写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

介護家族

2005年03月26日 | 生活・ニュース
 市は福祉行政の一環として、毎年あるレベル以上の身体障害者に対して「福祉タクシー利用券」というものを配布している。

 これは、身体障害者が通院・所用等で外出するに当たり、タクシーを利用するときの利用券である。
 
 先日、それを持って私の担当地域の11軒の家に配って回った。金額にすれば僅かなものではあるが、皆さんこの温かい心遣いに感謝しているように見えた。

 ある人は、前年度のものがまだ残っているので、それを返却するという。みだりに使用せず、考えて使ってもらっていることに感心をした。

 各家庭を回り、介護をしている家族と立ち話をする。身体障害者自身の大変さは言うに及ばないことである。

 しかしそれと同じくらい、介護をしている家族も大変である。回って歩く私に、辛く苦しい愚痴がついこぼされる。

 最近は、このような家族に対して、少しでも苦労を軽減してあげるために、「ショートステイ」といって、身体障害者を2週間から3週間預かってくれる施設がある。

 回っている時、現在それを利用しているご婦人と、ばったり道で出会った。普段と違って、顔色もよく溌剌として見えた。自分を取り戻す心の余裕が出来たのだろうか。見ている私の気持ちがすこし安らいだ。
   (写真は、民生委員のPRパンフレット)