俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「 ロング・エンゲージメント 」(UN LONG DIMANCHE DE FIANCAILLES )

2005年03月19日 02時11分03秒 | 時系列でご覧ください
ご存知「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ、オドレイ・トトゥコンビの新作である「ロング・エンゲージメント」はいろんな意味でとても贅沢な映画だった。

基本的には一人の女性が戦場で死んだという恋人の死を受け入れることが出来ず、必死に彼の行方を探すというのが大まかなストーリーとしてあるのだれど、その中に戦争映画的要素や恋愛映画、そしてミステリー的色合いまで含まれていて、ややもするとどっちも付かずとなるところを、入念に練りこまれた脚本と演出によって、ひとつの物語として一気に見せてくれた。

もちろん、その名前をどう発音すれば良いのかさえわからない何人ものの登場人物を把握するだけでも相当に苦労を強いられるのは事実だけど、いたせりつくせりのわかりやすい作品が多い昨今、そういった意味での緊張感も心地良かったりもするわけだ。

加えて、描写そのものはリアル過ぎると言えるかも知れない点は一旦留保しつつ、ダークな色調で統一された戦場シーンと主人公が住む日常の暖色系で統一されたブルゴーニュのシーンとの対比は見事で、そして例えば “ 夕食の前に、犬が部屋に飛び込んできたら、マネクは生きている ” とか “ 車が来るよりも早くあの曲がり角にたどり着けば、マネクは無事に帰ってくる ” といったように物事を自分なり思い込もうとする主人公の姿には当然のことながらつい「アメリ」を思い出してしまった。

それにしても戦闘シーンはもちろん、例えばパリの街を俯瞰で撮ったときの贅沢な絵作りには思わずため息が出てしまった。そしてそれはとある有名ハリウッド女優の登場のさせ方にも通じると言えるかもしれない。

とにかく画面がとても美しいので、久々絶対映画館の大きなスクリーンでこそ観たくなる、そんな映像的にも魅了される作品だ。

そしてこうしたハイバジェットの作品をここまでちゃんと撮るジャン=ピエール・ジュネ監督には恐れ入りましたと挨拶のひとつも言っておかなくては、とついつい思ってしまった。





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