市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

被害者ゼロのはらぼじ観光を訴え百億円詐欺のてるみくらぶを訴えない旅行業協会の実態を公取委に直訴

2017-05-18 23:37:00 | はらぼじ観光被疑事件
■3月27日に倒産したてるみくらぶの事件は詐欺行為ではないかとマスコミや業界筋でも騒がれています。本来、旅行業法ではこうした事態が起きて、利用者が損失を被らないように、わざわざ旅行業協会という官製主導組織が旅行業法によって設立されています。しかしその実態は官僚の天下り先の受け皿になり下がっています。今回、損害の僅か1パーセントしか救済されないのは、旅行業法そのものを運用する権限を持つ旅行業協会に問題があるのです。
 まずは当会のブログ記事をご覧ください。
○2017年4月6日:長年顧客に喜ばれた「はらぼじ観光」が証明した「てるみくらぶ」破産で何万人を大損させた旅行業法の無意味
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2284.html#readmore
○2017年5月1日:被害者ゼロのはらぼじ観光を訴え百億円詐欺のてるみくらぶを訴えない旅行業協会の実態を消費者庁に直訴
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2306.html#readmore

 今回の事件の発端は3月24日早朝に旅行会社のてるみくらぶからツアー参加者に送られてきたメールでした。その内容は概ね次の事項でした。
① 滞在先のホテル等に宿泊できないかもしれない
② お客様が支払いを請求されるかもしれない(支払い済みの場合でも)
③ バスの送迎を受けられない等のトラブルが生じる可能性が強い
④ 返金に関しては後日連絡する
⑤ よって、ご出発を控えていただくことを強く推奨する

 旅行を計画し、既に支払いも済ませ、勤務先にも休みを申請した後に突然このような内容のメールを受け取ったツアー参加者は、早速、てるみくらぶに、真意や実情を確認しようと問い合わせを入れました。ところが、メール配信日を含め連続3日間「臨時休業」という理由で、連絡を取ることができませんでした。

 すると3月27日に、経営の継続が困難だとして、東京地裁に破産申請し、破産手続開始が決まり、国土交通省で「てるみくらぶ」の山田千賀子社長が記者会見をし、涙を流すフリをしながら「お客様に多大なるご迷惑をおかけして誠に申し訳ありません」と語ったのでした。

 倒産理由は、格安旅行の過当競争に巻き込まれ、激安ツアーで利益がほとんど残らず、そこに新聞に掲載する広告費がかさみ資金繰りが悪化して倒産したと言われています。いうなれば経営が自転車操業状態だったところ、とうとう3月23日、航空券の発券に必要な支払いができなくなり、上記のメールが利用者に配信されたのでした。

 今回の事件は被害案件が3万6000件、対象人数はおよそ8万~9万人で、被害額は99億円余りに上る見通しと言われています。クレジットカードで支払った被害者が多数いるため、カード会社にも対応面で混乱を招きました。

■被害の相談先について、日本旅行業協会、消費者庁などの名前が挙がっていますが、日本旅行業協会はおそらく何の役にも立たないことは、当会のブログで述べたとおりです。なぜなら、旅行業法に定める顧客との金銭取引を一切しない業態を作り上げて、何万人もの顧客に対して満足のいくサービスを提供し続けていたはらぼじ観光に対して、群馬県旅行業協会や全国旅行業協会が提訴し、裁判所も行政の息のかかった旅行業協会の肩を持つ判断をして、1審、2審、そして最高裁においても無罪を主張したはらぼじ観光に対して、30万円の有罪判決を下したからです。

 はらぼじ観光の問題は「日本旅行業協会」ではなく「全国旅行業協会」が、新しいビジネススタイルを構築した業者を見せしめ的に締め出した事例ですが、日本旅行業協会も、全国旅行業協会と同様に、カネだけを集めて、肝心の旅行業の発展に寄与する事業は何もしていない組織です。

 はらぼじ観光は、旅行業法で定義される顧客との金銭取引をやめて、「今後はお客さんから前集金しないから、供託金(=許認可)なしでもよいでしょう」という主張を宣言して、仕事をしていました。だからこそ、顧客との金銭トラブルは皆無で、一度もクレームを受けたことはなく、そのきめ細かいサービス対応は多くの顧客に十分な満足度を与えていました。

■今回の、てるみクラブの倒産は、はらぼじ観光を旅行業違反容疑で訴えた全国旅行業協会と同じ形態の日本旅行業協会の会員会社(補償社員)を隠れ蓑にして、多額の旅行代金を顧客からだまし取ったことで被害が増大しました。

 日本旅行業協会ではホームページに「弁財補償」について掲載しています。
https://www.jata-net.or.jp/travel/info/qa/bond/170324_terumiinfo.html

 この弁財補償というのがくせもので、あたかも顧客が損害を被っても、協会の弁財補償で救助してもらえるようなイメージを顧客にあたえています。

 そのため、旅行業界における旅行業協会がいかに旅行業の発展に逆行しており、存在自体が無用なことをアピールする必要があると考えた当会は、今回てるみくらぶが起こした「詐欺」事件について、旅行業の健全な発展を願い官製談合とも言うべき、現在の旅行業協会の制度にメスを入れてもらうよう、公正取引委員会に次の内容の意見書を提出しました。

*****意見書*****PDF ⇒ 20170515.pdf
                         2017年5月15日
〒100-8987 東京都千代田区霞が関1-1-1
公正取引委員会 御中
                 〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
                 市民オンブズマン群馬
                 代  表 小川 賢
                 事務局長 鈴木 庸
                 連絡先:電話 090-5302-8312(小川携帯)
                     電話 027-224-8567(事務局)
                     FAX 027-224-6624(事務局)
          意 見 書
件名:てるみくらぶの倒産と旅行業法の弁財業務保証金分担金制度の弊害について

前略 当市民オンブズマン群馬より今年の4月5日付で「件名:全国旅行業協会が賛助会員として積極的に営業を認めている総合案内所の違法性について(旅行業界における『官製カルテル』の存在)」の文章はすでに送ってあります。

それに関連して、旅行業法と旅行業協会の現状が消費者被害を拡大させているという典型的な「事件」が起こりました。2017年3月27日に東京地裁に破産を申し立て倒産した“てるみくらぶ”のことです。

負債総額151億円は、旅行業ではリーマンショック後で最大と言われており、そのうち約100億円が、一般旅行者約3万6000人のもので、春休みの旅行シーズンに現地でホテルがキャンセルとなったり、帰国できない可能性が生じたり、新卒内定者50人が内定取り消しを通告されたりと、その衝撃は甚大です。

そのため、公正な取引という観点から、調査と対応をお願いしたいと思い意見書を送付致します。

旅行業法には旅行業者として認可を受けるためには供託金を観光庁または各都道府県へ納入するという事が義務づけられています。

供託金を納入する代わりに、観光庁の下部組織である日本旅行業協会、または国土交通通省の下部組織である全国旅行業協会へ「弁財業務保証金分担金」(以下「弁財保証金」と省略)を納入して旅行業の認可を受ける事もできます。

報道によれば、てるみクラブは日本旅行業協会の会員であり、観光庁への供託金ではなく、日本旅行業協会へ弁財保証金を納入し、旅行業の認可を受けていました。

てるみクラブの弁財保証金の額は1億2千万円です。また、弁財保証金の額は本来の供託金の額の5分の1です。

てるみクラブの倒産により、旅行代金を支払ったにもかかわらず、そのサービスが提供されない「被害額」の総額は、弁財保証金の1億2千万円の100倍相当だという報道があります。100万円払ったのに返還されるのはたったの1万円。

供託金の5分の1の弁財保証金という制度そのものが、消費者の被害額を少なくとも、5倍にしているということです。

さらに、てるみクラブは日本旅行業協会の会員だということを広告に盛り込むことで、公的機関が何かを保証するようなイメージを消費者に与えています。日本旅行業協会のホームページには「てるみくらぶは当協会の保証社員です」とあり、間接的にでも協会が詐欺行為とも見られているまゆみクラブの行為に荷担しているという見方もできます。

ちなみに、前回「官製カルテル」の文章は、国土交通省の下部組織である「全国」旅行業協会の違法性についてを指摘したものです。

全国旅行業協会は“はらぼじ観光”の事件に見られるように、消費者から代金を預からない債務が発生しないという業態に対してまでも登録を強要し、協会に会費を支払ってさえいれば、登録なしでの営業を認めています。これでは、やくざの“みか締め料”といっしょです。

全国旅行業協会にしても、日本旅行業協会にしても、「営業許可料」を5分の1に減額する代わりに多額の入会金を徴収しています。さらに年会費も徴収しています。入会金や年会費が、被害を受けた消費者に返還されるべき金額に換算されることはありません。
“てるみくらぶ”から多額の入会金と会費を徴収し、供託金の5分の1の額である弁財保証金を預かっているにもかかわらず、これほど多額の被害を出さないための対策を取っていたのかどうかも調査すべきです。

調査をしても、業者側からの一方的な取扱高の報告を受け取るだけで、それを例えば税務書類などと照らし合わせることもしていませんから、弁財保証金の額を決めるための表面上のことしかしていないことは関係者ならすぐにわかることです。

事件がおきてから形式上の補償の提示をホームページでしたところで、1%が返還されるだけでは、消費者保護のために何もしていないのと同様です。ホームページには「被害額は1億2千万円を超える見通しです」という表現で現実に1%しかもどらないということに比べれば現実を偽った表現だとも言えます。

インターネットの普及などでこれだけ1社あたりの取扱額が増えている現状で、民間の取引を「保証」するということ自体が無理なことではないでしょうか。

旅行業協会なる組織がなぜ2つあるのかも疑問視されます。
税金の無駄遣いをなくすという当会の目的から考えれば、1つにまとめるべき組織だとも考えられます。

天下りの問題も大きく報道されました。観光産業の健全な発展のためにも、2つある旅行業協会が、自分たちの収入のためではなく、観光客の利益のための仕事をするように変わることに期待し、御庁におかれましては、“てるみくらぶ”の事件に関しては日本旅行業協会の調査と指導を、官製カルテルの存在については全国旅行業協会への調査と指導をお願いしたいと思います。

また、観光産業の底辺は個人や小さな会社が知識や経験により、サービスや情報の提供を行うことで支えているということもあります。インバウンドを扱う多くの業者が無資格であること。インバウンドを扱う多くの観光バスが、国交省やバス協会の基準とはかけはなれたところで営業しています。その理由は、役所の規制が大きな会社や既存の業者の利益を優先し、新規参入の業者や資本力の弱い業者は「もぐり」にならざるをえないという現状があります。

御委員会のホームページに「創意ある事業者と消費者の保護のために」とあります。日本旅行業協会と全国旅行業協会のような「みか締め料を支払わなければ営業させない」という組織、そして、そのみか締め料の制度が、消費者の被害を増幅させてしまった、その責任を追求しないと、既得権を持ったものが他社排除を行い、創意ある事業者がつぶされていくという現状に歯止めがききません。

なお、この問題について、御庁から折り返し文書で当会の意見に関してなにかコメントをアドバイス賜れれば幸いです。
                以上
**********

■てるみくらぶ倒産事件では、てるみくらぶに旅行代金を支払っていた被害者のかたがたが4月23日に都内に集まり、被害者の会を結成しました。被害者の会は山田社長に損害賠償を求める民事訴訟を起こすことも視野に対応を検討することにしています。

 さらに、代金の弁済制度の不備を国に訴えたりする活動についても検討中とのことです。再発防止には、こちらの弁済制度の根本的な見直しが不可欠です。天下り組織になり下がった旅行業協会の解体や旅行業法の抜本的改革なくしては、再発防止はあり得ないからです。

 そのため、被害者の会はツイッターで情報を発信し、ほかの利用者に活動への参加を呼びかけています。
てるみくらぶ被害者の会 https://twitter.com/terumi_soshou

 てるみくらぶは少なくとも3年前から赤字を黒字と見せかけていた可能性があり、山田社長には年間3300万円余りの役員報酬が支払われていました。てるみくらぶの山田社長が損害賠償をするのは勿論のことですが、役に立たない代金弁済制度を放置したままの旅行業協会にも損害賠償責任は免れません。さらには、時代錯誤の旅行業法に胡坐をかいて、旅行業協会に職員OBを天下りさせてきた国交省にも賠償責任があるはずです。この際徹底的に、今回の事件発生の原因を追究し、責任の所在を明らかにしたうえで、正しい再発防止策を講じることができるはずです。

【市民オンブズマン群馬・・旅行業協会撲滅キャンペーン推進班・この項続く】

※参考情報
**********2017年4月11日旬刊旅行新聞
てるみくらぶ破産、消費者被害額99億円に
返還額は1・2%程度か


国交省で会見する山田千賀子社長
 格安海外旅行ツアーを販売するてるみくらぶ(山田千賀子社長)が3月27日、破産手続きを始めた。3月24日から航空券の発券を巡るトラブルが発生。8―9万人に影響があり、混乱が広がっている。同社の試算によると、消費者への被害額は99億円、現地ホテルへの未払い金などを含めると151億円に上る。利用者へは日本旅行業協会(JATA)が弁済業務保証金制度から保証するが、弁済限度額が1億2千万円のため、代金の約1・2%と極めて低い返還額になる。
【後藤 文昭】
          ◇
 今回のトラブルは、国際航空運送協会(IATA)に対し、同社が航空券購入代金を支払えなかったことが原因。スポンサーや銀行と期限直前まで交渉を進めたが、期日の3月23日までに融資を受けられず、その後も資金調達が難しい状況が続き、破産申請に至った。関連会社の自由自在と持株会社のてるみくらぶホールディングスもこれに連鎖し、営業を停止した。
 山田社長は27日に国土交通省で会見を開き、ツアー参加者や関係者に対し謝罪。宿泊先が無いなどのトラブルを回避するため、「今後は渡航を控えてほしい」と語った。すでに現地にいる参加者に対しては、「自費ですべてを賄うことになる」と述べた。
 観光庁は同社に対し26日、旅行業法に基づく立ち入り検査を実施し、検査で38カ国・地域に約2500人の旅行者がいることを把握。宿泊代金の支払いなどで日本からの送金が必要なケースを想定し、円滑な帰国に向け外務省に協力を要請した。保証制度の是非を問う声には、「現行制度上では適切だが、さらなる消費者保護の観点から必要な事項があれば検討する」と回答した。
 同社は感染症の発生などで空席が出た際や、新規就航時などに、航空会社から直接座席を安価に仕入れ、販売していた。
 しかし、航空機の小型化などで余剰分の発生率が下がり、大手旅行会社と同じ方式の仕入れとなり、コストが上昇。インターネットの発達によって消費者が個人で航空券の手配をする傾向が強くなったことも加わり、売上が減少した。一昨年からシニア層向けに営業方針を転換したが、広告宣伝を行ったことで媒体コストがかさみ、資金繰りが悪化、破産に至った。

てるみくらぶ関連年表
★弁済制度の妥当性を問う声も
 JATAの弁済業務保証金制度とは、加盟する旅行会社が倒産などをした場合、一定の範囲で消費者に弁済する制度。納付している弁済業務保証金分担金の額の5倍の金額が限度額になる。観光庁によると、2008年以降同制度の利用会社は17件あり、このうち15件が全額、1件が7割、もう1件が4割の返還ができていた。
 しかし、今回は返済額が著しく低いため、記者からは積立額の妥当性などを問う声も出た。同庁は弁済額を上げることで安易な倒産などが起こることを心配するが、消費者保護の観点から制度の見直しが求められそうだ。

**********2017年4月24日日経朝刊
「てるみくらぶ」被害者の会結成 民事訴訟など視野
 旅行会社「てるみくらぶ」(東京)の経営破綻を巡り、同社のツアーに申し込んだ被害者が「てるみくらぶ被害者の会」を23日、結成した。同日、都内で記者会見した被害者からは経営のずさんさや国の管理責任を問う声などが相次いだ。同社への民事訴訟や詐欺容疑などでの刑事告訴も視野に入れて活動する方針だ。
 被害者の会はインターネット上で知り合った被害者らが声を掛け合って結成。参加表明している被害者は約30人。
 会見に出席した都内在住の男性会社員(29)は8月にハワイで結婚式を計画しており、友人や親族を含め計12人で約150万円を支払った。「皆が式を楽しみにしていたのに水の泡で泣き寝入りしたくない。ずさんな経営を見抜けなかった国にも責任があるのでは」と憤った。
 てるみくらぶに旅行代金を支払い済みの顧客は8万~9万人とみられ、弁済額は1%程度にとどまる見通し。観光庁は月内に有識者会議を設置し、弁済額の引き上げや旅行会社の経営状況を把握する体制の在り方などを議論する。

**********朝日新聞デジタル2017年4月23日19時25分
てるみくらぶ被害者の会結成 国の責任問う声も

「被害者の会」の集会に参加した人たち=東京都墨田区、森田岳穂撮影
 破産手続き中の格安旅行会社てるみくらぶ(東京)に旅行代金を支払っていた15人が23日、東京都内で集会を開き、「被害者の会」を結成した。旅行代金の多くが弁済されない見通しで、てるみくらぶ側に損害賠償を請求したり、代金の弁済制度の不備を国に訴えたりする活動を検討中だ。ツイッターで情報を発信し、ほかの利用者に活動への参加を呼びかけていく。
 てるみくらぶは破産手続きに入った時点で、最大で約9万人分(約99億円)の旅行の申し込みを受けていたとされる。旅行業法に基づく弁済制度には、弁済額の上限があり、てるみくらぶの場合は計1億2千万円。観光庁は有識者会議をつくり、制度の見直し策を検討する予定だ。
 被害者の会に参加する都内の会社員男性(29)は「(弁済額に上限があって)『法で守られない』と突っぱねられるのは、納得できない。見抜けなかった国の責任もあるのでは」と訴えた。ハワイで結婚式を予定し、友人の分を含めて12人の旅行代金計150万円を支払ったという。
 会の発起人の会社員男性(29)は、自分の誕生日祝いとして妻がハワイ旅行を準備してくれたという。「旅行代金を奪われただけでなく、(妻の)思いが踏みにじられた」と憤った。(森田岳穂)
**********

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タゴ51億円事件の発覚から22年・・・来年12月に迫る和解金支払20年目に向けた群銀との交渉と市長選について

2017-05-18 21:32:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■我らが地元自治体である安中市が全国に“誇る”タゴ51億円巨額詐欺横領事件で、単独犯とされた安中市土地開発公社元職員・タゴが15年間という長期同一職場配置により、巨額詐欺横領を働いた事実が、市役所内でとうとう明るみに出た日から、今日で22年目となります。先月4月8日には、タゴの刑事裁判の判決が下りてから22年目が到来し、同4月22日には、タゴの刑事罰が確定してから22年が経過したため、この事件の関係者の刑事罰や民事罰は既に1年前に“目出度く”公訴時効となってしまいました。そのため、次の関心事は、タゴ51億円事件の尻拭いとなっている毎年クリスマスの日に、安中市土地開発公社と連帯責任者の安中市が、群馬銀行に対して2000万円の公金を支払っている、いわゆる「タゴ103年ローン」の、和解後20年目の見直しとして、群馬銀行との間で「ローン打ち切り」の結果が得られるように、今から群馬銀行とどのような交渉を運ぶか、安中市として具体的な交渉戦術をまとめる時期が既に始まったことです。
※今から6年前の当会ブログ記事を参照ください。
○2010年5月21日:タゴ51億円事件発覚から15周年・・・事件発覚当時の様子を振り返る
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/464.html

 この忌まわしい事件については、逐次当会のブログで現況報告をしてまいりました。事件発覚後22年が経過した最近のこの事件に関する動きを見てみましょう。

 タゴ51億円事件への対応に関して、当会では、2014年12月7日に安中市区の群馬県議会議員と安中市議会議員らにアンケートを取りましたが、12月13日の回答期限までに返事をくれたのは、次の5名のみでした。
☆高橋由信市議(無所属(ふぉれすと))
☆吉岡登市議(民声クラブ)
☆佐藤貴雄市議(民声クラブ)
☆川崎文雄市議(民主・社民クラブ)
☆櫻井ひろ江市議(日本共産党安中市議団)

〇2015年1月6日:タゴ51億円事件の尻拭い金完済まであと87年…和解金103年ローン公開アンケート回答議員は僅か5名!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1502.html#readmore

 このようにタゴ事件に関心の薄いからが沢山おられる安中市の議員諸氏ですが、アンケートにも回答を寄せていただいた櫻井ひろ江市議が、最近の市議会でタゴ51億円事件のことについて一般質問をしたことが、先日の安中市議会だよりに掲載されています。

*****安中市議会だより*****PDF ⇒ http://www.city.annaka.lg.jp/gikai/gikaidayori/50-5.pdf
安中市議会だより2017年(平成29年)4月25日第50号ページ5から
〇櫻井ひろ江(日本共産党安中市議団)「土地開発公社不祥事件による損害賠償の問題について」
<土地開発公社不祥事件の元職員の弁済について>
〔問〕現在、元職員の公社への弁済の元金と利息で残額はいくらか。
〔答〕元金二十二億八百十八万円余と利息年五分で、元職員の弁済は合計して四十億円を超えると思われます。
〔問〕元職員提供の資産の処分など公社への指導とともに、平成三十一年度以降の弁済の群銀との協議に、元職員からの弁済の可能性は低い、公社の事業も厳しくなっていている等をふまえ、しっかりと交渉に当たるべきだがどうか。
〔答〕元職員からの回収、また、平成三十年の協議でも、あらゆる可能性を追求して臨みます。
**********

 この件は、2017年4月30日に市内に新聞折り込みされたチラシ「新あんなか民報」にも書かれています。

*****新あんなか民報*****PDF ⇒ 20170430v.pdf
2017年4月30日新あんなか民報第41号裏面
三月議会一般質問【桜井ひろ江議員】
<市土地開発公社不祥事件について>
〇市土地開発公社不祥事件の元職員からの弁済は
問:公社が元職員を訴えた民事裁判では、平成十一年に、二十二億二千三百万円と利息を元職員が支払う判決が出された。現在どれくらい弁済されているか。元職員名義の家二棟はどうなっているか。
答:弁済額は、一九四一万五百円で建物は強制競売により処分を試みるも売却に至りませんでした。
問:元金だけでも二二億円も残っており、利息を入れると四〇億を超える。個人でとても返せる額ではない。
〇公社問題の真の解決を
問:公社の存在意義も疑問視されてきている昨今、元職員に誠意ある対応をさせるのは当然だが、来年、和解後二〇年になり、群銀との協議が行われる。群銀が弁済を減額または免除する可能性はあるのか。
答:特別な事情が無い限り極めて難しいと思われますが、どんな可能性についても話し合う方向で望み(ママ。臨みが正か)ます。
問:公社のここ2年の年度は赤字運営。今後は厳しくなるのでは。
答:過去10年間で見れば、11億円の黒字で、着実に工業用地造成事業などで収益が上げられています。
問:元職員の妻名義の土地なども含めて、絵画や建物、公社の塩漬け土地など、働きかけや活用などできるものはすべてやることが行政の信頼の回復と群銀への誠意をみせることにもなる。群銀との協議では、公社の今後の運営や元職員からの回収見込み等厳しい状況や金融機関としても貸し方も問題で、これらも含めてしっかりと交渉にあたるべき。
**********

 最後の問に対する市側の回答が未記載なので、くわしいやりとりは市議会の議事録を待ちたいと思います。

■ところで、10年前に岡田義弘前市長が群馬銀行と和解交渉をしたころの安中市の広報に、当時の和解金支払いに関する更新に関して市民への説明が掲載されています。

〇広報あんなか2009年2月号ページ6-7:安中市土地開発公社不祥事件和解10年後の対応について
http://www.city.annaka.lg.jp/kouhou/pdf/pdf2102/P7-6.pdf
〇広報あんなか2009年2月号ページ8:群馬銀行との民事訴訟に関わる和解以降の経緯
http://www.city.annaka.lg.jp/kouhou/pdf/pdf2102/P8.pdf

 このうち、元職員に対する債権回収状況について、次の記述があります。

*****広報あんなか2009年2月号ページ8*****
〇元職員に対する債権回収について
 民事訴訟の和解成立を受け、安中市土地開発公社には、24億5,000万円の債務が確定し、 その中の正規借入金は2億2690万8,000円でありますので、その残高である22億2,309万2,000円が、損害となりました。そのため安中市土地開発公社では、元職員に対して損害賠償請求を提訴し、平成11年5月31日判決、同6月18日に22億2,309万2,000円とこれに対する民事法廷利率である年5分の割合による遅延損害金の支払いを認める判決が確定しています。これまでに、市税還付金、土地および家屋の強制競売による配当金として、1,488万500円を回収し、現在残っている損害賠償請求権は22億821万1,500円となっています。今後におきましても、たとえわずかな金額でも回収できるように努力していきたいと考えています。
問合せ▼安中市土地開発公社(☎382-1111)
**********

 このことから、この8年余りの間に、元職員タゴから返済された弁済額は、
  19,410.500-14,880,500=4,530,000円
となります。たった453万円です。この間、安中市と土地開発公社は、群馬銀行に対して毎年2,000万円×8回=1億6,000千万円を支払って来ました。

■また、同じく当時、多湖51億円事件の和解10年後の対応として、岡田義弘前市長が群馬銀行と交渉した過程が掲載されています。

*****群馬銀行との民事訴訟に関わる和解以降の経緯*****
平成19年11月27日:群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年1月7日:群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年3月28日:群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年4月9日:安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所市長室)
平成20年4月23日:今後の取り組みについて、顧問弁護士に相談
平成20年4月30日:安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年5月1日:「市の考え方について」市幹部会議を開催
平成20年6月3日:「公社保有財産等について」市幹部会議を開催
平成20年6月5日:「群馬銀行との交渉について」市幹部会議を開催
平成20年6月23日:安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年8月11日:安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所応接室)
平成20年8月12日:公社監事に群馬銀行の考え方を説明し、見解を伺う
平成20年9月2日:安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年9月3日:安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所旧助役室)
平成20年10月7日:安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年10月8日:「10月7日の話し合いの結果について」市幹部会議を開催
平成20年10月17日:安中市土地開発公社理事会、政策調整会議を開催
平成20年10月20日:安中市土地開発公社理事長名で株式会社群馬銀行取締役頭取宛「和解に関する協議書」を提出
平成20年11月4日:経過等を市議会全員協議会に報告
平成20年11月27日群馬銀行から「和解に関する協議書」に対する回答
平成20年12月8日:安中市土地開発公社理事会を開催
平成20年12月17日:「和解10年後の対応について」市民報告会を開催(安中市文化センター)
平成20年12月19日:「和解10年後の対応について」市民報告会を開催(松井田文化会館)
平成20年12月25日:和解後10年間とした最後の債務金2千万円支払い
平成20年12月26日:合意書に関わる「証」を群馬銀行に提出
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 このことから、和解20年後を迎える来年平成30年12月に向けて、今年の11月から群馬銀行と具体的な交渉を開始する時期にあることがわかります。

 前回、岡田義弘前市長の当時は、上記の経過表をみるとお分かりのとおり、安中市民にタゴ51億円事件の尻拭いの群馬銀行への和解金に関する群銀との交渉がすべて終わった後、安中市・公社は、初めて、安中市民に対して説明会を開催したのでした。これでは市民不在の市政であるとのそしりは免れません。

 群銀との交渉では、安中市・公社は、自分たちだけでなく、できるかぎり市民と情報を共有化して、市民とスクラムを組んで群銀との交渉に向けた姿勢を構築することが不可欠です。さもないと上から目線の立場で前回同様一方的に、群馬銀行に押し切られてしまうことは明白です。

■現在1期目の茂木英子市長は、タゴ51億円事件が発覚した際は、安中市議になりたてでしたが、事件の真相究明のための百条委員会の設置や特別委員会の開催には極めて積極的でした。
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/img/1369831288.jpg

 ただし、その後の出直し市長選では、出身母体の未来塾が、真相解明よりも現状維持を掲げた中島博範・前県議を支援することに軸足を置いてしまったことから、タゴ51億円事件はタゴに世話になった市職員らの思惑通り、タゴ51億円事件の幕引きが進められてしまったのでした。

 したがって、その反省を踏まえて、今度こそ市長としての権限で、安中市の将来に向けた最大の負の遺産の解消に向けて、尽力してもらいたいものです。なぜなら、茂木市長は、タゴ51億事件には関与していないからです。

 このため、群銀との和解金103年ローンの解消に向けた交渉を念頭に、今から一貫した取り組みが茂木市政下の安中市・公社には求められますが、前回と異なり、今回は来年4月に市長選挙が控えています。この市長選を挟んで、もし市長が入れ替わるとなると、群銀に対する交渉において、安中市としてきわめて不利な状況が懸念されます。

■折から、前市長だった岡田義弘氏の動静について、市民の間で次の情報が飛び交っています。それは、なんと齢80歳を目前にして、新たに来年4月の市長選への出馬を目指すというものです。

 当会にも、先月あたりから、岡田義弘氏が松井田地区を戸別訪問している、という情報がもたらされました。そして今月に入り、安中市内でも事前運動を開始していることが確認されています。

 地元では、かつての支援者のほとんどがあきれ顔ですが、岡田義弘氏は、やはり前回の市長選で女性候補に歴然と差を付けられ敗北して下野を余儀なくされたことへの恥辱や、権力を傘にしてきたこれまでの半生への郷愁あるいは執着からか、どうしてもかつての栄光が忘れられないとみられます。

 当初は、自分の息のかかった人物を来年4月の市長選に擁立する計画だったようですが、本人に辞退されたため、やはり自分自身が出馬しなければならないという考えに至ったものと見られます。

 もちろん、岡田義弘氏がタゴ51億円事件による安中市政や市民への負の影響について真に解消に向けて群馬銀行との交渉に当たることを決意するならそれはそれで評価されますが、前回の和解10年後の対応をみても、また、今回の出馬に向けた抱負を記した小冊子を見ても、どこにもタゴ51億円事件についての記述が見当たりません。
※岡田義弘前市長の討議資料「『心と体をほかほか』にする都市安中市に!!」
PDF ⇒ 20170516szzb7144921.pdf

 そこには、タゴ51億円事件に関する元公社理事・監事としての責任意識、そして元職員タゴとの親密な関係についての説明責任も全くありません。記載を忘れたかもしれないので、市民の皆さんにおかれましては、岡田義弘前市長が戸別訪問に訪れた際には、ぜひタゴ51億円事件について、事件の真相と責任の所在、再発防止と、群銀への103年ローンの解消法について同氏に説明してもらって下さい。

【ひらく会事務局】

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