市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

世界の街角・・・サウジアラビアという国(その1)

2018-11-15 23:57:00 | 国内外からのトピックス
■サウジアラビア政府を批判していたジャマル・カショジ記者(59)が在イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された事件の異常さが世界中で話題となっています。今の世にこのような映画もどきの強権的事件が起きるのか、と思う人が大半だと思います。この事件では、トルコ政府が一部始終を盗聴しており、主導権を握ったかたちで事態が展開しています。背景にはアラブの宗主国の座を巡る、サウジとトルコのせめぎあいも相まって、さらに中東の複雑なパワーバランスも影響していますが、サウジアラビアに2年近く滞在したことのある筆者としては、サウジのやり方について、さほど驚きを感じませんでした。19年前を思い出しながら、サウジアラビアの日常と非日常について、記してみたいと思います。

ときどき現地スタッフらとプールサイドのテラスで夕食を摂ったホリディ・イン・ヤンブー。一度現地スタッフの結婚披露宴にも招待されたが、結局新婦は見られず仕舞い。

 サウジアラビアは、「サウード家のアラビア」という意味で、まさにサウード家を国王に抱く絶対君主制国家です。首都は内陸にあるリヤドで、イスラム教最大の聖地メッカと第2のメディナが西部の海岸地方にあります。世界銀行の定義では高所得国に分類されており、アラブ諸国で唯一G20に加盟していますが、産業は石油依存で多様性には乏しく、天然資源開発が主要産業となっています。

 サウジアラビアの資源を象徴する石油は1938年にペルシャ湾岸で発見され、第二次世界大戦後はアメリカ資本によって開発が進められました。今や、世界の石油埋蔵量の4分の1が集中し、石油収入が国家を支えています。油田地帯は東部や東南部に偏在しており、ペルシャ湾岸のアル・ジュベイルは、サウジアラビア最大で、中東でも最大の工業都市で、世界でも有数の工業都市です。原油は1975年に作られたパイプラインでアラビア半島を横断し、西側の紅海に面したヤンブーもまた、アル・ジュベイルと並ぶサウジアラビアの2大工業都市です。筆者はこのヤンブーで、当時、単一ユニットでは世界最大級の多段フラッシュ型海水淡水化プラントの現地造成工事から、据え付け、運転、引き渡しまでのいわゆるフルターンキー方式(全くのゼロの状態から、プラントを完成させ、自動車のようにキーを回せば、プラントが本格稼働する状態で引き渡せる状態になっていること)の契約で作業を進めるため、およそ20カ月をヤンブーの現場で過ごしました。


ヤンブー郊外の行先表示標識。

 そのヤンブーは、サウジアラビア西部、マディーナ州にある人口約18万人(2004年)の都市で、ジェッダの北350km、聖地のひとつメディナの西160kmに位置していて、紅海に面しています。ヤンブー・アル=バハル(アラビア語: ينبع البحر‎)とはアラビア語で「海辺の泉」を意味し、東部のダーラン油田からのパイプラインの終着点であり、大規模な港と工業団地が造成され、ヨーロッパ諸国への原油輸出の拠点となっており、また石油精製や石油化学工場が立ち並ぶ一大工業都市で、筆者が携わった海水淡水化プラントは、それらの工場向けの工業用水や、従業員や家族らの住む居住地区向けの飲料水を供給するための施設です。


工業都市ヤンブー。↑

■筆者が、アフリカのビクトリア湖に繁茂する水草の除去のため開発した特殊な作業船の現地引渡し前の試運転のため、ウガンダのカンパラにあるエンテベ空港に降り立ったのは20年前の1998年1月でした。そこで2カ月半ほど滞在しているときに、サウジアラビアの紅海側に面した工業都市ヤンブーで当時世界最大級の海水淡水化プラントの建設プロジェクトに急遽携わることになり、4月1日から工事開始に備えて転勤のため、帰国することになりました。

 そして4か月間の準備期間を経た後、1998年8月、はじめてサウジアラビアに足を踏み入れました。

 それから2000年4月まで約1年8カ月の間、半年に一度2週間の休暇のほかは、サウジアラビアのヤンブーの現場でほとんど過ごしました。

 サウジアラビアで撮影した写真は、工事中に海水淡水化装置の構造部の溶接個所のトラブル発生の際に、証拠として撮影するだけで、屋外では一切写真をとることはありませんでした。偶像崇拝を禁じているイスラム教の厳格な信奉国であるサウジでは、カメラを持っていることさえ許されません。いくら工事用とはいえ、カメラの管理にはずいぶん気を遣いました。

 当時はすでにインターネットとデジタルカメラが普及し始めていたので、プラント工事で撮影した画像をネットで日本に送りましたが、検閲を受けるのではないかと、いつもヒヤヒヤしていました。


サウジの道路はとにかくだだっ広い。片側3車線、4車線はザラ。そこを時速140キロで走っていても、後ろからピッタリつけてあおってくるのがサウジ人。写真のように中央分離帯にはナツメヤシが植えられている。実をつける時期には中央分離帯の脇に駐車して、実をとっているサウジ人を良く見かける。これを天日干しにして甘いデーツを作る。ただし排気ガスと埃がよく洗い落とされたのかどうか、気になるところ。

■検閲といえば、日本からOCSというクーリエ・サービスで日本経済新聞を取っていましたが、女性の写真で短パンやノースリーブは、丁寧に黒いマジックインキで塗りつぶされていました。女性の水着写真など言語道断で、全身真っ黒けにされてしまいます。娯楽のない現地を慮って、日本からドラマや時代劇、歌謡、バラエティ番組などを録画したビデオが定期的に送られてきました。時代劇では、おなじみの水戸黄門で、定番の入浴シーンがありますが、これが磁気を使った装置できれいに消されています。しかもご丁寧に、入浴シーンの前後2、3分ずつ余計にカットされているため、ストーリーが細切れにされて、今一つよくわからなくなっており、折角の日本の番組が楽しめなかったことを思い出します。

 それでも紅白歌合戦などは数年分ストックがあり、なんども繰り返しみていました。

 検閲といえば、サウジに入国するときが頭痛の種です。それでなくても入国管理の手続きに時間がかかり、1時間以上は日常茶飯事で、最高4時間ということもありました。入国管理官は、われわれ外国人訪問者のことなど眼中になく、ほかの管理官とおしゃべりをしたり、お祈りの時間になると、30分くらい居なくなります。同僚と連れだってお茶でも飲むのか、平気で30分くらいは席を外しても平気です。

 忍の一字でパスポートにスタンプを押してもらった後、さらに憂鬱な関門が待ち受けています。税関での荷物検査です。日本の空港だとめったにトランクの中を開けなさいとは言われませんが、サウジの場合は荷物の中身は全部、徹底的に調べられます。

 禁制品は、豚肉製品、アルコール含有品、そしてエロティックな文書絵画類です。豚肉製品は、レトルトなど加工品であっても、いちいち成分表に目を凝らします。日本語なら大丈夫だろうと思いがちですが、長年訓練してきている税関吏たちは、漢字の「豚」や「猪」などパターン認識で覚えていると言われるほど、隅々までチェックします。包装紙もすべて解くように指示されます。

 だから、食品表示に豚肉の写真でもあろうものなら即座に没収されます。現地の日本人の間では、エースコックの即席ラーメンは絶対に持ち込まないように言われていました。理由はもうお分かりだと思います。

 あるとき、現地の日本人の間で、こんな話が伝わりました。大手商社の若手写真が、パソコンにAV画像を忍ばせていたのが、税関のチェック時にバレて、あやうく鞭打ち刑を科せられるところ高額の罰金でおさまったとのことでした。それ以降しばらくの期間、日本人の渡航者とみると、税関吏が特に念入りにパソコンの中身まで検閲するようになったという話が、現地工事に携わっている日本人の間で話題となりました。

■サウジアラビアはメッカとメディナというイスラム教の聖地を抱いているだけに、戒律が特に厳しい国です。アルコールは厳にご法度のはず・・・・ですが、現地にいるといろいろと面白い話があります。

 入国時の税関チェックで荷物検査を徹底的にやられることは前述のとおりで、アルコールも消毒液や整髪料などもアルコールを含むとして、蓋を開けたりされて内容物を確認されます。もちろん、現地には酒屋は皆無です。

 ところが、派手に酒を飲める機会が1年に1度だけあります。現地工事で長期滞在している日本人にとって、その日は12月上旬に巡ってきます。1か月ほど前に、ジェッダにある日本訴領事館からFAXでナショナル・デーの案内が回ってきます。これは、日本に限らず他の主要国でも開催していますが、サウジの高官やジャーナリスト、現地に外交使節団を送っている各国の外交関係者、そして現地に在住する自国民を対象に、総領事館の庭で開催する国としてのお祝いです。

 日本の場合、天皇誕生日をナショナル・デーと位置付けていますが、12月23日はクリスマスに近すぎるため、実際には12月上旬に設定されています。

■筆者は2年間のサウジアラビア滞在中に2度、在ジェッダの日本総領事館主催のナショナル・デー祝賀会に呼ばれて参加したことがあります。現地では休日は金曜日ですからその前日の木曜日は午前中のみ仕事で、昼食は家で摂ります。ナショナル・デーは木曜日の夜に開催されるため、あらかじめジェッダのソフィテル・ホテルを予約し、工事の為滞在しているヤンブーを午後1時ごろ出発し、約330㎞を3時間半で移動し、ジェッダのホテルにチェック・イン後、正装して日本領事館に向かいます。

 日本領事館では、和服を着た領事館関係者の家族の方たちが笑顔で出迎えてくれ、本当に日本に戻った気持ちになります。領事館の広い芝生の庭に案内されると、すでに今や遅しと来客が大勢たむろしており、すでに手にグラスをもって、あちこちで談笑しています。


ジェッダにある日本総領事館。↑

 やがて総領事の挨拶をきっかけにナショナル・デーのパーティが始まります。芝生のあちこちに屋台が並び、日本料理をはじめ、中華、西洋、そして中東料理が供されます。驚いたのは、洋酒はもちろん、日本酒を配給するスタンドもあり、その前で、オバQのかっこをしたサウジ人らが、両手に大きなグラスをもって、なみなみと継がれた酒をぐびぐびやっています。日本酒を飲んでいたサウジ人に聞いてみると、日本の大阪にいたことがあり、日本酒の味を覚えたのだとか。

 禁酒国のはずなのに、これほど多種多様なアルコール飲料がなぜ用意できるのか、長く現地に住む日本人に聞いてみると、日本酒は外交特権で運び込み、洋酒は現地のヒルトン・ホテルなどからケータリングで調達しているのだとか。勿論和食料理は、日本から現地領事館付きで派遣されている料理人が腕を振るったものです。

 聞くところによると、このようなナショナル・デーは日を変えて現地に領事館を構えている各国が開催しており、どこもこのようにアルコール解禁状態のパーティだそうです。招かれるのは各国外交関係者のほか、サウジの王族、経済人、文化人、マスコミ関係者、そして現地在留の自国民です。

 サウジは厳しい戒律の国で知られます。ナショナル・デーでもさすがに豚肉料理はお目にかかれません。しかし、アルコール飲料をなぜサウジ人の参加者は、抵抗なく飲めるのか不思議に思いました。その疑問も、2年間のサウジ滞在中に解けました。

■サウジの庶民は、海外に出られるチャンスは皆無に等しいのですが、王族や裕福な層のひとたちは、しょっちゅう外国を訪問する機会に恵まれます。外国では旅の恥はかき捨てとばかりに、飲酒を覚え、皆体格もよいので、その酒量は大変なものです。

 では、そうしたひとたちの需要は、どのように満たされるのでしょうか。サウジでは厳しい禁酒を国民に課しており、飲酒が発覚すると鞭打ち刑に処せられます。筆者の工事現場で担当していたインド人の電気工は、ある夜、キャンプ地の住宅内で、知り合いのインド人同士4人で飲酒をしていたところ、騒ぎすぎて隣のサウジ人宅から宗教警察(ムタワ)に通報され、飲酒中に踏み込まれて、拘留されてしまいました。

 優秀な電気工だったので、拘留されて鞭打ち刑になると、いわゆる「半殺し」の目に合うため(事実、鞭打ち刑50回となると、命を落とす確率も決して低くないとか)、電気工事を監督する者がいなくなるため、筆者も頭を抱えました。

 すると、翌日の午後、州政府の関係者という人物から電話があり、「日本円で50万円ほど払えば保釈してもらえるよ」というのです。というわけで、指定されたとおりにカネを振り込むと、1日の拘留のあと、保釈してもらえたのです。留置所に行ってみましたが、12月ごろだったので夜はまだしも、昼間は冷房もなくたいへん劣悪な環境です。ブタ箱の切符もカネ次第というわけです。

 今回はとりあえずこの辺で。続きはまた、そのうちに。

【ひらく会編集部・この項続く】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

職員の市内居住制限が骨抜き状態の桐生市に監査請求をしたところ却下通知が到来!

2018-11-15 22:52:00 | オンブズマン活動

■5月19日に開催された市民オンブズマン群馬の5月定例会で、桐生市在住会員から、市内居住制限が職員服務規則に明記されている桐生市に対して、市外居住許可申請書の「事由」と「居住年月日」にかかる情報に関して、同市の情報公開条例に基づいて今年2月に開示請求を行ったところ、黒塗りの文書が2月23日に開示されたため、行政不服審査法に基づく審査請求を3月15日に行っているという報告がありました。その後、この審査請求も棄却されたので、当会会員は改めて桐生市監査委員に対して、9月19日付で住民監査請求を提出しました。その監査結果が、11月9日に桐生市監査委員から届きました。なお、この問題に関する関連情報は次のブログ記事をご覧下さい。
○2018年5月19日:市内居住制限を服務規則に明記する桐生市が市外居住許可申請の事由・居住年月日を不開示とするヘンな対応
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2644.html
 当会会員が、桐生市監査委員に提出した住民監査請求は次のとおりです。

*****住民監査請求書*****PDF ⇒ 20180919_jumin_kansa_seikyuusho.pdf
          桐生市職員措置請求書(住民監査請求書)

桐生市長に関する措置請求の要旨

1.請求の趣旨
  桐生市職員服務規則第16条に次の定めがあります。
    「職員は、別に定めがある場合をのぞき、庁舎又はその付近に火災その他非常事態が発生したときは、速やかに登庁して上司の指揮を受けなければならない。ただし急迫の場合は、直ちに臨機の処置を講ずるものとする。
    2 職員は、非常災害の場合においては、別に定めるところに従い勤務しなければならない。」
  また、同第25条に次の定めがあります。
    「職員は、市内に居住しなければならない。ただし、市外居住許可申請書を提出して許可をうけたときは、この限りではない。」
  ところが現状は上記の定めに反しており、職員292人が市内に非居住になっており、通勤手当分計1,736,530円、市民税分51,753,960円合計53,490,490円が不当に支出されている。別紙資料参照。
  上記が、市長による財務会計上の行為の怠る事実と、その違法・不当理由、そして市が被る損害額です、以下の本件請求の概要を記します。
  (1), 市は市民より税金を徴収して、市民の生命、財産を守る義務がある。この税金は市外居住の職員のためのものではない。市の職員になるために、採用試験があり、合格したものだけが、「私は、ここに、主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重しかつ擁護することを固く誓います。私は、地方自治の本旨を体するとともに公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、市民全体の奉仕者として誠実かつ公平に職務を執行することを固く誓います。」としたためた宣誓書に署名捺印し、職員服務規則を守って職員になれるのである。
採用試験はたしかに、居住地がどこでも受けられるが、市会議員、自衛隊の隊員、地域おこし協力隊等の場合は居住が制限されている。市の人事課は憲法の居住の自由をはき違えている。
(2), 同第25条の市外居住許可申請書は職員が提出するものであり、許可基準もなく申請を認めている現状は明らかに不当である。
(3), 請求人は、2018年3月1日付で市外居住許可申請書を情報開示請求したところ。事由と居住年月日が黒く塗られている文書が交付された。直ちに、異議申し立てを行った。その後、同5月に、市長から弁明書が送られてきたので、5月末日に反論書を提出し、現在係争中である。
しかるに、2018年6月の市議会で総務部長が「新築、親の介護などを事由で申請すれば認めている。ただし、憲法の居住の自由により、すべて認めざるを得ない」とする答弁があった。
請求人のような市民には情報開示をこばみ、市議会では要求されてもいないのに市側がこのような答弁をするとは、公務員としての自覚や認識をしたためた宣誓書の精神や趣旨に自ら反する行為そのものである。
(4), すなわち、同第2条に「全体の奉仕者としての職責自覚し、公共の利益のため勤務し、法令、条例、規則等及び上司の職務の職務上の命令に従い、職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならない。」とあるが、上記 (3) のとおり、市の幹部の心構えが不適正・不明確であると、市外在住職員の増加に歯止めがかからなくなり、ひいては、当該自治体への帰属意識、愛着、郷土愛が希薄となったり、阻害されたりしてしまう。結果的に、市そのものが機能しなくなる事態を招いてしまう。
  以上のとおり、請求人は、財政面で困難な状況下にある市の現状を憂いつつ、職員服務規則の厳格な運用を望むものです。
  ついては、監査委員に置かれましては、不当に支出された通勤手当及び市民税分を桐生市に返還させるよう、市長に勧告されたい。

2.請求者
   住所  桐生市天神町3-14-36

   氏名  長澤健二(自署)    印

 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。

    事実証明書目録

1   平成30年度住民税納付額
PDF ⇒ 20180919111ztz.pdf
20180919212ztz.pdf
20180919313ztz.pdf
2   平成30年度特別徴収税額一覧表
PDF ⇒ 2018091942.pdf
3   居住自治体別職員通勤手当実績(平成30年6月)
PDF ⇒ 2018091953.pdf

平成30年9月19日

 桐生市監査委員あて
**********

■この結果、期限まで10日を残す11月9日付で桐生市監査委員から次の監査結果が通知されてきました。

*****住民監査結果*****PDF ⇒ 20181110_kansa_kekka_tuuchi.pdf
                               桐監発第30・20号
                               平成30年11月9日
桐生市天神町3-14-36
 長 澤 健 二  様
                          桐生市監査委員 石 井 謙 三
                          同       〆 谷 信 良
                          同       周 藤 雅 彦

             桐生市職員措置請求について
 平成30年9月19日付で請求のありました、地方自治法第242条第1項の規定に基づく住民監査請求について、要件審査を行った結果、下記の理由により却下することに決定しましたので通知します。
                     記
1 地方自治法第242条第1項の規定は、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員の違法もしくは不当な公金の支出、契約の締結などの財務会計上の行為があり、当該普通地方公共団体に損害が生じているときに、これを証する書面を添え、監査委員に対し監査を求め必要な措置を講ずべきことを請求出来るとするものである。この規定による監査請求の要件は、請求の対象となる財務会計上の行為の違法性又は不当性を具体的かつ客観的に摘示するものである。
2 本件の措置請求は、桐生市職員服務規則第16条及び25条の条文に反していると請求人が主張する行為により市外在住職員の通勤手当及び市民税の支出について市に損害が被るとして桐生市長に返還を求めるものである。
  請求人は、財務会計上の行為の原因となった先行行為である「桐生市職員服務規則」の内容を違法、不当性を理由に財務会計上の行為の怠る事実とその違法、不当性を指摘し損害額の返還を要求している。判例では「先行行為が著しく合理性を欠きそのために予算執行の適正確保の見地から見過ごし得ない瑕疵の存する場合ということを基準として後行の財務会計上の違法性を判断すべきものと解される。(最高裁平成4.12.15))としている。
  桐生市職員服務規則第25条では、ただし書きで市外居住も認めているため、違法性はなく、よって財務会計上の違法、不当性も認められない。したがって地方自治法第242条第1項の要件を満たしていないものと判断する。
**********

■当会会員が「ただし書きには、判断基準が明記されておらず、現状では、申請すれば100%市外居住が認められている状況にあり、これでは、『職員は、市内に居住しなければならない』とする職員服務規則の原則が骨抜きになっていることを、監査委員が追認していることになります。

 当会会員は、この呆れた監査結果の内容を検討して、1カ月以内とされている住民訴訟を視野に入れた検討に入るということです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする