実際に起こった孫文暗殺事件を基に描かれた歴史アクション大作。辛亥革命前夜、中国の未来を憂えて立ちあがった名もなき義士たちと、孫文を亡き者にしようとする暗殺団との死闘をダイナミックに描く。名匠ピーター・チャンの総合プロデュースのもと、『アクシデンタル・スパイ』のテディ・チャンが監督を務めた。20世紀初頭の香港の街並みを実物大で再現した巨大なセットは、圧巻だ。ドニー・イェン、レオン・ライ、ニコラス・ツェー、フー・ジュンなど、中国、香港、台湾が誇る豪華出演者たちが所狭しと動き回る、夢のオールスター・ムービーとして楽しめる。個性的なキャラクターたちが織りなすドラマチックなエピソードが、観る者の魂を揺さぶるだろう。(gooより)
今頃すみません。やっと鑑賞できました。「1911」と同じ頃に来てただろうに、今頃になってしまいました。
さて、こちらの映画もオールキャストです。「1911」で孫文を演じた俳優は他の作品(TVだったかもしれないけれど)でも彼を演じていて”孫文俳優”と言われている、と聞いていたので、この作品でもきっと彼だと思っていたら違いました。登場場面は非常に限られていて、さほどの印象は残さなかったのですが、あちらの孫文のほうがサマになっていたように思います。
冒頭はまず1901年の教師暗殺事件。ジャッキー・チュン演じる教師が民主主義の理想を語ります。ふぅ~~ん、と思って見ているといきなり額を撃ち抜かれます。思わず「えっ」と声が出ました。
そして5年後・・・。
当時日本にいた孫文が、仲間たちと蜂起の打ち合わせをするために香港にやって来ます。ところが情報は筒抜けで、反乱分子を抑えたい政府軍が万全の態勢で迎え撃ちます。
政府軍は鍛えられた正規軍、孫文を守ろうとするのは素人の集団。あるものは理想に燃え、あるものは親の仇打ちに、あるものは世話になったご主人と坊ちゃまを守るため、あるいは捨ててしまった自分の人生と向き合うためだった者も。
ともかく、はっきりした意志はあっても、孫文が誰なのかもよく知らずに参加した者もいたのです。
そうやって、影武者を立てながらも孫文を守り抜いた義士団たち。その壮絶な1時間がリアルに描かれます。
そのあまりの壮絶さに絶句します。もちろん、腐敗した政府に革命は必要です。でも、孫文1人をたった1時間守るだけでこれだけの人々が犠牲にならなきゃいけないのなら、なんのための革命でなんのためのリーダーか、とも思いますね。革命は犠牲を伴う、とはよく言いますけれど。
孫文を迎える、中国同盟会の香港支部長にレオン・カーファイ。彼は頭脳ですね。資金面でのパトロンで、成功した商人にワン・シュエチー。彼の息子で理想に燃える若者にワン・ポーチエ。商人の何番目かの若妻にファン・ビンビン。美しい!彼女の元夫にドニー・イェン。ドニーも、元妻が連れて行った自分の娘のために孫文を守る役目を負うことになります。
しかし、ドニー、争った末に女を取られる、あるいは負ける、という役柄が多くないですか?気のせいかなぁ・・・。
そして、ワン・シュエチーに仕える車夫がニコラス・ツェー。相変わらず男前ですが、今回は学が無いけど誠実という男を演じきって見事でした。強~い政府軍のリーダー(フー・ジュン)にしがみついてでも坊ちゃまを守ろうとするその姿は涙を誘うものでした。
そしてそして!今は落ちぶれてしまったけれど、「リウ若君」と呼ばれる世捨て人。髪も髭も伸び放題でアヘンをやっていた、この“愛に関する悲しい過去”を持っていた男が、最後に家宝の鉄扇を持って立ち上がります。これがレオン・ライ!悲しいかな、私は最後まで気が付きませんでした。残念!
未だ英国領だった香港で、警察署長をやっていたのはエリック・ツァン。味がありますね。
ともかく、「1911」でも、大きな革命にはこれほどの若い命が必要なのか、とその犠牲に胸を痛めたものですが、今回も同じことを思いました。たった1時間、会合をするだけなら、もっとシンプルな方法はなかったのか。少なくとも香港よりは安全と思われる日本に、あちらから来ることはできなかったのか。いろいろ考えてしまいました。
そして、その成果はありましたか?あれだけの犠牲を払って、今の中国の人々は幸せですか?政府の横暴は止まりましたか?聞いてみたいです。
それにしても、中国の人々にとって「孫文」は本当に特別なんですね。ここまで特別視されるヒーローが、日本にはいるでしょうか。
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