市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

9月23日投開票の館林市議選の開票場の様子から見えてくる我が国選挙制度の不誠実な現況

2018-10-01 23:51:00 | オンブズマン活動
■9月23日(日)に投開票が行われた館林市議会選挙では、なんと1票が余計に投票箱の中に入っていたことが判明しました。館林市選挙管理委員会では、投票結果に影響がないとして、この重大な不祥事を放置していましたが、その後マスコミに報道されたことから、館林市の選管では、おそらく原因調査も充分にせずに、想定されるミスの原因を列挙した内容で、9月28日付で、市議選に出馬した各候補者宛てに、「市議会議長選挙における投票数の誤りについて(報告)」と題する簡単な報告通知を出しました。
 一方、実際に選管事務局長として、開票作業を取り仕切った経験を持つ当会副代表が、9月23日の開票作業を視察しようとした際のドキュメント・レポートをまとめてくれましたので、本文で紹介いたします。

9月30日に関係者に届いた館林市選管からの「幻の1票」についての「報告」書。


 それでは、9月28日に館林市選挙管理委員会から候補者ら市議選の関係者に送って来た報告文書を見てみましょう。

*****選管から候補者あて通知*****PDF ⇒ 20180930si.pdf 
                         平成30年9月28日
 関係者各位
                    館林市選挙管理委員会
                     委員長 寺田幸次  印
      市議会議長選挙における投票数の誤りについて(報告)
 平成30年9月23日執行の館林市議会議員選挙において、投票数が投票者数を1票上回る事態が発生いたしました。立候補者をはじめとする関係者のの皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことに対し、深くお詫び申しあげます。
 このことにより、選挙結巣に影響が及ぶものではございませんが、選挙管理委員会として厳粛に受け止め、再発防止に努める所存でございますので、よろしくお願い申しあげます。
 また、発生原因について調査を行いましたので、その結果を下記のとおりご報告いたします。
                記
1 調査方法及び結果
  各投票所(含期日前投票所)においても使用されずに返却された投票用紙について、計数機で数え直し、投票録等の書類と照合したところ、誤りは発見されませんでした。
2 考 察
  上記の調査により、誤りは各投票所ではなく、開票所において発生した可能性が高いとの結論に至りました。
  開票所における発生原因として考えられる主な作業は以下のとおりです。
  ① 計数機による票の係数誤り(計数機の不具合)
  ②100票未満の投票用紙の付箋への票数の記入誤り
  ③ 審査を経由した投票用紙の付箋への票数の記入誤り
  ④ 計算システムへの票数の入力誤り
 なお、投票された投票用紙は、梱包し、開票管理者及び開票立会人の印で封印されており、異議申立て等相当な理由がなければ封印を解き確認することはできないことから、これ以上の発生原因の特定は、困難な状況にあります。
**********

■このように、選挙結果には影響しない、などとして、1票の誤差などたいした問題ではない、という姿勢がありありと読み取れます。

 しかし、投票者数よりも1票余計に投票されたわけですから、その原因としては、票のすり替えが行われた際、1票合わなくなった可能性も充分に考えられます。とくに、期日前投票については、筆者も実際に19年前に出馬し一騎打ちだった市長選の遊説の最中に、知り合いの市議から「期日前投票の動静によれば、おまえも善戦しており、5分5分の戦いだそうだ」などと連絡を受けたことがあります。

 このことから明らかなように、期日前投票箱は、選挙の趨勢を占うのに格好の情報であり、選管の委員はすべて行政職員であることから、内部で示し合わせれば、夜間、仲間内で簡単に箱を開けて、票の動きを毎日確認できることになります。

 という背景を念頭において、当会副代表から寄稿いただいたレポートを御覧下さい。

*****ドキュメント・ルポ「これが実態だ」*****
2018年(平成30年)9月23日投開票の館林市議選でみえた不誠実

                      市民オンブズマン群馬
                      副代表 大河原宗平

私は今回の館林市議選に大きな興味を持っていた。

そこで投開票所での「選挙管理委員」や開票作業をする「市職員」の態度をしっかりと見ておきたかったからだ。

開票は午後9時からだと前日の新聞で確認していたので、開票時間前に机の配置や会場の雰囲気を把握しておくために、午後6時20分頃「城沼総合体育館」へ連れと2人で行ってみた。

既に暗くなっていたので、建物全体像は確認できなかったが、大きな建物であることはわかった。

1階の事務所で開票作業場を確認すると「外階段から2階へ上がってください」と案内された。外階段から2階へ上がってみると右側出入り口の内側に「開票即票公開用」のホワイトボードが設置されていてここが開票所だと確認できた。だがフロアは閉ざされており開票作業場の雰囲気は確認できない。

市職員らしき3~4名がうろうろしていたので「開票所を見せてください」と申し入れると「8時まで投票しているので、まだ見られません」と入場を断られた。<不誠実 その1>

それならば時間調整をしてから再度来てみよう、と考え、市内や同所の駐車場で時間調整をして午後8時50分に再度来ることとして2階から外階段を半分ほど降りた。すると一人の一見30代と見える男性が四角形の「投票箱」と判断できる箱を片手で軽々しく持って階段を駆け上がってきた。腕時計で時間を確認すると6時28分だった。

咄嗟に「期日前投票箱だ」と判断できた。

私 :それは投票箱かい?

男性:そうです。

私 :期日前投票箱か?

男性:そうです。

私 :あなたは選挙管理委員ですか?

男性:いえ。市役所職員です。

私 :選挙管理委員はいないのか?

男性:いません。市役所職員がやっています(「運んでいます」の意味だと理解した)。

私 :ここの選挙管理委員も市役所職員に任せきりで全く選挙を管理していないのですね。

男性:私たちが任されています。

私 :期日前投票箱こそ、告示日以降の投票用紙を市役所で管理しているのだから不正の温床になっているということを全く気付いていない無能な選挙管理委員はどこも一緒だね(高崎市の選挙管理委員も投票箱が開封されて投票用紙を数え始めると選挙管理委員会事務局長(総務部長)に案内されて開票所を後にしてどこかへ消えてしまう事実を知っていたからそのように思ったわけだ。)。

との会話を交わして投票箱を持った男性とすれ違いに、私達は階段を下りて駐車場へと向かった。<不誠実 その2>

午後8時の随分前から同体育館の駐車場で待機していると、軽トラックやワゴン車などが慌ただしく同体育館駐車場に乗り付けてくる。様相は青色のポロシャツを着て首にタオルをかけており「選挙事務所の運動員か?」と思わせる人物が数人ずつ談笑しながら体育館方向へ歩いていく。

「館林の選挙陣営は熱心だ。」(高崎市の場合だと選挙速報を先取りしたいマスコミがいただけだったので)そう思ってしまった。

午後8時50分になったので車から降りて開票所へ行ってみた。1分もかからなかっただろう。

今度は2階のフロア入り口がオープンになっており 開票所の雰囲気は見えた。先程らい会場に入った「青色のポロシャツ姿」の者が開票台を取り囲んでいた。(ああ、こいつらは市役所職員だったのか。それにしても暗がりの駐車場を談笑しながら歩く姿は品がなかった。これが市役所職員の本性だと再認識できた。どこもこんな職員の給料を払うために税金を納めているのかとがっかりし直した。)

さて、2階から3階に上がろうとすると1人の男性が「名前と住所を書いてください」と言ってきた。

「開票作業を見るのに名前はいらないだろう。個人情報だ」と記名を拒否して3階へ上がろうとすると、体でこれを阻止してきた。<不誠実 その3>

「市役所職員に対する公務執行妨害だ」と現行犯人逮捕されては困るので押し問答には参加せず、開いているドアから2階の雰囲気を目視した。

選管事務局に配置されている市役所職員だと思われる者が「9時になったら鍵を開けて・・・」などと発言している。

会場には時報が流されていた。

私が会場内の様子をうかがっていると、私に「名前と住所を書いてください」と言ってきた男性は、私の連れに「名前を書いてくれ」と迫っている。

私は抗議した。「連れは女性だ。そんなに近寄るな・・・セクハラじゃないか」と。

男性職員は連れの女性から離れた。

直に2階フロアから40台半ばと見える男性が「このドアを閉めます」と遮断した。<不誠実 その4>

ここも実力で開けるわけには行かず、開票作業の観覧を諦めた。

でも癪だから、私に「名前と住所を書いてください」と言った職員だけは確認しておこうと考え、名前を聞いた。

「安全安心課(と言ったと思うが違うかもしれない)の、津久井」と名札を見せながら言ったと思う。

「津久井」だけじゃあ、特定にならないので、下の名前を聞いた。

「紀行(のりゆき)」と聞こえた。

津久井は続けた。「館林市に住所があって有権者じゃないと観覧できません」と。

私は「何だい。結果的に高崎市と書いたら入れなかったんじゃないか。」心の中で思った。

最初から「館林市に住所があって有権者じゃないと観覧できません」と言えばよかったのに。<不誠実 その5>

ところで、この「館林市議会議員選挙」は投票者数より投票された投票用紙が「1枚多かった」と報じられる事態になった。

私が思った通り「何らかの不正が行われた可能性が高い」と指摘したい。

だから私は開票作業をこの目で観覧するとともにビデオに録画しておきたかったのだ。

その理由は2つある。

1つ目は「期日前投票の票のさし替えをやる可能性」だ。

2つ目は「開票作業に当たる市役所職員が票の入れ替えをする可能性」だ。

前提として投票用紙は有権者数以上の投票用紙が印刷される。

投票率はよく行っても「50%」だろう。

そうすると選挙が終わっても投票されない白票が、選挙管理委員会に有権者数の半分が残ることは疑いのない事実だ。

それから選挙管理委員会事務局職員を始めとする「市役所職員」は「病気その他で、絶対に投票しない(可能性が高い)人を知っている」ことも事実。

過去の選挙の投票状況をみれば「この人は絶対に投票所に来ない人」というのが把握できるのだ。

これらを前提とすると「選挙管理委員会事務局職員を含む市役所職員」が投票された票の「不正さし替え」や「不正入れ替え」を働くことが可能なのだ。

であるから「期日前投票をしてはいけないこと」と「当日の開票作業をしっかり監視しなければいけないこと」が必要になってくるのだ。

それでは「1つ目」の「期日前投票の票のさし替えをやる可能性」を指摘してみましょう。

期日前投票は告示の翌日から本投票日前日まで定められた「期日前投票所」で行われる。昔は「不在者投票」と言っていたが、いつからか「不在者投票」と区別されて「期日前投票」と呼ばれるようになったらしい。

この「期日前投票」の投票箱の管理に問題があるのだ。

毎日の投票が締め切られると、形ばかりに立会った選挙管理委員が封印して帰る。

しかしこんな封印は「紙」だ。張り替えて保管してある市役所内の選挙管理委員会事務局に保管されている「判子」押せば証拠は隠滅される。

問題は「期日前投票箱」にかけられている「鍵」だ。

この「鍵」を開ける「キー」を誰が持っているのだろうか?

ソロソロお気付きでしょうか?

この「キー」こそ、市役所内の選挙管理委員会事務局の(市役所)職員が持っているのです。

市役所行政に何かと、クレームをつける、「市議になってもらっては困る候補者の票を、夜間、密かに「さし替え作業をやる」のです。

繰り返しになるが「半分は投票されない白紙の投票用紙」が「市役所内の選挙管理委員会事務局の市役所職員の手の中」にあるのだから簡単にできる作業なのである。

もしも館林市の選挙管理委員が「それは絶対にない」と証明できるのならば、選挙管理委員全員が期日前投票期間の全部の時間に投票箱から離れなかったことを証明したらいいでしょう。

これは、私が鹿児島県の阿久根市役所の選挙管理委員会事務局長をした経験から明言できることであります。

2つ目の「開票作業に当たる市役所職員が票の入れ替えをする可能性」について説明いたしましょう。

これは「開票所の開票作業」で行われる「不正」です。行う目的は、前と同じで市議になってもらっては困る候補者の票を、密かに「入れ替える作業」です。

手法は至る場所で可能です。

例えば、予め「票の入れ替え役」を決めておき、または、自ら「票の入れ替え役」になり、

開票台で候補者別に票を仕分けする段階で予め自分のポケットに入れておいた「入れ替え票」を投票箱から出された「落としたい候補者の票と入れ替える」のです。

票の枚数は「100票」がやり易いです。

この段階で誰かが「100票減って」、誰かが「100票増える」のです。

次は参考ですが、阿久根市で起きた不正選挙の実態記事です。

http://ookawara.doorblog.jp/archives/38867020.html
**********

■さすがに、実際に選管を取り仕切った経験者だけに、臨場感あふれ、かつ、的確な指摘です。

 筆者が経験した最初の安中市長選は平成7年(1995年)11月14日が投開票でしたが、実はその半年前の1995年4月23日にも、市長選がありました。
※旧安中市選挙執行一覧 PDF ⇒ oldannaka.pdf

 この時は、51億円巨額横領事件の単独犯とされた安中市土地開発公社元職員のゴルフ友達だった現職市長に、市の改革を前面に押し出した職員OBのかたが挑む一騎打ちでした。下馬評でも、選挙戦でも熾烈な争いでどちらが勝ってもおかしくない展開でした。

 それは開票段階でも継続し、群馬テレビの開票速報でも、現職が1万500、新人が1万1000という暫定数字が、画面に報道され、市民が票の最終的な行方をかたずを飲んで見守っていました。すると、突然、開票の確定結果が出て、現職が最後に逆転して僅差を付けて当選したと、報じられました。

 当時、開票所の安中市総合体育館で、客席から開票風景を見ていた複数の市民は、51億円事件にもかかわった幹部職員ら数名が、ズボンの後ろポケットを膨らましていたはずなのに、開票作業を終えた時は、ポケットがペチャンコになっていたのを目撃していました。そしてその市民らは、開票作業の終了間際に、他の職員とニンマリし合った姿も目撃したと語りました。

■こうしたことは、一般住民には信じがたいことですが、役所では公然の秘密にちがいありません。本来は、こうした公選法違反行為を公務員が目の当りにしたら、告発義務が課せられているわけですから、直ちに警察に届けなければなりません。ところが、公務員は、「守秘義務」ばかり優先して、犯罪行為を見てみぬふりをしています。これでは「公僕」としての名が泣きます。

 館林市選挙管理委員会から報告通知を受け取った当会会員の市議候補は、さっそく異議申立てをするための準備に着手しています。その結果は、本人から報告が入り次第、公表する予定です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「館林市議選の票数不一致に関するその後の関連報道」
**********NHK群馬 NEWS WEB 2018年09月28日 15時01分
館林市議選で票数合わないミス
 今月23日に投票が行われた館林市の市議会議員選挙で、開票所で集計された票の数が、投票した人の数よりも1票多いミスがあり、市の選挙管理委員会は開票所で何らかのミスがあった可能性が高いものの、原因は特定できなかったと発表しました。
 今月23日に投票が行われた館林市の市議会議員選挙では、投票した人の数が2万7452人だったのに対し、集計された票の数は2万7453票と1票多くなるミスがありました。
 選挙管理委員会が、各投票所で使われなかった投票用紙を数え直したところ、誤りはなかったということです。
 開票所で何らかのミスがあった可能性が高く、計数機の不具合のほか、端数の票数を用紙に記入する際やパソコンで票数を入力する際に誤った可能性などが考えられるとしています。
 選挙管理委員会によりますと、集計された票は箱の中に封印され、候補者からの異議申し立てがなければ開封することができないということで、原因は特定できないとしています。
 選挙管理委員会は、選挙結果に影響を与えることはないとして、開票作業のやり直しはしませんでした。
 館林市選挙管理員会の寺田幸次委員長は、「関係者の皆様には多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。厳粛に受け止め、再発防止に努めます」とコメントしています。
**********

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする