1961年に実際に起こったゴヤの名画盗難事件の知られざる真相を描いたドラマ。2021年9月に亡くなった「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル監督がメガホンを取り、本作が長編劇映画の遺作となった。1961年、世界屈指の美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この事件の犯人はごく普通のタクシー運転手である60歳のケンプトン・バントン。長年連れ添った妻とやさしい息子と小さなアパートで年金暮らしをするケンプトンは、テレビで孤独を紛らしている高齢者たちの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもうひとつのある真相が隠されていた。主人公ケンプトン役を「アイリス」のジム・ブロードベント、妻のドロシー役を「クィーン」のヘレン・ミレンが演じるほか、フィオン・ホワイトヘッド、マシュー・グードらが脇を固める。(映画.comより)
<2022年4月2日 劇場鑑賞>
こんなお話が実話だなんて!イギリスはちょっと暢気すぎるんじゃないですか?ロンドン・ナショナル・ギャラリーの警備も、こんなにゆるいの?主人公のおじさんに悪意がないからいいものの、素人にいとも簡単に盗まれてしまうようなギャラリーだと、プロの犯罪組織に目を付けられないのですかね?正規のルートで売れないにしてもね。
ともかく、ジム・ブロードベント扮するおじさんは、ヘリクツ言い。ろくに働くこともしないで、したり顔で文句ばっかり言ってます。自分では物書きになりたくて、新聞社などにせっせと原稿を送りつけてはいるのですが、教養のなさがすぐにわかるレベルの文章で、自分で思っているほど賢いわけではないのです。確かに公共放送の受信料は、年金生活の孤独な年寄りに負担を与えています。それは正論ですし、自分たちの大切な税金を名画に費やして喜んでいる当局に腹を立てるのも、しごく真っ当だとは思うのですが、だからと言って、その名画を盗んで「発見を装って懸賞金を手に入れる」って、短絡的過ぎませんか(笑)。まぁ、事件にはもう一つの事実が隠されているわけですが。
お金がないから、奥さんは議員のおうちに召使に出ています。それでも家賃が払えなくて難儀しているのに、おじさん、せっかく見つけたパン屋のバイトも上司に逆らってすぐにクビに。もちろん、パキスタン人従業員を「パキ」呼ばわりして休憩もまともに取らせなかった上司が悪い。それはそうなのですが、本人が素直に従おうとしているのに「いいからここでもっと休め。休憩時間はまだある」と皆の前で上司に逆らったら、本人にも迷惑がかかります。クビになったおじさん、またもや文無しです。
息子もいるのですが、どうも職につかずにぶらぶらしている模様。おじさんと一緒にプラカードなんか持って、たった二人で座り込みをしていたりします。イギリスって、若者の失業率が高いのかな。もう一人の息子もセクシーな人妻を連れて実家に転がり込んできたりするし、お母さん(ヘレン・ミレン)も大変だと思いました。
イギリス人らしく、セリフはシニカルに満ち満ちているのですが、みんな悪気はないのです。結局収まるところに収まって行きます。しかしまぁ・・・こんなことが実話だなんて。本当に驚きです~。
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