俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「スーパーエイト」 SUPER 8

2011年06月26日 16時20分52秒 | 時系列でご覧ください

舞台は1979年のオハイオ州のとある田舎町。
主人公のジョーは仲間6人とともにスーパー8形式の8ミリ映画を撮影していたところトラックと貨物列車の衝突事故に遭遇する。
そして脱線した貨車には“アメリカ空軍”の文字。
アメリカ政府は空軍施設・エリア51を閉鎖し、オハイオ州のある場所へ研究素材である“何か”を移送中だった。
そして燃え上がる現場に残されたカメラに は、事故の一部始終が撮影されていた…。




いやはや、「今世紀最高傑作の」とか「あのE.T.以来の」といった煽るだけ煽っている宣伝広告を真に受けて観ると、ちょっとビックリしてしまうこと必至な? この作品は、ある意味純真な映画ファンだった子供がそのまま大人になり、いっぱいの予算をもらって、思いの丈をこれでもかと詰め込んだ、突っ込みどころ満載の壮大なB級テイストムーヴィーだったのだ。



基本「未知との遭遇」とか「E.T.」はもちろん、「激突」や「ジョーズ」、さらには「グーニーズ」そしてクライマックスの「宇宙戦争」まで、随所に描かれている数々の映画に対するオマージュをどのように捉えるかによって著しく評価が分かれるような気がするし(あっ、ジョージ・ A・ロメロも!)、加えて日本とは違って8ミリカメラでの撮影が普通の家庭にまで相当普及していたアメリカならではの独特の感覚の有無も、共感としての伝わり方に違いが出てきて当然なんだろうなあとも思う。

ちなみに学生時代8ミリ映画製作を夢見てカメラを触った者にとっては「スーパー8」というタイトルだけでも、何とも懐かしく魅力的だったし、そういったトリビュート的要素も目くじらを立てるほどには気にはならなかった。



ただ、しかし、それでも、残念ながら時に青春恋愛映画だったり、時にSFパニック映画だったり、さらには家族の再生物語でもあり、サスペンス的要素もといった具合に、あれこれ話を盛り込み過ぎたため、結果焦点が絞り切れず、全体的な印象としては散漫で希薄なものにならざるを得なかったのだ。

そして例えば意味なく延々と続く列車と車とのクラッシュシーンに代表されるようなメリハリが強すぎる荒い演出も大いに疑問だったし、監督の自分自身の過去をベースにするのであれば、どこか「スタンド・バイ・ミー」とも通底する魅力的な少年少女(特にかのダコタ・ファニングの妹だというエル・ファニングが好演!)中心とした成長物語的要素をもっと前面に出してほしかったのだ。



確かに設定された時代を忠実に再現した夥しい数の車両や小道具、美術など、この手のアメリカ映画ならではの予算をふんだんに使ってこそ伝わってくるリアリティさには、いつもながら素直に感心させられるし、映画そのもののトーンもまたそうした時代に合せ、どこかそうした懐かしさを感じさせるノスタルジックさを上手く現わしていただけに、その粗雑な仕上がりぶりが何とも残念だったのでありました。



ともあれ、異常に高かった前評判も徐々に落ち着いてくることだろうし、とにかく大きな期待を持たずして観る分にはそれなりに楽しめるだろうし、見ようによってはラジー・アウォード受賞必至な数々の突っ込みどころを逆にひねくれて楽しむなあ~んていうことも出来るので、あの時代にスピルバーグ映画の洗礼を受けた人はもちろんのこと、お気軽なデートムーヴィー、あるいは子供と一緒に観るファミリームーヴィーとして幅広く楽しめる(はず)なので、それなりにオススメであります。




今日の1曲 “ Jar of Hearts ” 

実はこの曲は映画の中で使われているわけではなく、 Official Super 8 Music Video と謳っているものの、映画の予告編を普通の親子が勝手に編集し、Christina Perr の大ヒット曲であるこの曲をそうした映像に合せているだけのものなんだけど、これがなかなか秀逸で、本編よりよっぽどしっかりとしたテイストでまとめられ胸に響く仕上がりとなっているので思わず紹介なのであります。




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