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俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「トゥルー・グリット」 TRUE GRIT

2011年05月17日 11時06分11秒 | 時系列でご覧ください

----- 映画館を観たあとロビーに出るとたまたま「シネモンド」のスタッフと出くわし、互いに「なんか良かったね」と思わず言葉を交わした、そんな映画だった。

もともとは69年にジョン・ウェイン主演で映画化された西部劇「勇気ある追跡」の原作であるチャールズ・ポーティスの同名小説を、コーエン兄弟が酔いどれ親父っぷりに磨きがかかってきたジェフ・ブリッジスを主演に迎えて再映画化されたこの作品、西部劇としてしっかり作りこまれている分、コーエン兄弟らしさは多少引っこんでいるけど、見応えのある仕上がりに大満足。



話そのものは、父親を殺された14歳の少女が腕利きの老保安官を雇って父親の仇を討とうとし、そこにテキサス・レンジジャーが道連れとなり、3人で下手人を追うといった仇討ち物のロード・ウェスタン・ムービーで、旅の途中で互いに幾度も反撥し、大きな試練を経ながらもやがて見事(ではなかったりするけど:笑)憎っくき仇を倒すという展開は、これまで何度も見てきた時代劇や西部劇にあったお決まりのパターン。



ただそれをオーソドックな手法をとっているように見せかけて一癖も二癖もあるユーモラスでかつシニカルな演出で描くところはコーエン兄弟の面目躍如たるところで、「ノーカントリー」あたりより話がわかりやすい分、観ていて楽しいったらありゃしない。
そしてそうした演出に見事応えきっていた俳優陣がとにかく素晴らしい。



特に14歳の娘マーティを演じ若くしてオスカーの助演女優賞にノミネート(何故に助演?)された主演のヘイリー・スタインフェルドの利発で肝の据わった堂々たる演技ぶりは本当にお見事で、彼女の存在なくしてこの映画は成り立たないのではないかと思うほど。



そしてそんな小娘に振り回され、「俺も歳をとったな」とつぶやいてしまう人生を器用に生きてこなかった老保安官ルースターに扮するジェフ・ブリッジスのツボにはまった演技もまた、そうした保安官の生き方を見事に取りこんでいて、観る者を惹きつけてやまないものだったのであります。



そして、旅の途中何度か試される「TRUE GRIT(真の勇気)」の極め付けである1対4という圧倒的に不利な条件のもと悪党一味と対峙し、立ち向かうルースターの姿にもグッときつつ、それよりも何よりも(とある事態が起こって)マーティを抱え馬に鞭打ちひたすら荒野を疾走し、頭上には満天の星空が広がる、このシーンの美しさはまさに「映画」だったのでした。

加えて、映画の冒頭に出てくる「悪人は追われなくても逃げる」という言葉に符合する単なる勧善懲悪ものにはなりきれない切なさも含め、ある意味真っ当で、ほろ苦い映画だったりもするのであります。



とにかくいろんな意味で「映画」の面白さを体感できるこの作品、上映館が限られていますが機会があれば是非!
大いにオススメであります。



今日の1曲 “ WHAT A FELLOWSHIP,WHAT A JOY DIVINE ”

カーター・バーウェルによる正統派西部劇らしい音楽もまた大いに印象的だったのですが、作品のテーマ曲として使われていたのがこの讃美歌「主のみ手に頼る日は」。
西部劇らしい大きく広がる自然の中にあってこの歌が流れると、何とも郷愁を誘われてしまったのでありました。





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