ジョージ・ルーカス製作・総指揮 スティーヴン・スピルバーグ監督 ハリソン・フォード ショーン・コネリー アリソン・ドゥーディ リヴァー・フェニックス 1989年米
冒険映画とくれば、この「インディ・ジョーンズ」シリーズの右に出る映画はないだろう。「レイダース失われたアーク<聖櫃>」(1981年)、「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」(1984年)に続く第3作。
ここでは、インディ・ジョーンズの少年時代から始まる(演じているのはリヴァー・フェニックス)。インディが、どうして考古学者になったのか、そして冒険を厭わない性格なのかを、明かしている。
1912年、アメリカ・ユタ州。場所は、砂漠のただ中である。ここは、奇岩が連なるグランドキャニオンでも有名な、西部劇でもしばしば登場する絶好の冒険風景が横たわる。
ここの洞窟で、たまたまインディ少年は、悪党がスペインのコロナドの十字架を盗掘するのを目撃する。その十字架が博物館の置くべきものだと直感したインディ少年は、その十字架を持ち去る。当然、悪党の追跡を受け、砂漠を走る列車に飛び乗り、逃亡と追跡のデッドヒートが繰り広げられる。
ここから、彼が考古学者となる予感と冒険の序章が始まる。
26年後、つまり1938年、考古学の教授になっていたインディは、この十字架が原因で何者かに命を狙われる。ちょうどその時期、行方不明になっていた父親ヘンリー・ジョーンズ(ショーン・コネリー)から日誌が送られてくる。そこには、キリストの聖杯の秘密が書かれていた。
聖杯とは、最後の晩餐で描かれているキリストが最後に飲んだコップのことである。また、磔になったキリストの最期の血を受けた聖遺物ともされている。
この聖杯伝説は、ヨーロッパでは様々な物語、文学、あるいは絵画になって広がっている。
この聖杯と父を探すために、インディはヴェネチアに飛んだ。
ヴェネチアといえば水の都で、運河が張り巡らされていて船が主役である。街は、中世の建物が並び、時代を超えた背景である。
ここでも、聖杯を守るという得体の知れない十字剣兄弟団と称する男たちと出くわす。父ヘンリーの足跡を探していると、古い図書館でヘンリーの助手というエルザ(アリソン・ドゥーディ)と会う。
ここヴェネチアでは、この街の特徴を活かしたボートによるチェイスが繰り広げられる。
インディはエルザと、ヴェネチアから父が監禁されているというオーストリアのブルンワルド城に飛ぶ。
そこは、ナチスの秘密基地であった。そして助手エルザは、実はナチスの配下であった。
ブルンワルド城を脱出したインディと父ヘンリーは、日誌を持ち去ったエルザを追ってベルリンへ行く。
1938年のドイツといえば、ナチス帝政時代で、第2次世界大戦開戦前夜である。そこでは、チェッペリンの飛行船が飛んでいて、軍用機による脱出もある。
聖杯のある三日月の谷がハタイ共和国領土内にあるということを知った二人は、その地に向かう。そこには、エルザをはじめ聖杯を狙うナチスもいたのだった。
その砂漠の谷間に挟まれた幻の神殿で、インディは謎を解きながら、聖杯のある地にたどり着く。
因みに、ハタイ共和国とは、第1次世界大戦後、フランス領シリアより1938年独立するも、翌年トルコ共和国に併合された、わずか8が月余存在した国家であり、今は存在していない。
砂漠にたたずむ岩に挟まれた神殿のロケ地は、ヨルダンの世界遺産「ペトラ」である。ここの遺跡はまだ殆ど発掘されていなくて、今も発掘調査の最中である。
*
この映画で、ジョージ・ルーカスとスピルバーグが話した、インディ・ジョーンズ誕生のきっかけとなる「007のような映画を作りたい」という夢を、いくつか実現している。
一つは、「007」シリーズの初代ボンド役のショーン・コネリーをインディの父親役として登場させたことだ。ボンドらしい洒落た言葉がぽんぽんと飛び出し、息子インディも頭が上がらない。
何より、Jr(ジュニア)、つまり本名のヘンリー・ジョーンズ・ジュニアと呼ばれるのを嫌い、自らインディアナ(インディは日本での通称)と呼んでいることである。そのインディアナの名前だが、ジョージ・ルーカスがこの物語を考えているとき、いつも自分の横にいる犬の名前から取ったという。
それに、この映画では、美人の助手エルザ(アリソン・ドゥーディ)とインディが、物語の途中で男女の仲になる。前作「魔宮の伝説」ではなかなかヒロインと結ばれず、最後の最後に二人は熱いキスをして映画は終わるのだが、この映画では知りあって早々と男女の仲になる。しかも、その相手が敵(ナチス)の回し者だったというのも、「007」的である。
ところが、インディの前に父ヘンリーもエルザとそういう関係になっていたことがばらされる。ボンドらしく、老いても女性にもてるし手が速いのだ。インディは、女に関してもJrに甘んじてしまったのである。
ショーン・コネリーはこの映画ではインディの父親で考古学研究者を演じているが、1986年、中世の教会を舞台にした、記号学者ウンベルト・エーコの名作ミステリー「薔薇の名前」の主演を演じた。制作者はこの映画「最後の聖戦」を見て、コネリーの主演を思いついたのではなかろうか。
また、ヒロイン役のアリソン・ドゥーディは、シリーズ14作「007美しき獲物たち」(1985年、ボンド役はロジャー・ムーア)のボンド・ガールだ。
冒険映画とくれば、この「インディ・ジョーンズ」シリーズの右に出る映画はないだろう。「レイダース失われたアーク<聖櫃>」(1981年)、「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」(1984年)に続く第3作。
ここでは、インディ・ジョーンズの少年時代から始まる(演じているのはリヴァー・フェニックス)。インディが、どうして考古学者になったのか、そして冒険を厭わない性格なのかを、明かしている。
1912年、アメリカ・ユタ州。場所は、砂漠のただ中である。ここは、奇岩が連なるグランドキャニオンでも有名な、西部劇でもしばしば登場する絶好の冒険風景が横たわる。
ここの洞窟で、たまたまインディ少年は、悪党がスペインのコロナドの十字架を盗掘するのを目撃する。その十字架が博物館の置くべきものだと直感したインディ少年は、その十字架を持ち去る。当然、悪党の追跡を受け、砂漠を走る列車に飛び乗り、逃亡と追跡のデッドヒートが繰り広げられる。
ここから、彼が考古学者となる予感と冒険の序章が始まる。
26年後、つまり1938年、考古学の教授になっていたインディは、この十字架が原因で何者かに命を狙われる。ちょうどその時期、行方不明になっていた父親ヘンリー・ジョーンズ(ショーン・コネリー)から日誌が送られてくる。そこには、キリストの聖杯の秘密が書かれていた。
聖杯とは、最後の晩餐で描かれているキリストが最後に飲んだコップのことである。また、磔になったキリストの最期の血を受けた聖遺物ともされている。
この聖杯伝説は、ヨーロッパでは様々な物語、文学、あるいは絵画になって広がっている。
この聖杯と父を探すために、インディはヴェネチアに飛んだ。
ヴェネチアといえば水の都で、運河が張り巡らされていて船が主役である。街は、中世の建物が並び、時代を超えた背景である。
ここでも、聖杯を守るという得体の知れない十字剣兄弟団と称する男たちと出くわす。父ヘンリーの足跡を探していると、古い図書館でヘンリーの助手というエルザ(アリソン・ドゥーディ)と会う。
ここヴェネチアでは、この街の特徴を活かしたボートによるチェイスが繰り広げられる。
インディはエルザと、ヴェネチアから父が監禁されているというオーストリアのブルンワルド城に飛ぶ。
そこは、ナチスの秘密基地であった。そして助手エルザは、実はナチスの配下であった。
ブルンワルド城を脱出したインディと父ヘンリーは、日誌を持ち去ったエルザを追ってベルリンへ行く。
1938年のドイツといえば、ナチス帝政時代で、第2次世界大戦開戦前夜である。そこでは、チェッペリンの飛行船が飛んでいて、軍用機による脱出もある。
聖杯のある三日月の谷がハタイ共和国領土内にあるということを知った二人は、その地に向かう。そこには、エルザをはじめ聖杯を狙うナチスもいたのだった。
その砂漠の谷間に挟まれた幻の神殿で、インディは謎を解きながら、聖杯のある地にたどり着く。
因みに、ハタイ共和国とは、第1次世界大戦後、フランス領シリアより1938年独立するも、翌年トルコ共和国に併合された、わずか8が月余存在した国家であり、今は存在していない。
砂漠にたたずむ岩に挟まれた神殿のロケ地は、ヨルダンの世界遺産「ペトラ」である。ここの遺跡はまだ殆ど発掘されていなくて、今も発掘調査の最中である。
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この映画で、ジョージ・ルーカスとスピルバーグが話した、インディ・ジョーンズ誕生のきっかけとなる「007のような映画を作りたい」という夢を、いくつか実現している。
一つは、「007」シリーズの初代ボンド役のショーン・コネリーをインディの父親役として登場させたことだ。ボンドらしい洒落た言葉がぽんぽんと飛び出し、息子インディも頭が上がらない。
何より、Jr(ジュニア)、つまり本名のヘンリー・ジョーンズ・ジュニアと呼ばれるのを嫌い、自らインディアナ(インディは日本での通称)と呼んでいることである。そのインディアナの名前だが、ジョージ・ルーカスがこの物語を考えているとき、いつも自分の横にいる犬の名前から取ったという。
それに、この映画では、美人の助手エルザ(アリソン・ドゥーディ)とインディが、物語の途中で男女の仲になる。前作「魔宮の伝説」ではなかなかヒロインと結ばれず、最後の最後に二人は熱いキスをして映画は終わるのだが、この映画では知りあって早々と男女の仲になる。しかも、その相手が敵(ナチス)の回し者だったというのも、「007」的である。
ところが、インディの前に父ヘンリーもエルザとそういう関係になっていたことがばらされる。ボンドらしく、老いても女性にもてるし手が速いのだ。インディは、女に関してもJrに甘んじてしまったのである。
ショーン・コネリーはこの映画ではインディの父親で考古学研究者を演じているが、1986年、中世の教会を舞台にした、記号学者ウンベルト・エーコの名作ミステリー「薔薇の名前」の主演を演じた。制作者はこの映画「最後の聖戦」を見て、コネリーの主演を思いついたのではなかろうか。
また、ヒロイン役のアリソン・ドゥーディは、シリーズ14作「007美しき獲物たち」(1985年、ボンド役はロジャー・ムーア)のボンド・ガールだ。