栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第73回朝日杯FS回顧~無敗の北米2歳王者の血

2021-12-21 08:55:51 | 血統予想

阪神11R朝日杯FS
◎4.セリフォス
○13.ジオグリフ
▲1.カジュフェイス
△6.オタルエバー
×5.ヴィアドロローサ
×7.ダノンスコーピオン
×11.ドーブネ
今年の朝日杯のポイントとしては、例年より使い込まれているので阪神芝の特にインが荒れていること。先行馬や行きたがりそうな馬が何頭かいるからペースは緩まないとしたら、やはり外マイルだと外からバキューンの脚力勝負になる可能性が高いだろう。
セリフォスはPOGで推奨したように配合はずっとほめてきたし、ダイワメジャー産駒としてはアドマイヤマーズと似た配合で馬のタイプも似ていると書いてきた。ただし母同士の比較、シーフロントとヴィアメディチの比較となるとマーズのほうに軍配をあげたいし、マーズのほうが奥があると思う。その点でここで◎が打てるかどうか考えてしまうが、今年のメンバーは粒は揃っているとはいえマーズ級のマイラーはいない。ジオグリフとの差し比べならば五分以上という結論で。まさに中内田厩舎が三つ目の朝日杯を獲りにきたという仕上げで、馬体は更にバンプアップかつシェイプアップされている。
カジュフェイスは母がタイキシャトルと7/8同血で南関の王者サミットストーンを出しており、そこにエイシンヒカリだからレッドスパーダを更にしなやかにしたようなイメージだ。前の組は厳しいとみるべきだろうが、大箱マイルなら実に優雅な逃げになるはず。追い切りが良かったオタルエバーまでを上位にみた。ダノンスコーピオンはサートゥルナーリアやパンサラッサやキングオブコージと同じく母父がサドラー系の中距離型だから、カナロア産駒でも中距離だろう…というところで押さえまでに。

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例によってNETKEIBAの全頭解説より1~3着を

ドウデュース
ベイショアS(米G2・ダ7F)2着Much Betterの半弟で、母ダストアンドダイヤモンズはギャラントブルームH(米G2・ダ6.5F)勝ち馬。母父VindicationはSeattle Slew直仔の北米2歳チャンピオンで、無敗でBCジュヴェナイルに勝った。ハーツクライ×Seattle Slewらしい長手の体型で、Lyphardのクロスだから粘着力もあり、アイビーSは好位から抜け出して危なげない勝利。マイラーではないので、1600であんなレースができるかどうかだ。(距離○スピード○底力◎コース○)



セリフォス
母シーフロントはベルトランデュブルイユ賞(仏G3・芝1600m)3着。近親にパシフィッククラシックS(米G1・ダ10F)のGo Betweenなどがいる。母父Le Havreは仏ダービー馬でデゼルの母父。母方の血脈構成がアドマイヤマーズと似ていて、馬のタイプも似ていてダイワメジャー産駒にしては重厚な走りを見せる。決して上がりのケイバが得意なタイプではないのに、スローのデイリー杯を勝ちきったのも似ている。タフなレースならもっと強いかも。(距離◎スピード○底力◎コース◎)



ダノンスコーピオン
ダノンバジリアの半弟。母レキシールーはカナダ年度代表馬でダンススマートリーS(米G2・芝9F)に、牝祖Favored OneはプリンセスS(米G2・ダ8.5F)に勝った。母父Sligo BayはハリウッドターフC(米G1・芝12F)勝ち馬でスワーヴアラミスの母父。母がサドラーの血を引く中距離型というのはサートゥルナーリア、パンサラッサ、キングオブコージと同じ。カナロア産駒でも長めに出るパターンで、本馬も大箱1800が最も斬れそうだ。2連勝の中身は濃く高性能。(距離○スピード◎底力◎コース○)



今年の朝日杯は、私としては一口とPOGで推奨したセリフォスに勝って欲しかったけれど、最初からアドマイヤマーズに近いイメージをもっていただけに、ヴィアメディチとシーフロントの比較においてはヴィアメディチに軍配をあげざるをえず、だからアドマイヤマーズ級のマイラーがいたらやられてしまうのかもなあ…というところが予想の入り口でした

けっきょく今年のメンバーにマーズ級はいないとみて、一周回って◎セリフォスに着地したんですが、セリフォスを差し切るのがドウデュースというのも、アイビーの勝ち方は友道のハーツクライの中距離馬に見えたし、サリオスのようにマイルのHペースをうなって追走できるようなイメージは描けなかったですね

母ダストアンドダイヤモンズはギャラントブルームH(米G2・ダ6.5F)とシュガースワールS(米G3・ダ6F)に勝ちBCフィリーメア&スプリント2着と短距離で活躍、その父Vindicationは4戦4勝でBCジュヴェナイルに勝った北米2歳チャンピオン



ハーツの若駒らしい緩さはなく、2歳のマイルG1を勝ちきったのはこの母方の影響も強いということでしょうが、Vindicationは父Seattle SlewがNasrullah≒Royal Charger4・5×4、母Strawberry ReasonがNasrullah≒Royal Charger5×4・4、自身はNasrullah≒Royal Charger5・5・6×5・5・6

またVindicationの母父Strawberry Roadの母父Rich GiftはGrey Sovereignの近親でナスペリオン血脈ですからトニービンと脈絡、Nasrullahが多い早熟なSeattle Slew産駒でトニービンと合うナスペリオンをもつというのはCapote(3連勝でBCジュヴェナイル勝ち)と似ていて、ハーツクライ×Capoteといえばカポーティスター、マジェスティハーツ、そしてキーファーズ+ユタカ+友道のマイラプソディが出た有力なニックス





阪神芝は例年よりインが荒れているので、内枠を引いたセリフォスとダノンスコーピオンは出していって外に持ち出せるポジションを取りにいくことを選択し、そのためHペースなのに前半噛んでしまい、外をスムーズに追走していたドウデュースとは対照的でしたが、どちらも勝つためにはあれしかないわけで、クリスチャンも松山もナイスチャレンジやったと思います

アルナシームは後方ポツンで入ったので何とか折り合いはつき、これも内枠で直線は荒れたインに突っ込むしかなかったですが、なだめられれば脚を使うことを改めて証明

いっぽうジオクリフは調教をつけたルメールが折り合いを心配していて、当日の雰囲気からしても後方でそっと乗るしかなかったようで、来春のクラシックロードをにらむならばここでマイルのHペースを追走させたくない…という頭もあったんでしょうかね

前傾ラップになったのに1800型のドウデュースとダノンスコーピオンが上位に差してきて、やっぱりマーズ級のマイラーは不在だったというべきでしょうが、アルナシームもドーブネもいるのに朝日杯に行こうと進言したユタカには脱帽するしかないです

コメント (7)
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