ジュネーブにある国際保健機構に侵入した過激派ゲリラが研究中の伝染性病原菌を浴びたまま逃亡。追跡調査を開始したアメリカ陸軍情報部のマッケンジー大佐はゲリラが大陸横断列車に乗り込んだことを掴む。客を乗せたまま密閉された列車はコース変更し、カサンドラ・クロスと呼ばれる鉄橋へ向かうことに。大佐は細菌の処理と事件の隠蔽をたくらんでいたのだ。チェンバレン博士を始めとする乗客たちは抵抗を試みるが……。オールスター・キャストによるパニック・サスペンス。(映画.comより)
<2024年1月1日 劇場鑑賞><午前十時の映画祭>
すごい映画でした!オールスターなこともそうなんですが、話の筋が。今だったら許されないのじゃないのかな。1976年の映画。
過激派の数人の男がジュネーブの国際保健機構に侵入。しかし、すぐに露見し射殺されます。しかし、撃ちあいになった時に、病原菌の入ったガラス(試験管?)が割れ、それを浴びた男が一人、逃げおおせてしまうのです。そして逃げた挙句に、その辺の列車に適当に乗り込んだから大変。その列車全体に感染が広がる恐れがあるということで、なんとか黙殺すべくアメリカ軍のマッケンジー大佐が指揮を執ります。これがバート・ランカスター。威厳のある役柄が多いですね。しかし、誰だったか「なんでアメリカ軍が、そんな危険なものをジュネーブで作ってるんだ。アメリカで作ればいいじゃないか」と問うシーンがあったのですが、本当にそうだと思いました(笑)。
端的に言うと、「感染力が強いため、列車ごと隔離して何らかの処置を施そう」という、さもみんなを助けるような案を出していると見せかけて、実はそこに誘導するためには、何年も使われていない古すぎる”カサンドラクロス”という橋を渡らなければいけないことはわかっています。そんなボロボロの橋、持つわけがないのです。要は列車ごと川に落として、ここのところは乗客全員に死んでもらおう、とそういうことです。怖すぎます。いくら映画でも、今こういう表現、許されるのでしょうか。
列車にはいろいろな人が乗っています。このたび中心となるのは、リチャード・ハリス演じるドクターです。なぜか離婚したはずのエックスワイフ、ソフィア・ローレンも乗ってます。あと、兵器製造会社社長夫人のエヴァ・ガードナー、その若い愛人マーティン・シーン(!)、しかしその愛人ツバメは「登山家」ということになっていますが、実は麻薬の売人で、彼を追うために麻薬捜査官のO・J・シンプソン(!)が牧師に扮して乗っています。何かと言えば腕時計を売ろうとする一見胡散臭そうな初老の男にリー・ストラスバーグ。そんな感じでいろんな人が乗っているわけですが、大佐からの誘導連絡を最初は真に受けていた人たちも、だんだんことが進むにつれ「おかしい」と感じ、やがてみなで協力して何とか逃げる方法を模索し始めます。リーダーとなるのはドクター。しかし、私、リチャード・ハリスはもう「モンテ・クリスト伯」か「ハリー・ポッター」くらいしか知らなかったので、今回の主人公が彼だとは言われないとわかりませんでした。こんなに長身だったかなぁ。ソフィア・ローレンは、ずっと顔が変わらなかったのでわかるのですが。
<ここからネタバレ>
最後は、なんとか必死に抗ったものの、列車の半分は川に落ちてしまい、乗客も随分亡くなってしまいます。踏みとどまった後ろ何両かに乗っていた人たちは助かったので、彼らが告発するのだろうと思うのですが、それにしても川に落ちてしまった人たちの映像が生々しすぎてすごく怖かったです。今の達者なCGよりずっと怖かった。こんな方法で全員を殺そうとするなんて。いくら映画でも。しかし、大佐は葛藤を抱かえながらも、みんな死んだと思って本部を後にするのです。怖いですね。まさか一般人がこれほど抵抗するとは思わなかったのでしょうね。
ちなみに「菌」は、時間が経つとその効力を失い、感染者はやがて回復すると、途中から明らかになってました。それがわかった時点で、計画は中止すべきでした。そしてできるだけの人を救おうとするべきでした。少なくとも私はそう思います。まぁ軍隊の指揮系統なんて、そう簡単なものではないのかもしれませんが。
<ネタバレ終わり>
なるほど、名作と言われるはずですね。ハラハラしました。また、リチャード・ハリスもカッコよかったです。こんな役者さんだったのですね。なんだか新鮮でした。これからも旧作を積極的に見ていこうと思いました。
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