キャッチ・コピーすら泣かせる、SFドラマの最高傑作。遺伝子工学が発展した近未来。社会は遺伝子の優劣においてのみ人間の才能を判断していた。そのため、新生児は受精段階において遺伝子操作を行われ、遺伝子的に優秀な人材のみに選別されていた。そんな中、遺伝子操作をされることなく生まれてきたヴィンセントは、出生時に約30年の寿命と診断され、生まれた時から将来の見込みがない子供として育つ。やがて、ヴィンセントに遺伝子操作を受けた優秀な弟ができる。しかし、兄でありながら遺伝子の優れた弟には何をしてもかなわず、希望の無い生活を余儀なくされた。見せ付けられる差。やがて、ヴィンセントは宇宙飛行士を夢見るようになるが、その夢も劣性の遺伝子のため尽く断ち切られていった。しかし、そんな環境においても夢を追い続けたヴィンセントは、ある日、ずっと勝てなかった弟との度胸比べに勝ち、家を捨てて一人旅立つ。職を転々しながら下級クラスの生活を送った末、宇宙飛行士の施設“ガタカ”の清掃業についたヴィンセントは、ある日、闇業者の手配により、事故のため身障者となった元エリートに偽装し、“ガタカ”にエリート社員として潜り込む。しかし、そんなある日、ヴィンセントの正体を疑っていた上司が殺害され……。(allcinemaより)
今頃すみません。こんな名作を今まで鑑賞して来なかった自分はバカだと、本気で思いました。本当によくできている!1997年の映画ですものね、当時見ればどれほどの衝撃だったかと思います。
お話の筋は上にある通り。普通に生まれたイーサン・ホークが出生時に「寿命は30年」などと宣言され、熟慮の末、両親は次の子は完璧なデザイナーズ・ベイビーとして作ります。この辺の親の気持ちはわからんでもない。自分でもそう選択するかも。
で、もちろん、なにをやっても弟の方が優れている。体も大きいし、立派。でも、弟も悲しそう。当然ですよね。二人とも両親に愛されている。兄さんだっていい人だし、自分の方が優れているのは最初から当たり前だし。こんななら、思いっきり不幸な生い立ちの方が生きやすかったかもしれない。
しかしながら、人一倍ハングリーな精神の持ち主だったイーサンは、「不適格者」として清掃員の仕事に甘んじながらも、夢の実現を虎視眈々と狙っています。そして!「信じるものは救われる」あるいは「念じ続ければ夢は必ずかなう」・・・オリンピック選手ではありませんが、まさにチャンスは巡り来るのです。
それはもちろん、闇ルートを介してではあるので、犯罪です。バレると人生は終わりです。でも、彼には失うものもありません。毎日証拠を残さないように完璧に体をこする、落とした体毛はすべて焼却処分する、毎日、入れ替わった優秀な人物の尿・血液を持ち歩く・・・想像を絶するような手間とリスクを負いながらも、「宇宙飛行士になる」という夢を追い続けます。
この「入れ替わった優秀な人物」がジュード・ロウです。人一倍優秀な遺伝子を持ちながら、人生に挫折し不自由な体になってしまった男。やはり、ヒトは複雑なのですね。彼は自分のプロフィールを提供する代わりに生活の保障をもらいます。
イーサンも、元々才能があったのでしょうね。ジュードと入れ替わっても、「ガタカ」では優秀な成績を収め、誰も彼が「不適格者」であるなんて疑いません。そして、宇宙飛行士への階段を着実に登ってゆくのです。
そして二人して逆境を乗り越え、ついに夢の実現!のラストシーンの衝撃は忘れられません。なんてことでしょう。なんてことでしょう。でも・・・よく考えるとこうなるしかなかったのかも。
アンドリュー・ニコル監督というと、私なんぞは真っ先「シモーヌ」を思い浮かべるのですが(だって職権乱用で美人主演女優と結婚したし・笑)、こんな毛色の違う作品も撮ってたのですね。よく考えると「ロード・オブ・ウォー」も見たのでした。そっかぁ・・・。見逃した最新作「ドローン・オブ・ウォー」も見なきゃですね。
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