市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・オンブズマンが東京地裁に原告準備書面(3)を提出

2017-05-22 23:05:00 | 群馬高専アカハラ問題
■今週5月26日(金)午後1時45分から東京地裁5階522号法廷で開かれる第4回口頭弁論を控えて、市民オンブズマン群馬では被告国立高等専門学校機構に対して、反論の準備書面の送付が遅れていることから、5月17日付で被告にFAXで督促確認の質問書を送っていました。ところが、この返事代わりに、5月19日(金)の昼過ぎに被告訴訟代理人弁護士から2回目の準備書面が送られてきました。そのため、本日5月22日に、次の内容の原告準備書面(3)の正本を東京地裁に、副本を被告訴訟代理人弁護士事務所宛てに簡易書留で郵送しました。

*****送付書兼受領書*****PDF ⇒ tei3j2017.5.22.pdf
           送付書・受領書

〒104-0061
東京都中央区銀座5丁目7番1号 江島屋ビル7階
被告訴訟代理人 
弁護士 木 村 美 隆 殿
                      平成29年5月22日

                〒371-0801
                  前橋市文京町一丁目15-10
                  原 告  市民オンブズマン群馬
                       代表 小川 賢
                  TEL 027-224-8567 / FAX 027-224-6624

            送  付  書

 事件の表示 : 御 庁  平成28年(行ウ)第499号
 当 事 者 : 原 告  市民オンブズマン群馬
         被 告  独立行政法人 国立高等専門学校機構

 次回期日  : 平成29年5月26日(金)午後1時45分

   下記書類を送付致します。
       1 原告準備書面(3)          1通

                          以 上

--------------------切らずにこのままでお送り下さい--------------------

            受  領  書

上記書類、本日受領致しました。
                       平成29年 月  日

              被 告  独立行政法人 国立高等専門学校機構
     被告訴訟代理人
                     弁護士

東京地方裁判所民事第3部B2係(佐藤春徳書記官殿)御中 :FAX 03-3580-5706
市民オンブズマン群馬事務局(事務局長 鈴木庸)あて :FAX 027-224-6624

*****原告準備書面(3)*****PDF ⇒ i3j.pdf
事件番号 平成28年(行ウ)第499号 法人文書不開示処分取消請求事件
原告  市民オンブズマン群馬
被告  独立行政法人国立高等専門学校機構

                          平成29年5月22日
東京地方裁判所民事第3部B2係 御中

              原告準備書面(3)

                        原告  市民オンブズマン群馬
                            代表 小川 賢   

 平成29年4月7日付の被告の準備書面に対する反論のうち、4月14日の第3回口頭弁論に基づき、被告からの「公務の遂行に係る情報」についての追加反論を踏まえたうえで、反論すべく、二重線処理を施した箇所について、5月19日付で被告の準備書面を受け取ったことにより、二重線処理を解除し、次のとおり反論する。

第2 被告の「準備書面」の中の「2 法第5条1号ハについて」について

 被告は、「しかし、開示請求の対象文書が公務員が職務上作成したものであり、その内容が公務員の公務に関連する情報であったとしても、当該情報の内容によっては、『個人に関する情報』に該当することは、前期裁判例のとおりであり(乙4)、この裁判例の判断は独立行政法人の職員が職務上作成した文書についてもそのまま当てはまるものである。開示請求①から③にかかる文書が、個人に関する情報としての不開示情報(法5条1号柱書)が記載されたものであり、被告がこれを理由として不開示決定処分をしたことは前記のとおりである。原告は開示請求①から③にかかる文書が、公務員が職務上作成した文書であることを主張するが、公務員が職務上作成した文書であることと、当該文書に個人に関する情報としての不開示情報が含まれることは両立しうるのであり、原告の主張は失当と言うほかない。」と主張する。

