市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…当会など地元住民団体の「謹奏」書に回答をよこした関電工の御座なり度

2016-09-02 17:32:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■東電の意向を受けた関電工を主体とする前橋バイオマス発電は、県内外の山間部に存置してある膨大な放射法汚染木材を毎年8万トンも赤城山南麓に集積して今後20年間にわたりセシウム入りの水分を搾汁し地下浸透させ、残ったセシウム入りの木材チップを今度はボイラーで燃焼させセシウムを大気中に放出するとともに、危険な高放射能の焼却残さを生み出すことにより周辺地帯はおろか群馬県に放射能二次汚染のリスクを広める破滅的な事業です。しかも関電工は住民に情報を開示しようとしないのに、なぜか群馬県や前橋市など行政側の破格の支援を受けつつ、我々住民の警鐘を無視したまま、この亡国的な事業を平然と進めています。


前橋バイオマス発電施設建設に伴う確認申請の表示板。このように詳細はまだ記載されていない。9月1日撮影。



国道353線からバイオマス発電所サイトのある北に向かって入る市道は元々は赤城神社への参道。それを関電工が賛同に隣接する土地を前橋市に寄付して、発電所への放射能汚染木材の搬入に使うため、道路を6.5メートルに拡張して、歩道工事を実施した後前橋市に寄付した形をとっている。それだけでも赤城神社に対する冒とくなのに、今度は神聖な参道に工事用トラックから落ちたと思しき異物が路上に多数散乱している。また、この市道わきに車を停めて散歩する場合は、関電工の工事用大型トラックの通行の邪魔になり危険がある。二重にバチあたりだ。

 そこでこの亡国的事業を食い止めるために、我々住民団体は連名で関電工に対して「謹奏」と題する直訴状を2016年8月5日付で関電工の社長あてに提出しました。

 これまで関電工は、住民説明会での参加住民からの「社長の直接の声を聴きたい」という悲痛な要請をはねのけてきており、こうした文書による社長あての直訴状に対しても、いつも戦略事業本部という末端の実施部署だけが対応するにとどまっていました。そのためいよいよ関電工が施設の建設を強行する段階になったこの時点で、あらためて、直接関電工の代表取締役社長に対して、きちんと文書で住民の意向を届けて、関電工の最高責任者からの率直で真摯な回答を期待して、「謹奏」をしたためたのでした。

■その回答書が昨日、関電工から届きました。さっそく内容を見てみましょう。

**********PDF ⇒ 20160902tdh.pdf
                       平成28年8月31日
赤城山の自然と環境を守る会
 会長 横川忠重 様
赤城南麓の環境と子供たちを守る会
 会長 井上 博 様
市民オンブズマン群馬
 代表 小川 賢 様
                     株式会社関電工 戦略事業本部
                      木質バイオマスプロジェクト
冠省
 平成28年8月5日付文書「謹奏」を拝受いたしました。
 当社は、「人間第一」を社是とし、「人間尊重のもと、企業の社会責任を推敲し、豊かな人間環境づくりに貢献」すること等を経営理念として、事業活動に取り組んでおります。
 当社といたしましては、各種法令等を遵守することはもとより、地域のみなさまや行政機関とともに歩むバイオマス発電所を目指し、全社一丸となってまい進してまいる所存です。
 今後ともご支援ご理解のほど衷心よりお願い申し上げます。
                             草 々
**********

■このように、我々住民団体の思いは、「謹奏」をもってしても、関電工の最高責任者には届きませんでした。やはり都合の悪いことには耳を貸さずに蓋をする、という東電の体質をしみこませている子会社です。

いくら住民側が懸命に関電工に、住民の気持ちを伝えても、また手続き上の疑問点を公開質問で確かめようとしても、いつもこのような三下り半の意味不明の回答を、末端の戦略事業本部からしかよこそうとしないことが、今回もはっきり示されたことになります。

■今回、我々住民団体が連名で関電工に提出した8月5日付「謹奏」書は、次の内容でした。

**********
          謹奏
株式会社関電工
取締役社長(代表取締役)社長執行役員 森戸義美 様

              赤城山の自然と環境を守る会     会長 横川忠重
              赤城南麓の環境と子供たちを守る会  会長 井上 博
              市民オンブズマン群馬        代表 小川 賢

 私たちは一年前、突然始まった前橋バイオマス発電工事に困惑し、十分な説明会も行われない状況下で、その実態が分からぬまま、恐怖と不安の中で、赤城山と子どもたちの健康を守ろうと一心で活動して参りました。

 関電工様の社是には「人間第一」、経営理念には「人間尊重のもとでの社会的責任の遂行、未来志向型の企業を目指す」と宣言されています。また、環境基本方針では、「地球環境の保全に貢献します」と理念と掲げ、「地域社会との協調連帯を図り、社会との調和に努めます」という行動方針には、一点の曇もない素晴らしいものであると思いますし、日々社会のためにご尽力されておりますことに敬意を表します。

 あの3.11は、日本人の心を今でも痛めつけています。福島では5年の懸命な復興に関わらず、いまだ帰宅が許されたのはほんの一部です。放射能に至っては、半減期が30年というものも有り、除染が出来ない森林は、何百年もの間、そこに住む動植物たちは一言も声を上げることができず、内・外部被曝を続けることになります。今、人類は、その対応や未来について考えなければならない時期ではないでしょうか?

 しかし、こんな時期に、敢えて汚染の酷い赤城山南麓のど真ん中で、汚染された間伐材を集め、絞り、燃やさなければならないのでしょうか? なぜ、絞った排液を地下へ垂れ流さなければならないのでしょうか? しかも、その事業者が、東電グループだと言うのですから一層の驚きであります。まさに、一大除染事業であると言っても過言ではありません。しかも、住民には内緒で、政官業の癒着で推し進めているのが実態です。

 本事業は、とにかく来春の発電有りきでことが全て進んでおります。そのため住民は蚊帳の外に置き去りです。3月27日に3回目の説明会に出席いたしましたが、私たちの質問に対して、その回答の殆どは、「企業秘密」という言葉で退けられてしまいました。不信感は逆に募るばかりです。本プロジェクトの責任者に至っては、説明会の途中で帰ってしまう有様で、その後、今まで何度も連絡を取ろうとしましたが、全く音信不通状態のまま、現在に至っています。貴社がホームページ等で公表されている理念と実際の行動とが、全く乖離していることを、社長様はじめ幹部職員のかたがたはご存じなのでしょうか?

 関電工様サイドがそういう姿勢ですので、もはや話し合いを持てる状況にはありません。6月29日に新社長として就任されました森戸義美社長、どうか一日でも早く白紙撤回のご決断をお願いいたします。そして、赤城山をシンボルとして抱く私たち群馬の住民を安らぎの日々に戻してください。

平成28年8月5日
                          横川 忠重  ㊞
                          井上 博   ㊞
                          小川 賢   ㊞
**********

■このように、社長のところに届けられていないことがわかります。仮に社長がこの文書を目にしたとすれば、当然、社長名でしかるべき回答をよこすのが、企業統治であり、企業の社会的責任(CSR)の証だからです。

 それを欠いている関電工は、そうした社会的な責任を果たす自覚を持たない企業だということが言えるでしょう。関電工にまともな社会的責任の認識を持たせるためにも、今後も住民らによる粘り強い活動で対処する所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
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