写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

読者の反応

2018年10月01日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画

 新聞に「新聞配達エッセーコン受賞作発表」という記事が掲載されているのを読んだ。日本新聞協会が「新聞配達の日・新聞配達少年の日」(10月21日)にちなんで募集した「新聞配達に関するエッセーコンテスト」の受賞作品を発表したものである。

 最優秀賞には45歳の女性が「小さな涙」と題して、配達先で仲良くなった子供が、別れの際に流した涙を振り返ったもの。中学・高校生部門は17歳の高校生が「病室まで届く新聞」と題し、自分の作文が新聞の投稿欄に載り、読者から反応があった体験を紹介。小学生部門には9歳の少年が「広がるぼくの世界」と題し、「知らない人が作文を読んで、ぼくのことを考えてくれるなんて」と配達員への感謝を表している。

 いずれのエッセーも全文は掲載されていないが、タイトルと概要を読んだだけで、何を書いたものかがよく分かった。毎日、新聞を配達してくれる配達員との心の交流があった様子や、自分の書いた作文を読んでくれた読者からの反応に驚きや喜びを感じたことを表現しているのであろう。

 これを読んだ時、14年前の私を思い出した。定年退職をした直後で、特段の趣味らしきものは何も持っていなかった私は、毎日、のんべんだらりと過ごしていた。或る日、毎日新聞の地方版に「はがき随筆」という、わずか250字の読者投稿のエッセーを読んだ。

 「これくらいの字数のエッセーなら、自分でも書けるかもしれない」と思い、生まれて初めてエッセーというものを書いて投稿した。1週間後、運よくそれが掲載され、近所の人や会社時代の知人から電話や手紙をもらったりの反響があった。

 大げさに言えば、小さいながらも自分の存在価値を認めてもらっているかのような、ささやかな喜びを感じることができたように思っている。以来14年間、今もってこうしてブログを書いたり、時には新聞に投稿したりの「文筆活動」で、あり余る自由時間の暇つぶしを楽しんでいる。今回の受賞者も、きっと同じ気持ちを読者から受けたに違いない。こんな投稿の楽しみ、皆さんも挑戦してみませんか。