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例の1カ月に及ぶ長期離脱を体験していた頃、最終コーナーをいつの間にか過ぎ、最後の直線に差し掛かったように感じる我が残り少ない人生において、もっと自由に出来るだけ後悔しない時を過ごせたらという思いに強く駆られたものだった。
もちろん、まだまだ霞を食って生きていけるほどの余裕も諦観もないわけで、相変わらずジタバタすることも多いけれど、例えば本や映画、そして音楽に費やす時間がもっとあってもいいなと思っていたところ、たまたま昨日 「 もっきりや 」 の平賀さんから
「 今夜の吉田慶子さん、すごくいいですよ。 開店時間を遅くして是非! 」
という有り難いメッセージを頂いた。
正直言って、以前ならもしかしたらスルーしていたかもしれないけれど、迷ってあとで後悔するくらいなら迷わず行こうと思い、何年かぶりに慶子さんの歌を聴くことが出来、相変わらずというより、磨きのかかったホンワカな人柄から紡ぎだされる歌の数々に、身体が素直に反応し、その澄んだ歌声が心に沁み、とても良い時間を過ごすことが出来たのでありました。
「 ウエイヴ 」 や 「 美味しい水 」 といった広く知られた名曲の間に挟まれる聴いたことのないボサノバの数々。
そして 1920年代終わりに生まれたサンバの一種で、抒情的な歌謡風サンバである 《 サンバ・カ ンソン 》 と繋がると言って珍しく日本語で歌われ、最後は 「 テネシーワルツ 」 になってしまった 「 知りたくないの 」 などなど、残念ながら最後まで見ることは出来なかったけど、店主が言うように
静かな、本当に静かな、でも熱い想いはちゃんとあるのです。吉田慶子さん、いい歌ばかり、ワインが美味しい夜でした。
そしてこんな楽しみを積極的に参加してくれる人が増えれば、もっともっとこの街は素敵になるのになぁと、改めて思う夜でもあったのでした。
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