写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

サンキラ餅

2005年03月23日 | 食事・食べ物・飲み物
 子供の頃、母はよく「柏餅」を作ってくれた。子供の役目は、裏山に柏の葉を取りに行くことであった。
直径が10cmくらいの丸い葉を何枚ももぎ取って、胸に抱えて持ち帰った。上新粉をだんご状にして餡を入れる。それを2枚の柏の葉で挟み、蒸篭で蒸して食べさせてくれた。

 我が家ではこの柏餅のことを、「サンキラ餅」とも言っていた。その意味が何であるかも知らないまま、今まで過ごしてきた。
今日、テニスから帰ってきて昼食を済ませた後、妻がその「サンキラ餅」を出してくれた。疲れたときには、甘いものが欲しい。

 「これって、柏の葉じゃないよな」「サンキライっていう葉よ」「サンキライ?」初めて頭の中で「サンキラ餅」と繋がった。
インターネットで「サンキライ」を調べてみた。「山帰来」と書く。正式な名前は猿捕茨(さるとりいばら)、枝にトゲがあり、猿がひっかかって捕らえられるという意味で名付けられたという。

 子供の頃食べていた「柏餅」は、実は「サンキラ餅」で、正確には「サンキライ餅」であることが、その時判明した。
何十年ぶりに口から発してみた「サンキラ餅」。それを食べながら、幼かった頃、蒸篭から上がる湯気をじっと見て蒸し上がるのを待っていた自分を思い出した。
   (写真は、皆さんきらい?すき?「サンキライ餅」)