写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

頭でっかち

2018年06月05日 | 車・ペット

 毎年のことながら夏が近づいてくると、涼し気に泳ぐ鑑賞魚を飼ってみたくなり、ホームセンターでメダカを20匹ばかり買って楽しんでいた。ところが、水槽の手入れはきちんとやっている積りであるが、水を取り替えた後、毎回数匹ずつ死んでいき最後には「そして誰もいなくなった」状態になってしまう。

 「もう今年は飼うのは止めよう」と思っていた時、一家そろって東京に引越しをしていった長男が、黄金色をした1匹の痩せた鯉が入った大きな水槽を置いていった。川に捨てる訳にもいかず、毎日せっせとエサやりに励んでいること1か月、太ってきて少し懐くようになってきた。

 これに気分を良くして、私好みの観賞魚を飼ってみたくなり、2種類の小ぶりな金魚を2匹ずつ買って帰った。ひとつはオランダシシガシラというもので、頭部に肉瘤が発達した琉金の突然変異個体である。

 もうひとつは丹頂というもので、鶴の丹頂から名前がきているように、頭部が赤く、胴体はすべて真っ白な二色のコントラストが美しい品種である。特徴はなんと言ってもオランダシシガシラと同様、頭部にある赤い肉瘤である。

 いずれの体型も丸みを帯びており、泳ぎ方は身体全体をくねくねして泳ぐが、どう見ても泳ぎは得意げには見えない。それはそうだろう。いずれも頭の上に体に似合わないほどの大きな肉瘤を乗せているのだから。

 体の大きさに比べて、頭が大きいことを「頭でっかち」と表現するが、外見からの体つきをいうだけでなく、 知識や理論が先走って行動が伴わないことをいうことが多い。この点は、まるで私の分身のような金魚と言えそうで、愛着も一入で肉瘤が大きくなるのを楽しみにしている。