市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

タゴ出所まであと30日!巨額使途不明金の行方を知る立場にある税理士XXYY氏のその後

2009-08-22 23:42:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■いよいよあと30日で、タゴが晴れて出所する日を迎えることになりますが、絶妙のタイミングで、先週8月18日(火)に第45回衆院選が告示され、現在、8月30日の投開票まで、あと1週間を残し、ちょうど選挙戦の真っ最中です。

 事前の各種世論調査では、民主党の優位は動かず、鳩山由紀夫代表を首班とする民主党政権の誕生がほぼ確実視されています。

 そのせいか、せっかくタゴが14年(未決勾留200日を含む)の実刑判決の刑期をまもなく終えるというのに、タゴ事件の関係者らは、ひっそりと沈黙を守り続けているように見えます。

 無理もありません。民主党政権が誕生した場合、これまで警察や検察、そして裁判所や税務署、さらに総務省や国税庁、そして群馬県に影響力を誇った自民党の威光がいっぺんに輝きを失いかねないためです。
■わが国は、戦後、ほぼ一貫して自民党政権が権力の座につき、かつて連立を組んだ社会党や、現在連立を組んでいる公明党も、結局、自民党主体の政治に身をゆだねてしまい、権力の交代という場面を経験してきませんでした。

 あまりマスコミは取り上げませんが、霞ヶ関では最近、役所の人事異動や書類整理でてんやわんやです。これは、県や市町村レベルでも同様だと思われます。なぜなら、民主党政権になった場合、これまで隠し通してきたことが、第三者の目に触れることになるため、今のうちにできるかぎり隠蔽しておく必要があり、官僚はいまのうちに、なるべく安心で美味しいところに天下りして、既成事実を作っておく必要があるからです。

■政権の交代による、権力の移譲の経験のない日本国民として、わかりやすいのはお隣りの韓国の例です。先日、前大統領を自殺に追い込んだ韓国では、政権が変わるたびに、前政権にかかわる「大型疑獄事件」の国策捜査が行われ、大統領やその一族、関係者らが逮捕され裁判にかけられ、投獄されたり、ノ・ムヒョン前大統領のように自殺者が出ています。台湾でも、民進党の陳水扁前総統が国民党により不正行為を理由に裁判にかけられています。果たして日本でも、そうしたことが起きるのかどうか、実は、韓国のみならず、世界中が注目しているのです。

 韓国や台湾の場合もそうですが、前政権の不正が暴露されると、必然的に新政権の支持率がアップします。新政権が、前政権の不正追及に力を注ぐのは、そういう理由があるからです。

 これまで、長期間にわたる自民党政権下では、特捜部が手を出せなかった政治家はたくさんいます。とりわけ有名なのは、群馬県がほこる大勲位の元首相です。造船疑獄事件、ロッキード事件など、大型疑獄事件に関与しながら、結局塀の中に落ちなかったことで有名な大政治家です。

 ところが、今度は、野党が政権を握ることになれば、強制捜査には何の遠慮も要りません。

■官僚組織の典型である検察が、民主党政権になったからといって、突然、正反対の態度をとることは、そう簡単なことではないでしょう。しかし、変わり身の早さがとりえの官僚組織だからこそ、たとえば、民主党の小沢前代表の公設第一秘書を逮捕起訴した東京地検特捜部では、これを手加減することで、民主党に恩義を売り、返す刀で、野党に転落する自民党の悪事を暴いて、新しい政権の心象を良くしようとするかもしれません。

 政権がガラッと変わるということは、こういう作用を生み出すのです。これまでは「寄らば大樹」「長いものには巻かれろ」というスローガンを好んできた日本人ですが、長期にわたる自民党政権を維持してしまったため、自民党のおごりを招き、国民不在のさまざまな悪政によりさんざんひどい目にあって、ようやく目がさめてきた、と言えます。

■さて、前置きが長くなりました。あと30日後に迫ったタゴ正式出所日を、誰よりも心待ちにしているのは、タゴ事件で、さまざまな恩恵を受けた関係者でしょう。晴れてシャバに大手を振って出てくるタゴに、感謝の言葉をイの一番にかけなければならないからです。なぜなら、巨額横領金が、タゴの刑期満了と、岡田市長によるタゴへの損害賠償請求の時効消滅という最大限の配慮により、しかも、群馬銀行への尻拭いは全部安中市民に転嫁することになり、使途不明金14億円余について、誰も目も憚ることなく、堂々と使っても警察や検察のお咎めがない日が、あと1ヶ月足らずに迫ったからです。

 さて、先日、安中市土地開発公社の元職員で、公社を舞台として51億4千万円の史上最大の横領事件の単独犯とされて14年の実刑判決を受けたタゴをとりまくカネの匂いに、市役所の幹部や、政治家、銀行や業者が集まってくるのを見て、タゴの友人や親族が設立した株式会社適塾、株式会社芙蓉、多胡運輸株式会社の3社について、当会の調査結果を報告しました。

 その際、タゴの実弟が、株式会社芙蓉と多胡運輸株式会社の代表取締役社長となっていたことを皆様にお伝えしました。さらに、タゴの実弟は、株式会社適塾の代表取締役とも入魂の仲であることもお知らせしました。そして、もっと注目すべきは、これら3社の役員、しかも監査役という重要な金庫番の立場で就任していたXXYYこと上野正人氏という御仁についても、紹介しました。

■今回はこの上野正人氏について、当会がその後調査した情報をご報告したいと思います。

 先日お伝えしたように、この上野正人氏は、安中市土地開発公社51億円巨額詐欺横領事件の主犯とされた元職員多胡邦夫の実弟の多胡茂美が社長を務める株式会社芙蓉と多胡運輸株式会社の監査人を、事件が発覚した平成7年5月当時に務めていました。また、多胡邦夫は自分の子どもらを通わせていた学習塾の保護者会会長をしていましたが、この学習塾の株式会社適塾を経営していた早川正雄は、もともと多胡茂美と親しく交際しており、多胡茂美を通じて多胡邦夫との関係を築いていたのでした。XXYY氏は、この株式会社適塾の監査役としても就任していました。

 上野正人氏は、現在、高崎市内で税理士業を営んでいます。年齢は40代中頃と見られ、安中市土地開発公社の巨額横領事件発覚当時は、まだ30代前半だったことになります。

 上野正人氏の存在について、当会は事件発覚直後、上記のようにタゴ事件に絡む利権3社の経営全てに監査役として関与していることから、ずっとマークしていました。その後、複数の市民から、巨額の使途不明金についても、在り処を知りうる立場にある同氏に関する告発情報が寄せられ、それに基づき、平成12年ごろ、高崎税務署に通報したこともあります。しかし、この事件の深層を暗示するかのように、当初、真相究明に積極的だった税務署は、当会が告発したころには、もうその意欲を完全に失っていました。

■高崎市内に在住する上野正人氏は、現在、関東信越税理士会高崎支部に所属しており、最近まで広報部長をしていました。3階建ての立派な豪邸に住んでおり、外車を複数保有しています。近くに父親の自宅がありますが、近所の人の話によると、10年ほど前に、現在の豪邸を建てたということです。


およそ10年ほど前に建てられた3階建ての豪邸。1階のガレージ右に、超高級車の黒のアウディと、白のベンツのフロントが少し顔を見せている。↑

 上野正人氏は、明治大学商学部を卒業後、明治大学大学院経営学研究科博士前期課程修了してから、税理士の免状を取得しており、インテリぶりを買われて、一昨年は母校の明大に近い三鷹市で三鷹ネットワーク大学公開講座の講師役を務めたこともあります。上武大学の非常勤講師もしているという情報もあります。

 この上野正人氏は、上越新幹線の高架の近くにある3階建て建物のひとつのフロアを借り切って、税理士事務所を開いています。未確認ですが、恐らく、引き続いて現在も多胡運輸の税務関係は継続して担当している可能性があります。というのは、多胡邦夫の実弟で多胡運輸の社長をしている多胡茂美としては、社業を発展してきた資金の流れについて、すべてを知り尽くした税理士の存在ほど、安心できるものは他にないからです。


どういうわけか、タゴ事件にかかわった人は、新幹線によほど縁が深いらしい。上野正人氏の事務所も新幹線高架のすぐ脇にあるビルにある。↑

■当会は、株式会社芙蓉のことや、多胡邦夫をとりまく同志会の存在について、事件発覚直後、市民からの告発情報をすべて群馬県警に通報していました。したがって、警察は、この税理士のこともよく知っているはずです。実際、群馬県警は、カネの流れを追跡して、東京の銀座にある銀行や、高田馬場にある小川市長(当時)と関係のある地上げ会社にも捜査の対象としてマークしていました。直接担当した刑事から確認しており、これは間違いありません。

 しかし、事件発覚後、半年を経過し、平成7年11月に行われた出直し市長選挙で、真相究明を公約に掲げていた市民団体擁立候補が次点で落選してから、その刑事も捜査二課から青少年課に配転となり、当会が情報提供を続けていた群馬県警の担当刑事らも、選挙後まもなく捜査の終了を告げに来て、史上最大の巨額横領事件が元職員の単独犯行として幕引きされることになったのでした。

■安中市土地開発公社51億円事件では、当初から、地元の超大物政治家の影響力行使が取りざたされておりました。そして案の定、事件の発覚後の関係者への取調べは、元職員の単独犯行として処理されていきました。

 当会は、青森県住宅供給公社の事件における同公社の対応に比べると、その3倍半もの巨額横領事件を起した安中市土地開発公社の対応がいかに非常識かを痛感してきました。やはり、自民党の重鎮であり、最高の勲章である大勲位をもらった政治家の存在は、日本の地方自治体では史上最大の横領事件をも、もみ消す力があるのか、と感じていました。

■しかし、その後、平成20年8月3日に起きた首都高5号線でのタンクローリー横転炎上事故で首都高が45億円以上もの損害をこうむっているにもかかわらず、多胡運輸やその元締めである当該政治家の息のかかった石油製品の運送会社、そして、荷主の出光興産が謝罪の記者会見さえせず、現在までに首都高が多胡運輸に、損害賠償請求さえ出せずにいるという実態、そして、巨額使途不明金の在り処を知る立場にある多胡運輸の金庫番の税理士が、税務署にも追及されないまま、高崎の税理士会の要職にあることを見聞するにつけ、群馬県の政治家による権力乱用の実態を痛感させられるのであります。

 果たして、8月30日の第45回衆院選で、我々日本国民はどのような選択をするのか、果たして検察は、自民党、民主党のどちらに触れるのか、そして、この51億円巨額詐欺横領事件の真相解明に対して、政権交代が実現した場合にどのようなインパクトが与えられるのか、それとも依然としてこの前代未聞の巨額横領事件は封印され続けるのか。いずれにしても、きわめて目の離せない状況が、これから月末にかけて続く事になります。

【ひらく会情報部】
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする