市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

タゴ事件発覚から18周年・・・地方自治体史上最高額の横領事件に安中市民はどう対処したか(会報8号)

2013-06-09 23:52:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
 
■今回は、平成7年8月8日に発行された会報8号を紹介します。ところで、18年前の今頃、巨額詐欺横領事件が発覚したばかりの安中市役所は、連日てんやわんやでした。

元職員の実弟が経営する多胡運輸は、タゴ事件発覚後、市内の間仁田にあった事務所を市外に移すとともに、かつて中曽根事務所の運転手をしていた前社長が経営する北部運送(その後、ホクブトランスポートと改称)から、出光興産の石油関連製品の輸送を下請けするようになり、大型タンクローリーを数台とプロパンガス運搬車など車両数10台を保有するほど事業規模の拡大を果たしました。ところが、平成20年8月3日早朝、首都高5号線熊野町ジャンクション付近の下り線で多胡運輸所有の大型タンクローリーがガソリンと軽油を満載したまま横転炎上し、完全復旧までに2カ月以上要すると言う首都高史上最大の物損事故を起こしました。現在、首都高は多胡運輸の他、荷主の出光と下請けのホクブトランスポートを相手取り、35億円余りの損害賠償請求を係争中。しかし多胡運輸は看板を掛け替えて営業中で、ホクブトランスポートも相変わらず何事も無かったかのように営業中です。安中タゴ事件の異常性が首都高横転事故にも共通しており、背景にあるものを痛感させられます。写真はホクブトランスポート本社。

 それでは平成7年8月8日に発行された市政をただす安中市民の会の会報8号を見てみましょう。

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■市政をただす安中市民の会  会報8号(上)
事務局 関口八郎(磯部3-5-10 TEL:85-6338)連絡事務所TEL/FAX:81-0364 平成7年8月8日発行

最近の市議会のあわただしい動きの意味するものは?
市議会なれあい解散選挙突入のシナリオはこうだ!

最近、市議会の動きがヘンだ。市議会二大会派である新政会や、市民クラブが相次いで会紙を新間折込しはじめた。すでに事実上の選挙戦に突入しているという情報もある。特に7月31日に怪文書がばらまかれてから、議会関係者の動きがにわかにあわただしくなった。議会関係者の間でささやかれている市長不信任議決~解散~総選挙へのシナリオはこうだ!

<9月11日頃に開催される9月市議会の冒頭で、市長不振に何が緊急動議される>
 議員の間ではかなり具体的に取りざたされている話。自分の保身に危機感を持つ議員ほどせっぱ詰まっている。事件の真相が解明されないうちに体制固めを図りたいとする議院らの思惑が錯綜しており8月に臨時議会を召集して不信任議決~解散の可能性がにわかに高まっている。
 8月中に臨時市議会を開催して市長不信任議決を行おうとする動きもある!
 ↓
<この不信任案を全会一致で承認する>
 ↓
<議長が市長に不信任議決を通知する>
 ↓
<市長は10日以内に議会を解散する>
 10日以内に議会を解散しない場合、市長は失職する。
 ↓
<選挙戦に突入(時期的には9月下旬か10月初旬?>
 11月に本選挙が迫っているため、本選挙までの暫定なのか本選挙とするのかは選挙管理委員会次第。8月解散の場合はもっと選挙が早まる!
 ↓
<解散後に初めて召集された議会で、不信任議決を行う>
 3分の2硫黄の議員出席でその過半数の者の同意が必要。
 ↓                      ↓
<不信任議決が通過する>         <不信任議決が通過しない>
 ↓                           ↓
<議長から通知があった日に市長は職を失う>  <市長は職を失わない>
 市長が失職すれば直ちに新しい市長選挙に突入 もし不信任議決が出せない場合、安中市は笑いものになる

【参考資料】地方自治法第178条
「長に対する議会の不信任議決」
普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を当辨通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から十日以内に議会を解散することができる。
②議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき。またはその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があったときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があった日においてその職を失う。
③前二項の規定による不信任の議決については、議員数の三分の二以上の者が出席し、第一項の場においてはその四分の三以上の者の、前項の場合においてはその過半数の者の同意がなければならない。


なれあい解散を画策する市議会の動きに市民監視!

左記のシナリオから市民にとって次のような疑念が湧いてくる。
■オール与党体制の議会の現況からすれば、なれあいで議会を解散して再度選挙をおこない、再選後は市民の信任を得たということで4年間再びノーテンキ議会となってしまうのではないか?
■現職議員は2~3名の候補を除いて再度出馬を狙っている。ここにきて突然、市民クラブや新政会などが会紙を発行しはじめたのも、選挙をにらんであわてて市民にアピールしようとする思惑がありあり。
■現議員は今回の事件によって、自分の延命に危機意識を持つ者が多い。とくに開発公社の役員をしている(或いはしたことのある)議員ほど、その意識が強い。それだけに再出馬意欲も旺盛。
■もし解散後に初めて招集される市議会で市長の不信任議決が出せない場合、安中市は再び全国の笑いものになるが、これまでの現議員の37億円事件の対応ぶりを見てみると、そうした非常識な展開予想さえも真実味を帯びてくる。百条委員会設置に消極的なのも、じっくり腰を据えて事件の真相解明を図ろうとする気持ちが議員にないためと考えられる。すでに選挙戦を開始すると宣言した議員も現れており、他の議員もこれを横目でみて気もそぞろ。こういう現職議員らが再選されても、当選した途端に安心してしまい、事件の真相調査への関心は望み薄。市民の厳しい自覚と監視の目がいまこそ求められる所以である。

「新政会だより」にみられる議員感覚と市民意識のズレ

37億円事件が発生して既に2ケ月が経過しようとしているにもかかわらず、この間市民に対して議会からは、6月の「市議会だより」でしか情報が届かず、市民の疑問や不安に対するきちんとした説明の機会は何もなかった。市政をただす会による市民報告集会が安中市民にとって事件の真相解明に期待をつなぐ唯一の機会提供であった。ところがここにきて、新政会、市民クラブと立て続けに会紙が細則折込された。
■7月30日付「新政会だより」を読むと、この2ケ月間に議会内では具体的なことは何もやっていないことがよくわかる。百条委員会をすぐに設置しておれば、もっと違った展開になっていたと悔やまれる。
■新政会としての取り組み方を見ても、百条設置はおろか、特別委員会の市民傍聴についても、ひとことも言及していない、しかも「我々は、うわさ話や憶測・悪意の中傷などに基づいて、行動することはできません」とか「不確かなうわさ話や憶測が、いつの間にか本当の情報のように罷り通っていますが、情報源に直接確認するぐらいの心構えが必要でしょう」などと、議員としての行動力不足を棚にあげている。評論家のような心構えで果たしてこの大事件の真相解明ができるのか?市民の間で疑問視されている。

市民クラブ’95臨時号のカメレオンぶり!

■8月2日市民クラブが珍しくこの時期に臨時号を新開折込した。37億円事件についての公開アンケートに対してダンマリを決め込み白紙回答した議員を8名も抱える市民クラブだが、7月30日の新政会の会紙や7月31日の怪文書で散発されたらしい。「土地開発公社不祥事件について」と題するB4表裏印刷のチラシを読むと、市民受けを狙った表現が目立つ。そのなりふりかまわぬ無節操な内容を次に示す。
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8月2日の市民クラブによる臨時号の内容
 注:( )内は臨時号を読んだ市民の感想
1.真相の早期解明
2.市側と銀行側の民事的争点の解決の要望
3.百条調査権を負託した特別委員会の早期設置
 (草津町では1億円にも満たない開発協会の不明金問題で開催された全員協議会で、真相解明に向けて、その場で百条委員会設置を決定しているだけに安中市議会のノーテンキぶりが際だつ)
4.特別委員会の報道機関への傍聴公開に努めます
 (あくまでも市民には傍聴させないという深謀の意図が隠されている。しかも「傍聴公開に努める」という曖昧な対応は市民クラブの体質をよく表している)
5.事後処理における市民負担の回避
6.市長の政治責任について、今回の不祥事件は行政を与る長たる市長に責があることは当然
――――――――――
市民クラブで唯一アンケートに回答した市民クラブ会長議員の回答内容
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百条委員会の設置について
 唯今当市議会では地方自治法第110条による特別委員会が設置されており目的に向かって委員各位におかれては一生懸命努力をいたされておる所であり今后の課題として真相究明のために調査権の委任などの必要を生じたる場合には100条設置の必要が生じることと思われる。
特別委員会の傍聴について
 安中市土地開発公社にかかわる不祥事件について事の重大性をその内容が今や司直の手にあると共に今后は市・開発公社対銀行との関係となり法廷の場での争ひとなろうかと思うので委員員会自体の権能を最大限に発揮するため非公開とすべきである。

■市政をただす安中市民の会 会報8号(下)

市長の強弁既に破綻!損害ない筈の市に国の指導入る!

■7月25日に秋問公民館で開かれた地区報告集会で、原田求市議から事件について説明したいと申し出があった。以下はその時の同市議の説明内容。
●本日の参加者から(私が公社の)理事でありながら議会で追求するのはとんでもないという指摘あった。そのためこのことについて説明させて欲しい。
●真相を求めるために、公社が別法人だという枠を超えて地方自治法221条(予算の執行に関する長の調査権など)の関係で理事長ではなく市長にきく立場を取り、市長が管理監督する公社について議員にもきく権利かあると判断。本件について6月市議会の一般質問で質問しようとした私に対して、市の執行部から事前に「ぜひ質問しないでくれ」という要請を受けた。私はこれをはねつけて市側に質問した。
●県や自治省からこんなに穴が空いた公社と安中市に対して指導が入っている。7月24日に小川市長にこのことを確認したが、最悪の場合、国や県からの指導もありうるという事を市長は否定しなかった。
●市は損害がないとして広報に出したこと自体問題だ。市の対応について充分追求すべきだ。
●百条委員会については私は一貫して「この大事件は前例のない不祥事なので98条では充分な真相解明ができないから百条が必要だ」と主張してるが多数意見にならない。しかし全休としていろいろな問題に突きあたって充分な調査ができないため議会でも百条に切替えなければという雰囲気が相当出てきた。
●実害については、一部の新開報道で容疑者の裏口座に2億円残っていることもあり、これは37億円から差し引かねばならない。容疑者の弁護士も、市公社の弁護士に対して容疑者本人の全財産で弁済すると言っている。これは補填財源に充てられる。今後銀行と市/公社との民事の関係を考慮して、どれだけ和解で決着できるかにかかってくる。だが咀時点では殆どのところは不透明。
■この原田市議の発言を裏付けるように、29日の読売新開報道によると、自治省が28日までに安中市と同公社から37億円事件で事情聴取を行い、市/公社による内部調査を引き続き進めるよう指示し、適正な公社運営に向けて指導するとともに、再発動止対策の確立を要請したとされる。公印管理に落ち度がないならこうした自治省からの指導など受ける理由もないはず。臨時広報を通じて示された小川市長の「事件による損害はない。公印管理は細心の注意を払っていた」とする弁解が既に破綻しているのは明らかだ、

8千万円で百条設置した草津町議会と37億円でも設置しない安中市議会!この違いはなぜ?

■7月下旬から取り沙汰されていた草津町開発協会の不正流用全問題で、草津町議会は7月31日に全員協議会を開き地方自治法に基づく百条委員会の設置を決定。早速8月4日に百条委員会を設置し真相解明に向けて調査を開始した。草津町の場合、県企業局が草津町に管理運営を委託しているゴルフ場の維持管理で、企業局が支出したゴルフコースなどの改修費用約8千万円を職員旅行や企業局職員の接待などに流用していた問題で百条委員会を設置したもの。同じ議会でも安中市議会のノーテンキぶりとは大違い。この差はいったいどこから来るのか、安中市民はただただ首をひねるばかり、

容疑者が研修を受けた自治大学校と「有能」の定義

■多胡容疑者は昨年秋、東京都港区南麻布の一等地にある自治大学校で3ヵ月間研修を受けた。自治大学校は自治省本省の管瞎で校長以下スタッフ16人を擁する。大学校という名前だが一般大学と異なり学生を募集するわけではなく、将来の地方公共団体の幹部職員養成向けの唯一の中央研修機関。研修コースは、都道府県職員向け6ヵ月コース、市町村向け3ヵ月コースなどがある。受け入れ枠はたいへん少なく、従って研修申込には首長の推薦状が必要とされ、対象者は40才前後の係長級で有能な職員が選抜される。
●履修した職員はその後の人事考課でも優遇され出世が約束されるという。多胡容疑者も小川市長の推薦を受けて3ヵ月間広尾の察に滞在し研修を受けた。容疑者を「有能」と評価した小川巾長のホレ込みようがうかがえる。これまでに安中市から自治大学校の研修を受けた珀職員としては、現安中市土地開発公社監事で元市職員の坂東吉和氏、同じく元市職員の伊藤成市議がいる。

――市政をただすスローガン秀作集(2)―――
シラを切るだけ金利も増える 全部喋って楽になれ!
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市民定例集会で37億円事件アピール採択!

7月28日に開催を予定していた第2回市民集会が市側の拒否に遭い、急速街頭演説会に切り替えたため市民の総意結集ができなかったため、7月29日安中公民館で聞かれた定例市民集会で討議の結果次のアピールを採択した。
―――――アピール―――――
◎臨時広報で示された37億円巨額不正疑惑について市の見解は、個人対銀行の問題(詐偽事件)であり市民には損害が無い!とその巨額に対する行政上の責任を強く否定し、市民に迷惑をかけないと周知徹底をはかっているので、これを必ず守って頂きたい、
◎そのために、市当局が誠意をもって一刻も早く市民の前にその真相を明らかにすること。
◎と同時に、市議会が独自に真相解明に真剣に取り組み、逐次その結果を速やかに市民の前に明らかにすること。
◎これが最も重要かつ大切な事と考えているが、残念ながら現状ではこれを満足する条件が整っているとはとうてい認め難い。従って、せめて市政の主体である市民自身がその解決への熱意を示さなければなるまい。
――――――――――

<事務局からのメッセージ>
私たち「市政をただす(質・糺・正)安中市民の会」の運動もこの一環を担うものと考えております。皆さまのご理解とご協力を頂きひとりでもこの運動へのご参加をお待ちしております。この巨大な金額の内、たとえ1円でも市民の負担としてはならない!また、市民生活や市民サービスの低下があってはならない!そしてこの巨大な金額の処理を最後までしっかりと見極めて行く必要があります。これを目標にこれからもこの運動をより強力に続けて参ります。どうぞ宜しくご支援の程お願い申し上げます。
                    市政をただす安中市民の会
                    事務局長 関 口 八 郎

<旧安中地区報告会開催のお知らせ>
8箇町村をリレー方式で結んで開催し市民から大好評を得た市民報告集会に引き続き、今度は旧安中地区で報告会を下記の通り開催することが8月5日の定周防民集会で決定された。
   8月7日(月)午後7:30~ 谷津公民館
  8月12日(土)午後7:30~ 下の尻公会堂
  8月18日(金)午後7:30~ 上の尻公会堂
  8月21日(月)午後7:30~ 旧邸公会堂
  8月23日(水)午後7:30~ 中宿公民館
  8月24日(木)午後7:30~ 新邸公会堂
  8月30日(水)午後7:30~ 伝馬町公民館
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次回定例集会 8月19日(土)午後8時半~ 於:安中公民館
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◎この会報に対する賛否のご意見は、実名でお聞カそください。紙面上の匿名は希望に応じます◎
◎37億事件とそれを許した市当局や市議会に関するあらゆる情報は事務局又は連絡事務所へ!◎
◎連絡事務所の電話はFAX兼用です。FAXによる情報提供も81-0364でお願いします◎
★★市議全員からの公開アンケート調査結果が当会事務局にあります。希望者はお問い合わせ下さい★★

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【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班】

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