市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同有毒スラグ問題を斬る!・・八ッ場ダム建設工事に使用された建設資材の書類を入手(その1)!

2017-05-10 17:08:00 | スラグ不法投棄問題
■国道17号の大規模バイパス「上武道路」は、群馬県渋川市にある大同特殊鋼(株)・渋川工場の有害スラグを、(株)佐藤建設工業がレキ質土や下層路盤材という仕様の建設資材として、大量に使用したことから、今や「有害スラグ街道」の異名をほしいままにしています。
しかし、有害スラグを使用した国土交通省の工事は「上武道路」だけではありません。只今建設中の八ッ場ダム建設現場でもスラグが大量に使用され、そのほとんどを撤去しなければならないにもかかわらず、同省はそれを怠り、有害スラグの殆どをそのまま残置させている・・・と当会では考えています。


今は八ッ場ダム本体工事を進めるJVの資材置場となっている場所が、今回の記事のお話の舞台と思われる。


なぜか盛り土を薄くひいている。何かを隠ぺいしているのだろうか?しかし材木の周りは見えている。


材木の周りは、猛毒スラグがザックザク。H24上湯原地区代替地他整備工事の資材置場跡だろうか。

■前回シリーズ記事で、上武道路の建設資材の資料を見てまいりましたが、この資料のなかに、八ッ場ダム関連の書類も入っていました。さっそく拝見していきましょう。

 工事現場の名称は、「H24上湯原地区代替地他整備工事」、請負建設会社は「(株)佐藤建設工業」となっています。なんと、有害スラグを建設資材の中に混入し、道路やダム工事、ソーラー発電所、農道に猛毒スラグを無慈悲に投棄したあの(株)佐藤建設工業が施工する現場なのです。


これが工事打合せ簿。
*****PDF ⇒ sap.pdf
平成25年5月7日
工事名 H24上湯原地区代替地他整備工事
内容  使用材料(RC―40)の提出について
標記について土木工事共通仕様書第2編2-3-3に基づき、舗装工で使用する路盤材の品質を確認しましたので証明する資料を提出します。
・再生クラッシャーラン(RC―40)
*****
となっている。
 なんと「土木工事共通仕様書に基づき、舗装工で使用する路盤材の品質を確認しました」とご丁寧に宣言している。しかし確認したといっても、材料を納入するメーカーも、材料を購入する建設会社も同じ(株)佐藤建設工業だ。自分で自分の路盤材の品質を確認しているのだそうだ。何かをごまかしているため、わざわざ仰々しい物言いをしているよう?にも見える。
 さて、素人ながら土木工事共通仕様書第2編は2-2-13までしかないように思われる。「2-3-3」は間違いではないのか?国交省のお役人様、教えてください!お願いします。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000077490.pdf



使用材料(RC―40)の二枚目。
*****PDF ⇒ ta2.pdf
平成25年5月1日
試験結果報告書
工事名:H24上湯原地区代替地他整備工事
材料名:再生砕石(RC40-0)
(骨材のふるい分け試験)(粗骨材の密度及び吸水率試験)
(ロサンゼルス試験機による粗骨材のすり減り試験)
(修正CBR試験、締固め試験を含む)(土の液性限界、塑性限界試験)
(膨張安定性試験報告書、スラグ混合再生路盤材試験成績表)
工期:平成25年03月14日~平成25年09月30日迄
工事場所:群馬県吾妻郡長野原町大字川原湯地先外
株式会社佐藤建設工業
株式会社 佐藤建設工業
*****
 このように材料メーカーと工事請負会社が同一の会社となっている。この、言わば「ONE佐藤」が納入・使用する再生砕石には「膨張安定性試験報告書」、「スラグ混合再生路盤材試験成績表」の二つの試験表が紛れ込んでいる。なんと再生砕石にスラグが使われているのだ。しかも鉛筆などでチェックが入っていて、この二つのいかがわしい試験表をお役人様たちが確認したことが分かる。
 「再生砕石(RC40-0)」と材料名に記してあるが、先の工事打合せ書に記載されていた土木工事共通仕様書には、どのような材料と書いてあるのだろうか?「コンクリート・アスファルト等」と書いてあるのではないのだろうか? しかも建設リサイクル法の趣旨などから、国や県の公共事業から排出される建設副産物を優先使用に努めるように書いてあるのではないだろうか?
 スラグは「鉱さい」という分類の廃棄物だ。たとえ無毒であっても、国土交通省の再生砕石として正規の再生砕石を押しのけて使用することはできない。そもそも「鉱さい」の破砕という中間処理が認められているのだろうか? 廃棄物処理法に認められてる処理施設は「がれき類」の破砕施設だけではないだろうか?
国土交通省のお役人様とあろう者がどうしてしまったのだろうか? 狂ってしまったのだろうか? まさか共通仕様書を読んだことがないのだろうか? もっとも「コンクリート」と「アスファルト」と、カタカナ3文字の「スラグ」が、書類上区別がつけられないお役人様がいらっしゃるのであれば、まさに完全無法状態同然で、何でも有りなのかもしれない。



使用材料(RC―40)の三枚目。
*****PDF ⇒ ua3.pdf
平成24年11月29日
株式会社 佐藤建設工業 様
公益財団法人 群馬建設技術センター
試料名 再生砕石40~0(RC40)

骨材のふるい分け試験
粗骨材の密度及び吸水率試験
ロサンゼルス試験機による粗骨材のすり減り試験
修正CBR試験(締固め試験を含む)
土の液性限界、塑性限界試験

備考
産地 佐藤建設工業 資材置場(スラグ15%混合)
*****
 この書類を見ていくと、株式会社佐藤建設工業の試験表は3つの機関が試験をしていることが分かる。こんなことでよいのだろうか?
 佐藤建設工業が国土交通省に提出しお役人様が確認した試験表は、
  骨材のふるい分け試験
  粗骨材の密度及び吸水率試験
  ロサンゼルス試験機による粗骨材のすり減り試験
  修正CBR試験(締固め試験を含む)
  土の液性限界、塑性限界試験
  膨張安定性試験報告書
  スラグ混合再生路盤材試験成績表
の7つとなっている。これらのうち、上の5つは群馬建設技術センターの試験成績表だ。正規の再生砕石はこの5つの試験をすれば十分だが、このいかがわしい試験成績表はさらに、「膨張安定性試験報告書」、「スラグ混合再生路盤材試験成績表」という誤魔化すための書類が2つも紛れ込んでいるのだ。国土交通省のお役人様はどのように考えたのだろうか? 当然、株式会社佐藤建設工業に説明を求め、納得して材料の仕様を許可したことになると考えられる。
 備考欄には「産地 佐藤建設工業 資材置場(スラグ15%混合)」と記入されている。
 この「スラグ15%」にもチェックマークがある。スラグ15%混合されたものがなぜ再生砕石と認められるのか、国交省のお役人様、どうか根拠を示し説明いただきたい。
この混合の意味するところは、スラグには猛毒が含まれているので約6倍に希釈(薄めること)したことが示されていることだ。
 まさか国土交通省のお役人様も納得して、一緒にグルになって猛毒スラグを投棄したのではあるまいか? そんなことは絶対有り得ないはずだよね? きっと国土交通省様は騙されてしまったのだよね? だからきっと、詐欺の被害届が提出されていることだろうね? もしくはスラグ=特別管理産業廃棄物として不法投棄されているとして刑事告発の準備を進めているはずだよね?



↑これは膨張安定性試験報告書。
*****PDF ⇒ vac.pdf
2013年4月16日
株式会社 佐藤建設工業 殿
大同エコメット株式会社
渋川事業所
膨張安定性試験報告書
1. 種類・記号
CS-40相当品
*****
 大同特殊鋼の子会社で、猛毒スラグ処理会社の大同エコメットの試験表だ。再生砕石の試験表であるはずが、CS-40相当品の試験にすり替わっている。一体何の試験なのだろう? スラグ混合砕石=CS-40相当品なのだろうか?
 「CS-40」とは、道路用鉄鋼スラグのことだ。この場合、スラグ100%であることを意味している。実際には天然石と猛毒スラグ混合して毒を薄めているのに、「CS-40相当品」という言葉を使うことにより、混合していなくても環境基準に適合していることを装っている。この用語の使い方だけでも、スラグには猛毒が含まれていることを知っていて、故意に詐欺を働いても毒を薄めたことにして投棄したいことが窺える。
 この試験表を国土交通省のお役人様はどのように考えているのだろうか? 再生砕石に必要の無い試験であることは分るはずだよね? 再生砕石は膨張なんかしないよね? 薄学の・・もとい、博学の国土交通省のお役人様だったら分かりますよね?↑


これはスラグ混合再生路盤材試験成績表。
*****PDF ⇒ wa.pdf
スラグ混合再生路盤材(RC40)試験成績表
製造社名:大同エコメット(株)
製品名:スラグ混合再生路盤材(RC―40)
試験年月日:H24年6月1日/成分
      H24年6月1日/物性
1. 環境基準適合性
   溶出量 ふっ素 試験値 0.16 規格値 ≦0.8
   含有量 ふっ素 試験値 2500 規格値 ≦4000
  試験機関名 (株)環境分析センター
2. 物性値
  試験機関名 財団法人 群馬建設技術センター
*****
 いつの間にやら、「再生砕石40-0(RC40)の試験」から「スラグ混合再生路盤材試験成績表」にすり替わってしまっている。国土交通省のお役人様がチェックした?と思われるマークが全ての項目にわたって確認できる。
 「製品名:スラグ混合再生路盤材(RC―40)」について、おかしいと思わなかったのだろうか? もちろん土木共通仕様書に精通した国土交通省の精鋭だから、おかしいことは分かっていたに違いない、いや、分かっていなければならなかったはずだ。
 フッ素についてチェックしているが、再生砕石にこのような環境適合試験が要るのだろうか? もちろん環境適合試験をしても問題はないが、土木共通仕様書に精通しコンクリート・アスファルト等が再生砕石だと理解しているお役人様だったら疑問に思わないはずがないだろう。
 また試験機関名として「(株)環境分析センター」と「財団法人 群馬建設技術センター」の2機関あることにお役にさまはなぜ疑問を持たなかったのだろうか?


■このように疑問だらけの試験成績表ですが、再生砕石に本来必要の無い、環境基準適合試験が行われていました。正規の再生砕石を使用しておけば、このような試験は要らないはずです。

 では実際の現場はどうなったのでしょうか? スラグの有毒分析が国土交通省により行われています。


有害物質の含有量について、分析試験を実施した工事の施工箇所

 下から5行目に注目してください。


有害物質の含有量等について、分析試験を実施した工事の施工箇所のうち、基準に定める基準額を超えた工事の施工場所の分析試験結果

 下から6行目~3行目までに注目願います。念のため、次の当該箇所を引用してみます。

*****
平成26年 12月26日
鉄鋼スラグに関する材料の分析試験結果について
関東地方整備局
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000614913.pdf
52 H24 八ッ場ダム工事事務所 H24上湯原地区代替地他整備工事
52-①
資材置場 (敷砂利)
フッ素  1.6
52-②
資材置場 (敷砂利)
フッ素 1.3
52-③
埋戻部 (不陸整正)
フッ素 1.3
52-④
進入路 (敷砂利)
フッ素 1.4
******

 なんと、土壌環境基準を大幅に上回る猛毒のフッ素が検出されています。この不始末をどう対処するのでしょうか?

 「H24上湯原地区代替地他整備工事」について、試験成績表により環境適合性を確認していたはずが、現実には基準値を大幅に超過しています、国土交通省に提出された環境基準適合性試験は真っ赤な嘘だったのです。

 国土交通省の工事において、たとえ無毒であっても「鉱さい」という廃棄物を再生砕石に使用することはできません。その上この「鉱さい」は猛毒が含まれ、特別管理産業廃棄物に該当するものです。こんな材料を使用して工事が完成したといえるのでしょうか? なぜ国土交通省のお役人様は、工事請負会社の瑕疵担保責任を追及しないのでしょうか?

■いろいろ考察してまいりましたが、この工事現場は、工事請負会社と材料納入会社が同じ会社となっています。

 材料に使用してはいけない「スラグ」が混合されていることについて「知っていた」・・・つまり故意にスラグを混合したことになります。

 また、株式会社佐藤建設工業は産業廃棄物の収集運搬の許可や移動式の処分業の許可を得ていました。講習などを通じて「鉱さい」という分類の廃棄物があり、「がれき類」とは区別しなければならないことを熟知していたはずで、許可の範囲を超えてスラグを混合していたことを知っていたことになります。

 当会も、これが無毒な道路用鉄鋼スラグ(CS-40)として設計に組まれ使用したのなら疑問を持ちません、佐藤建設工業が納入したのは「再生砕石」でなければならないはずなのです。なぜ特別管理産業廃棄物を故意に混入しても、お咎めがないのでしょうか?

 国土交通省は、なぜ特別管理産業廃棄物を撤去させないのか?

 国土交通省は、なぜ佐藤建設工業を特別管理産業廃棄物の不法投棄で刑事告発しないのか?

 国土交通省の姿勢に疑問を抱かざるを得ません。

■国土交通省は、再生砕石にスラグが混入されていたことについて、また、スラグが有毒であることについて、どのように責任を追及していくのでしょうか?

 そして、工事請負会社はどのような責任を取っていくのでしょうか? まさか、「再生砕石にスラグが入っていることを知らなかった」とは言えません、「ONE佐藤」なのですから。

 さらに、この工事では、設計で予定されていた再生砕石が施工されていません。したがって、この工事は未完成の状態のままです。国土交通省は工事請負会社の株式会社佐藤建設工業になぜ、やり直しを命じないのでしょうか? この「出来形不足」について会計検査院の皆様はどのように考えるのでしょうか?

■大同特殊鋼から運賃補助などの名目でスラグマネーが提供され(逆有償取引)、このカネを利用して佐藤建設工業が国土交通省の工事を受注し、スラグを不法に投棄した、というのがこの現場の特徴といえます。

 まさにこの現場工事は、大同特殊鋼が廃棄物を処分するために、処分料を佐藤建設工業に支払い、国土交通省のお役人様と一緒になって?、廃棄物の最終処分場ではない上湯原代替地に“みだり”に有毒サンパイを投棄した「官製不法投棄」とも称することのできる官業癒着の実態露呈の見本工事ではないでしょうか?

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】


※参考資料1
国土交通省で使用される再生砕石は、建設廃棄物を再生利用したコンクリート・アスファルト等が優先使用されるはずです。
**********
土木工事共通仕様書第1編共通編1-1-1-18 建設副産物
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000077489.pdf
3.法令遵守
受注者は、建設副産物適正処理推進要綱(国土交通事務次官通達、平成14年5月30
日)、再生資源の利用の促進について(建設大臣官房技術審議官通達、平成3年10月25
日)(航空局飛行場部建設課長通達、平成4年1月24日)、建設汚泥の再生利用に関す
るガイドライン(国土交通事務次官通達、平成18年6月12日)を遵守して、建設副産
物の適正な処理及び再生資源の活用を図らなければならない。

建設副産物適正処理推進要綱
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000007044.pdf
第1章 総則
第3 用語の定義
(13) 「特定建設資材」とは、建設資材のうち、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法
律施行令(平成12 年政令第495 号。以下「建設リサイクル法施行令」という。)で定められ
た以下のものをいう。
一 コンクリート
二 コンクリート及び鉄から成る建設資材
三 木材
四 アスファルト・コンクリート

※参考資料2
株式会社佐藤建設工業は廃棄物の許可を得ていましたが、これを取り消される行政処分を受けています。
**********
http://www.pref.gunma.jp/houdou/e1700091.html



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