かりそめの旅

うるわしき 春をとどめるすべもなし 思えばかりそめの 旅と知るらむ――雲は流れ、季節は変わる。旅は過ぎゆく人生の一こま。

◇ 危険がいっぱい

2007-07-27 01:08:08 | 映画:フランス映画
 ルネ・クレマン監督 アラン・ドロン ジェーン・フォンダ ローラ・オルブライト 1964年仏

 女性が美人に生まれたいと思うのと同じように、男性だってハンサムであったらと思うのは当然である。しかも、アラン・ドロンのような男前に生まれたら、人生も変わっただろうと思うし、様々な妄想を湧きたててくれる。
 ここまで美男子だと、望むものはたいてい手にはいるのではないかと思ってしまう。
 しかし、古今東西、美貌を手段に生きていく男の行く末は、悲惨か哀れな場合が多い。どのような場合でも、栄華は永遠に続かないものなのか。

 ギャングのボスの女に手を出したせいでニューヨークからフランスへ逃げ出した男(A・ドロン)の行き着いた先は、ニースの古いシャトーの豪邸。そこに住んでいるのは、女主人(ローラ・オルブライト)とその従姉妹(ジェーン・フォンダ)の女性。二人とも美女である。そこで、男は住み込みで運転手兼雑用係となる。
 追っ手が男を探して身元に近づいているが、その館もミステリアスであった。女主人の愛人が隠れ部屋に隠住していた。そして、男は女の企みに巻き込まれる。
 しかし、当時28歳のアラン・ドロンは、ハンサムざかりである。この男の湖のような目で見つめられたら、どんな女も拒否できないであろうと思わせる。
 予想通り、二人の女もドロンの魅力に負けることになる。
 しかし、それ以上にしたたかなのが女性という結末である。

 そのしたたかな女を、ハリウッドから逆にヨーロッパ映画に渡ってきたヘンリー・フォンダの娘、ジェーン・フォンダが演じている。
 しかし、男を手玉に取る女を演じるにはJ・フォンダはまだキャリア不足を感じるし、第一アメリカ人はどうしても情緒の面でヨーロッパ人にかなわないと思ってしまうのは、あながちヨーロッパ贔屓の目で見ているからばかりとは言えまい。

 「生きる歓び」(1960年)でアラン・ドロンを見いだしたルネ・クレマンは、同年発表の「太陽がいっぱい」で大スターに仕立てあげた。「危険がいっぱい」は、同監督の4年ぶりのドロン主演作である。
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