料の開示を請求した。その結果、群馬県では安中市にたいして市民に積極的に公社に関する資料を開示するよう指導し、安中市もそれに従って関連資料の公開に踏み切った経緯がある。
■今回、21日の初公判で多胡被告が平成2年4月16日以前にも正規口座から11億3千万円という大金を不正借り入れしたことが判明。これまで言われていた37億4879万2千円とあわせ計48億円余という被害額の大きさに市民はもう驚きを通り越して、ただただ呆れるばかり。
■そのため、平成元年よりも前の公社の事業内容を把握することが真相解明に不可欠だと考え、当会として2回目の公文書開示請求に踏み切った。今回の開示請求は、昭和55年度から63年度までの公社の事業報告書、決算報告書、収益費用明細書、貸借対照表、損益計算書、財産目録、余剰金計算書、決算監査報告、その他関連公文書一式。ところが5年を過ぎた書類は保管していないという理由で、県はその場で申請を却下。安中市民は門前払いを食わされてしまった。
◎37億事件とそれを許した市当局や市議会に関するあらゆる情報は事務局又は連絡事務所へ!◎
なぜいま家屋調査?48億円市民転嫁への地ならし
「居候3杯目にはそっと出し」という川柳がある。居候の分際で飯を3杯もおかわりするのは気が引けるが腹も滅ってるし、ダメもとで遠慮しいしい3杯目の茶碗を差し出すさまを詠んだもの。ところが安中市当局の場合、臨時広報で市には1円の損害もないと公言しているにも関わらず、8月20日の広報おしらせ版で「ご協力下さい!家屋現況調査」と題して「市では、家屋の課税状況の把握に努めてきましたが、より適正な課税状況を把握するために市内の全家屋について現地調査を実施」と、臆面もなく増税を画策している。市当局の2枚舌は今に始まった事ではないが、これほど露骨なのも珍しい。
■この件について、ただす会で税務関係者に直接尋ねたところ、土地・家屋の評価替えは平成6年に済んだばかり。次回平成9年迄の3年間は見直しないはず。昨年やったばかりなのに、なぜまた今年再調査しなければならないのか根拠がないと判明。何とかして48億円の穴埋めを市民になすりつけたいとする市当局の思惑がみえみえ。市側の間違った考えをただすには私達市民一人一人の自覚と認識が不可欠だ。
■市当局はなぜ今こんな姑息な事をしたがるのか?それは市民の間に48億円事件で行政に対する不信惑が高じてきたためである。事件の真相を隠そうとし続ける市側や市議会の体たらくに市民は愛想をつかしており、市民の納税モラルにも影響が出てきている。それを補うため固定資産税を再評価して、これを増税分で市民から取りLげようというのが、安中市独自のこうした家屋再調査の背景に違いない。
■今回の突然の家屋現況調査には48億円問題が絡んでいることは明白。増税に向けた地ならしのための家屋立入調査は直ちに取りやめさせよう!もし、市民の敷地内に調査員が立ち入ろうとしたら、大声をあげて撃退しよう!調査員の立入りを拒否しても逮捕されることはない。おしらせ版によると、この調査は国際航業に委託し9月中旬から来年2月下旬まで実施するらしいが、市民は平素より監視を続ける必要がある!
6月25日の広報臨時号のデタラメさ加減!
48億円事件が起きてから既に3ヵ月経過するが、この間に市当局から市民に対して出された事件に関する資料は6月25日に配布された広報臨時号だけ!ところがそのたったひとつの市当局の報告にデタラメな点のあったことが判り、さあたいへん!
■広報臨時号には5月31日現在の公社借入金は10億1690万4千円であると明記してある。一方、公社の事業報告書によれば今年の3月31日現在の借入金は19億1378万5千円となっている。この違いに気付いた当会の市民専門家が、「なぜ2ヵ月間で8億9688万1千円も滅ったのか?その財源はどこからひねりだせたのか?」と公社の職員に質問した。ところが公社の職員の返答が曖昧なため、更に追求したところ、「公社の借入金については、実はこの(群銀からの10億1千余万円の)他にも、別の金融機関からもある」ことを公社側が渋々認めた。
■上記の通り広報安中臨時号では「金額については、公社の借入残高は10億1690万4千円」と明記してある。臨時号を読む限り、金融機関からの「正規」の借入金額はこれがすべてであるかのようだ。市民は当然そのように解釈した。ところが、実際には群銀以外からの借金はこれに含まれていないというのである。市当局が出した事件に関する唯一の資料さえも、市民に真実を教えていないことがハッキリした以上、広報臨時号で発表された37億余円という不正借入金額自体、信憑性が疑われる!
■おりしも21日の初公判の起訴状朗読で明らかにされた正規口座での11億3千万円の新たな横領の事実は、事件の真実を覆い隠そうとする市当局の姑息な姿勢を端的に浮き立たせる結果となった。
―――――市政をただすスローガン秀作集(4)―――――
肩幅の 広い町にと なる筈が 肩身の狭い 安中市民
――――――――――
37億円(今となっては48億円!)というカネの重み―――――
●1万円札で積み重ねると37メートル50センチ!10階建てのビルの高さに相当。
●1万円札で横に倒すと25メートルのプールを折り返してプール中央まで戻るまでの長さ。
●1万円札で地面に敷き詰めれば4560平方メートル(1400坪)!テニスコート約18面分
●千円札なら4万2730平方メートル(4町3反、1万2900坪)!
●年収500万円の給与所得者の740年分!
◎この会報に対する賛否のご意見は、実名でお聞かせください。紙面上の匿名は希望に応じます◎
■市政をただす安中市民の会 会報11号(下) 連絡事務所TEL/FAX:81-0364 平成7年8月29日発行
旧安中地区シリーズ 上野尻公会堂で市民報告集会ひらく!
8月18日(金)午後7時半から上野尻公会堂で約40名の市民が集まり当会主催の報告集会が開かれた。集会は、まず事務局側から百条委に至る事件の経過、百条委の解説、公社/市が被害を受けた場合の市民生活への影響について説明。そのあと参加市民の間で質疑応答に入った。以下に主な討議事項を示す。
■百条委員会は、群銀関係者への訊問は割合熱心だったが、公社/市になると途端に質問が鈍りトーンダウン。百条委と市当局のナレアイぶりが良くわかる。
■群銀を始め、市長や市の職員ら市当局関係者、理事長や監事ら公社関係者の殆どが証人ではなく、参考人として召喚された。証人として呼んでこそ百条委の価値がある。これでは百条委の及び腰がみえみえ。
■容疑者が群銀からおろした金はどこにいったのか、百条委で調査できるのか?[本来はできるはずだが、安中市議会の百条委は市当局とナレアイなのて期待できない1
■実害を少しでも減らすように、容疑者本人ばかりでなく、親戚から金をかき集めて返済に充てるという事はできるのか?[道義的責任はともかく借入れの金銭は連帯保証人でない限り強制的には無理]
■群銀の裏口座に残っているという2億円がもったいない。普通預金らしいが小川市長の公印がないとおろせないのか?[公社が公金ではないとして、群銀との話し合いに応じない限り手つかずの状態が続く]
■市長はそんな金知らないと言って、ぬくぬくと座っていられないはずだ。[誠にもったいない話し]
■多胡容疑者が自供した内容は市民には判らないのか?[警察では公判維持という大義名分があるので、公判前に供述内容を発表することはない。マスコミに一部リークする場合はあるが。いずれにせよ8月21日の前橋地裁での第1回公判で起訴状が朗読されるので、かなり明らかになることが期待される]
旧安中地区シリーズ 旧邸公会堂で市民報告集会開く!
8月21日(月)午後7時半から旧邸公会堂で聞いた市民報告集会に約60名の市民が集まった。集会は、まず事務局側から市民傍聴を拒否した議会の経過、百条委の解説、公社/市が被害を受けた場合の市民生活への影響について説明。21日に前橋地裁で聞かれた事件の初公判の傍聴報告も交え、ホットな情報が参加市民に提供された。そのあと参加市民の間で質疑応答に入った。主な討議事項は次の通り。
■百条委員会の市民傍聴を拒否できるような条文が何かあるのか?[条例では委員長権限に委ねられるとされているが、屁理屈をこねくりまわして市民に傍聴させないようにしているのが実情]
■県外の友人らがこの事件に注目しており、ぜひ事件の内容を知りたいという要請も受けて今日の集会に参加した。民間会社では社印管理はうんと厳しい。安中市には公印押捺簿がちゃんとあったのか?
■地方分権が叫ばれているが、今回の事件はそうした権限を安易に地方に委譲するととんでもない事態が起きる可能性があることを実証した。この意味からも前代未間の大事件!なぜ安中で起きたのか、行政も市民も自問自答しなければならない!
■なぜ15年間も48億円もの着服がバレなかったのだろう。私は市タト勤務だがこの事件で同僚にバカにされている。こうなったら市民がいっそ夜逃げでもしない限り国は助けてくれまい!本当に困った事態だ!
■中央政治の体質が汚職の温床になっているから権限を地方におろせと言う声がある。結局地方も甘い汁を吸いたいというのがホンネ。この日本の体質をはからずも露呈したこの事件は内外で往目されている!
■何十億円もかけてできた新しい体育館がここ旧邸からも見えるが、隣には一生懸命おばあちゃんを看病している家族が住んでいる。年寄りへの配慮ができる市議はいないのか?不良議員を一掃するためには、高潔な人はカネがなくても老若男女を問わずふるって政治の世界に出なりればと、つくづく思った!
■こんな事件が安中で起きて市民としてなさけない!会報をよく読んで次回の選挙ではぜひ参考にしたい!
■37億円の使途は裁判の仮定であきらかにされるだろうか?[本日公判傍聴したら、容疑者が一番先に公金に手をつけたのは昭和56年頃。手数料が公社に30万円振り込まれると初っ端から15万円をネコババ。昭和60年にはこれが4、5千万円になった。平成2年に経理に明るい直属上司が来たのと古城団地の特別会計にヒントを得て裏口座を開設。結局48億円もの詐欺事件となってしまった。9月18日の午後3時から追公判あるので次第に巨額横領金の使途が明らかになると期待されるが、これは司法だのみ。市民側としてできることは市民代表の議員が百条委で真相解明するしか方策がない]
■私は税金がズサンに使われるのは納得できないので、納税を銀行自動振込で支払うのは止める!納税組合冊由か自分自身で銀行に納めることにしたい。
ここが知りたい(4)――――――――――
横領したのは19億円だけとする容疑者供述報道のウソ!
新聞報道で、容疑者が骨董やギャンブルなどバブリー消費に使った額は19億円、利子元金返済に16億円、裏□座に残金が2億円と供述、などと報じられ、これを読んだ市職員や市民の中には容疑者が実際に使い込んだのは19億円で、所得と見なせるのは19億円だけと信じ込んでいる人が多い。これには大きな誤解がある。新開報道に惑わされないように、市民専門家の見解をもとにきちんと訂正して置きたい。
■分かりやすいように次の仮定をもとに説明する。
容疑者は5年間で13回の不正借り入れをしているが、この聞に既に返済を済ませて借り替えた元金を一括して10億円と仮定。この間に支払った金利合計を年4%として年4000万円×5年=2億円と仮定。一方、5年間に不正借り入れした金でまだ返済期限の到来していない元金合計が21億円と仮定。これ迄に支払った金利合計が年4%として年8400万円×5年=4億2000万円と仮定
●容疑者は不正借入した元金10億円の償還期限到来前にどこから金を調達して返済に充てなければならない。そこで群集から10億円借り替えのために借り入れたとすると、金利分の2億円も一緒に返済しなければならなかったので、横領がバレないためには実際には群集から12億円を借り入れたことになる。
●不正借入してまだ期限のこない21億円の分について、横領がバレないためには金利分合計4.2億円を期末毎に払い込む必要があり、この分も群銀から借り入れなければならない。そこで元金10億円の返済時に必要な利息2億円と共に、トータルで6.2億円の金利を借り替えて返済に充てたことになる。
●まだ返済期限のこない21億円に対して、口座に残っているカネは2億円だということから、実際に着服した金額は21億円-2億円=19億円だというのが容疑者の供述。これを鵜呑みにしている人も多い。
●容疑者の供述のトリック―――――
/【返済期限】/【現在の借入金額】/【容疑者の供述】
不正借入元金:21億円 /→末到来・継続中/○ 19億円/自分で使った
/口座残高→/○ 2億円/まだ使っていない
不正借入元金:10億円 /●到来・返済ずみ/-/元利返済に充てた
不正借入金利:42億円(21億円に対し)/●到来・返済ずみ/-/元利返済に充てた
不正借入金利:2.0億円(10億円に対し)/●到来・返済ずみ/-/元利返済に充てた
新たな不正借入:16.2億円(10+4.2+2.0億円)/-/○6.2億円/-
●返済ずみ元利合計16.2億円 ○借入金合計37.2億円
――――――――――
●しかしこれはトリック。容疑者が使い込んだ金は37.2億円全部であることは自明の理。この単純トリックを説明しても容易に理解できない市税務課職員もいる。横頭金は本人が自分の金銭消費に使ったわけだから、税務当局がしっかりと追徴課税しない限り、まじめに納税してきた市民にとって今後の納税モラルの低下は不可避。事実、37億事件で怒っている市民約10数名が銀行自動引落手続を止めたという。
●所得税法によると課税の時効は7年。従って、いつの時点で領領金が所得と認定できるのかがポイント。訴訟の判決をひたすら待つのか、それとも国税庁や県や市の税務課を促し独自調査を進めるのか、いずれにしても放置して37億円使いドク、という事態にならぬよう当会では国税庁長官に告発状を出し早急に徹底的な税務調査を依頼済み。市税務課によれば国税庁も本件について興味を持って見守っているとか。
●地方税法施行規則17条の6の1項の3号によれば裁判で確定判決が出た後3年間は課税を修正、即ち時効にならないとされる。今回は裁判を通じ容疑者のせしめたカネが公金か否かを明らかになるわけで、容疑者の課税を修正する判決が出ることは、即ち行政にとってプラス(徴税引賦課)になる事を加味する。なぜもっと積極的に容疑者の税務調査に取り組まないのかと、まじめに納税している市民は切歯扼腕するばかり。
●もっとも37億円はとうの昔に闇に消え去り、全財産はたいても2~3億円しか弁済できない状況と見られるから焼け石に水?
●37億円で驚いていたら、8月21日の初公刊でさらに11億円が被害額に上積みされている事が明らかになった。この先いったいどうなるのか!市民の不安は尽きない。
――――――――――
開かれた 見える政治を 市民の手で!
――――――――――
次回定例集会9月2日(土)午後8時半~ 於:安中公民館
**********
【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班】
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます