市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【出張!オンブズマン】長野高専自殺事件について事実上外された発生年月日黒塗り

2018-11-23 23:34:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■情報提供と告発によって、長野高専において自殺・自殺未遂事件が近年続発していることが明らかになったことを受け、当会から同校に関連情報の開示を請求したところ、過去10年間の自殺・自殺未遂事件の関連文書が開示されてきたことは既報のとおりです。

10月26日に当会代表が電撃訪問した長野高専。

※参考:自殺・自殺未遂事件関連の開示情報記事
<1~3件目>
〇2018年9月7日:【出張!オンブズマン】長野高専に係る諸問題に関して同校から開示された文書(その2-1)「自殺等関連」
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2746.html
<4件目>
〇2018年9月7日:【出張!オンブズマン】長野高専に係る諸問題に関して同校から開示された文書(その2-2)「自殺等関連」
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2747.html
<5~10件目>
〇2018年9月7日:【出張!オンブズマン】長野高専に係る諸問題に関して同校から開示された文書(その2-3)「自殺等関連」
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2748.html

 しかし、本件に関して開示されてきた文書は、事件に関する経緯の大半が黒塗りされているに留まらず、なんと個々の事件が発生した年月日や文書の関連年月日の一切が黒塗りされているものでした。これではそれぞれの事件・文書の時系列や件数すら判然としません。当会ではこの理不尽な情報不開示を撤回させるべく、メールや担当者との面談によって長野高専と交渉を重ねましたが、一切拒否されてしまいました。

○2018年10月29日:【出張!オンブズマン】文科省天下り校長を持て余す長野高専と関係先を電撃訪問
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2797.html

■このように、自殺・自殺未遂事件がいつ起こったかすら伏せることによって、オンブズマンに追及の足掛かりを与えまいとする長野高専に対して、オンブズマンの方からひとつ絡め手を試してみることにしました。

 当会からの最初の情報開示請求では、「『過去10年間に起こった』自殺・自殺未遂事件の一切の関連文書」と書き、実際長野高専はその条件で文書を特定して当会に開示しました。ということは、この「過去10年間」が例えば「○○年××月以降」であっても本質的には同じですから、長野高専は同様に開示しなければならないということになります。

 そこで10月15日に、以下の内容の情報開示請求書を「当会代表の個人名義」で長野高専に郵送で提出しました。

*****長野高専宛情報開示請求書*****PDF⇒ 20181015lj.pdf

              法人文書開示請求書

                    平成30年10月15日

独立行政法人国立高等専門学校機構
長野工業高等専門学校長 殿
     氏名又は名称:(法人その他の団体にあってはその名称及び代表者の氏名)
                       小川 賢             
     住所又は居所:(法人その他の団体にあっては主たる事務所等の所在地)
     〒379-0114
       群馬県安中市野殿980    TEL090(5302)8312 
     連  絡  先:(連絡先が上記の本人以外の場合は,連絡担当者の住所・氏名・電話番号)
                   同 上               

 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき,下記のとおり法人文書の開示を請求します。

               記

1 請求する法人文書の名称等
(請求する法人文書が特定できるよう,法人文書の名称,請求する文書の内容等をできるだけ具体的に記載してください。)

2009年5月以降に発生した貴学学生の自殺案件すべてに関しての、事件・事故等発生状況報告書。ある件について複数報あった場合は、最終報のみ。

【当会注:以下省略】
**********

 そして、別日にこの「2009年5月」の“5”が、“6”に変わったものを、「当会事務局長」が個人名義で提出しました。この近しい時期に偶然提出された、たまたま内容の似通った2つの情報開示請求は、まったく別人が行ったもので特に関連はないので、長野高専はどちらにも同様に文書を特定して開示しなければなりません。しかし、奇遇にもこの2つの情報開示請求を行った人物がバッタリ会ってたまたま開示情報を付き合わせれば、消えた文書にかかる事件が2009年5月に起こっていた事件だということになります。

 当会では、この情報開示請求について、長野高専がどのような対応を取るのか出方をうかがうことにしました。

■すると11月上旬に、下の2つの開示通知書がそれぞれ当会代表と事務局長宛に郵送されてきました。

代表宛開示通知(2009年5月以降指定) PDF⇒ 20181110jm.pdf
事務局長宛開示通知(2009年6月以降指定) PDF⇒ ij.pdf

 見ると、代表宛の方の文書は全4件ありますが、事務局長宛の方を見ると、「故■■■■君に関する報告」が抜けて、全3件となっています。したがって、関係者の告発通り2009年5月に実際に自殺事件が発生していたことと、「故■■■■君に関する報告」がこの事件に関する文書だということが、当会の狙い通りあっさりと証明されました。(なお、実際に開示された文書についても、下記のとおり同様でした)

代表宛開示文書(2009年5月以降指定) PDF⇒ 201811150_okurijoucoloredwithexcessstamps.pdf
2018112100_okurijou.pdf
201811151_jikenjiko_houkokusho.pdf201811152_jikenjiko_houkokusho.pdf
201811153_jikenjiko_houkokusho.pdf
201811154_jikenjiko_houkokusho.pdf
事務局長宛開示文書(2009年6月以降指定) PDF⇒
2018112101_jiken_jiko_houkokusho.pdf
2018112102_jiken_jiko_houkokusho.pdf
2018112103_jiken_jiko_houkokusho.pdf

■このように、単純な手法ですぐに明らかになってしまうような情報を頑なに隠ぺいしようとする長野高専の姿勢は、実にばかばかしいものと評さざるを得ません。しかし、隠すからには何かしらの理由があるものと考えられますので、考察してみましょう。

 まず、長野高専の自殺・自殺未遂事件に関して、極めて問題と考えられるポイントは以下の4つです。

<ポイント1:発生頻度>
 過去10年間で自殺4件・自殺未遂6件と、1年に1回以上のペースで発生していること。特に2012年は、半年のうちに3件の自殺が起こるという異常事態が起こっていたこと。

<ポイント2:対策の欠如>
 この異常事態に際して、長野高専が原因究明、および再発防止の為の運営改善を行った事実が認められないこと。

<ポイント3:情報隠蔽>
 開示文書の中に、自殺事件に関する保護者・学生向けの説明文書が一切見当たらず(群馬高専ですら通知は行っていた)、また説明会を開いた事実もなく、関係者に何一つ伝えていない事実が伺われること。

<ポイント4:虚偽通達とその隠蔽>
 内部教職員に対してすら、自殺を病死などと偽って報告していたこと。しかも、この虚偽通達を行ったメールが存在するはずにも関わらず、開示文書の中に存在しないこと。

 どれも長野高専の教育機関としての資格が問われる大問題ですが、このうち(1)と(4)に関しては、具体的な発生時期や件数さえ掴ませずにいれば、追及されても回答拒否(絶対に認めない)という形でのらりくらりかわすことができます。また、こうして追及者にインパクトある情報を握らせないようにしておけば、(2)や(3)に関する追及も低調にすることができます。

 このように、徹底的な情報不開示には、オンブズマンの追及の出鼻を挫く意図が込められていると考えられます。逆に言えば、それほどまでに向こう側にとって暴かれると痛い情報であるということでもあります。

■とはいえ、今回の情報開示によっても示された通り、この情報不開示は本質的に無理があると評さざるをえないものです。言い換えれば、どんなに不開示を固守したところで、時間稼ぎにしかならない可能性が高いということです。長野高専はいったい何を目論んでいるのでしょうか。

 この疑問に関して当会が多方面より情報収集したところ、不思議な事実が判明しました。どうやら今月に入ってから、長野高専の石原現校長が休暇を利用して文部科学省人事課を訪れていたようです。

 もしかすれば、群馬高専の西尾校長のように、問題を引っ掻き回した上での逃亡の算段を立て始めたのかもしれません。とすれば、この時間稼ぎにも意味が出てくることになります。石原校長の進退についても非常に注目されるところです。

■さて、本筋に話を戻すと、今回の情報開示の結果から、年月日情報については開示が避けられないことが証明されたため、このことは今後のアクションの有力な材料にしていきたいと考えています。また、このような有用な根拠が得られたことから、審査請求や行政訴訟による処分の撤回も検討していきたいと考えています。

 なお、今回はご報告のとおり2009年5月の自殺事件にのみ焦点を当てて開示請求を行いました。全文書の年月日情報が、開示が可能という結論に至るには、1件だけこのように開示の妥当性を明らかにできればよいことと、全件について同様の開示請求を提出するのは骨であることから、現時点で当会では他の事件についても同様の手法を継続していくことは考えておりません。が、長野高専側が強硬な抵抗を見せた場合、力押しで全文書について時期を特定していくことも検討していかなければなりません。

 なおその後、内部関係者からの情報により、自殺・自殺未遂事件について新たに2つの事実が判明しました。

 まず、2012年7月の自殺事件においても、学校側は「心臓疾患による死亡」などと内部者に文書でうその説明をしていたようです。2009年の自殺事案でも、「急病」と偽って内部者に説明していたことは既報のとおりですが、やはり慣例的に、こうした虚偽報告がまかり通ってしまっていることがわかります。

 繰り返しますが、公的機関である長野高専が、過失ではなく故意に虚偽記載をすることは、虚偽公文書作成になってしまうのですから、どんなに頑張っても「理由はいえないが亡くなりました」以上のゴマカシはしてはいけないのです。また、2015年度以降に数度発生しているとみられる自殺未遂事案についても、実際に発生していたことが確認されました。

 しかし、こうして判明してきた事実もある一方で、例えば2012年12月の自殺未遂事件の有無について関係者の告発内容と実際の開示文書が食い違っていることなど、依然として謎も残されています。

■このように、次々問題点や実態が明らかになってきている長野高専ですが、当会では追及と要請を継続し、長野と群馬、隣り合う両県の相互作用を深化させて、お互いの健全化を促進する一助になればと感じています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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