■被告群馬県からの答弁書の内容は衝撃的でした。被告群馬県が「本案前の主張」として次の内容で住民監査請求に続けて、住民訴訟をも門前払いしようと躍起になっていたからです。それにしても、これを読むたびに、納税者として腹立たしさを超えて、あきれ果て、挙句の果て、我が群馬県の公務員はこれまで落ちぶれたかと情けなくなり、涙さえ漏らしそうです。それでは彼らが答弁書に記した内容をもう一度見てみましょう。
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第2 本案前の主張
1 原告らは,平成28年3月31日付住民監査請求(以下「本件監査請求」という)において,平成27年度9月補正予算に計上された木質バイオマス発電燃料製造施設等整備に係る補助金(以下「本件補助金」という)の違法,不当を主張して差止めを求めたが(甲1),群馬県監査委員は,「現時点において本件補助金の交付の差止めの是非を検討しなければならないと判断される程度にまで相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているとまではいえない」とし,地方自治法242条1項の要件を充たさないとして本件監査請求を却下した(甲13の13頁)。
2 住民訴訟については,監査請求前置主義が採用されているところ(地方自治法242条の2第1項),この制度は,住民訴訟に先立って監査委員に住民の請求に係る財務会計上の行為又は怠る事実について監査の機会を与え,当該行為又は怠る事実の違法,不当を当該普通地方公共団体の自治的,内部的処理によって予防,是正させることを目的とするものである(最判昭和62年2月20日民集41巻1号122頁)。
3 しかるに,本件監査請求は,地方自治法242条1項の要件を充たさない不適法なものとして却下されており,監査委員による本件補助金の違法,不当についての実質的審査は全く行われなかったのであるから,前述の監査請求前置主義の目的を果たしていない。
したがって,本件訴訟における原告ら請求は,適法な監査請求を経ておらず,監査請求前置主義の要件を充たしていないものと言わざるを得ない。
4 よって,本件訴訟は,訴訟要件を充たさないので,不適法として却下されなければならない。
**********
何が一体情けないのかというと、監査委員に住民監査請求を行わせないまま門前払いをさせておいて、住民訴訟で今度は、監査委員が門前払いをしたから監査請求前置主義の要件を満たしていないと主張しているからです。これでは、住民監査請求そのものの制度を自ら否定することになり、「住民は役所のやることに一切口を出すな」と言わんばかりの、つまり戦前・戦中の我が国のファシズム体制を彷彿とさせる重大な企みだからです。
■9月23日の第1回目の口頭弁論期日を控えて、当会と赤城山の自然と環境を守る会では、住民監査請求を再度出すかどうか、迷っていました。しかし、被告群馬県の答弁書で、相変わらず群馬県が本案前の主張として上記に示す内容を示したことで、住民監査請求を早急に出すべきであるとの結論に達し、同日朝、前橋地裁に行く前に県庁26階の群馬県監査委員事務局を訪れて、次の内容の住民監査請求書を提出しました。
**********※緑色部分が前回住民監査請求に加えた箇所
群馬県職員措置請求書
大澤正明群馬県知事に対する措置請求の要旨
1. 請求の要旨
事実証明書1によれば、群馬県は、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の事業を後述する補助交付金の対象事業(以下「本事業」という)として計上し、本事業は、同年9月14日から10月7日まで開催された群馬県議会第3回前期定例会に上程され承認された。
事業名:(新規)木質バイオマス発電燃料製造施設等整備〔環境森林部林業振興課〕
金 額:480,000千円
説 明;・林業県ぐんまの実現に向け、未利用材の活用を推進するため、木質バイオマス発電燃料(チップ)の製造施設整備に対して補助。
・事業主体:前橋バイオマス燃料(株)
・補 助 率:6/10以内
即ち上記の4億8000万円は、本事業費8億円に対する補助交付金で、国は50%、県が10%の補助率とされている。
本事業は、関電工が、親会社である東京電力を主体とする赤城山麓にある電力中央研究所の敷地内に建設を計画中の木質バイオマス発電施設に併設される、同発電施設専用のチップ破砕施設やチップ加工施設貯蔵庫の整備を行うもので、発電用に使われるチップの年間生産量は7万トン、原料である間伐材等の受入量は8万4100トンであり、補助対象施設設備は、燃料乾燥施設、作業用建物兼燃料貯蔵庫、チップ製造機等とされている。
また、本事業主体は、㈱トーセン、㈱関電工、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合の共同出資の「前橋バイオマス燃料㈱」とされている。
しかし、当該補助金が投入されることになる木質バイオマス発電用のチップ燃料の製造施設整備事業、および、同事業と同じ場所に立地される木質バイオマス発電施設は、未だに事業の内容について、不確定な情報が多く、事業者はもとより関連自治体など行政側においても、十分に説明責任が果たされているとは言えない。
それにも関わらず、事実証明書21に示す通り、平成28年6月17日に群馬県渋川林業事務所は、前橋バイオマス燃料㈱に対して、「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内報について」と題する伺い書を起案し、林業振興課長から内報があったとして前橋バイオマス燃料㈱に対して同6月30日までに事業実施設計所を提出するよう指示する書面の発出について、即日同所長桑原が決裁している。
さらに事実証明書22のとおり、同6月21日には「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業実施計画書について」と題する伺い書が渋川林業事務所で伺い書として起案され、前橋バイオマス燃料㈱から提出された事業実施設計書が適正である林業振興課長に進達する旨、即日同所長桑原により決裁されている。
そして事実証明書23によれば、平成28年6月27日に群馬県渋川林業事務所は、「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内示について」と題する伺い書を起案し、前橋バイオマス燃料㈱に対して7月15日までに補助金交付申請書を提出するよう指示する書面の発出について、即日同所長桑原が決裁している。
これら一連の手続は、請求人らが前回行った本件に係る住民監査請求が監査委員により却下された平成28年6月14日の僅か3日~13日後のことであり、請求人らを愚弄する行為であり、誠に遺憾である。
本事業により燃料の供給を受ける関電工とトーセンが出資する前橋バイオマス発電㈱による木質バイオマス燃焼による発電事業では、放射能汚染された燃料を燃やすことにより、高濃度の放射性物資が濃縮され、それらが排ガスとして、あるいは燃焼灰として、さらには排水として、長年にわたり半恒久的な排出源となることから、その影響は地元及び周辺住民のみならずひろく群馬県に住む多くの県民に及ぶことになる。
そのような危険性が指摘される中、住民らの不安要素が払しょくされないまま、木質バイオマス発電事業が進められているが、次に示す問題点により、本事業は補助金交付事業として不適格であるため、群馬県知事においては、本事業に対する補助金の交付を直ちに取り下げることが必要である。
次にその理由を述べる。
(1)補助事業の目的から逸脱していること
本事業は、次の補助事業によるものとされている。
<森林整備加速化・林業再生総合対策事業>
この補助事業は、「森林整備加速化・林業再生計画」と呼ばれており、実施要綱別記1の第1に定める森林整備加速化・林業再生計画(以下「再生計画」という。)は、都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現するために、森林整備加速化・林業再生交付金(以下「交付金」という。)を活用して行う事業(以下「交付金事業」という。)の実施により達成すべき目標及びその達成状況を客観的に評価できる内容並びにそれを実現するために必要となる内容をとりまとめた計画とする、とされている。
本事業は、放射能汚染のリスクがない地域においては有効であるが、東京電力福島第一原発事故により大量に外部に放出された放射性物質が風にのって、隣接の北関東の山間部に降り注いだことによる放射能汚染の被害を受けた群馬県や栃木県、茨城県等においては、リスクの増大に結びつく結果をもたらすことになる。
よって、放射能の除染対策に手を付けられない群馬県やその周辺の森林からの間伐材を集積してチップ化して燃焼させることは、法令違反行為であり、森林整備や林業再生という次元よりさらに根本的な住民の生命や財産の安全のほうが重要であることから、補助対象事業には当たらないことは明らかである。
(2)補助金交付を受ける資格がないこと
関電工は、福島第一原発事故の原因者である東京電力のグループ会社であり、本来、放射能汚染に苦しむ住民に対して、謝罪すべき立場にあるはずである。また、事実証明書2によれば、株式会社トーセンが平成26年2月28日に設立した㈱松井田バイオマスという法人が平成26年10月30日に看板を架け替えただけの㈱前橋バイオマスに対して、事実証明書3によれば、関電工は、本件事業で補助金交付に関して群馬県議会の平成27年第3回定例会議の最中の同年9月28日に、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合とともに、104株の出資参加をして、併せて、関電工の戦略事業本部開発事業部長の石塚浩が取締役として役員に就任している。
即ち、知事大澤が、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の事業を後述する補助交付金の対象事業として計上し、同年9月14日から開始された群馬県議会の定例会期間中、9月25日(金)の県議会本会議、一般質問までは補助金交付を受けるための事業主体ではなかった。
また、事実証明書3によれば、㈱前橋バイオマスの定款には「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と記されており、本来、㈱トーセンは、廃棄物中間処理の許可が必要な廃材や木くずなどを間伐材に紛れ込ませて発電燃料として受け入れることを想定していた。そして、平成27年9月28日に関電工らが出資参加した際、「間伐材等を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と定款を変更したが、依然として「間伐材“等”」というふうに表現しており、放射能汚染された木くずや廃材などを間伐材に紛れ込ませようとする意図が強く感じられる。
さらに事実証明書5及び事実証明書6によれば、平成27年6月22日に関電工とトーセンによって設立された㈱前橋バイオマス発電では、定款で「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と明記されており、㈱前橋バイオマスの定款のコピペであることがわかる。このことは、㈱前橋バイオマス燃料の現在の定款に記されている「間伐材等」の“等”の意味が、廃材も含む可能性を示唆しており、極めて危険である。
このような行き当たりばったりで未成熟な事業にたいして、補助金の交付をすることは、「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを要請している地方自治法第2条第14項及び「経費は、その目的を達するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」 とする地方財政法第4条第1項の各規定に違反するものである。
(3)地元及び周辺住民への事業に関する周知が不徹底であること
事実証明書9に示すように、本事業については、平成27年5月の連休中に、事業計画予定地の電力中央研究所の敷地に隣接している赤城ビュータウンの住民らが、関電工が施工主として密かに掘削作業をしていた騒音に驚き、原因を調べてはじめて本事業の存在が発覚した。その後も、関電工は、本事業に関して、近隣住民に対する個別説明方式にこだわり、現在でも、「赤城ビュータウン以外の住民は原則として事業説明の対象としない」とする立場を取り続けている。
関電工による昨年10月、12月、今年3月に開かれた地元住民説明会では、口コミで本事業の存在を知った赤城ビュータウン以外の参加住民らが、「放射能汚染された木質資源を燃やすという違法行為による広範囲の放射能汚染の拡散のリスク」をアピールして、県内に広く事業の周知徹底を要請する声を上げても、本事業主体のリーダーである関電工は「我関せず」という態度をとり続けている。
こうした関電工による本事業に関する極めて消極的な説明責任を見るにつけ、地元及び周辺住民らは関電工など事業主体に対して、一層不信感を募らせざるを得なくなっている。
さらに、同じく本事業の事業主体である㈱トーセンに至っては、住民らの強い出席要請にもかかわらず平成27年10月3日の第1回地元説明会や平成28年3月27日開催の第3回地元説明会には全く顔を出さず、唯一平成27年12月20日開催の第2回地元説明会に出席したが、本事業について一言も語ることはしなかった。このため、監査請求人らをふくむ住民らは、肝心の本事業に関わる木質燃料チップ工場の施設の内容についての説明を事業主体から受けられずにいる。
このような事業内容の不透明性と、情報開示への消極性は、本事業の目的である「都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現する」こととは、相容れない。したがって、そのような社会性に欠ける企業が進める本事業には、我々の血税である補助金という公金を支出することは絶対に許されない。
(4)事業主体の出資者である関電工の社是や環境方針と合致しないこと
関電工は事あるごとに、環境への基本姿勢を強調しているが、これを遵守するためには、本事業はまったく馴染まない。だからただちに本事業を白紙撤回しなければならない。
(5)安全な間伐材を県内から安定的に調達することは不可能であること
事業主体である関電工は、当初のうち群馬県内の間伐材を100%使用すると言いながら、まもなく、万が一足りなければ、近県の間伐材も入れることを可能性として仄めかす発言に転じている。このように、言っていることが最初に比べ、あれもこれも変わること自体、信用できない。
本事業により発電用に使われるチップの年間生産量7万トン、原料である間伐材等の受入量8万4100トンの安定した確保が、事業実現の基本の一つであるが、群馬県内における森林バイオマスの賦存量の実態をみれば、年間間伐材等の受入量8万4100tもの確保は到底現実的ではない。
このため、事業主体は上述のとおり、群馬県以外の周辺の栃木県、長野県、埼玉県等から必要に応じて間伐材等を調達する必要があると認識しているのである。そうなると、福島県の製材所で保管されていた大量の放射能汚染木くず・バーク(樹皮)チップなどの特定廃棄物相当のサンパイが、東電から依頼を受けた元官僚で自称コンサルタントの男により、福島県外に持ち出され、滋賀県の琵琶湖西岸に不法投棄された放射能汚染木くず・バークチップが、群馬県民のしらないうちに前橋市内の産廃中間処理業者の破砕施設に持ち込まれ、他の廃材等と眞挫合わされて、オガクズとして群馬県内外に販売された事件と同様な手口で、群馬県外から大量の危険な放射能汚染廃材等が持ち込まれる可能性が極めて高くなる。
とりわけ、関電工は、絶対安全だとしていた福島第1原発の重大事故の責任を取らないまま、多額の税金を政府につぎ込ませても平然としている東京電力のグループ会社である。本事業が、東電の思惑で立案されたことは、こうした背景から容易に想像できる。
もし、本事業に補助金が交付されると、東電の除染責任を我々の税金で尻拭いされることになる。東電の息のかかった東電工は、本事業へのこの補助金がないと、事業がなりたたないとしているが、そのような不採算事業を強引に推進する背景には、東電の思惑が見え隠れしているのである。
群馬県の誇る安心・安全な生活環境、営農環境、自然環境を厳守し、次世代に引き継ぐためにも本事業を助長する補助金の交付は、県民への裏切り行為であり、直ちに停止しならない。
(6)事業主体の信頼性に瑕疵があること
群馬県に提出された事業計画の情報公開で入手したが、近隣住民への説明経過によると、事実証明書7により、「反対者ゼロ」などと事実と全くかけ離れた文言が続き、虚偽の記載をし、不正に補助金の支給を受けようとしている。
(7)放射能汚染対策に重大な不備があること
放射能対策が全く盛り込まれていないことは明らかである。放射能汚染物質対策の不備による放射性物質の流出が懸念される理由と、関連する施設の場所・工程を次の①~④に示す。
①事業主体の関電工は、地元説明会での配布資料(事実証明書8)では「間伐等を受入する際、トラックスケールで検査する」としているが、メーカーは技術面から「管理基準値(40ベクレル/㎏)は、到底できない」と発言している。その時のやり取りを次に示す。
(質問)走行しながらの測定ということで、トラック全体の総ベクレルが370kBqということではなく、ある一定の塊の線源が370kBq以上ないと測定不可能という解釈でよろしいでしょうか。
(回答)その通りです。【回答者:株式会社テック・デル高畑】
また、関電工自身も、平成28年3月26日の話し合いや同3月27日の説明会の場で、住民からの質問に対して「できない」と答えている。したがって、放射能のかなり高い間伐材が持ち込まれても、その実態について全く把握できないということになり、それによる危害は甚大である。
つまり、その約1万分の一である40ベクレル/㎏など測定できるはずもない。
②貯木スペースは間伐材の乾燥のため野天に保管されるが、風等により放射性物質の敷地外への拡散防止策が講じられていない。また、雨等による放射性物質の排水口や敷地外への流出対策が講じられていない。
③チップ加工時の放射性物質の空気中への拡散防止策が講じられていない。
④チップの脱水時の排液を、放射性物質を未処理のまま地下浸透させてしまうことになり、関東平野の地下水資源に対する重大な脅威となる。
以上のことより、近隣住民の生活保全環境はもとより、田畑への営農環境、河川への自然環境への放射性物質の流入による重大な環境破壊の危険性はかなりの確率で高くなることは必至である。
(8)本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること
事業主体のひとつである㈱トーセンは数年前に、製材工場で山火事を起こし、体育館などを全焼させた。にもかかわらず、未だに火災の原因は不明とされ、何の対策もとられていない。このままでは、本事業が行われる赤城山での山火事発生の危険性が大いに想定されるため、周辺住民の静観環境や財産保全に対して脅威となる。以下、㈱トーセンのホームページからの火災発生に関する記事を引用する。
トーセンのホームページのURL:
http://www.tohsen.net/news_topicsn.php?num=62&yr=2013
那珂川工場火災のお詫びとお礼
平成25年9月28日(土)午後10:00、県北木材協同組合 那珂川工場におきまして、火災が発生致しました。関係各位、地域住民の皆様には、多大なご心配、ご迷惑をお掛けいたしました。この場をお借りしまして、お詫びとご協力のお礼を申し上げます。
なお、旧体育館(加工棟)の全焼という事態となりましたが、地元消防団、消防署、行政の皆様のご協力により、消火は完了し、那珂川工場内の他の設備、隣接の発電施設建設地への影響はないことをご報告致します。
(9)環境アセスメントを実施しないまま計画を脱法的に進めようとしていること
本事業では、年間8万トンの木質チップを発電用燃料として製造する計画だが、それを全量発電施設で使用した場合の排ガス量について、きちんとした計算手順と結果について、群馬県からも事業主体からも全く説明がなされていない。群馬県は当該木質バイオマス発電所の制度設計前の平成27年3月に総排気量が4万ⅿ³/hr以上あるかどうかの詳細審査を実施せず関電工に環境アセスメント対象外として事業者に通告している可能性が高く、本事業は法令違反であることが明白である。
以上のさまざまな観点から、現在のところ森林内に隔離されている放射能汚染物質だが、本事業が実施されれば、これらの危険物質が人家の近くに大量に持ち込まれることになる。しかも焼却をすることにより、さらに放射線レベルが高くなり、一層危険度が増すことになる。この結果、放射能汚染の拡散と高レベルの放射能物質発生を招くという脅威に群馬県民がひろく晒されるのである。このため、憲法に定める多数の住民の生存権が脅かされているのであるから、知事大澤には、本事業に対する補助金の交付による財政支出を停止する措置をとる義務がある。
よって、監査委員は知事大澤に対し、次の措置を講ずるよう、勧告することを求める。
本事業に対する補助金の交付に関し、平成27年度補正予算から支出することを決めた措置を撤回し、事業者から平成28年7月15日までに提出された補助金交付申請書に基づく補助金の支払いを停止せよ。
2.請求者
住所 〒379-0114群馬県安中市野殿980番地
職業 会社員(市民オンブズマン群馬 代表)
氏名 小川 賢
電話 090-5302-8312
住所 〒371-0244群馬県前橋市鼻毛石町1991-42
職業 会社員(赤城山の自然と環境を守る会 事務局長)
氏名 羽鳥 昌行
電話 027-283-4150
地方自治法第242条第1項の規定により、事実証明書を付して、必要な措置を請求します。
平成28年9月23日
群馬県監査委員(あて)
事実証明書
1.平成27年度9月補正予算検討案(知事査定)
2.㈱前橋バイオマスの履歴事項全部証明書(平成27年9月27日以前)
3.㈱前橋バイオマスの定款(平成27年9月27日以前)
4.㈱前橋バイオマス燃料の路歴全部証明書(平成27年9月28日以降)
5.㈱前橋バイオマス発電の履歴全部証明書
6.㈱前橋バイオマス発電の定款
7.近隣住民への説明経過(林業振興課 開示資料)
8.地元説明会で関電工が配布した説明資料の一部「環境対策(放射能測定)」
9.その他、事業主体の説明不足やルール違反の経緯等を示す証拠
21.H28.6.17渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内報について」
22.H28.6.21渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業実施設計書について」
23.H28.6.27渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内示について」
添付書類
事実証明書の写し 各1通
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↑チェック作業中の監査委員事務局職員。↑
↑閑なようだ。↑
■提出時に、監査事務局の職員らに対して「今回は、前回却下されたものを受けて、補助金交付申請書が提出されたという背景のもとに再度、住民監査請求を行うものであり、外形的なところで無用な補正命令を出さないようにくれぐれも配慮願いたい」と強く要請しました。
しかし、事務局の職員らは「監査委員の意見を聞いてみないと分からない」というだけで、配慮がなされる確証は得られませんでした。
なお、現在の監査委員は、次の4名です。
*****監査委員4人*****
氏名/選出別/任期/備考
横田秀治/識見委員/平成24年10月1日から/常勤(代表監査委員)
丸山幸男/識見委員/平成25年2月21日から/非常勤
岩井 均/議会選出委員/平成28年5月26日から/非常勤
須藤和臣/議会選出委員/平成28年5月26日から/非常勤
**********
今度は門前払いの却下ではなく、まともに内容について監査してほしいものですが、監査委員は県職員の操り人形であるとの指摘もあり、予断は許されません。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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第2 本案前の主張
1 原告らは,平成28年3月31日付住民監査請求(以下「本件監査請求」という)において,平成27年度9月補正予算に計上された木質バイオマス発電燃料製造施設等整備に係る補助金(以下「本件補助金」という)の違法,不当を主張して差止めを求めたが(甲1),群馬県監査委員は,「現時点において本件補助金の交付の差止めの是非を検討しなければならないと判断される程度にまで相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているとまではいえない」とし,地方自治法242条1項の要件を充たさないとして本件監査請求を却下した(甲13の13頁)。
2 住民訴訟については,監査請求前置主義が採用されているところ(地方自治法242条の2第1項),この制度は,住民訴訟に先立って監査委員に住民の請求に係る財務会計上の行為又は怠る事実について監査の機会を与え,当該行為又は怠る事実の違法,不当を当該普通地方公共団体の自治的,内部的処理によって予防,是正させることを目的とするものである(最判昭和62年2月20日民集41巻1号122頁)。
3 しかるに,本件監査請求は,地方自治法242条1項の要件を充たさない不適法なものとして却下されており,監査委員による本件補助金の違法,不当についての実質的審査は全く行われなかったのであるから,前述の監査請求前置主義の目的を果たしていない。
したがって,本件訴訟における原告ら請求は,適法な監査請求を経ておらず,監査請求前置主義の要件を充たしていないものと言わざるを得ない。
4 よって,本件訴訟は,訴訟要件を充たさないので,不適法として却下されなければならない。
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何が一体情けないのかというと、監査委員に住民監査請求を行わせないまま門前払いをさせておいて、住民訴訟で今度は、監査委員が門前払いをしたから監査請求前置主義の要件を満たしていないと主張しているからです。これでは、住民監査請求そのものの制度を自ら否定することになり、「住民は役所のやることに一切口を出すな」と言わんばかりの、つまり戦前・戦中の我が国のファシズム体制を彷彿とさせる重大な企みだからです。
■9月23日の第1回目の口頭弁論期日を控えて、当会と赤城山の自然と環境を守る会では、住民監査請求を再度出すかどうか、迷っていました。しかし、被告群馬県の答弁書で、相変わらず群馬県が本案前の主張として上記に示す内容を示したことで、住民監査請求を早急に出すべきであるとの結論に達し、同日朝、前橋地裁に行く前に県庁26階の群馬県監査委員事務局を訪れて、次の内容の住民監査請求書を提出しました。
**********※緑色部分が前回住民監査請求に加えた箇所
群馬県職員措置請求書
大澤正明群馬県知事に対する措置請求の要旨
1. 請求の要旨
事実証明書1によれば、群馬県は、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の事業を後述する補助交付金の対象事業(以下「本事業」という)として計上し、本事業は、同年9月14日から10月7日まで開催された群馬県議会第3回前期定例会に上程され承認された。
事業名:(新規)木質バイオマス発電燃料製造施設等整備〔環境森林部林業振興課〕
金 額:480,000千円
説 明;・林業県ぐんまの実現に向け、未利用材の活用を推進するため、木質バイオマス発電燃料(チップ)の製造施設整備に対して補助。
・事業主体:前橋バイオマス燃料(株)
・補 助 率:6/10以内
即ち上記の4億8000万円は、本事業費8億円に対する補助交付金で、国は50%、県が10%の補助率とされている。
本事業は、関電工が、親会社である東京電力を主体とする赤城山麓にある電力中央研究所の敷地内に建設を計画中の木質バイオマス発電施設に併設される、同発電施設専用のチップ破砕施設やチップ加工施設貯蔵庫の整備を行うもので、発電用に使われるチップの年間生産量は7万トン、原料である間伐材等の受入量は8万4100トンであり、補助対象施設設備は、燃料乾燥施設、作業用建物兼燃料貯蔵庫、チップ製造機等とされている。
また、本事業主体は、㈱トーセン、㈱関電工、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合の共同出資の「前橋バイオマス燃料㈱」とされている。
しかし、当該補助金が投入されることになる木質バイオマス発電用のチップ燃料の製造施設整備事業、および、同事業と同じ場所に立地される木質バイオマス発電施設は、未だに事業の内容について、不確定な情報が多く、事業者はもとより関連自治体など行政側においても、十分に説明責任が果たされているとは言えない。
それにも関わらず、事実証明書21に示す通り、平成28年6月17日に群馬県渋川林業事務所は、前橋バイオマス燃料㈱に対して、「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内報について」と題する伺い書を起案し、林業振興課長から内報があったとして前橋バイオマス燃料㈱に対して同6月30日までに事業実施設計所を提出するよう指示する書面の発出について、即日同所長桑原が決裁している。
さらに事実証明書22のとおり、同6月21日には「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業実施計画書について」と題する伺い書が渋川林業事務所で伺い書として起案され、前橋バイオマス燃料㈱から提出された事業実施設計書が適正である林業振興課長に進達する旨、即日同所長桑原により決裁されている。
そして事実証明書23によれば、平成28年6月27日に群馬県渋川林業事務所は、「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内示について」と題する伺い書を起案し、前橋バイオマス燃料㈱に対して7月15日までに補助金交付申請書を提出するよう指示する書面の発出について、即日同所長桑原が決裁している。
これら一連の手続は、請求人らが前回行った本件に係る住民監査請求が監査委員により却下された平成28年6月14日の僅か3日~13日後のことであり、請求人らを愚弄する行為であり、誠に遺憾である。
本事業により燃料の供給を受ける関電工とトーセンが出資する前橋バイオマス発電㈱による木質バイオマス燃焼による発電事業では、放射能汚染された燃料を燃やすことにより、高濃度の放射性物資が濃縮され、それらが排ガスとして、あるいは燃焼灰として、さらには排水として、長年にわたり半恒久的な排出源となることから、その影響は地元及び周辺住民のみならずひろく群馬県に住む多くの県民に及ぶことになる。
そのような危険性が指摘される中、住民らの不安要素が払しょくされないまま、木質バイオマス発電事業が進められているが、次に示す問題点により、本事業は補助金交付事業として不適格であるため、群馬県知事においては、本事業に対する補助金の交付を直ちに取り下げることが必要である。
次にその理由を述べる。
(1)補助事業の目的から逸脱していること
本事業は、次の補助事業によるものとされている。
<森林整備加速化・林業再生総合対策事業>
この補助事業は、「森林整備加速化・林業再生計画」と呼ばれており、実施要綱別記1の第1に定める森林整備加速化・林業再生計画(以下「再生計画」という。)は、都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現するために、森林整備加速化・林業再生交付金(以下「交付金」という。)を活用して行う事業(以下「交付金事業」という。)の実施により達成すべき目標及びその達成状況を客観的に評価できる内容並びにそれを実現するために必要となる内容をとりまとめた計画とする、とされている。
本事業は、放射能汚染のリスクがない地域においては有効であるが、東京電力福島第一原発事故により大量に外部に放出された放射性物質が風にのって、隣接の北関東の山間部に降り注いだことによる放射能汚染の被害を受けた群馬県や栃木県、茨城県等においては、リスクの増大に結びつく結果をもたらすことになる。
よって、放射能の除染対策に手を付けられない群馬県やその周辺の森林からの間伐材を集積してチップ化して燃焼させることは、法令違反行為であり、森林整備や林業再生という次元よりさらに根本的な住民の生命や財産の安全のほうが重要であることから、補助対象事業には当たらないことは明らかである。
(2)補助金交付を受ける資格がないこと
関電工は、福島第一原発事故の原因者である東京電力のグループ会社であり、本来、放射能汚染に苦しむ住民に対して、謝罪すべき立場にあるはずである。また、事実証明書2によれば、株式会社トーセンが平成26年2月28日に設立した㈱松井田バイオマスという法人が平成26年10月30日に看板を架け替えただけの㈱前橋バイオマスに対して、事実証明書3によれば、関電工は、本件事業で補助金交付に関して群馬県議会の平成27年第3回定例会議の最中の同年9月28日に、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合とともに、104株の出資参加をして、併せて、関電工の戦略事業本部開発事業部長の石塚浩が取締役として役員に就任している。
即ち、知事大澤が、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の事業を後述する補助交付金の対象事業として計上し、同年9月14日から開始された群馬県議会の定例会期間中、9月25日(金)の県議会本会議、一般質問までは補助金交付を受けるための事業主体ではなかった。
また、事実証明書3によれば、㈱前橋バイオマスの定款には「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と記されており、本来、㈱トーセンは、廃棄物中間処理の許可が必要な廃材や木くずなどを間伐材に紛れ込ませて発電燃料として受け入れることを想定していた。そして、平成27年9月28日に関電工らが出資参加した際、「間伐材等を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と定款を変更したが、依然として「間伐材“等”」というふうに表現しており、放射能汚染された木くずや廃材などを間伐材に紛れ込ませようとする意図が強く感じられる。
さらに事実証明書5及び事実証明書6によれば、平成27年6月22日に関電工とトーセンによって設立された㈱前橋バイオマス発電では、定款で「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と明記されており、㈱前橋バイオマスの定款のコピペであることがわかる。このことは、㈱前橋バイオマス燃料の現在の定款に記されている「間伐材等」の“等”の意味が、廃材も含む可能性を示唆しており、極めて危険である。
このような行き当たりばったりで未成熟な事業にたいして、補助金の交付をすることは、「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを要請している地方自治法第2条第14項及び「経費は、その目的を達するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」 とする地方財政法第4条第1項の各規定に違反するものである。
(3)地元及び周辺住民への事業に関する周知が不徹底であること
事実証明書9に示すように、本事業については、平成27年5月の連休中に、事業計画予定地の電力中央研究所の敷地に隣接している赤城ビュータウンの住民らが、関電工が施工主として密かに掘削作業をしていた騒音に驚き、原因を調べてはじめて本事業の存在が発覚した。その後も、関電工は、本事業に関して、近隣住民に対する個別説明方式にこだわり、現在でも、「赤城ビュータウン以外の住民は原則として事業説明の対象としない」とする立場を取り続けている。
関電工による昨年10月、12月、今年3月に開かれた地元住民説明会では、口コミで本事業の存在を知った赤城ビュータウン以外の参加住民らが、「放射能汚染された木質資源を燃やすという違法行為による広範囲の放射能汚染の拡散のリスク」をアピールして、県内に広く事業の周知徹底を要請する声を上げても、本事業主体のリーダーである関電工は「我関せず」という態度をとり続けている。
こうした関電工による本事業に関する極めて消極的な説明責任を見るにつけ、地元及び周辺住民らは関電工など事業主体に対して、一層不信感を募らせざるを得なくなっている。
さらに、同じく本事業の事業主体である㈱トーセンに至っては、住民らの強い出席要請にもかかわらず平成27年10月3日の第1回地元説明会や平成28年3月27日開催の第3回地元説明会には全く顔を出さず、唯一平成27年12月20日開催の第2回地元説明会に出席したが、本事業について一言も語ることはしなかった。このため、監査請求人らをふくむ住民らは、肝心の本事業に関わる木質燃料チップ工場の施設の内容についての説明を事業主体から受けられずにいる。
このような事業内容の不透明性と、情報開示への消極性は、本事業の目的である「都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現する」こととは、相容れない。したがって、そのような社会性に欠ける企業が進める本事業には、我々の血税である補助金という公金を支出することは絶対に許されない。
(4)事業主体の出資者である関電工の社是や環境方針と合致しないこと
関電工は事あるごとに、環境への基本姿勢を強調しているが、これを遵守するためには、本事業はまったく馴染まない。だからただちに本事業を白紙撤回しなければならない。
(5)安全な間伐材を県内から安定的に調達することは不可能であること
事業主体である関電工は、当初のうち群馬県内の間伐材を100%使用すると言いながら、まもなく、万が一足りなければ、近県の間伐材も入れることを可能性として仄めかす発言に転じている。このように、言っていることが最初に比べ、あれもこれも変わること自体、信用できない。
本事業により発電用に使われるチップの年間生産量7万トン、原料である間伐材等の受入量8万4100トンの安定した確保が、事業実現の基本の一つであるが、群馬県内における森林バイオマスの賦存量の実態をみれば、年間間伐材等の受入量8万4100tもの確保は到底現実的ではない。
このため、事業主体は上述のとおり、群馬県以外の周辺の栃木県、長野県、埼玉県等から必要に応じて間伐材等を調達する必要があると認識しているのである。そうなると、福島県の製材所で保管されていた大量の放射能汚染木くず・バーク(樹皮)チップなどの特定廃棄物相当のサンパイが、東電から依頼を受けた元官僚で自称コンサルタントの男により、福島県外に持ち出され、滋賀県の琵琶湖西岸に不法投棄された放射能汚染木くず・バークチップが、群馬県民のしらないうちに前橋市内の産廃中間処理業者の破砕施設に持ち込まれ、他の廃材等と眞挫合わされて、オガクズとして群馬県内外に販売された事件と同様な手口で、群馬県外から大量の危険な放射能汚染廃材等が持ち込まれる可能性が極めて高くなる。
とりわけ、関電工は、絶対安全だとしていた福島第1原発の重大事故の責任を取らないまま、多額の税金を政府につぎ込ませても平然としている東京電力のグループ会社である。本事業が、東電の思惑で立案されたことは、こうした背景から容易に想像できる。
もし、本事業に補助金が交付されると、東電の除染責任を我々の税金で尻拭いされることになる。東電の息のかかった東電工は、本事業へのこの補助金がないと、事業がなりたたないとしているが、そのような不採算事業を強引に推進する背景には、東電の思惑が見え隠れしているのである。
群馬県の誇る安心・安全な生活環境、営農環境、自然環境を厳守し、次世代に引き継ぐためにも本事業を助長する補助金の交付は、県民への裏切り行為であり、直ちに停止しならない。
(6)事業主体の信頼性に瑕疵があること
群馬県に提出された事業計画の情報公開で入手したが、近隣住民への説明経過によると、事実証明書7により、「反対者ゼロ」などと事実と全くかけ離れた文言が続き、虚偽の記載をし、不正に補助金の支給を受けようとしている。
(7)放射能汚染対策に重大な不備があること
放射能対策が全く盛り込まれていないことは明らかである。放射能汚染物質対策の不備による放射性物質の流出が懸念される理由と、関連する施設の場所・工程を次の①~④に示す。
①事業主体の関電工は、地元説明会での配布資料(事実証明書8)では「間伐等を受入する際、トラックスケールで検査する」としているが、メーカーは技術面から「管理基準値(40ベクレル/㎏)は、到底できない」と発言している。その時のやり取りを次に示す。
(質問)走行しながらの測定ということで、トラック全体の総ベクレルが370kBqということではなく、ある一定の塊の線源が370kBq以上ないと測定不可能という解釈でよろしいでしょうか。
(回答)その通りです。【回答者:株式会社テック・デル高畑】
また、関電工自身も、平成28年3月26日の話し合いや同3月27日の説明会の場で、住民からの質問に対して「できない」と答えている。したがって、放射能のかなり高い間伐材が持ち込まれても、その実態について全く把握できないということになり、それによる危害は甚大である。
つまり、その約1万分の一である40ベクレル/㎏など測定できるはずもない。
②貯木スペースは間伐材の乾燥のため野天に保管されるが、風等により放射性物質の敷地外への拡散防止策が講じられていない。また、雨等による放射性物質の排水口や敷地外への流出対策が講じられていない。
③チップ加工時の放射性物質の空気中への拡散防止策が講じられていない。
④チップの脱水時の排液を、放射性物質を未処理のまま地下浸透させてしまうことになり、関東平野の地下水資源に対する重大な脅威となる。
以上のことより、近隣住民の生活保全環境はもとより、田畑への営農環境、河川への自然環境への放射性物質の流入による重大な環境破壊の危険性はかなりの確率で高くなることは必至である。
(8)本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること
事業主体のひとつである㈱トーセンは数年前に、製材工場で山火事を起こし、体育館などを全焼させた。にもかかわらず、未だに火災の原因は不明とされ、何の対策もとられていない。このままでは、本事業が行われる赤城山での山火事発生の危険性が大いに想定されるため、周辺住民の静観環境や財産保全に対して脅威となる。以下、㈱トーセンのホームページからの火災発生に関する記事を引用する。
トーセンのホームページのURL:
http://www.tohsen.net/news_topicsn.php?num=62&yr=2013
那珂川工場火災のお詫びとお礼
平成25年9月28日(土)午後10:00、県北木材協同組合 那珂川工場におきまして、火災が発生致しました。関係各位、地域住民の皆様には、多大なご心配、ご迷惑をお掛けいたしました。この場をお借りしまして、お詫びとご協力のお礼を申し上げます。
なお、旧体育館(加工棟)の全焼という事態となりましたが、地元消防団、消防署、行政の皆様のご協力により、消火は完了し、那珂川工場内の他の設備、隣接の発電施設建設地への影響はないことをご報告致します。
(9)環境アセスメントを実施しないまま計画を脱法的に進めようとしていること
本事業では、年間8万トンの木質チップを発電用燃料として製造する計画だが、それを全量発電施設で使用した場合の排ガス量について、きちんとした計算手順と結果について、群馬県からも事業主体からも全く説明がなされていない。群馬県は当該木質バイオマス発電所の制度設計前の平成27年3月に総排気量が4万ⅿ³/hr以上あるかどうかの詳細審査を実施せず関電工に環境アセスメント対象外として事業者に通告している可能性が高く、本事業は法令違反であることが明白である。
以上のさまざまな観点から、現在のところ森林内に隔離されている放射能汚染物質だが、本事業が実施されれば、これらの危険物質が人家の近くに大量に持ち込まれることになる。しかも焼却をすることにより、さらに放射線レベルが高くなり、一層危険度が増すことになる。この結果、放射能汚染の拡散と高レベルの放射能物質発生を招くという脅威に群馬県民がひろく晒されるのである。このため、憲法に定める多数の住民の生存権が脅かされているのであるから、知事大澤には、本事業に対する補助金の交付による財政支出を停止する措置をとる義務がある。
よって、監査委員は知事大澤に対し、次の措置を講ずるよう、勧告することを求める。
本事業に対する補助金の交付に関し、平成27年度補正予算から支出することを決めた措置を撤回し、事業者から平成28年7月15日までに提出された補助金交付申請書に基づく補助金の支払いを停止せよ。
2.請求者
住所 〒379-0114群馬県安中市野殿980番地
職業 会社員(市民オンブズマン群馬 代表)
氏名 小川 賢
電話 090-5302-8312
住所 〒371-0244群馬県前橋市鼻毛石町1991-42
職業 会社員(赤城山の自然と環境を守る会 事務局長)
氏名 羽鳥 昌行
電話 027-283-4150
地方自治法第242条第1項の規定により、事実証明書を付して、必要な措置を請求します。
平成28年9月23日
群馬県監査委員(あて)
事実証明書
1.平成27年度9月補正予算検討案(知事査定)
2.㈱前橋バイオマスの履歴事項全部証明書(平成27年9月27日以前)
3.㈱前橋バイオマスの定款(平成27年9月27日以前)
4.㈱前橋バイオマス燃料の路歴全部証明書(平成27年9月28日以降)
5.㈱前橋バイオマス発電の履歴全部証明書
6.㈱前橋バイオマス発電の定款
7.近隣住民への説明経過(林業振興課 開示資料)
8.地元説明会で関電工が配布した説明資料の一部「環境対策(放射能測定)」
9.その他、事業主体の説明不足やルール違反の経緯等を示す証拠
21.H28.6.17渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内報について」
22.H28.6.21渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業実施設計書について」
23.H28.6.27渋川森林事務所「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内示について」
添付書類
事実証明書の写し 各1通
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↑チェック作業中の監査委員事務局職員。↑
↑閑なようだ。↑
■提出時に、監査事務局の職員らに対して「今回は、前回却下されたものを受けて、補助金交付申請書が提出されたという背景のもとに再度、住民監査請求を行うものであり、外形的なところで無用な補正命令を出さないようにくれぐれも配慮願いたい」と強く要請しました。
しかし、事務局の職員らは「監査委員の意見を聞いてみないと分からない」というだけで、配慮がなされる確証は得られませんでした。
なお、現在の監査委員は、次の4名です。
*****監査委員4人*****
氏名/選出別/任期/備考
横田秀治/識見委員/平成24年10月1日から/常勤(代表監査委員)
丸山幸男/識見委員/平成25年2月21日から/非常勤
岩井 均/議会選出委員/平成28年5月26日から/非常勤
須藤和臣/議会選出委員/平成28年5月26日から/非常勤
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今度は門前払いの却下ではなく、まともに内容について監査してほしいものですが、監査委員は県職員の操り人形であるとの指摘もあり、予断は許されません。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】