かりそめの旅

うるわしき 春をとどめるすべもなし 思えばかりそめの 旅と知るらむ――雲は流れ、季節は変わる。旅は過ぎゆく人生の一こま。

◇ NANA

2008-06-10 00:11:25 | 映画:日本映画
 矢沢あい原作 大谷健太郎監督 中島美嘉 宮崎あおい 松田龍平 成宮寛貴 平岡裕太 松山ケンイチ 伊藤由奈 2005年

 青春には別れがつきまとう。
 別れは恋の終わり。そして、何かの始まりだ。
 青春は、人生と置き換えてもいい。
 人生には別れがつきまとう、と。

 ごく普通の女の子、奈々(宮崎あおい)。
 ロックバンドで成功を夢みる女の子、ナナ(中島美嘉)。
 普通の女の子は普通の、ロッカーの女の子はロックな恋がある。
 偶然に出会った二人が、一緒に住むことになり、二人の人生がクロスする。そして、二人とも、各々に恋と別れがある。
 普通の女の子奈々の恋人は、ほかの女の子に心変わりして、別れがやってくる。
 ロッカーナナの恋人は、よりメジャーなバンドに引き抜かれ、別れる。
 
 青春は、残酷だ。自分のエゴのために人を傷つけるのを厭わない。誰もが、自分のために生きている。そして、恋人を傷つけ、自分も傷ついていく。
 そうして、大人になっていく。

 ロックで成功を夢みるヴォーカル、ナナの中島美嘉がロッカーの雰囲気を出していていい。濃い化粧と強がりな生き方が、彼女の雰囲気にマッチしている。
 恋人に寄り添って生きるのではない、自分のために生きる、と突っ張る。ロッカーとは、そういうものだ。
 痩せた肩に赤い蓮のタトゥーが、象徴的だ。
 それが、最後に元の鞘に収まり、麻雀をやりながらのハッピーエンドで終わったのでは、このストーリーも腰砕けの終わり方となった。
 それでも、青春の瑞々しさが伝わってくる映画だ。
 見終わった後、心がひりひりと痛い。
コメント
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