田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

私が、生きる肌(la piel que habito)

2012年06月23日 00時15分18秒 | 日記

 

 愛に狂わされた天才医師は、今は亡き妻にそっくりの美女を創り上げる・・・。神にも背く禁断の行為。あなたは、これを愛と呼べるか。(映画チラシより)


 いや~、好きですね。こういう映画。久々に濃密な映画を見たような気がします。さすがアルモドバル!本当に素敵です。アントニオ・バンデラスも男前!「イケメン」なんて、軽いものではありません。大人の男の色気、しっとりと知的、しかも情熱的な男を演じています。

それにしても、アルモドバル監督とアントニオは、「アタメ」以来タッグを組んでなかったのですね。意外な気がしました。わりと一緒にいるようなイメージ(笑)。

さて、この映画はネタバレなしに感想を書くことは非常に難しいところです。本当に、衝撃的で、でも魅力的な映画、としか言いようがありません。

冒頭、若くて美しい女性が映し出されます。なにやら体にピッタリしたボディスーツのようなものを身につけています。どうやら、監禁されているようですが、でも世話を焼く女性もいて、結構自分の欲しいものなんかも言ってます。

アントニオが仕事から帰ると、彼女に話しかけたり、部屋に入って行ったりします。彼女は、彼から逃げようとしたり、あるいは自ら迫ってみたりと、予想のつかない行動をします。でも、部屋にはモニターが付いていて、監視されていることは確かなようです。

アントニオ演ずる医師は、皮膚研究の権威で、広大な屋敷でより高度な人工皮膚の開発に没頭しています。見るからに成功している感じですが、でもなにか怪しい。

過去と現在を行き来する映像で、物語は徐々に徐々に、ゆっくりと紐解かれて行きます。







ここからはネタバレ。注意。


この広大な邸宅には使用人の女性がいます。演ずるはマリサ・パレデス。彼女は、アントニオの親の代からの使用人で、実はアントニオは彼女の子です。奥様が不妊症だったゆえ、望まれたのです。でも、本人は知りません。そして、彼女にはもう一人息子(セカ)がいて、彼はそのまま使用人の子として大きくなりました。彼は、どうしようもないワルでアホですが、そこが良かったのか?やがてアントニオの妻と愛し合うようになり、駆け落ちします。

ところが、その途中で交通事故。車は炎上してしまいます。セカは自分だけさっさと逃げてしまいます。全身に大やけどを負って虫の息の妻を助けたアントニオは、日々治療に専念します。

しかし、ある日娘の声を聞いた妻は、ふらふらと思わず立ちあがり、ガラスに映った自分の姿を見てしまいます。

絶望した妻は投身自殺。目の前で母の自殺を見てしまった娘は精神を病み、入院するようになります。

ある日、友人の結構披露宴があり、そこに娘を連れだしたアントニオ。しかし、彼が目を離したすきに若い男にナンパされ、犯されてしまいます。(この男・ビセンテの日常も描かれます。彼は決して悪い人ではないのですが、相手が普通の女性ではないと知らなかったために、彼女の態度を”誘っている”と誤解してしまうのです)

ますます混乱してしまった娘。そして、とうとう彼女も自殺してしまいます。

なにもかも失ったアントニオ。残るは復讐のみ。

まずビセンテを誘拐。そして、少しずつ、少しずつ、彼を変えてゆきます。つまり、膣形成に始まって皮膚、顔、すべてを妻そっくりの女性に変えてゆくのです。(膣を安定した大きさにするために出してきた、大小様々な大きさのアレには失笑。一番の見どころかもしれません)

使用人のマリサは「似すぎている。危険です」と警告しますが、アントニオは聞き入れません。

そして、やはり妻にそっくりだから情が移ったのか、やがて彼女に愛されようとするようになります。

そこへ、かの使用人の息子、セカが突然逃げてきます。また悪いことをしているのです。モニターに映った女性を見て「生きてたのかよ!」と一瞬で勘違いし、あっという間に彼女に襲いかかります。しかし、帰宅したアントニオに射殺されておしまい。

その同じ夜、なんとアントニオも初めて彼女(彼?)を抱こうとします。しかし、「まだ痛い」と言われてまた待ちます。

そうこうしているうちに、本当に彼女はアントニオを慕うようになり、彼も気を許して外出を許可したりします。

しかし彼女は、あるとき新聞の行方不明者の顔写真のなかに自分(ビセンテだったころの顔)を発見し、激しく動揺します。

そして・・・やっぱり、自分を偽ることはできなかったのです。すっかり気を許したドクターと使用人を射殺、母の元に女性の姿のまま、帰るのです。


いま、このあらすじを書いていてもドキドキします。本当に見応えがあったなぁ。凡人な私は、「浮気した奥さんをそんなに慕わなくても、さっさと若い子を探せばいいじゃん。お金もあるんだから」な~んて思ったわけですが、さすが、ラテン男は情熱的。

ただ、終わり方が意外にあっさりしてたので、「ん?」と思いました。もちろん、それでよかったのでしょうが。

とにかく、おすすめです。

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