 原告は次の通り反論する。

 公務員あるいはそれに準ずる立場の者が公務中になした行為について、公務員のプライバシーとして不開示が認められるのは、プライバシーの保護の必要性が開示することによる公益上の必要性を上回る場合のみである。被告の提示した乙4号証においても、東京地裁は「したがって、本件条例九条二号本文の定める個人情報が同号ただし書ハに該当するか否かについては、個人のプライバシー保護の必要性と当該情報が記録された公文書を開示する公益上の必要性を比較衡量することによって、これを決すべきものである。」(乙4号証13頁)としている。そして、東京地裁がこの事件に関して当時不開示という判決を下したのは、かかる非違行為を行った者に関する情報を開示することによる明白な公共的利益が認められなかったためである。
 しかし本事件の場合、明白な被害者が存在し、事件については一切の実効的解決をみておらず、上述の通り被害者の権利・利益は今も侵害され続けているという点において、水道局職員による談合などとは明らかに性質が異なる。
 被告は、「ハラスメントの事実の有無の調査等は人事管理に関する事項として被告ないし群馬高専が対応すべき事柄である」と繰り返し主張している。一次的には被告の言う通り、調査から対応、処分までを被告ないし群馬高専が対応すべきであるかもしれないが、一連の対応は被告ないし群馬高専の良心に委ねられているということを忘れてはならない。
 被告ないし群馬高専の良心に任せた結果、明らかに間違った裁定がなされ、特定個人らの人権が蹂躙されているのであり、さらに、「群馬高専と被害者」という二項対立の図式のままでは事態の解決が一切見込めないのであるから、二次的な対応として第三者の目が入れられなければならないことは自明の理である。前述の第1の2に次いで繰り返すが、被害者に関しては重大な精神的苦痛・経済的損害が生じていたし、生じているのであり、これらは直ちに回復されなければならない。
 回復されるためには、被告ないし群馬高専がその自浄作用によってかつての対応や処分を再検討せねばならないが、その自浄作用の発動が現時点で認められず、期待されない以上、第三者により問題点が把握され、整理された上で、被害者の同意のもと世間一般に広く事件の問題点が認知され、被告ないし群馬高専に働きかけが行われなければならない。そして、それを行うにあたって、被告の情報開示が必要とされるのである。
 さらにハラスメントの加害者は、極めて悪質な非行行為のみならず、重大な違法行為にまで手を染め、さらに一切の処罰を受けていないのであるから、この事件に関してはすでに群馬高専という一機関が対応できる範囲を大きく逸脱しており、場合によってはしかるべき法務機関が対応する必要があるのは明らかである。しかるに被告ないし群馬高専が、事件に関する情報の一切を不開示とし、事件の存在自体を公的に認めないことにより、市民の手による刑事告訴が困難となっているのであるから、隠された犯罪の追及という面でも、開示の公益上の必要性は明らかである。
 また、重大な非違行為をなし、しかも何ら処罰を受けなかった人間が教鞭を取り、学生たちを教え導く立場にあるという今の状況自体が、それこそ青少年の育成に極めて有害であると言わざるをえず、この状況を是正することが、公益にかなっているのは言うまでもない。
 加えて言えば、被告ないし群馬高専は、そもそも日本全国から来た15歳の少年・少女たちが5年、あるいは7年もの期間、人生を預けることとなる「教育機関」であることを忘れてはならない。その公共性およびそれに要求されるハラスメント事案への厳しさは、公務員である職員しか所属し得ない水道局などとは比較にならないほど異なるのであって、ゆえに決して他の公共機関や行政法人と同列にその性質が語られ得るものではない。
 ハラスメントなどの存在を一切外部に見せない上に改善もなく、一方で「綺麗な群馬高専」しか見せずに入学を促すというのは、15歳の中学生たちやその保護者たちをあまりに愚弄しているというほかない。
 被告ないしは群馬高専のハラスメント問題が何一つ解決をみておらず、再発防止が一切保証されていないこの状況下では、何も判断の機会が与えられないまま入学した新入生が次なるアカデミックハラスメントの被害に遭う可能性は十二分に想定され得ることである(この「可能性」は、特定人物を対象とするものではないが、「公益性の証明」という点では十分である)。
 そのような悲劇が起こらないようにするためにも、最低限ハラスメントの実態が開示され、入学を検討している中学生とその保護者、あるいは進学指導を行う学校関係者・塾関係者の判断材料とされなければならない。この観点からも、開示は公益にかなっているとみることができる。

 また、被告は平成29年5月19日付の準備書面において、「法5条1号ハは、『当該個人が公務員等である場合において』として、対象が公務員にかかる情報である場合に限定しており、開示請求①から③にかかる文書のうち、学生に関する個人情報が記載された部分については、同号ハの公務員等情報に該当しない(乙6、長崎地裁裁判例)。」と主張するが、公務員でない学生らの情報が公務員等情報に該当しないのは証拠を提示するまでもなく自明の理であり、原告として被告の主張の意図をはかりかねるものである。
 独立行政法人の職員たる加害教員が学生にハラスメント行為を含む非違行為をなした事実は、特に被害対象の記述が特定的である場合に、加害教員および学生側の個人情報となり得る。しかし第3において後述する通り、かかる被害者側の同意があれば、あとは法5条1号ハより、当該加害教員の意思に関係なく、そのプライバシー保護の必要性が開示への公益上の必要性を上回るかどうかのみが問題点となるのであるから、学生に関する個人情報が含まれているかどうかを法5条1号ハの不適用事由とし、全面不開示に直結させる被告の主張は失当である。
 そもそも、被告の主張は開示請求対象文書中のうち、「加害教員が学生になした行為」が記述され、さらにその記述が「被害対象の記述が特定的である場合」についてのみ成立するものである。つまり、加害教員の職務遂行における素行や、教員間で行った行為、不特定ないしや多数、あるいは両方の対象者について行った行為については被告の主張をもって不開示とすることは失当ということになる。
 また、被告はハラスメント行為が職務中に教員間で行われていた場合にも、職務遂行の内容とは成り得ない旨主張するが、検証あるいは論証がないため、原告としては無効な主張であると判断せざるを得ない。

第3 被告の「準備書面」の中の「2(ママ) 部分開示について」について

1 被告準備書面2の(2)について

(1)開示請求①に係る文書についての全面不開示処分についての妥当性の検討
 被告は、「他方、開示請求①にかかる文書には、ハラスメントの加害者及び被害者とされる者の属性(所属)や、群馬高専において行った調査の機関及び概要と、学校としての対象者への対応状況が明記されているが、他に一般論として、学校としてのハラスメントに対する対応方針が記載された部分もある。後者については、個人に関する情報に関わらないものと解されるものの、『アカデミックハラスメント事件の存在及び経緯に関する情報』に関する情報公開という、原告の開示請求の趣旨からすれば、上記の後者の部分のみの開示で有意性(法6条1項但書)があるか疑問であるが、念のため不開示情報に該当する部分を抹消して、書証として提出する(乙5の1から3)。」と主張する。

 原告は次の通り反論する。

 被告は開示請求①に係る文書の内容を分析したうえで、不開示情報となるべき情報とそうでない情報を恣意的に区分し、さらに書証として提出することでその分類を既成事実としようとしている。しかし、まず、「群馬高専において行った調査の期間及び概要」が特定個人のプライバシーに関わるとは解されないのは明らかである。そもそも、アカデミックハラスメントないしはそうと見做され得る行為が被告ないしは群馬高専内にて行われ、それに対しての何らかの告発がなされたという事実はすでに存否応答から公的に明らかであり、何らかの調査が行われたという事実の存在も当然そこから判明し得るものであり、実際に被告ないしは群馬高専が「調査」と認識している行為が行われた事実自体は存否応答より公的に明らかである。そして具体的な聞き取り内容、聞き取り対象者の具体的氏名や所属はともかく、まず調査がいつからいつまで行われたかという情報は誰のプライバシーでもないし、さらに調査の概要についても、教員・学生何名に聞き取りを行ったか、どのような手法で聞き取りを行ったかという情報は本事件に対する極めて一般的な話であり、特定個人のプライバシーであるとは到底解されない。
 さらに、「学校としての対象者への対応状況」についても同様に不開示情報とは解されない。「対象者」が加害教員と被害者のどちらを指しているのか、あるいは両方を指しているのかについては判然としないため、以下両方の場合について検討を加えることとする。
 まず、加害教員への対応についてであるが、被告自身が説明した通り、これまでに懲戒処分は一切行われていないことから、かかる文書には人事にかかる重要情報は特に記載などされていないことになる。とすればそれ以外の非公式な形で対応がなされたことになるが、その対応の内容自体から特定の個人を識別することなど不可能であり、そもそも対応の内容自体が被告ないしは群馬高専に通う学生およびその保護者には文書配布という形ですでに認知されているのだから、その対応の内容を開示したところで、かかる人物に特段の不利益が生じるとは認められない。
 また、被害者についての対応についても、例えば「被害者らに学生相談室を用いたメンタルケアを行った」程度の内容であれば、本事件について行われた学校の対応の中でも極めて一般的な話をしているに過ぎず、開示することにより特定個人を識別可能にしたり、あるいは特定個人に特段の不利益が生じる性質の情報であるとは解されない。あるいは、特定人物に対し特別な対応が行われ、それが開示請求①対象文書に記載されているのであれば話は別であるのかもしれないが、原告が認知している限りでは、準備書面(1)に示した通り特定個人のプライバシーと見做され得るほどの特別な対応が行われたという事実はないし、ましてそのことが保護者に通知されたという事実もない。
 このように、被告が一方的かつ恣意的に行った開示請求①対象文書についての分析は明らかに当を得ておらず、したがって被告の主張は失当であるというほかない。
 また、原告の請求の趣旨は原告が提出した訴状あるいは準備書面(1)によって示されたものであり、甲1に示す情報公開請求によってはもちろん原告の請求の趣旨は示されていないわけだから、つまりそもそもの全面不開示処分に原告の請求の趣旨は加味されていないのであり、そこに今回被告が自ら乙5号証1から3を提出したことで、少なくとも情報公開請求に対し「全面」不開示が妥当であるとした被告の判断は失当であったことがすでに被告自らの手によって証明されたのである。一方で、原告は第一に全面不開示処分自体が不服であるとしていたのだから、この時点で原告がその訴えを提起したことに対して全面的に被告に対して責任を負わなければならない可能性は無くなったのであり、よって原告が被告の訴訟費用を負担せねばならない理由はすでに無くなっているとみることができる。よって、被告の答弁書における「請求の趣旨に対する答弁」の2について、却下を求める。

 また、このことに関連して平成29年5月19日付の準備書面にて被告が行った反論(準備書面の2)については、以前の答弁書及び準備書面と比べ、その主張に新規性が認められないため、改めて原告として反論は行わない。

                           以上
**********

■これで5月26日(金)の第4回口頭弁論期日に向けた双方の主張が裁判所に提出されました。裁判での弁論内容は追って報告します。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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