市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ問題…ビックカメラメガソーラー施設内に放置の大同有害スラグ撤去について安中市に情報公開請求中

2017-05-13 19:04:00 | スラグ不法投棄問題
■2016年7月3日付毎日新聞は「太陽光発電所 敷地でスラグ使用 撤去を検討」と題する報道記事で、大同特殊鋼渋川工場から排出された鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、安中市小俣のメガソーラー敷地内に、この有毒スラグが使われていたことが判明したと報じました。さらにその記事では「事業会社は撤去を検討している。西毛地域の工事でスラグ使用が発覚したのは初めて」だと明らかにしています。このため、「カドミウム公害で名高い安中市には、大同有毒スラグは一粒たりとも持ち込ませない」ことを錦の御旗にして活動してきた当会のメンツが地に落ちてしまいました。
〇2016年6月30日:【速報】大同有毒スラグを斬る!・・・安中のメガソーラーで基準値超の有害スラグ確認を報じた本日朝刊記事
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2048.html
〇2016年7月1日:【続報】大同有毒スラグを斬る!・・・安中のメガソーラーで基準値超えの有害スラグ撤去を事業者に求めるか安中市
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2049.html

5月連休に届いた安中市からの開示延長通知が同封された封筒。

 一方、安中市は当時からホームページに、次の記事を載せ続けています。

*****安中市HPから*****
http://www.city.annaka.lg.jp/seikatsu_kankyou/tekkou-slag-oshirase.html
民間メガソーラー施設における有害鉄鋼スラグ関連について
 一部新聞報道のありました、安中市小俣の民間メガソーラー敷地内で大同特殊鋼渋川工場の有害物質を含む鉄鋼スラグが管理用道路表面に使用されていた件について、お知らせします。
 道路表面の鉄鋼スラグ混合砕石と土壌は、基準値を超えるふっ素が検出されていますが、使用されている管理用道路を含むメガソーラー敷地内は、柵で囲まれているため、関係者以外は立ち入れない状況となっています。
 また、ゲート付近の側溝排水から採取して分析した結果は、ふっ素の排水基準及び環境基準よりもかなり下回っているとの報告を受けています。
 今後、業者としては、大同特殊鋼にスラグ全量の撤去を求めていく方針ですが、市としてもこれを強く要請していきます。
**********

■このように、安中市内で産業廃棄物の不法投棄が放置されている可能性が高いため、安中市には、施主や施工業者及び原因者に対して、有害物質を含む産廃の撤去を強く求める責務があると考えた当会は、4月16日付で次の内容の行政文書開示請求書を茂木英子安中市長に提出しました。

*****行政文書開示請求書*****PDF ⇒ 20170418ssjpdf.pdf
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
別紙に示す背景と経緯等により、安中市が、市内小俣地区で太陽光発電所を設置した業者「クリーンエネルギー研究所」あるいはその関係者・関連組織等との間で、発信(発出)あるいは受信(受領)した一切の行政文書。
とりわけ、有害鉄鋼スラグの撤去に関して業者から大同特殊鋼に出した文書の写しが安中市に到来した経緯があるか、また業者から安中市に対して、分析結果等に関して報告された経緯があるか、さらに安中市から業者に対して、業者が大同特殊鋼にスラグ全量の撤去を求めていく方針を強く要請した経緯があるか、については文書の発出及び受領に関する内部稟議書も含めた、市としての判断がわかる一切の関連情報。


添付:別紙(1ページ)

*****別紙*****
 安中市内における太陽光発電施設内に放置されている有害鉄鋼スラグの撤去について

 2016年7月3日付毎日新聞の「太陽光発電所 敷地でスラグ使用 撤去を検討」と題する報道記事によれば「大手鉄鋼メーカー『大同特殊鋼』(名古屋市)の渋川工場から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、安中市小俣の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の敷地で、このスラグが使われていたことが分かった。事業会社は撤去を検討している。西毛地域の工事でスラグ使用が発覚したのは初めて。この施設は、電気事業会社『クリーンエネルギー研究所』(東京)が運営する『ビッククリーンエネルギー安中発電所』(2013年4月稼働)。事業会社によると、敷地内の太陽光パネル周辺の作業車両が通る道路で、スラグを含む混合砕石が使われていた。検査した7カ所中6カ所でフッ素の溶出量が環境基準を超え、最大6・5倍だった。表面に敷かれた砕石は厚さ50センチほどあるが、全量撤去する方針で、費用負担や地下水調査について大同と協議する。地元の業者が佐藤建設工業(渋川市)から再生砕石を仕入れ、工事に使用したという。この問題を巡っては、県警が4月、大同や佐藤建設工業を廃棄物処理法違反の疑いで前橋地検に書類送検している。【尾崎修二】」とのことです。

 一方、我らが安中市のホームページには、次の記事があります。
http://www.city.annaka.lg.jp/seikatsu_kankyou/tekkou-slag-oshirase.html
民間メガソーラー施設における有害鉄鋼スラグ関連について
 一部新聞報道のありました、安中市小俣の民間メガソーラー敷地内で大同特殊鋼渋川工場の有害物質を含む鉄鋼スラグが管理用道路表面に使用されていた件について、お知らせします。
 道路表面の鉄鋼スラグ混合砕石と土壌は、基準値を超えるふっ素が検出されていますが、使用されている管理用道路を含むメガソーラー敷地内は、柵で囲まれているため、関係者以外は立ち入れない状況となっています。
 また、ゲート付近の側溝排水から採取して分析した結果は、ふっ素の排水基準及び環境基準よりもかなり下回っているとの報告を受けています。
 今後、業者としては、大同特殊鋼にスラグ全量の撤去を求めていく方針ですが、市としてもこれを強く要請していきます。

 このように、安中市内で産業廃棄物の不法投棄が放置されている可能性が高いため、安中市には、施主や施工業者及び原因者に対して、有害物質を含む産廃の撤去を強く求める責務があると考えます。
                      以上
**********

■この後、開示決定通知の到来を、首を長くして待っていたところ、五月連休の谷間の5月1日付の安環発第145号で「行政文書開示決定等期間延長通知書」が安中市長から送られてきました。(記事冒頭の封筒写真も参照)。







 これによると、条例では平成29年5月2日までに開示の判断についての決定をしなければならないところ、延長の理由として「請求者が提出した行政文書開示請求書に於いて、該当する行政文書に第三者情報が含まれており、安中市情報公開条例第15条第1項の規定に基づく意見照会を行っているため」だとして、平成29年5月23日まで3週間延長する旨の通知内容でした。

 ここでいう「第三者」とは、「クリーンエネルギー研究所」のことになります。

 この電気事業会社は、ビックカメラの新井隆司会長の個人企業が全額出資して2012年5月に設立したベンチャー企業で、東京都豊島区にあります。

■ここで、群馬県前橋市内創業のヤマダ電機とともに、我が国を代表する家電量販を経営する企業に成長を遂げた高崎市内創業の株式会社ビックカメラ(BIC CAMERA INC.)について、調べてみました。(出典:Wikipediaほか)

 株式会社ビックカメラは東京・池袋に本店を置き、2014年8月現在、16都道府県に直営34店舗を展開し、業界第5位で、子会社にコジマ、ソフマップなどがあります。

 現会長の新井隆司氏が1968年に株式会社高崎DPセンターを群馬県高崎市中大類町に設立したのが発祥で、1978年5月に第1号店として高崎東口店をオープンし、株式会社ビックカメラ高崎に社名を変更、同年、東京支店(後に池袋北口店に改称、閉店)を開店し池袋に進出しました。1980年11月21日、株式会社ビックカメラを設立し、旧池袋北口店として㈱ビックカメラ高崎の東京支店を引き継ぎました。また、創業当初はカメラ専門のディスカウントストアでしたが、その後、家電・パソコン等の販売に参入しました。

 1990年代以降は、酒類、ゴルフクラブ、寝具、高級ブランド品、自転車、玩具など、多様な品目を取り扱っています。パソコン販売については、従来から行っていた販売を強化し、1994年に「株式会社ビックパソコン館」を設立しました。その後も精力的に出店していましたが、2000年以降のパソコン販売の下落を受けて、2003年、ビックカメラ本体に吸収合併しました。

 その後、2006年には株式会社ソフマップを連結子会社化し、中古パソコン等の買い取りにおいて高いノウハウを持つソフマップは、ビックカメラ既出店地域における売り場拡張のほか、秋葉原をはじめとしたビックカメラ未出店地域を間接的にカバーしています。

 また、多くのビックカメラ店舗において、ソフマップのカウンターを設けており、その中にはインショップとして中古販売(PC、パーツ、ソフト、ゲーム)を行っている店舗もあります。

 拡大路線の一環として、家電量販売上高6位の株式会社コジマとの間で、資本・業務提携契約を締結し、2012年6月26日よりコジマの行う第三者割当増資により3900万株を取得し、50.06%の議決権を取得するとともに役員を派遣して、同社を連結子会社化しました。これによって駅前型店舗と郊外型店舗を併せ持った家電量販店グループが生まれ、両社をあわせたグループ全体の売上高は業界2位に相当しています。

 また、以前ベスト電器と資本・業務提携を行っていました(現在は解消)。その関係で、当時ベスト電器の連結子会社であった旧・さくらやの一部店舗を引き継ぎ、これらの店舗はすべてビックカメラに転換しています。

■ビックカメラは2006年8月10日から2008年8月29日にかけてジャスダック上場を経て、2008年6月10日に東証1部上場(銘柄コード3048)しました。

 ところが、2009年(平成21年)1月16日、東京証券取引所が、上場規程施行規則605条1項14号(虚偽記載)を理由に、監理銘柄に指定し、同2月20日、虚偽記載問題の責任を取って、新井会長が退任。同3月24日に東京証券取引所による監理銘柄指定が解除され、上場が維持されるという経緯がありました。この件についてWikipediaによれば次の解説が為されています。

*****Wikipediaから*****
不適切な会計処理
 ビックカメラは、2002年に池袋本店などの不動産証券化を実施し、信託受益権を約290億円で有限会社山三マネジメントに売却し、2007年に買い戻している。それに関する2008年2月中間決算での清算金約49億円の利益計上が、虚偽記載に当たるのではないかと問題になった。
 有限会社山三マネジメントの290億円の調達のうち14億5000万円が、ビックカメラからの劣後匿名組合出資であった。また、有限会社山三マネジメントの全持分を有するケイマン諸島のSPCは、無議決権優先株式すべてについてビックカメラが保有していた。これだけであれば、ビックカメラのリスク負担額が約5%であったため、会計処理上ビックカメラが売却取引として処理して問題はなく、実際にそのように処理されていた。
 しかし、290億円の調達のうち75億5000万円が、株式会社豊島企画からの優先匿名組合出資であった。豊島企画は、2002年8月に形式上無関係の3名が出資して設立された会社であったが、その出資はビックカメラ関連会社の東京企画の保有現金から事実上なされたもので、会計処理上、東京企画から新井社長(当時)への貸付金として処理されていた。また、豊島企画の出資した75億5000万円は、新井社長(当時)の保有するビックカメラ株式を担保として借り入れた金であった。そのため、豊島企画は、実質的には新井社長(当時)が支配する会社で、ビックカメラの子会社に当たった。そうであれば、ビックカメラのリスク負担額は約31%であり、信託受益権の売却は、ビックカメラからの金融取引として処理されなければならないのであり、虚偽記載に当たるのではないか問題となった。
 これを受けて、2009年1月16日に、東京証券取引所は、ビックカメラ株式を監理銘柄(審査中)に指定。ビックカメラでは、2009年2月20日に、7期分の過年度決算を修正するとともに、責任を取って新井会長(当時)が相談役に退いた。証券取引等監視委員会は、ビックカメラと新井元会長へ課徴金の納付命令を行うよう、金融庁に勧告した[50]。金融庁は新井元会長については違反事実がないと決定した。
 その後、2009年3月24日には「訂正内容は重要ではあるものの、その影響が重大であるとまでは認められない」として管理銘柄指定の解除がなされ、上場は維持された。
**********

 「ケイマン諸島」「SPC」など、なにやらタックスヘイブンの匂いがプンプンする用語が出てきますが、その後、クーリング期間を経た2012年(平成24年)8月23日に、ビックカメラは同9月1日付けで創業者の新井隆司相談役が取締役を兼ねない会長に就任することを発表しました。

■5月11日の安中市情報公開担当部署からの連絡によれば、当会が4月18日付で行っている行政文書開示請求(小俣地区の太陽光発電所を設置した業者等と市がやり取りをした文書関係)については、「開示対象の行政文書の中に第三者である法人の情報が含まれており、当該法人に対して第三者照会の手続を行う必要があるため、決定期限を5月2日から5月23日に延長しているが、開示に向けた準備が整った段階で再度開示の日時について、調整をさせていただきたい」としています。

 よもや日本を代表する量販店のひとつで、地元群馬県発祥の東証1部上場企業が、安中市からの照会手続きに対して、きちんと対応しないことは考えられませんが、5月23日の延長期限前にどのような結果が安中市を通じて当会に連絡されてくるのかどうか、注意深く見守りたいと思います。

【ひらく会情報部】

※参考情報1「ビックカメラ会社案内」
**********
http://www.biccamera.co.jp/ir/profile/index.html
〇会 社 名    株式会社ビックカメラ BICCAMERA INC.
〇創  業    1978年(昭和53年)5月
〇会社設立    1980年(昭和55年)11月
〇資 本 金    232億37百万円(2016年8月31日現在)
〇社 員 数    連結 8,123名 単体 4,228名(2016年8月期)
〇売 上 高    連結 7,790億円 単体 4,266億円(2016年8月期)
〇事業内容    カメラ、ビジュアル製品、オーディオ製品、パソコン、OA機器、携帯電話、家電製品、時計、ゲーム、メガネ・コンタクト、医薬品、玩具、スポーツ用品、寝具、酒類等の販売
〇本社所在地   東京都豊島区高田3-23-23
〇池袋本部所在地 東京都豊島区西池袋3-28-13 池袋西口共同ビル8階
〇事 業 所    ビックカメラ直営店 36店(池袋本店、池袋本店パソコン館、池袋東口カメラ館、池袋西口店、有楽町店、新宿西口店、新宿東口店、新宿東口駅前店、渋谷ハチ公口店、渋谷東口店(本館・別館)、立川店、聖蹟桜ヶ丘駅店、JR八王子駅店、大宮西口そごう店、横浜西口店、新横浜店、藤沢店、ラゾーナ川崎店、相模大野駅店、柏店、船橋駅店、高崎東口店、水戸駅店、赤坂見附駅店、名古屋駅西店、浜松店、新潟店、なんば店、あべのキューズモール店、JR京都駅店、岡山駅前店、広島駅前店、天神1号館、天神2号館、鹿児島中央駅店、札幌店)
※ビックカメラアウトレットは(株)ビックアウトレットが運営
〇子 会 社    株式会社コジマ、株式会社ソフマップ、日本BS放送株式会社、株式会社ビックアウトレット、株式会社生毛工房、 株式会社ビック酒販、株式会社ラネット、株式会社ジェービーエス、株式会社東京計画、 株式会社東京サービスステーション、豊島ケーブルネットワーク株式会社、東京カメラ流通協同組合、他
〇主要取引銀行  みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、三菱東京UFJ銀行、足利銀行
**********

※参考情報2「ビックカメラ粉飾決算事件」
**********東京レポート2009年1月24日 08:30
http://www.data-max.co.jp/2009/01/post_4321.html
ビックカメラの粉飾決算事件で強まる家電量販業界の再編
 家電量販店の再編が加速する――。証券取引等監視委員会は1月16日、ビックカメラ(東京・豊島区、宮嶋宏幸社長)が不適切な会計処理をしていたとして、同社と新井隆二会長に課徴金納付命令を出すよう、金融庁に勧告するための検討に入った。虚偽の決算に基づいて公募増資をし、新井会長が増資時に所有株を売り出した点が金融商品取引法違反(有価証券報告書等の虚偽記載)にあたると判断したもの。これを受けて、東京証券取引所も同日、上場廃止基準に該当する恐れがあるとしてビックカメラを監理銘柄に指定した。ビックカメラの粉飾決算事件が業界再編に発展するのは必至だ。
★当初は脱税事件
 ビックカメラに火の手があがったのは昨年夏。当初は脱税事件だった。東京国税局から4年間で約3億3,000万円の所得隠しを指摘された。
 脱税の舞台となったのは、東京・池袋駅東口駅前にあるビックカメラ本店ビル。ビックは2002年8月に自社不動産の証券化を実施、本店ビルなどを約290億円で特別目的会社(SPC)へ売却。SPCは匿名組合を通じて購入代金を調達、ビックも匿名組合に対して5%弱にあたる14億5,000万円を出資していた。SPCを使って不動産を証券化する際、出資が不動産時価の5%を超えなければ、売却と認められる。ビックの出資は5%弱で売却が成立する。
 国税が問題にしたのは匿名組合に対する他の出資者。豊島企画という会社が匿名組合に約25%に相当する約75億円を出資。同社はビックの創業者である新井隆二会長名義のビック株を担保に資金を借り入れていたことが判明。豊島企画を実質子会社と認定すると、出資合計は5%を超え、本店ビルの社外への売却と認められない。国税は売却自体を覆さなかったが、豊島企画を事業実態がないと認定し、ビックが豊島企画に支払った業務委託費3億3,000万円を所得隠しとみなし追徴課税した。
★粉飾決算に基づく公募増資
 ビックは追徴金を支払い脱税事件は一件落着したが、この問題が粉飾決算に基づく公募増資事件へと発展していく。ビックに疑惑の目を向けたのが証券取引等監視委員会だ。
 ビックはSPCに家賃を支払って本店ビルを使用していたが、07年10月に311億円で買い戻した。その際、匿名組合との間の清算配当金として受け取った49億円を08年2月中間決算で特別利益として計上した。そしてビックは決算発表後の08年5月、117億円の公募増資を実施。公募増資の際に、筆頭株主の新井会長が約8万株を放出、多額の利益を手にした。新井氏の持ち株比率は59.3%(08年2月中間期)から48.8%(08年8月期)に減っている。
 証取委は一連の経理操作を、公募増資を円滑に進めるべく、株価を高める目的で架空利益を計上したとみなした。新井会長が実質的な株主である豊島企画も、ビックの子会社と認定。出資合計が5%を超えるため、本店ビルのSPCへの売却を社外への売却と認めなかった。
 これを受け、ビックは決算を訂正。02年8月期に本店ビルを売った際に計上した26億円の特別利益、08年8月期に買い戻した際の49億円の特別利益などを取り消した。その結果、08年8月期の連結最終損益は41億円の黒字から21億円の赤字に転落した。
 問題はさらに発展。08年5月の117億円の公募増資は、赤字を隠した粉飾決算に基づいて実施されたことになるからだ。これは金融商品取引法違反(有価証券報告書等の虚偽記載)にあたる。ビックは最悪の場合、上場廃止。新井会長の引責辞任は避けられない。ビックの身売り話が再燃するのは確実だ。
★エディオンがビックを救済統合か
 急成長してきた家電量販店は、米金融危機に端を発した消費不振で環境は激変、減速に転じた。これで生き残りを探る動きが一気に強まった。
 08年10月、業界首位のヤマダ電機(前橋市、山田昇会長兼CEO=最高経営責任者)、2位のエディオン(名古屋市、久保允誉社長)、4位のビックによる7位のベスト電器(福岡市、浜田孝社長)争奪戦に決着がついた。ビックがベストを持ち分適用会社として、ビック=ベスト連合は業界2位に浮上した。
 その直後に発覚したのがビックの粉飾決算事件。創業者の新井会長が退陣に追い込まれるのは必至。業界再編へ向けての動きが強まる。
 焦点は、ビックとエディオンの統合。首位を独走するヤマダに対抗するための「反ヤマダ連合」が結成されるか否かという点だ。ビックとヤマダは因縁が深い。
 発端は、地方を制覇したヤマダが首都圏進出にあたりビックと手を組もうとしたこと。乗っ取られることを恐れたビックは、それを拒み、業界2位のエディオンと提携し、独走するヤマダの首位の座を脅かした。
 07年春、ビックの新井会長とエディオンの久保社長は、いったんは統合で合意。ところが、ビックの経営陣はエディオンに呑み込まれるとして反対、統合は白紙撤回となった。それでも資本・業務提携は続けてきた。
 この間、ビックとヤマダの対立はエスカレート。両社の対決はベストの争奪戦に発展。ヤマダに買収攻勢をかけられたベストにビックが援軍にかけつけ、「反ヤマダ」連合を組んだ。
 一方、ヤマダはビックの本拠地である池袋に殴り込みをかける。ヤマダは09年5月に閉鎖する三越池袋店跡に出店。国内最大級の家電量販店に改装、10年をメドに開業する。ビックはヤマダとの首都圏決戦を目前に控えていた。
 そういう状況のなかで生じたのがビックの粉飾決算事件。これで提携関係にあるエディオンとビックが急接近。ビック救済の統合が実現すれば、独走を続けるヤマダへの対抗軸として、エディオン=ビック=ベスト連合を形成。業界地図はヤマダとエディオン連合とヨドバシカメラの3強に集約されることになる。
★2008年家電量販店売上高ランキング(連結、億円)
(1)ヤマダ電機    17,678
(2)エディオン    8,512
(3)ヨドバシカメラ  7,121
(4)ビックカメラ   6,048
(5)ケーズホールディングス  5,677
(6)コジマ  5,002
(7)ベスト電器    4,135
(決算月はベスト電器が2月、ビックカメラが8月、他は3月)
【日下 淳】
**********

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする