写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

春への通過儀礼

2018年03月01日 | 季節・自然・植物

 中国の詩人、孟浩然がよんだ「春暁」というよく知られた漢詩がある。
 「春眠不覚暁 処処聞啼鳥 夜来風雨声 花落知多少」

 昨夜(1日)は、まさにこの詩のように一晩中「夜来風雨の声」がして、寝ていても目が覚めるほどの強い風が吹き荒れた。明けて今日、その勢いはやむことがなく、時折強い風が庭の木の枝を激しく揺すっている。

 これぞ春一番かと思いきや、今年はすでに2月14日に春一番が吹いたと気象庁から発表されている。とすればこれは春2番というものか。暖かい陽は差しているものの、とにかく大荒れの天気である。

 今の季節に吹く強い風は、冬型の西高東低の気圧配置が崩れて日本海に低気圧が発生し、それに向かって温暖な太平洋高気圧から暖かい風が南から吹き込むことによって起きるもの。言ってみれば、日本列島が春を迎えるための通過儀礼のようなもので、嫌ってばかりはいられないものである。

 今日1日は外に出ることもなく、窓の外で風で揺れる梢を眺めながら、じっとしているのが良いと判断している。そんな中、各地から梅の便りがちらほら聞こえ始めてきた。あと1カ月もすれば桜前線が日本列島を縦断し始め、家にいても心騒ぐ季節がやって来る。キャンディーズではないが「もうすぐ 春ですねぇ ちょっと気取ってみませんか」。