市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

8年前の首都高横転炎上・・・前代未聞の事故に似合う地裁のトンデモ判決から見えてくる安中タゴ事件の怪

2016-07-15 23:59:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■一昨日の夜から今朝にかけて当会のブログに異変が起きました。「多胡運輸」のキーワードでのアクセスが以上に増えたためです。チェックしたところ、7月14日の晩から夜中にかけて、時事通信、中日新聞(共同通信配信)、産経新聞および朝日新聞が次のネット記事を配信したことが原因のひとつだと思われることが分かりました。

 これらの記事には、「多胡運輸」の言葉は出てきません。あくまで、「群馬県高崎市の運送会社と運転手」「運転手の男性や、輸送業務を委託した出光興産など」「運転手や所属する運送会社など」としか書かれていません。

 とりあえず報道記事を見てみましょう。

**********時事2016年07月14日18:25
運送会社に32億円賠償命令=首都高炎上、出光の責任否定-東京地裁
 首都高速で2008年にタンクローリーが横転、炎上した事故をめぐり、首都高速道路会社が復旧工事費などの損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(青木晋裁判長)は14日、群馬県高崎市の運送会社と運転手=業務上失火罪で有罪確定=に約32億8900万円の支払いを命じた。元請け会社にガソリン運搬を委託した出光興産などへの請求は棄却した。
 青木裁判長は、高架部分の掛け替え費用約17億円のほか、通行止めによる営業損失などを認めた。一方、出光興産については「指揮監督関係が運転手に及んでいたとは認められず、使用者責任は負わない」と判断した。
 判決によると、事故は08年8月、東京都板橋区の首都高池袋線で発生。火災で変形した高架部分の掛け替えが必要となり、現場付近は2カ月余り通行止めとなった。

**********中日新聞2016年7月14日 18時52分
首都高火災に32億円賠償命令 出光興産の責任は認めず
 首都高速で2008年にタンクローリーが炎上した事故を巡り、橋の架け替えなどの損害が生じたとして、首都高速道路が運転手の男性や、輸送業務を委託した出光興産などに賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は14日、男性と勤務先の運送会社に計約32億8千万円の支払いを命じた。出光への請求は棄却した。
 運送会社が加入していた共済から約10億円が首都高側に支払われたが、熱による橋桁の変形や通行規制で損害額が膨らんでいた。
 事故車に出光のマークがあったことから、首都高は「出光には下請けへの使用者責任がある」と主張していた。
(共同)

**********産経新聞2016年7月14日18:57
運転手と運送会社に32億円賠償命令 首都高タンクローリー炎上、橋の架け替えなど損害
 首都高速で平成20年にタンクローリーが炎上した事故を巡り、橋の架け替えなどの損害が生じたとして、首都高速道路が運転手の男性や、輸送業務を委託した出光興産などに賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は14日、男性と勤務先の運送会社に計約32億8000万円の支払いを命じた。出光への請求は棄却した。
 運送会社が加入していた共済から約10億円が首都高側に支払われたが、熱による橋桁の変形や通行規制で損害額が膨らんでいた。事故車に出光のマークがあったことから、首都高は「出光には下請けへの使用者責任がある」と主張したが、青木晋裁判長は「個別の運送業務について、出光が運転手を指揮監督する地位にあったとは言えない」と判断した。首都高速道路は「判決の内容を検討し、関係者と協議して今後の対応を決めたい」としている。

**********朝日新聞デジタル2016年7月14日23時25分
運転手らに32億円支払い命令 首都高で横転炎上 地裁
 東京都板橋区の首都高速5号線で2008年8月、タンクローリーが横転し炎上した事故で、首都高速道路(東京都)が運転手の男性や所属する運送会社などを相手取り、復旧費用や通行止めで受けた損失分の賠償を求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。青木晋裁判長は、事故の原因は運転手らにあるとして、約32億8900万円の支払いを男性と運送会社に命じた。
 判決によると、男性は出光興産の依頼で、20キロリットルのガソリンなどを運んでいた。事故の原因について判決は「運転手がカーブに20~30キロの速度オーバーで進入した」と認定。男性に重大な過失があると認めた。
 首都高側は、出光興産に対しても「下請けを指揮監督しており、使用者責任がある」として損害賠償を求めていたが、判決は「発注者にすぎない」として退けた。
**********

■さらに次のネットニュースサイト記事も見つかりました。この記事には、首都高の訴訟の相手先が「運転手の男性(業務上失火罪で有罪確定)、運送会社、依頼元の出光興産」と更に詳しく記してあります。そして後段には、「多胡運輸」の名前を出てきます。

**********林檎舎ニュース2016年7月15日
首都高速 熊野町ジャンクション火災事故のタンクローリー横転・炎上事故で約32億円の支払い命じる判決

 2008年8月3日、東京都板橋区の首都高速5号線池袋下りを走行中のタンクローリーが「熊野町ジャンクション」内の急カーブを曲がり切れずに横転・炎上した事故(熊野町ジャンクション火災事故)で、首都高速道路(東京都)が運転手の男性(業務上失火罪で有罪確定)、運送会社、依頼元の出光興産に対して復旧費用や通行止めで受けた損失分の賠償を求めた訴訟の判決が7月14日、東京地裁であり、「事故の原因は運転手らにある」として、約32億8900万円の支払いを運転手と運送会社に命じた。
 首都高側は、出光興産に対しても「下請けを指揮監督しており、使用者責任がある」として損害賠償を求めていたが、出された判決では「発注者にすぎない」として退けた。
 この事故の原因について、判決は「運転手がカーブに20~30キロの速度オーバーで進入した」と認定したうえで、運転手の男性に重大な過失があると認めたもの。
 支払いを命じられた群馬県高崎市の運送会社「多胡運輸(たごうんゆ)」は「控訴するつもりはないが、廃業し賠償金を払うのは難しい」とコメントしている。

★熊野町ジャンクション火災事故
 2008年8月3日(日)午前5時52分、首都高速道路の5号池袋線下りを走行中のタンクローリーが「熊野町ジャンクション」内の急な右カーブを曲がり切れずに横転、左側側壁に衝突する事故が発生した。
 タンクローリーは群馬県高崎市の運送会社・多胡運輸所有で、東京都江東区の油槽所から埼玉県さいたま市のガソリンスタンドに向けてガソリン16キロリットル、軽油4キロリットルを輸送していた。
 この事故で運転手は腰を強く打ち重傷、積み荷は5時間半あまりに渡って炎上し、同日11時34分に鎮火した。
 火災の熱により上下2階建て構造で上を走る上り線の路面がゆがみ、鉄製の橋桁が長さ40mに渡って変形、最大60cm沈み込んだ。また、熊野町ジャンクションの近隣のマンションの外壁が火災の熱で焼けるという単独車両による事故としては国内史上最大規模の損壊事故となった。
**********

■この記事から見えてくることは、次のことです。(文中敬称略)

(1)東京地裁の裁判長が、判決で支払いを命じたのは、既に解散した多胡運輸と破産宣告をされたT運転手です。

(2)多胡運輸は少なくとも2年前には解散して、土地も設備も従業員も「㈱美正」が引き継いでいます。多胡運輸の代表者だった多胡茂美も既にこの世に存在しません。そして同社の運転手で事故を起こしたTも、既に自分で掛けていた生命保険の保険料などの財産をすべて首都高に没収され、禁治産者同然の身となっています。

(3)一方、荷主の出光興産㈱(本社東京都港区)や、多胡運輸の元請のホクブトランスポート㈱(本社高崎市)は発注者にすぎないとされ、賠償責任から完全に免れました。

(4)通常であれば、荷主としての責任や元請としての責任を問われるところですが、裁判所は、そうした立場を一切勘案せず、「発注者に過ぎない」としました。

(5)この背景を考える時、多胡運輸の社長だった多胡茂美の実兄である多胡邦夫が単独犯とされた1995年に安中市で発覚した土地開発公社を舞台にした史上空前の巨額詐欺横領事件の幕引きが参考になります。

(6)安中市民が「タゴ51億円事件」と呼んでいるこの史上空前の横領事件では、自民党の重鎮である中曽根派の息のかかった県議や市議ら政治家が多数関与していたため、警察の捜査や検察の起訴の動向が注目されましたが、結局、公社の職員だった多胡邦夫の単独犯行とされ、懲役14年(未決拘留200日を含む)の判決で幕を閉じました。

(7)一方、監督責任のある歴代の公社理事・監事や安中市市長ら幹部、上司、同僚らも、当会によって住民監査請求や住民訴訟で損害賠償責任を追及されましたが、裁判所は最高裁まで含めて、土地開発公社は安中市とは別の法人だから、安中市民には損害が無く、したがって訴訟資格が無いという理由で棄却或は却下されました。

(8)今回も、中曽根康弘とかかわりの強い出光佐三が創業者の出光興産、長男の中曽根弘文の仲人を務めた御仁が代表取締役を務めるホクブトランスポートに賠償責任が当然降りかかってきてもいいはずの事案ですが、裁判所はこうした中曽根派の企業が責任を回避できるように配慮したことがうかがえます。

(9)結局、損害賠償能力のない、しかも実体さえない多胡運輸と、事故で破産した元トラック運転手とスケープ・ゴートに仕立て上げて、首都高としては史上空前の大規模損壊事故は、裁判所の異常な判決で幕引しようとする当局の思惑が見えたことになります。


■当会としては首都高、この原告の首都高らは、首都高の利用者を意識して、きちんと損害賠償を原因者に負担させるという常識的な対応をこれまで取ってきたことは当会としても確認済みです。このため、今回の東京地裁のトンデモ判決を踏まえて、首都高とそのお目付け役の独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構がきちんと控訴するかどうか、を慎重に注視してまいります。

【ひらく会情報部】

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2 コメント

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Unknown (ノブ)
2016-08-16 18:45:48
多胡運輸株式会社は、存在してたの❓
この破産の意味は❓
http://www.data-max.co.jp/280816_h1/
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Unknown ( )
2016-08-13 05:51:30
タゴ関連事件の恐ろしい所は、他所の自治体なら普通は出て来る
市役所からの内部告発者が全く出てこない所ですよね
きっと「機密」に触れる部署は事件関係者のコネ採用職員で固められているんでしょうね
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